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2023.09.26

夫(妻)の気持ちは? 夫婦再構築するには何をすればいい?

愛する人から裏切られてしまったとき、すぐに離婚に踏み出せる人はなかなかいないもの。心理的、経済的な事情や、子どものことを考えて「まだ諦めたくない」「できるなら再構築したい」と考える方もいるのではないでしょうか?ここでは、そんな「夫婦の再構築」に関する問題解決への糸口を夫婦関係の悩みに詳しい公認心理師の佐々木先生がご紹介します。

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記事を執筆したのは…

佐々木陽子さん

助産師・看護師・公認心理師。病院では約20年のキャリアがあり、妊娠・出産を契機に生じるメンタルヘルスの問題だけでなく、それ以前から抱える個々人の生きづらさや、性格、家族問題、夫婦問題(パートナーシップ)など、多くの悩みや問題に向き合ってきたカウンセラー。5,000人以上の相談実績がある。最近では、価値観の違いや育児方針の違いによる夫婦関係のトラブルなどで男女ともに相談が多く、【夫婦カウンセリング】も専門に行っている。その他、【自分らしく 幸せな関係を築くためのパートナーシップ】をテーマに、結婚相談所専属の心理カウンセラーとしても活躍中。

不倫されたけど再構築したい…頑張ってもいいケースは?

昨今、不倫発覚後の夫婦再構築についてのご相談が、男女ともに増えています。夫婦のすれ違いや、家庭生活からの現実逃避、性的な欲求不満、男女ともに一人の男性・女性として認められたい、求められたい、癒されたいなどと、不倫の理由は実に様々です。

できるなら再構築がしたいけど、もしかしたら無理かもしれない……と悩んでいる方のために、まずは「再構築を頑張ってもいいと思うケース」の例をいくつか紹介します。

相手への愛情が残っている

不倫をされ、許したくはないけれど まだ嫌いになれない……情けないけど愛情が残っている……という方もいるでしょう。そんな時には、自分の気持ちに正直に、無理してすぐに決断を出さずに過ごしてみてはいかがでしょうか。再構築を目指した後にも、日々 自分がどう感じるかを大切に考えていくと良いと思います。

パートナーをもう一度信じてみたい

特に不倫をされた側は、相手への不信感が強くなり、また拒否感も強くなるかもしれません。その時にパートナーがどんな態度や行動であなたに誠意を見せてくれているかにより、心が動くことがあるでしょう。そんなパートナーを目の前にして、自分も「もう一度信じてみたい」と心から思えるかどうかが まず重要だと思います。

本音での話し合いができる

不倫の原因や背景、これからの関係についてなど、お互いが思っている本音を話し合えるかどうかは重要です。お互い深い部分の感情や 考えを確認することができると、前にも進みやすくなります。

お互いに諦めたくないという気持ちを確認している

どのような理由にせよ、お二人に「再構築を目指したい」という気持ちがあることはとても大事です。再構築は一人の思いでは成功できません。二人で一つの目標を共有しながら努力し合うことで、それぞれの夫婦の再構築への形を見つけることができると思います。

再構築したくても難しいケース

再構築をしたいと思っていても、現実的に考えてなかなか難しいケースもあります。以下のような場合は再構築が難しいと考えます。

パートナーが保身に走った

不倫発覚後、謝罪よりも先に 言い訳や反論をされてしまう場合もあると思います。いかなる場合であっても、相手の気持ちを考えることができない、自分本位な考え方をするパートナーとは信用すら難しくなってしまうのではないでしょうか。

モラハラ、DVがある

不倫の事実が発覚したにも関わらず、平気で嘘を付き続けたり、自分の過ちを絶対に認めず、逆に大声で怒鳴ったり、大きな音で威嚇したり、こちらを責め立てるような人もいます。また身体的な暴力だけでなく、身体的暴力なども決してあってはならないことです。こでまでもそうであったなら尚更のこと、不倫発覚後から突然モラハラやDVを受けるようになった場合でも、関係修復は難しいでしょう。

片方が 再構築を全く望んでいない

どちらかの愛情が完全に冷めてしまっていたり、強い意思を持ち再構築を望んでいない場合もまた、関係回復は難しいでしょう。夫婦の再構築には夫婦のレベル感や、お互いの気持ちを一致させていくことが何より重要です。

再構築をするには何をすればいい?

