2019.03.12

学童保育とは?元指導員が教える学童の基礎知識

内閣府によると共働き世帯数は2017年で1,188万世帯と、1980年代に比べて約2倍にも増加しました。今後、さらに共働き世帯が増えると予想されるなかで、小学生以下の小さな子どもの預け先は問題です。今回は、小学生の子どもの預け先として活用される「学童保育」とはどのような施設なのか、勤務経験のある筆者が紹介します。

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学童保育とはどんな施設?

「放課後児童クラブ」「学童クラブ」など自治体によって様々な呼び方のある学童保育。これらの学童保育は、厚生労働省が管轄する「放課後児童健全育成事業」を指しており、自治体が設立から運営までを一貫して行なっている「公設公営」と、自治体が設立したものをNPO団体や民間企業等が運営を委託される「公設民営」があります。

 

また最近では共働き世帯の増加もあり、民間企業が運営する「民間学童」も増えています。プログラミングや英語など習い事が一体となって行える学童、夜遅くまで開いている学童といったように、多様な保護者のニーズに対応する民間学童。公設の学童保育よりも平均で月5万円〜(週5日通所の場合)と費用は高いものの、都市部を中心に人気を集めています。

 

では、学童保育とはどのような施設なのかについて簡単に説明しましょう。

 

厚生労働省の定める基準によると、学童保育では1集団(グループ)あたり40人以下とされており、1集団あたり2人以上の放課後支援員を配置する必要があります。放課後支援員とは、保育士や社会福祉士など保育・教育などに関する有資格者のことです。

 

ただし、放課後支援員の2人のうち1人は、資格を取得していない補助員での代替が可能。 つまり30〜40人の児童に対して、保育する大人が2人いれば厚生労働省の基準では問題はありません。

 

筆者の知っている学童保育では、1集団あたり5人以上の大人で対応していましたが、施設によっては支援員や補助員の人数を確保できていないところもあるようです。

 

もし、子どもを学童保育に預けるのであれば、その施設の運営状況について確認しておくことをおすすめします。

 

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学童保育は小学生なら誰でも利用できるの?

原則的に学童保育を利用できるのは、仕事や傷病などの明確な理由があり、昼間に保護者が保育できない家庭です。2015年3月まで、学童保育を利用できるのは小学校1〜3年生とされましたが、現在は、制度改正により6年生まで利用できるようになりました。

 

しかし、施設ごとに受け入れられる人数には限界があるため、細かな入所の条件については自治体や施設ごとに任されている部分があります。例えば、筆者の関わっていた施設では、まずは従来通りに1年生〜3年生までを優先していました。それでも受け入れ人数をオーバーしそうなときには、保護者の月の勤務日数や就労時間、家族構成で審査することも。

 

下校時間までに保護者が帰宅できるのであれば、祖父母の家が近くにあり保護者の代わりに面倒を見れるのであれば学童保育の必要性は低いと判断されます。また、学年が上がるごとに1人で過ごす力も身につくため、希望者の人数が多いときには低学年が優先されるのです。

 

ちなみに、自治体が運営までを一貫している施設、学校に隣接している施設は利用者の集中しやすいため審査に通りにくいことがあります。審査は公平に進められるだけに「こうすれば通りやすい!」という裏技はないので、どうしても利用したいときは複数の施設に申し込むと安心です。

 

学童保育の利用開始時期は1年生からが王道!?

定員数に余裕さえあれば、学童保育はいつでも申し込みを受け入れています。ただ、来年度に向けて児童の人数を把握しておかないと運営側の準備ができないため、10〜11月ごろには申し込みが開始され、12〜1月には締め切られるのが一般的です。

 

申し込み先は、管轄の自治体または、対象の施設の場合が多いようです。また、申し込みの時期になると多くの施設で見学会や説明会が実施されます。子どもが毎日通うことになる空間の雰囲気を確かめておくのもいいでしょう。

 

筆者が支援員だったころ、保護者から「2、3年生からでも申し込めますよね?」と質問されることが何度かありました。先述のように、厚労省の定めたルールでは学童保育は6年生までが利用できるので2年生以降でも申し込みは可能です。

 

しかし、個人的な意見としてはできれば1年生からがおすすめです。と言うのも、大抵の学童保育はすでに利用している児童を優先します。もし、来年度もほとんどの児童が利用し続けるとすると2年生になったときに利用できる可能性は低くなります。

 

学童保育は施設によって利用条件も環境も様々なだけに、利用を検討している方はまず管轄の自治体や施設に問い合わせをして情報収集するところから始めていただければと思います。

 

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学童保育は何時までやっているの?

