「取る人を馬鹿に」「会社がアナウンスしない」…育休を取りたくても取れない理由をパパに聞いた

赤ちゃんが生まれてすぐの頃は、「命を守る」という最重要ミッションに命がけ。育児は夫婦で協力しておこなうものですが、現実には母親がひとりで赤ちゃんのお世話をする家庭が多いようです。男性にも育休制度があるのに、なぜ未だに取得率が低いのでしょうか? そこには、育休に対する職場との温度差があるようです。
施行から1年、パパの育休取得率は未だ1割以下
株式会社ワークポートは2023年9月、全国20~40代の男性ビジネスパーソン270名を対象に「男性の育休に対する意識」についてのアンケート調査をおこないました。
2022年10月に施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)制度」。現在1年経過しているので、認知度も広まり育休を取るパパが増えたかと思いきや、意外にそうではないようです。
「育休を取ったことはあるか?」と質問すると、「ある」と回答した男性は1割以下! 「これから取る予定」の回答率も、もはやスズメの涙ほど。

「産後パパ育休制度」の認知度はそこそこなので、「制度の確立」と「制度の利用」の間に大きな溝があることがわかります。

「男性も積極的に育休を取るべきと思う」「取りたい」9割以上
では、男性は育休についてどのように考えているのでしょうか。
「男性も積極的に育休を取るべきだと思うか?」と質問すると、「かなりそう思う」「ややそう思う」の回答が9割を占めました。

実際に「取りたい」と考えている方も9割以上いるようです。

多くの男性が育児参加を希望しているなんて、妻は助かるし赤ちゃんも喜びますね。
しかし現実はうまくいかないようです。調査結果において、職場の壁に阻まれ、制度の利用が困難になっている状況が浮き彫りになりました。
育休制度はあっても、職場の事情で利用できない男性多数
「自分も育児に参加したい」という気持ちはあっても、職場の壁が高くそびえているため、実際に制度を利用するのはなかなか難しいようです。
「職場は男性も育休を取りやすい環境だと思うか?」と質問すると、「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」の回答が約6割になりました。

アンケートに寄せられた声をいくつか紹介します。
「周りが取らないし、取る人を陰で馬鹿にしているから」
(20代・男性・企画マーケティング)
「会社から育休に関するアナウンスなどを一度も聞いたことがないから」
(40代・男性・製造)
「人手不足であるため、よい顔をされないことが目に見えているから」
(40代・男性・公務員)
「実際に上司に相談したら評価を下げると言われたから」
(30代・男性・製造)
育休は制度として確立されているものの、「取る人を陰で馬鹿にしている」「良い顔をされない」など、人間関係の亀裂を懸念する声が目立ちました。
また、育休の取得は会社にとって人出不足というダメージにつながることも。もちろんそれは会社がカバーすることなので従業員が責任を感じる必要はないのですが、板挟みになって結局会社を選ぶという男性が多いようです。
「会社が一度もアナウンスしない」という声からもわかる通り、「制度はあってもできるだけ利用するな」という風潮が強いのでしょう。「育休を取得したら評価を下げる」というのは完全なパワハラです。

「産後パパ育休制度」が施行されて1年。制度は確立されても、人出不足や人間関係などを危惧して取得に乗り出せない男性が多いことがわかりました。
男性の育休取得は、少し前まで珍しかったかもしれません。でも制度が確立された現在、取得しやすい環境になっていれば、「前例」が増えてそのうち「当たり前」に変わっていくはずです。
会社ごとに異なる風潮ですが、足並みがそろうことを願ってやみません。
<参考資料>
・PR TIMES(株式会社ワークポート)

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。