では「再構築をする」と決めたら、具体的にどのようなことをしたらいいのでしょうか?

STEP1:「解決モード」で考えてみる

私たちは、夫婦や家族間で問題が起きたとき、つい相手のせいにしてしまいがちです。また「何がいけなかったんだろう」「どうしてこういう問題が起きたんだろう」「何が原因か」などと考えてしまい、物事の原因を特定したくなることもあるでしょう。実際、原因特定をすることで解決する場合もあるかもしれませんが、たいていはどちらかに非があったからだと犯人探しをすることになり、それぞれが自分責めをしたり、それにより意欲の低下が起きると建設的な考え方ができなくなります。

そこで、夫婦の再構築には、問題について考えたり原因探しをするモードから「解決モード」へ切り替えることをおすすめしたいです。

どんな理由で再構築の道を選んだとしても忘れないでいただきたいのは、「あなたの気持ち」が何よりも大切だということです。夫婦の再構築の形に決まりはありません。まずは「どんな再構築をしたいのか」「自分自身はどうしたいのか」「どう在りたいと考えているのか」を 明らかにすることからはじめてみましょう。

STEP2:再構築後の夫婦関係の具体的なイメージを持つ

再構築してどうなりたいか?を考えたときに「夫婦仲良く過ごしたい」、あるいは「子どもにとって安心できる父・母でいながらも、個人を尊重した生活を送りたい」といった目標が出てくるかもしれません。

それをもう少し具体的に考えていくことが大切です。

  • 朝起きた時に「おはよう」と笑顔で挨拶し、パートナーの笑顔にほっこりしている自分がいる
  • 子どもを預けて 夫婦二人で恋人の時のように手を繋いでお出かけしている
  • 子どもと一緒に笑って家族で過ごす時間が増える
  • 子どもの父母として、協力した育児をするために二人で話し合いをする時間を作っている

このように、今抱えている問題が解決して夫婦間でどんな行動や表情、コミュニケーションをしたいかをイメージしてみてください。

このとき、「否定(〜しない、したくない)」ではなく「肯定(〜する、したい)」という形で想像するのがポイントです。脳は否定形を理解する時、一度 その否定したい情報を作らなければ 否定できないという特性を持っています。

例えばですが、「子どもの前で夫婦喧嘩、言い合いをしない」とイメージした場合、真っ先に 子どもの前で喧嘩し 言い合いしている夫婦を想像してしまいませんか? 否定形でイメージさせたものは、行動としても現れやすくなるため、肯定形で考えていくことに意味があるのです。

STEP3:今の自分に無理なくできることを考える

解決モードで考えられたイメージは、あなたが本当に望んでいる夫婦の形です。その形に向かって今の自分に少しでも簡単にできる行動は何なのかを考え、決めて、実行することが大切です。

  • 基本の挨拶、感謝・謝罪の気持ちは言葉に出して伝える
  • 週1回は家族みんなで外に出かけて一緒に過ごす時間を持つ
  • パートナーへの期待値を下げてみる
  • 育児の大切な協力パートナーとして、連絡をこまめにとる

今は踏ん張りどころ!無理してでも頑張らなきゃ!と 肩肘張って 必死に頑張ろうとしてバーンアウトしてしまう方も多く見受けられます。夫婦の再構築はすぐに結果を出せるものではないからこそ、無理なくできるところから少しずつ始める方が長続きする関係になるかもしれません。

夫(妻)の気持ちは?再構築するときのNG行動

不倫された側の裏切られたことによりできた心の傷は深く、その傷が癒えるのには時間がかかります。夫婦で話し合い、再構築をすると心に決めたとしても「本当にこのまま信用していいのかな」「また裏切られるんじゃないかな」などと気持ちが揺らぐのは当たり前のことです。

