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2022.10.06

モラハラ夫と別居!夫の反応に悩む妻「離婚か復縁か今後どう対応したらいいの」【体験談】

モラハラ夫の生活に耐えきれず、子どもを連れて別居をしたものの夫婦関係は改善する様子はなく…。漠然とした不安、今後どう動けばよいのかに悩む女性の気持ちを家族問題の専門家である新井寛規さんに相談してみました。

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今回の相談者

  • 戸田花さん(40歳/埼玉県在住)
  • 家族構成:夫、小3、小1、年長の息子

  • 今回の相談
  • 結婚10年目。夫の高圧的な態度や暴言に耐え切れず、半年前に子どもを連れて別居をしました。私がいかにつらいか分かってほしい気持ちや距離を置くことで冷静に話し合えるかもという期待があったのですが、夫の態度は変わらず…。離婚したい気持ちはあるものの、金銭的な心配もあり踏み切ることもできません。さらに、子どもも学校でトラブルを起こしたり、兄弟げんかも多かったり、いろんな不安に押しつぶされそうな中、何をどうしていけばいいのか分からず毎日つらいです。

相談に答えているのは…

新井寛規さん

小規模フリースクール「ろぐはうす」センター長。小学校教員、児童養護施設児童指導員、学童保育士、市家庭相談員を経て、2018年大阪府に学習生活支援センターろぐはうすを設立。現在、大学教育学部非常勤教員、保育士・教員養成専門学校の教員、保育士国家試験予備校非常勤講師、市府県放課後支援員研修講師、市府県子育て支援員研修講師、保育教育児童福祉コンサルティング、啓発活動を行っているほか、「境界に生きるー。」(UTSUWA出版)などの著書も手掛けている。

いろんな問題で混乱している頭を整理

現在、別居中の戸田花さんが最も悩んでいるのは、今後の夫婦関係について。ですが、子どものこと、お金のことなど、さまざまな悩みが複雑に絡みあっていて、戸田さんは何からどう考えていけばいいのか分からない状態です。

「負けず嫌いな性格なので、これまでの人生では何か問題が起きても『乗り越えてやるぞ』とポジティブに生きてきましたが、今は心療内科でもらっている薬も効かないし、心身のコントロールができなくて、本音としては『死にたいな』ぐらいの気持ちです」(戸田さん)

そんな戸田さんに対して、家族問題の専門家である新井寛規さんは、戸田さんが話す不安や悩みを箇条書きのようにしていきます。

「改善する方法を考えていくためには、自分の気持ちと実際の問題を分けて考える必要があります。そこで有効なのが『エクスプレッシブライティング』という思考整理法です。考えていることを紙に書き出していくだけですが、文字にすることで気持ちに整理し、客観的に自分を見ることができます」(新井さん)

今回、戸田さんの頭の中を書き出し、整理してみると、下記のような内容になりました。

    別居について

  • 別居したことに後悔はしていない
  • 子どもは家族一緒に暮らしたいと言っている
  • ワンオペでつらい
  • 金銭面の不安がある
  • 働ける時間が減っている
  • 夫とのメールのやりとりがつらい

  • 夫について

  • 夫は会社でモラハラ行為の注意を受けて対策プログラムを受けている
  • 夫は子どもへの虐待(暴力、暴言、軟禁)を認めている
  • 別居する際、モラハラ・虐待改善のためにメンタルクリニックに行くことを約束したが、結局行かなかった
  • 今後の話し合いをしたいが一方的に攻めてくるだけで話し合いにならない
  • 親権がもらえるか不安

  • 子育てについて

  • 長男の特性が強く、発達支援スクールに通っているが変化は感じない
  • 発達支援スクールのカウンセリングで子どもの言動の原因に父親の接し方にあるのではないかと指摘された
  • 発達支援センターやスクールカウンセラーにも相談してきたが、「様子見で と言われるだけだった
  • 長男が弟をいじめる

  • 義実家との関係について

  • 義両親は離婚しており、義母が夫を育てた
  • 義母は結婚に反対していた
  • 義母とは9年間絶縁していたが、親戚の結婚式をきっかけに再会し、以来、戸田さんの仕事中に隠れて夫や孫と会っていた
  • 義母は夫や子どもに戸田さんの悪口を言っている

文字にして視覚的に表すことで複雑に絡み合った感情と問題が整理できました。次からは上記に挙げた問題を踏まえて、今後どう考えていけばいいかアドバイスをしていきます。

モラハラ夫との離婚に悩んでいる

別居や離婚に反対する子どもについて

家庭の状況や夫婦関係がどうであろうとも、子どもが「家族一緒に過ごしたい」「今ある家庭を守りたい」と思うのは自然なことです。戸田さんも子どもの気持ちを考えると別居や離婚に罪悪感を感じています。

一般的に「子どものことを考えたら離婚しない方がいい」という意見もありますが、年間200件以上の家庭問題と向き合っている新井さんは「一番良くないのは、お母さんの精神状態が安定していないこと」だと話します。

「子どものことを第一に考えることも、子どもの気持ちを尊重することも間違ってはいません。ですが、お母さんが本当に辛かったら、それはもう『仕方がないこと』なんです。何も考えていないわけではなく、子どものことを考えた上で、それでも辛いということは、もう仕方がない状況なんです。お子さんのためにも十分がんばってきているし、まずは戸田さん自身の精神を安定させてあげたいというのが私の意見です」

また、戸田さんの夫のしつけにはマルトリートメント(不適切な養育)の可能性がありますが、子どもの頃に不適切な養育(マルトリートメント)を受けて育つと、脳が委縮する可能性が非常に高いことが分かっています。

