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2023.09.19

不機嫌ハラスメントの夫への対処法は?フキハラの特徴や原因、家庭内のイライラの解決策

周りに嫌な態度をとることで、自分の不機嫌さをアピールし、周囲にプレッシャーをかける不機嫌ハラスメント。本人に自覚がないことも多いフキハラは今、パワハラ、セクハラ、モラハラ同様に語られています。ここでは家庭問題のスペシャリストである新井先生が、フキハラのチェックに役立つ特徴や原因、家庭での夫への対処法について解説します。

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記事を執筆したのは…

新井寛規さん

小規模フリースクール「ろぐはうす」センター長。小学校教員、児童養護施設児童指導員、学童保育士、市家庭相談員を経て、2018年大阪府に学習生活支援センターろぐはうすを設立。現在、大学教育学部非常勤教員、保育士・教員養成専門学校の教員、保育士国家試験予備校非常勤講師、市府県放課後支援員研修講師、市府県子育て支援員研修講師、保育教育児童福祉コンサルティング、啓発活動を行っているほか、「境界に生きるー。」(UTSUWA出版)などの著書も手掛けている。

職場や家庭でも…「不機嫌ハラスメント」って?

不機嫌ハラスメントとは、自身が「不機嫌」な態度をとることで、相手に不快感や威圧感、恐怖心などを与えることを言います。「フキハラ」と略して呼ばれることもあります(以下、「フキハラ」と記述することとします)。

フキハラは、たとえば、不機嫌な態度で妻や夫に対して悪態をついて不快感を与えたり、部下に対して高圧的な態度で仕事を押しつけたりすることが該当します。

こうした態度を繰り返すことで、周囲を困らせ、そして不快感を与えます。フキハラを受けた人たちの多くは、その人に対して過度に気を遣わざるを得ません。こうしたことが、日常生活や仕事に良くない影響を与えてしまうこともよくあります。

つまりフキハラは、パワハラ、セクハラ、モラハラなどと同じく、夫と妻、上司と部下、親と子など、身近な人同士に起こりやすい「ハラスメント行為の一種」なのです。

フキハラ(不機嫌ハラスメント)の特徴

フキハラは身近なところに潜んでいます。次のような言動は、まさに「フキハラ」といえます。この記事をお読みの方で、周囲にこのような言動をする人がいる場合は、フキハラの可能性を疑ってみてください。

【職場などの場合】

  • 自分の希望が通りそうにない場合、突然黙り込んで話をしなくなる
  • 確認書類などへのフィードバックが一切なく、睨むような素振りをする
  • やりとりの際に溜息を吐かれたり、頭を抱える仕草をされる
  • 直前に対応した他の人の時は機嫌がいいが、対象者になると急に不機嫌そうな態度になる
  • 自分と話している時は無表情なのに、別の人には機嫌よい態度に変わる
  • 何かを頼むときは普通なのに、頼まれる時はすごく不機嫌
  • 部下などに必要以上の叱責を繰り返す

【家庭の場合】

  • 外では人当たりが良いが、家の中では人を寄せつけないオーラを発する
  • 家の中では不機嫌な態度なのにリモートワーク中は職場の人と明るく話す
  • 動画やテレビを見ていると、何も言わずに大きな音を立てて扉を閉めて出ていく
  • 明らかに聞こえているのにわざと返事をしない、無視する
  • 仕事で疲れていることや愚痴を言っても聞いてくれない
  • 「寝起きだから…」「疲れているから…」等の理由で家族が不快になる言動を繰り返す
  • 食べたいものを聞いたら「なんでも良い」と答えたのに、つくった食事を見て「食べたいのはこれじゃない」等と文句を言う
  • 自分の希望が通りそうにない場合、突然黙り込んで話をしなくなる

いかがでしょうか。あくまでこれらは一例ですが、このようなことを常態的にされると、コミュニケーションそのものに相当な労力が必要になりますし、精神も削られるでしょう。

フキハラ(不機嫌ハラスメント)をする3つの原因

フキハラの対象となる人は、「親しい人」や「攻撃性が低くて優しい人」などが挙げられます。イメージとしては、そういった特定の人に、自身の「ストレス」や「イライラ」というボールを強く投げつけているような状況を想像してください。

本来、そういった自身の問題は、自分で解決しなければいけません。自分の機嫌は自分でとることが大切です。しかし、フキハラをする人の多くは、他者への甘えなどから、そうした問題を他人に押し付けてしまうのです。これは一種の「甘え」や「依存」とも言えるでしょう。また、相手を自分自身でコントロールしたいという「支配欲」や、相手よりも自分が上位であるという「自己顕示欲」が強いともいえます。