そうなったときに「悲しみ」や「苦しみ」「心配」「不安」「寂しさ」「虚しさ」などの感情が「怒り」へと変化し、NG行動をしてしまいがちです。

一方で、不倫した側の気持ちを伺うと、こちらも別の苦しみを持ち合わせているようです。 一生消えることのない自分の過ちから、当然ながら「常に針の筵に座らされているような緊張感と、後悔や罪悪感の気持ち」を持ちながら過ごしていたり、自分が犯した過ちとは言え、「ずっと言い続けられるのは辛い、早く逃げて楽になりたい、なかったことにしたい」などと感じてしまったりします。

様々な心の葛藤と向き合い、子どものためだけでなく パートナーや家族の大切さを改めて実感し、なんとか再構築していきたい、再構築させてもらえるなら努力していきたいと、不倫した側だからこその気持ちもあるのです。

不倫した側も、された側も、どれだけ時間が経っても理解し合うことは難しいかもしれません。とは言え、再構築をするという段階では、特に、次のような行動には注意が必要でしょう。

不倫の話や過去の話を蒸し返してしまう

ふと頭の中に色々な思いが沸き起こり、目の前にいるパートナーが何事もなかったかのように生活していることが、苦しくなることもあるでしょう。そして、「あなたのせいで!」と、ついつい不倫の話や過去の話を蒸し返してしまいたくなる気持ちになるかもしれません。ただ、自分のイライラをぶつけるために蒸し返すためだけの話は、何の解決にもなりません。

束縛してしまう、責め続けてしまう

些細なことが気になり、行動全てを監視したくなってしまいますが、相手を束縛することは、精神的に追い込むことになってしまいます。

何気なく携帯を見ているだけのパートナーに「また誰かと連絡しているの?」と聞いたり、帰宅が遅い時に「誰とどこで何してたの?」と問い詰め、「こうな風に詮索するようになったのも、あなたのせいでだからね!」と責め続けるとします。相手も人間ですから、ストレスが増すばかりで良い関係からほど遠くなってしまいます。

 上下関係をつくってしまう

関係回復を望んでいても 不倫問題が原因の場合、対等な関係に戻ることができず謝罪する側・許す側、という上下関係が続いてしまうケースがあります。「不倫したんだから、こうされて当然でしょ」「最後まで責任とってよね」などと上下関係ができてしまったままだと、知らぬ間に一方にストレスが溜まってしまい、関係悪化に繋がります。

再構築にはどのくらい時間がかかる?

結論からいうと、一概に「どのくらい」ということはいえません。

パートナーの不倫が発覚した際、最初は何が起こったか理解できず戸惑いながらも、徐々に現実を認識するようになり、次第に、怒りや悲しみ、抑うつなどが現れていきます。

そして、この現実から解決に向けて努力していこうとするのが「再構築」の始まりです。それまでに要する期間は人それぞれで、問題発覚から2~3日で話し合いができるようになる人もいれば、数週間から数ヶ月の時間が必要になる方もいます。

また、再構築を決意して関係性を取り戻せたかのように見えても、何かの原因でふと気持ちが揺らぎ 自信をなくしてしまう方。気持ちのアップダウンを繰り返しながら何年も再構築のために向き合っている方などさまざまです。

一方で、今回の不倫問題以外にも これまでの許せない気持ちが積み重なっているために、「もう再構築など無理!」とすぐに諦めてしまう人もいますし、自分にとってやれることを十分にやり切ったうえで 諦める判断をされる方もいます。

努力の結果を感じるのも人それぞれの感じ方であり、再構築に至る期間、再構築に至らず諦める期間も人によって異なりそうです。

再構築中のフラッシュバックがつらいときは?