仕事などで日中の育児が難しいからこそ学童保育を利用するのだと思います。

 

だからこそ、学童保育が何時から何時までやっているのかは重要で、あまりにも閉所時間が早いのでは会社を早期退社しないとお迎えに間に合わないかもしれません。

 

厚生労働省の定めによると学童保育は年間250日以上、平日3時間以上、休日(土日、長期休暇等)8時間以上は開所するべきとしています。ただし、開所日数や時間はあくまで「参酌すべき基準」とされ厳密には守らなくても大丈夫です。

 

運営方針や職員の配置によっては遅くまで開所できないこともあり、施設ごとに開所日数や時間は様々。お迎えに間に合わずに何度も閉所時間を過ぎてしまうと施設側から注意を受けることもあるだけに、細かな利用環境まで把握しておくことが必要です。

 

ちなみに、筆者が働いていた施設では17:00〜18:00までにお迎えをお願いしていました。しかし、正直なところ仕事などで時間内のお迎えが難しい保護者も多かったため、19:00までの「延長保育(追加料金)」で対応していたこともあります。

 

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学童保育の主な活動内容

先述したように、厚生労働省の基準はあくまで参考程度なため、学童保育の開所日数や時間は施設によって差があります。

 

そこで、実際に筆者が勤務していた施設の平日の活動内容をざっくりとですがまとめてみました。

<1日の活動内容>

・14:30〜14:45…開所
・14:45〜15:15…自習
・15:15〜16:00…自由
・16:00〜16:30…おやつ
・16:30〜18:00…自由(お迎え)
・18:00〜19:00…閉所(延長)

 

放課後、児童たちが施設に入ったらまずその日の宿題をする自習時間が、1年生から6年生までが集まったら晩御飯までのつなぎとして「おやつ時間」が設けられています。

 

自由時間は施設内であれば基本的に好きなことをして遊ぶことが可能です。

 

さらに、学校や公園などに隣接している施設であれば、職員の付き添いのもと外で遊ぶことも。

筆者自身、その施設で唯一の男性職員であったこともあり毎日のように児童たちとドッチボールや鬼ごっこをしてグラウンドを走りまわっていました。

 

また、季節行事を行っている学童保育も多くあります。

 

例えば、夏には七夕やプール、冬にはクリスマスや豆まきなど。施設によっては親子で参加できるイベントを開催しているところもあり、申し込む前にはどのような行事があるのかも確認しておくのがいいです。

 

学童保育で働く先生たち

学童保育では職員のことを“先生”と呼ぶことが多いです。しかし、実際に施設で勤務をしている方のほとんどが有資格者、学校等の先生ではありません。

 

では、学童保育で勤務しているのはどのような方なのかと言うと、主に以下の3つに分類されます。

 

現職の先生


小学校の先生は児童が下校した後も事務作業が残っていますので、学童保育にはまず関わっていません。

ただ、運営母体が保育園や幼稚園を兼ねているところも多いので、施設によっては現職の保育士や社会福祉士が勤務の一部として配置されていることもあります。

 

有資格者


退職した元先生、小学校教諭や保育士等の資格を所有している方が配置されることも。

 

学童保育では1集団あたり2人以上(1人は補助員で代用可能)の保育士または社会福祉士等の配置が義務付けられていますので、どの施設にも少なくとも1人は有資格者が在籍しています。

 

一般の方


実際に勤務している方のほとんどが資格を所有していない一般の方々です。

 

しかし、まったくの未経験者がいきなり児童たちと関わるのは保安上等の不安がありますので、大半の施設では子どものいる方を積極的に採用しています。いわゆる“地域のお母さんたち”が学童保育の先生として勤務していることが多いのです。

 

つまり、一部の現職の先生や有資格者が管理者として、一般の方がその補助をするかたちで学童保育は運営されています。施設によって割合は様々ですが、現職の先生や有資格者が全体の1〜2割、一般の方が8割以上というのが一般的な配分でしょう。

 

学童保育は子育てをサポートする施設

学童保育は小学校と関係が深いだけに、どうしても小学校の延長として思われがちです。しかし、紹介してきた通り、職員のほとんどが一般の方なだけにあくまで保育をサポートする施設であり、小学校のように教育をする空間ではありません。

 

学童保育とは家庭の事情等でどうしても夜遅くまで1人ないし兄弟・姉妹で過ごすことになる子どもたちに、保護者が迎えにくるまで安心して過ごせる環境を提供することを目的としています。つまり、学校というよりも「家庭」をイメージさせる施設なのです。

 

共働き家庭の方にとって、これから子どもが小学1年生になる方にとって「どこに預けるのか」は大きな問題となります。施設によって利用条件や人数制限等はありますが、学童保育を必要する方はぜひ上手に活用していただければと思います。

 

堀本一徳

堀本 一徳

ライター、デザイナー、カメラマン。大学在学中に小中高の教員免許を取得。児童相談所、学童保育所での指導経験をもとに教育に関する情報を発信している。普段はライターのかたわら、ウェブデザイナーやカメラマンとしても活動。TRUNK.(http://studio-trunk.jp/)

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