小1の壁は対策や工夫で乗り越える【専門家と先輩ママがアドバイス】
うれしい小学校への入学。共働き家庭では、時短勤務の終了や学童保育の終了時間の早さ、平日の学校行事など、いわゆる「小1の壁」に不安でいっぱいかもしれません。そこで、先輩ママたちのコメントを交えながら、小1家庭がぶち当たりがち不安への具体的な対策を紹介します。
目次
【小1の壁とは】学童問題だけじゃない
小1の壁とは、一般的に共働き家庭の子どもが保育園から小学校に進学して仕事と子育ての両立が難しくなることを指します。
例えば、延長料金を支払うことで比較的遅い時間まで子どもを預かってくれる保育園よりも、小学校の学童保育は終了時間が早くなります。
厚生労働省の発表する「放課後児童クラブ関係資料(2018年版)」によると、学童保育の閉所時間は18:31〜19:00が47.7%とおよそ半数。19:01以降も運営している公営の学童保育は7.2%しかありません。
また、残りの45.1%に至っては18:30以前となっており、中には閉所時間が17:00までの施設もあり、両親のどちらかが働き方を制限しないとやっていけない状況なのです。
しかも、多くの企業では時短勤務は子どもが小学校に入学するまでとなっているため、早く帰宅することが困難になり、育児のために定時で帰宅することに対して風当たりが強くなる職場もあることでしょう。
共働き家庭に対する社会の理解がない中、「小1の壁」ができてしまうのは保護者のせいではありません。
また、学童保育(帰宅時間)以外にも、「小1の壁」には、下記のようなことがあります。
- ひとりで留守番をさせることの壁
- 平日にある学校行事の壁
- 病児保育がない状態での病欠の壁
- 長期休暇や平日休みの壁
- PTA活動などの壁
- 宿題や準備など日々のサポートの壁
- 子どもを寂しがらせていないか罪悪感の壁
ほかにも家庭ごとにさまざまな壁があるかもしれませんが、今回は上記の壁を乗り越えるための具体的な方法を紹介していきます。
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相談相手を探してみる放課後の不安|学童や留守番への対策
保育園と違い、学童保育は保護者のお迎えが必ず必要というわけではありません。ですが、季節によっては暗くなった後、まだ幼さの残る子どもがひとりで帰宅しなければならないなんて保護者としては不安しかありませんよね。
そんな不安を乗り越える対策を紹介していきましょう。
【対策①】民間学童・ファミサポなど外部サービスを使う
学童保育での勤務経験があるライター・カメラマンの堀本一徳さんは、下記の記事で民間学童やファミサポなどの外部サービスの併用をすすめています。
<橋本さんの記事はこちら>
ファミサポは、1時間1000円程度でお迎えからお留守番までととても便利です。ただ、保育の専門家ではないので相性や信頼性では心配な部分もあることでしょう。そこで、学童が終わる時間から始まる習い事を契約して、送迎のみに利用するなど、精神的な負担が親子とも少なくなる方法を考えてみましょう。
<学童保育についてはこちらの記事もチェック>
【対策②】下校、留守番はGPSと見守りカメラでカバー
しかし、ファミサポも民間学童も毎日のこととなると費用は安いとはいえません。もし、ひとりでの帰宅が可能であれば、帰宅までひとりで留守番をしてもらうのが現実的かもしれません。
とはいえ、「どこにいるのか分からない」「無事に帰宅できているのかもわからない」のも不安です。
そこで、下校時間はGPS、家の中は見守りカメラなどで安全を見守りましょう。スマホ・携帯がNGの小学校でもランドセルにいれっぱなしにできるGPSなら持ち込みやすいこともあります。
<子ども向けのGPSはこちらの記事をチェック>
<学童保育の登下校に関する記事はこちら>
また、GPSで無事に帰宅を確認したた後は見守りカメラで「おかえり」と声をかけて、家での様子を見守りましょう。下記の見守りカメラは、スマホで簡単に操作でき、通話も可能です。「カギはしっかりしめた?」「宿題はしたのかな?」など、心配なことを声をかけると親も子も安心です。
【対策③】鍵紛失への不安は思い切って電子キーへ変更
2020年に美和ロック株式会社が小学生の子どもを持つ母親498人に調査したアンケートによると、小学1年生で45.3%の子がいつも、もしくはときどき鍵を持ち歩いていることが分かりました。