また、不倫をされた方はフラッシュバックに苦しめられることが多いです。フラッシュバックとは、不倫をされたときの嫌な記憶が、突然よみがえってきたり、非常に鮮明に思い出されたりして辛い気持ちになる状態をいいます。

フラッシュバックを引き起こすきっかけは、今まで信じてきた相手に裏切られたトラウマがあったり、不公平感、自己否定に陥ることなどがあります。愛情があり、信じていた相手であればあるほどショックの大きさは計り知れません。

何かのきっかけで、不安や悲しみ、怒りの感情が込み上げてくるのは当たり前です。自分を責める必要は全くありません。当たり前の感情を否定して、これ以上ご自身を傷つけないでください。

フラッシュバックが辛い時には、自分の中に生じた感情を思いのままに吐き出すことが大切です。感情は自分の内に押し込もうとすればするほど、その気持ちは再燃するという特性があります。

不倫された体験は、簡単に忘れられるものではありませんので、出てきた気持ちをそのまま素直に認めていくこと、その気持ちを誰かと分かち合うことも重要です。

もしパートナーに伝えたい時には「あなたを責めたいわけではない」ということを伝えた上で、「ただ話を聞いてほしい」「辛い気持ちを受け止めてほしい」「安心できるようにギュッと抱きしめてほしい」など伝えてみるのもいいかもしれません。

また、一人の時には まずはゆっくり呼吸することだけに意識を向ける。そして 落ち着いてきたら自分自身がカウンセラーになったかのように「また嫌なことを思い出しちゃったね。辛いね、苦しいよね」と、自分の内側の辛い気持ちに対して、それを認め、共感していくこと。辛さをしのぐ方法をいくつか身につけておけると良いですね。また専門家に頼るのも一つの方法です。

不倫再発防止のためにできること

再構築を目指したものの、不倫再発については心配が尽きないかもしれません。相手を束縛せず、お互いが納得した上で続けられる再発防止策を考えてみましょう。

新たに二人のルールを決める

二人の関係を見直し、お互いに安心できるルールについて新しく話し合うことは夫婦の再構築にもつながります。そしてこれは、不倫の再発防止にもつながります。例えば、二人の連絡の取り合い方、頻度について、お金の使い方、飲み会への参加、異性との連絡についてなど、二人だけのルールを考えてみましょう。

コミュニケーションの時間をつくる

お互いに忙しく、気持ちを共有する時間や話し合う時間も持てないでいたり、問題意識のずれがおきたままになれば、すれ違いが起こりやすくなります。週に一度は二人の時間を持つなどし、コミュニケーションの時間を増やしましょう。

段階的にまだ二人で話し合うことが難しいという方は、共通の知り合いに仲介してもらったり、第三者を交えたコミュニケーションを持つのも良いと思います。コミュニケーションの機会を増やすことも関係の修復促進につながります。

夫婦カウンセリングという手段も

再構築は不倫により崩れてしまった夫婦関係を元通りにすることではなく、不倫発覚後に夫婦が新たなスタートを切ることです。不倫発覚後の夫婦の再構築は決して簡単な道のりではありません。そのため、ふたりだけの話し合いになると、どうしても感情的になってしまいがちです。

そんな時は「夫婦カウンセリング」を受けることで、客観的な視点でお互いを見て感じることができるようになることもあります。再構築を望みながらも 目の前の精神的な辛さに負け、自分の気持ちに整理がつかないまま急いで結論を出してしまう……。そんな事態を避けるためにも、お互いに後悔しない方法を見つける一つの手段として活用してみてはいかがですか。

また、そこで円滑にいく夫婦のコミュニケーションや伝え方の方法を学び、「自分たちだけの夫婦の形」を見つけていくことができると、再構築もより進みやすくなるでしょう。

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佐々木陽子

助産師・看護師・公認心理師。病院では約20年のキャリアがあり、妊娠・出産を契機に生じるメンタルヘルスの問題だけでなく、それ以前から抱える個々人の生きづらさや、性格、家族問題、夫婦問題(パートナーシップ)など、多くの悩みや問題に向き合ってきたカウンセラー。5,000人以上の相談実績がある。 最近は、価値観の違いや育児方針の違いによる夫婦関係のトラブルなどで男女ともに相談が多く、【夫婦カウンセリング】も専門に行っている。その他、【自分らしく 幸せな関係を築くためのパートナーシップ】をテーマに、結婚相談所専属の心理カウンセラーとしても活躍中。

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