教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.03.28

【インタビュー】「まわりと違っててもいいんじゃない」へんないきものシリーズ作者・早川いくをさん

現在、池袋のサンシャイン水族館で開催中の「へんないきもの展3」。これまでに約20万人を動員した人気イベントです。そこで、今回は、同展にも参画し、“へんないきもの”の生みの親である早川いくをさんに“へんないきもの”や「へんないきもの展3」の魅力を伺いました。そこには、小中学生やその親が抱える悩みの答えもあるような…。

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「へんないきもの展」には学校では学べない世界がある

ー累計部数120万部以上を誇る人気書籍シリーズ「へんないきもの」の作者である早川いくをさん。へんないきもので名をはせる方ということで、さぞかし子どものころから“へん”なものに興味があったのかと思いきや…。

 

いたって普通の子どもでしたね。よく「子どものころから、へんないきものを調べるのを好きだったんじゃないか」と期待をしていただくのですが、残念ながら、へんないきものに出会ったのは、へんないきものシリーズの1冊目を出版することになってからなんですよ。だから、子どものころは特別なところのない普通の子でした(笑)。

 

逆をいえば、子どものころは、まさか自分がへんないきもので本を出したり、水族館で特別展示をするような大人になるなんて想像もしていませんでした。学生時代にYMOが好きだったこともあり、美術大学に行って卒業後は広告会社に入ってオシャレなアートワークをたくさん世に送り出すはずだったんですけどね(笑)。

 

ーでは、へんないきものに出会ったのは、大人になってからだったんですね。

 

そうです。仕事として調べ始めたんですが、いろいろないきものと出会っていくなかで、自分の知らないことが世の中にはこんなにもあるのかと新鮮なおどろきがありました。普通の教育をまっとうに受けてきて大人になりましたが、超能力のようなものをもったいきものがいるなんて知らなかったし、びっくりすることばかりでしたね。

 

今回、「へんないきもの展3」に来場いただける方にも新鮮なおどろきをお届けできると思います。

 

 

絵や写真にはない発見、おどろきがある

ー教育現場でもフィールドワークが重視する傾向がありますが、へんないきものを本の中だけではなく今回のように実際に見るメリットとは何なんでしょうか?

やはり、絵や写真では補いきれない部分があるんですよね。例えば、今回「トラウツボ」を展示しています。

 

トラウツボ

 

肉食魚は、獲物を水と一緒を吸い込んで食べるのですが、ウツボは形状的に吸い込むことができません。ではどうするのかというと、口の中にある第2のアゴがのどの奥から飛び出てきて捉えて、獲物を口の中に引きずりこむんです。

 

 

私も、ウツボが獲物をそうやって捕獲することは知っていたんですが、今回展示するにあたり、ウツボを解体して骨格標本をつくったことで実際どうなっているのかがよく理解できました。

 

こんな風に、知っていたけど理解が深まったり、新たに“もっと知りたい”と好奇心をかきたてられることが本と展示の相乗効果ではないかと思います。

 

ーちなみに「へんないきもの展3」では、ウツボが獲物の魚をへし折りながら口の中にひきずりこむ映像が展示されていて、なかなか衝撃的! ほかにも、まるでゲームに出てくるドラゴンのようなフォルムの「アルマジロトカゲ」や、微弱な電流を流して敵や獲物を察知する「エレファントノーズフィッシュ」など、約20種のへんないきものたちと出会うことができます。

 

エレファントノーズフィッシュ

アルマジロトカゲ

 

ただ、実際に来場してくださった方の反応は、思いもよらないことも多いですね。以前の展示では、ナマコだけを長い時間ずーっと眺めている女性がいて「へんないきものに癒しを感じているのかな」と思いました。

 

ほかにも、へんないきものをきっかけに自然科学に興味をもち生物学の道にすすんだというお手紙を頂いたこともあります。うれしかったですね。

 

ーへんないきものをどう受け取るのか、そして、へんないきものとの出会いが人生においてどんな転機になるのかは人それぞれのよう。ただ、家の中にいるだけでは、できない発見、出会いが「へんないきもの展」にはあります。

 

 

早川いくを

早川 いくを

著作家。1965年、東京都生まれ。多摩美術大学卒業後、広告制作会社、出版社勤務を経て独立。文筆とデザインを手掛けるほか、水族館の企画展などへも参画している。著書に「へんないきもの」(新潮文庫)「またまたへんないきもの」(幻冬舎文庫)「へんな生きもの へんな生きざま」(エクスナレッジ)などがある。

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