フキハラをする原因は、大きく分けると以下の3つが挙げられます。

1:不安やストレス

体調が悪いとイライラした気分になり、フキハラをしてしまうことがあります。病気や寝不足、過労などで、余裕がなくなり「周囲へ不機嫌を見せない」といった配慮ができなくなるケースです。また、身体的なストレスや不安だけでなく、家庭や職場、子育てによる精神的なものが原因の場合もあります。

2:気付いてほしいという甘えや依存

本当は「どうしたの?」「大丈夫?」と言ってほしいのに、それを言葉に出さず、周囲にアピールをして「自分が辛い状況であることに気付いてほしい」という欲求を抱えているタイプです。このタイプには直接他人に伝えることが苦手な人や、コミュニケーションが得意でない人もいます。

3:「怒る」ことに依存してしまっている

普段はそれほど気にならない程度の人でも、何かのきっかけで支配欲が強くなることがあります。部下や子ども、妻や夫などを叱責したことがトリガーとなって、支配的な感覚に強い興奮を覚える人もいます。また、普段は全く怒らない人や、支配欲とは縁の遠そうな大人しい人であっても、一度怒って自分の思い通りになった経験を持つ人は、その状態に快感を覚えてしまうかもしれません。実際に「怒る」という行為自体に依存する可能性があることは分かっています。

フキハラをしやすい人の7つの特徴

フキハラをしてしまう人にはどんな特徴があるのでしょうか。以下のような特徴を持っている人は、無意識のうちにハラスメント行為をしてしまう危険があります。

1:不安が強い

自身を守るための防衛本能の1つとして、「傷つく前に相手を傷つけよう(攻撃しよう)」と考える人は多く存在します。以前の私の記事などでも記述していますが、攻撃性の強い人のほとんどが、何かしらの大きい「不安」を抱えています。

2:気分の高低が激しい

もとからの性格が気分屋であったりわがままな人もフキハラをしてしまいやすいです。これは、幼少期や思春期など、今まで歩んできた成育歴による体験が関係している可能性もあります。

3:体調不良を起こしやすい

身体が弱い人、体調管理が苦手な人は、身体的な要因からストレスが生じやすい状態となっています。なかには、持病等をうまくコントロールしている人もいますが、年齢によるホルモンバランスの変化などの影響もあるかもしれません。

4:ストレスの処理が苦手

趣味などでうまく職場や家庭でのストレスを発散している人は、多少良くないことが起きても、自身の気持ちをコントロールできます。しかし、ストレスの処理が苦手で嫌な気持ちを何日も引きずってしまう人は、気持ちに余裕がなくフキハラという形で周囲にアピールすることがあります。

5:精神的に不安定

上記で挙げた、3、4などの要因によるストレスが原因で精神的に不安定な人が多いといえます。精神疾患によって不安定になっている場合は投薬などの対応ができます。とはいえ、そもそも精神疾患を抱えていることに気付いていないことも多くあります。

6:言語化することが苦手

人は数種類のコミュニケーション(言語コミュニケーション、非言語コミュニケーション、テキストコミュニケーションなど)を場面によって使い分けて生きています。その中でも、言語を使ったコミュニケーションは多くの割合を占めています。
自身の気持ちや状況をうまく言語化できない人は、不機嫌な態度で相手に気付いてほしいという欲求を表現する可能性があります。

7:他力本願で「自分は悪くない」という思考

何かに失敗したり、トラブルに遭った際は、自身の言動を振り返ることが大切です。しかし、フキハラをする人は、こういった問題や課題に対して、なんでも人のせいにしたり、自分で解決することから逃げている人もいます。

プライドが高く、「自分自身には責任がない」と信じたい気持ちや、「他人のせいだ」と責任転嫁をしてしまう傾向も見られます。

フキハラ(不機嫌ハラスメント)が周りに与える影響

フキハラはされている人だけではなく、その周囲にも影響を与えます。具体的には以下のような悪い影響です。

フキハラを伝染させる

社内や家庭の「空気」や「雰囲気」はとても大事なものです。特に日本人は、日常的に空気を読んで生活しています。近くにフキハラをする人がいる場合は、その人の周囲の空気や雰囲気に大きな影響を与えます。

よく、保育所で子どもが1人泣いてしまうと、周りの子も悲しくなって泣いてしまう……なんてことがありますが、それに近い状態です。

子どもは周囲の空気を敏感に感知します。大人同士でも、泣くほどではないかもしれませんが、その人が纏うネガティブなオーラは、周囲の人の機嫌まで損ねてしまう危険があります。