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離婚か戻るか決断するためにできること

別居という意思表示をすることで、「夫が変わってくれることを期待していた」という戸田さん。別居当初は、「もしかして変わってくれるかも」という気配があったそうですが、今は「もう変わることはないかな」と感じ始めているそう。

「今後の身の振り方を決断をする1つの方法が、期限を決めることだと思います。別居後に今の状況を落ち着いて考えられるようになるには1~3ヵ月間かかるといわれています。戸田さんの場合は、もうその期間は過ぎているので、相手(夫)も冷静に考えられる状態にあると思います。

そこで、夫に対して今から1~3ヵ月の期限を設けて、それまでに直して欲しいことをすべて伝えて、それが叶うのであれば戻るし、無理なのであれば『お互いに自分の人生を歩んで行きましょう』と伝えてしまっていいと思います」(新井さん)

期限内に完璧に変わることができなくても、定期的にカウンセリングに通うようになるなど、変わっていく意志があるのかということが大切。

戸田さんが伝えたことに対して『無理だから、お前が直せ、変われ』と言ってくるようであれば、残酷な言い方ですが、今後変わっていく見込みはないと思います。もし少しでも歩み寄ろうとする感じがあれば、そこで話し合いもできますが、見込みなしの場合は、返事も返さず離婚へ進んでもいいと思います」(新井さん)

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家に戻る場合に考えておくこと

現時点では、離婚するのか、家に戻るのかを決めかねている戸田さん。それぞれを選択した場合、どのようなことを考えておくべきかを新井さんに聞いたところ、ポイントは「義実家との関係」にあるようです。

夫が変わろうと努力してくれても、義母との関係は別の話です。戸田さんの話を聞いてきた新井さんは「義実家との関係についてきちんと考えたほうがいい」と話します。

「ご主人の性格や言動を聞く限り、お義母さんに介護が必要になってきた場合、すべて戸田さんに押し付けてくる可能性が高く、そのときに気持ちがもたないのではないか心配です。しかも、その時期というのは、お子さんの反抗期や自身の更年期とも重なってくるのでとても大変だと思います」(新井さん)

、オンラインカウンセリングで戸田さんの話を親身に聞く新井さん

離婚する場合に考えておくこと

離婚する場合、戸田さんが気になっているのがお金や親権のことです。

「裁判所の考え方には『主たる養育者に親権を渡す』というセオリーがあります。そのため、これまでの養育環境を考えれば優秀な弁護士でも親権を夫側に渡すことは難しいでしょう」(新井さん)

また、養育費の件も含めて「離婚する場合、重要になってくるのが公的な取り決め」と言います。

「時間がかかってもいいので、養育費や離婚後の子どものとの面会の回数などは丁寧に決めておいたほうがいいですね。話を伺っていると、お義母さんがお孫さんの生活に関与してきそうな気配があるので、決められたとき以外の接触はなるべくできないようにしておいたほうがよいかもしれません。慰謝料や養育費は夫の収入に応じた金額になります」(新井さん)

「裁判じゃなければ、弁護士は必要ないんじゃ…」と思うかもしれませんが、できれば弁護士に依頼し、細かな取り決めまで書面で残しておくことで後々役立つそう。

「まずは、法テラスや市町村が行っている無料の法律相談を利用して離婚の際にどんなことを取り決めたほうがいいか相談してみてもよいでしょう。戸田さんの場合、発達支援センターや発達支援スクール、スクールカウンセラーなどさまざまなところに相談している記録が残っていますし、夫のモラハラ・虐待行為をメモされているようなので、もし調停や裁判になっても不利に話が進むことは考えにくいですが、離婚に向けて何を用意しておけばいいのかも弁護士に相談しておくと心強いですよ」(新井さん)

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諦めていた選択肢も考え直す

どんな悩みや相談でも当事者だからこそ視点や考え方が狭まってしまうことがあります。そこで、戸田さんは客観的な視点で自分の現状を見てくれる新井さんに今後の身の振り方案を聞きました。

「どのような選択をしても絶対的な正解はありませんし、私が『こうすべきだ』と決めることはできません。ただ、これまでの話を聞いていて、ひとりでお子さんのことを相談して回り、夫婦関係改善のために努力してきた戸田さんは、まずは自分自身を労ってほしい。

戸田さんなら精神的に安定してくれば、その後の道は自分で選び、進んでいくことができると感じました。

そのために、今の居住地からは離れてしまいますが、一度実家に帰ってご実家の力を借りてみてはいかがでしょうか? モラハラ気質の方には外面をよく見せる傾向があり、実家の家族は戸田さん自身の現状が分かっていないかもしれません。まずは今の気持ちを話して相談してみてはいかがでしょう」(新井さん)

実家には妹家族が同居しており、自分が迷惑をかけるわけにはいかないと両親に何も話していなかった戸田さんですが、「実家に帰るかどうかはさておき、相談をしてみます」と話します。

ほかにもグレーゾーン(パステルゾーン)の子どもの支援も行っている新井さんに子育てのアドバイスなどもしてもらった戸田さんに今回のカウンセリングの感想を聞いてみると…。

「離婚すると決めていれば法律家へ相談できますが、それすら決めかねている状態で専門家に相談できると思っていませんでした。とりとめのない話でも快く聞き入れ、冷静にアドバイスしてくれたことで頭も心もスッキリしました。専門家が味方になってくれるのは心強かったです。今後も迷って苦しくなったときは相談させてもらおうと思います」(戸田さん)

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浜田彩

エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。

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