しかし、小学生の子がカギを無くす、落とすというトラブルは、今も昔も変わらずあります。最近は、ランドセルの肩ベルト部分に装着し、外さずに使えるタイプのキーホルダーもありますが、想像のななめ上をいく行動を取ってしまうのが子どもです。紛失する不安がまったくない保護者はいないことでしょう。
そこで、注目を集めているのが電子キーです。指紋認証型、暗証番号型などさまざまなタイプがあり、家の玄関に取り付ける場合、2~10万円で取り付けが可能といわれています。もし、鍵を亡くした場合でも鍵の交換には数万円かかることを考えると選択肢に入れてもよいのでしょうか。
平日の不安|学校行事、病欠への対策
すでに年間行事表などを入手している保護者は分かっていると思いますが、仕事への配慮から、イベントごとは土日が多かった保育園に比べて、保護者会や学校公開など、小学校は容赦なく平日に保護者が参加する学校行事がスケジュールされています。
1学期に保護者会1~2日、学校公開が3日程度にすべて参加すると考えると、年間で12~15日程度は有休もしくは半休を取ることになります。
また、新型コロナウイルスによる学級閉鎖や病欠した場合も想定しなければならず、小学生になると病児保育も使えないことを考えると計画的な休みは最低限に抑えておきたいところです。
【対策】家族で協力し合って乗り越える
一般的に低学年であるほど保護者が学校公開や保護者会へ参加する率は高くなります。保護者としては、子どもでの学校での様子や担任の人間性、クラスの雰囲気など知る機会になり、子どももがんばっている姿を見て欲しいため「来て欲しい!」と言う子も多いことでしょう。
では、働いている保護者はどのように対策をしているのか聞いてみました。
保護者会は1学期のみ参加しています。そのときにクラスのグループLINEができるのでママ関連の連絡は取れるようになります。また、担任にも「仕事の関係で今後の保護者会は参加できないもしれませんが、何かあればおっしゃってください。これからお願いします」と挨拶をしています。(小学5年男子の母)
学校公開は、子どもにどうしても見て欲しい授業ベスト3を決めてもらい、その中で仕事への影響が少ない日時のものだけに行くようにしていました。高学年になると「来なくていいよ」と言われ、実際にほとんどの家庭が来ていないので今や懐かしい思い出ですが(笑)(小学6年男子の母)
保護者会も学校公開も夫婦で行けるほうが行くようにしています。保護者会で男性が夫だけだったときは申し訳ない気もしましたが、夫も子育てに参加するいい機会になったと思っています。(小学2年男子の母)
ほかにも祖父母に協力してもらっている家庭などもありましたが、夫婦、子どもを交えてみんなで協力して乗り越えていっている印象でした。
また、病欠でも仕事を休めない時はどうしているかを聞いたところ…
夫婦どちらも休めないときは、子どもの具合にもよりますが、小1から留守番をさせてしまっています。そのときは、LINEやzoomをこまめにつないで様子を見たり、子どもが寂しいときは話しかけたりできるようにしました。それでも、罪悪感でいっぱいでしたが…(小学5年女子の母)
新型コロナの感染が拡大してからは、子どもの体調が悪いと必然的に会社を休まなければならないので困ったことはありません。在宅勤務ができる職種ということで助かっています。(小学4年男子の母)
小学1年生のときに、休校のために仕事を休んだり、仕事をしていても子どもの様子が不安だったりして、リモートワークができる仕事へ思い切って転職しました。(小学3年女子の母)
近年、リモートワークに対応する企業も増えて、病欠などには対応しやすくなっている家庭もあるようですが、悲しいかなどうしようもならないことも。つらいところですが、子どもを留守番させる、転職するなど、一歩踏み込んだ策も必要なのかもしれません。
長期休暇の不安|親不在の夏休み対策
保育園と大きく違うのが、夏休み・などの長期休暇があることです。さらに、土日の運動会明けの振り替え休日や、創立記念日などイレギュラーな平日休みも出てきます。共働き家庭はどのように乗り越えているのでしょうか。
【対策】弁当は面倒だけど学童保育は助かる
長期休みやイレギュラーな平日休みに助かるのは学童保育です。共働き家庭にとって保育園ほど手厚いケアは望めませんが、学校のスケジュールに合わせて開いてくれるのは助かります。
ただし、学童保育には給食はありません。お弁当を毎日作るのは大変ですが、冷凍食品も活用しながら乗り切りましょう!