周囲の自信を奪う

ネガティブな空気が拡大する状況の中では、ポジティブな思考や意見が淘汰されていきます。フキハラをしている人が上長や家主などであれば、なおさらですね。

周囲の人たちはフキハラをしている人に振り回され、決して褒められることのない世界で過ごしているため、自己肯定感が下がり、自信を失っていってしまいます。

生産性が低下する

自信を失うと、仕事や家事にも影響が出てきます。

相手にポジティブな期待をすることで、その相手がハイ・パフォーマンスを発揮することを、心理学では「ピグマリオン効果」と呼んでいます。

一方で、相手に期待をせず、見込みがないといったネガティブな感情を抱いていることで、パフォーマンスが下がることを「ゴーレム効果」と言います。

フキハラをする人は、まさにこのような空間を作り出す直接的な原因になり得ます。

対処法を間違えると「フキハラマウント」が起こることも…

フキハラをしている人にフキハラをして、さらにその報復にフキハラを繰り返すといった、フキハラの連鎖(フキハラによるマウントの取り合い)が始まるケースも実際にあります。

そうなってしまうと、取り返しがつかないほど事が大きくなり、夫婦でいえば「別居」や「離婚」、職場でいえば「休職」や「退職」につながってしまう危険性もあります。

多くのハラスメント行為は、解決できないほど大きくなってはじめて問題として受け止められます。「ハラスメントかも」と少し疑うくらいの時に対処するくらいが大事なのです。

ぜひこうしたハラスメントに対する防衛意識を、少しでも自覚して考えてみてください。

パートナーのフキハラ(不機嫌ハラスメント)への対処法

職場や友人間のフキハラであれば、対象人物から距離を置いたり、連絡を断ったりすることもできるでしょう。しかし、フキハラをする相手が一番身近な存在であるパートナーの場合、どのように対応したらいいのか悩んでしまいますよね。ここでは、パートナーのフキハラへの対処法を考えてみます。

自覚させる

フキハラをしている人は、自分が相手を怖がらせているとは気付かない人が多いです。1番直接的な方法として、ハラスメント行為そのものを伝えることがあるのですが、これは人によっては行為を増長させる危険も含んでいますので注意が必要でしょう。

家などではない伝える場をしっかりと設定し、2人きりになってしまう場で言うことは避けた方が良いでしょう。できるだけ周囲の目がある場所で、機嫌が比較的良いときなどに、事実と自身の気持ちを端的に伝えてみてください。

距離を置いて心を落ち着ける

フキハラの伝染の範囲が広がると、周囲もイライラを感じてくることがよくあります。そう感じたら、相手とはいったん距離を置くことも大切です。

前述したように、不機嫌の連鎖は関係の破滅や、更に大きな問題に発展してしまう可能性があります。まずは一旦冷静になって物事を考えてみましょう。

言葉で伝えるよう促す

不機嫌になりやすい人は、気持ちを言葉で伝えることが苦手なのかもしれません。それでも不安を感じていたり困ったことがあるときは、態度ではなく言葉で伝えるように促してみましょう。

「今日はこういうことがあったから疲れた」と理由を言葉にしてもらうことで、お互いの理解が深まります。「言っても伝わらない」「怒られるかもしれない」と言いたい言葉を飲み込み感情をため込んでしまうと、相手に対する恐れや委縮、嫌悪感につながります。

周りのフキハラに振り回されないためにできること

ハラスメント行為をする多くの方は「無自覚」だという実態があります。誰も率先してハラスメント行為をしたいわけではありません。ハラスメント行為は家庭を壊してしまったり、職場での信用を失う恐れがあります。

そのようなリスクを含む行為を自覚して行う人は多くありません。ハラスメントをする方は、感情のコントロールができない状態に既に陥っているケースが多くみられます。

そして、そのような人が周囲にいて困っている状況にある方の多くは、1人で解決できる範囲を超えていると推測できます。

その空間に居心地の悪さを感じた時は、信頼できる人に話をしてみましょう。フキハラは伝染すると記事に書きましたが、あなた自身にも伝染し、正常な判断能力を失っていることもあります。客観的な判断をしてもらい、まずは「自身の正しい状況判断」をすることが大切です。

さらに、本当にどうしようもない状況の場合は、カウンセラーに相談するという選択肢も、覚えておいて損はないでしょう。

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新井 寛規

新井 寛規

小規模フリースクール「ろぐはうす」センター長。家庭教育師。小学校教員、児童養護施設児童指導員、学童保育士、市家庭相談員を経て、2018年大阪府に学習生活支援センターろぐはうすを設立。現在、大学教育学部非常勤教員、保育士・教員養成専門学校の教員、保育士国家試験予備校非常勤講師、市府県放課後支援員研修講師、市府県子育て支援員研修講師、保育教育児童福祉コンサルティング、啓発活動を行っているほか、「境界に生きるー。」(UTSUWA出版)などの著書も手掛けている。

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