<学童保育についてはこちらの記事もチェック>
その他の不安|PTAや準備などの対策
小学1年生の共働き家庭でじわじわと負担になっていくのが日々の宿題チェックや時間割を準備する手伝いなどです。帰宅後、あわただしく家事を行う合間にしなければならなりません。
【対策】できないことは子どもに協力してもらう
小学校生活は、勉強面や身の回りの世話など、保護者への協力が求められることが多いものです。共働き家庭で全部を完璧こなそうとするのは大変です。
家庭教育師の藤田郁子さんは、この負担への対策について下記のように話します。
「母親(父親)が、クタクタになっている体に鞭打ってこなしていくよりも、『お母さんにはみんなと同じように24時間しか時間がなくて、その中で仕事して、家事して、そしてあなたたちの面倒を見なちゃいけないよね。だから、何でもしてあげたいという気持ちはあるけど、無理なこともあるんだよ』ということを子どもに伝えていいのではないかと思います。
突き放したいからではなく「家庭を回すために協力してほしい」というスタンスで子どものことは子ども主体で動いてもらってもよいのではないでしょうか」(藤田さん)
とはいえ、忘れ物が続くなど学校生活に大きな支障ができてしまったら、新たな悩みになってしまいます。
「学校が『協力してください』と言っていることに『従いません』という態度で挑むのもよくありません。『家庭でも努力はしますが、わが家では自分のことは自分でするように育てたいと考えています。ただ、もし子どもに任せすぎで困るということでしたら遠慮なくご連絡を頂けるとありがたいです』と、理解はしているし、丸投げではないんだよということを伝えられたらいいですね」(藤田さん)
親だからやらないといけない!と、思ってしまいますが、無理なことは無理!限界です!とどこかで割り切る度胸も必要かもしれません。
<小学生の宿題やお世話についてはこちらの記事もチェック>
【対策】事前にPTA役員へ対応策を確認しておく
小学校のPTA活動というと役員だけが行うものと思われがちですが、学校や地域によっては、PTAに加入している全家庭に登下校の見守りや旗振り、馬出しなどの当番が回ってくることがあります。
また、これらの仕事は自分の家庭の都合で断ることが難しいケースも多いことでしょう。そこで、都内の小学校のPTAで旗振りや馬出し当番などの割り振りを担当している保護者に対策を聞いてみると?
赤ちゃんがいたり、仕事があったり、家庭ごとにさまざまな事情があると思います。ですが、簡単に免除にできないのがPTAの困ったところです。学校ごとに対応は違うと思いますが、免除はできなくても、日程変更など可能な限り対応をしてくれるPTAもあると思いますので、分からないこと、困ったことは相談してみてください。
1年生の保護者は、学校のこともPTAのことも分からなくて当然です。だからといって勝手に「行けないから仕方ないでしょ」と片付けてしまい、「当番をサボる家」と思われてしまうと地域や子どもの人間関係にも響きます。近年は仕事のスリム化や負担の軽減などを考えているPTAも増えているので、相談をしてみてはいかがでしょうか。
<PTAの基礎知識や加入・未加入などについては下記の記事もチェック>
親子関係の不安|疲労や罪悪感への対策
これまで、保育園で育った子どもたちは、両親が働いていて家にいないのが当たり前の環境でした。しかし、小学生になると家にいつも母親(父親)がいる家庭があることを知っていきます。
中には「ママに家にいてほしい」「留守番は嫌だ」と子どもに言われることや、言われなくても「さみしいと思っているかな?」と感じることもあるかもしれません。つらいですよね。
【対策】大切なのは量より質だと考え方を変えよう
しかし、家庭教育師の藤田さんは次のように話します。
「共働きの子育てで大事にしてほしいのは、量ではなくて質です。例えば、仕事から帰宅する時、家に入ったときだけは子どもたちに笑顔で「ただいま。お留守番ありがとう」と言いましょう。たとえ、お菓子やランドセルの中身が床に散らばっていて心の中では叫びたくても顔や態度に出さないようにする(笑)。
疲れているし、怒りたくなる気持ちは分かりますが、もし悩みや寂しさを感じていても親がイライラしていたら話せません。親子の時間がどれだけ長くても有意義な時間にはなりにくいですよね」(藤田さん)
仕事も子育てもいくらがんばっていても、子どもの成長やめまぐるしく変わる環境に戸惑うことも多いと思います。
今回の記事ではひろいきれなかった保護者の悩みや不安は、せひ「ソクラテスのたまご」の姉妹サイトであるオンラインカウンセリングサービス「ソクたま相談室」に相談をしてみてください。
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