成績最下位、スポーツもダメ。偏差値35のいじめられっ子だった「僕」が東大に合格できた理由

「志望大学合格」を目標に、日々勉強に取り組んでいる受験生の中には、「どうして成績が伸びないんだろう?」と不安を抱えている人がいるかもしれません。また、その不安を見守っている親や教師の立場で、どのように受験生を支えてあげたら良いのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。そのような人たちに希望を与えてくれる本が刊行されました。
『それでも僕は東大に合格したかった』 は、新潮社から2022年9月に刊行された小説です。著者は現役東大生でベストセラー作家の西岡壱誠さん。
この新刊本には、漫画『ドラゴン桜』の作者・三田紀房さんも『これぞ、リアル「ドラゴン桜」。』 と、帯に推薦コメントを寄せています。一体どのような本なのでしょう?
偏差値35から東大へ。作者のリアルストーリー
「自分を変えたければ、東大を目指してみろ」
偏差値35、スポーツもダメ、いじめられっ子の希望ゼロだった主人公が、1人の教師と出会い、このメッセージから背中を押され、人生初の挑戦にチャレンジします。
ところが、2浪という挫折を経験します。それでも頑張って3度目の受験を終えた直後、その教師から新たなミッションがとどきます。
主人公が取った行動は?……。
本書は、過去を回想しながら、主人公が3度目の東大受験後、合格発表を迎えるまでの8日間が赤裸々に描かれたリアル小説です。
西岡壱誠さんは現役東大生で、累計40万部突破の『東大読書』シリーズの著者としても知られています。本書は西岡さん本人が実際に体験した内容が自伝的小説で表現されており、3年がかりで仕上げられた作品です。
東大合格へのこだわり
高1のときに教師から「お前は、このままでいいのか?」と聞かれたときに「いいんじゃないですか?」と半ば投げやりで無気力だった主人公。教師はこのとき「自分の『できま線』を超えるために東大に行け」とアドバイスします。
「芸術やスポーツは才能も必要になってくるけれど、勉強は違う。頑張ったら頑張った分だけ結果が出てくるのが勉強なんだ」と言われ、主人公はスイッチが入り、猛勉強をスタートさせます。
ところが、2度の挫折。絶望的な気持ちになったときに、あることに気づきます。
自分は東大に合格したいのではなく、東大を目指しているのは、もっと別の理由があったことに……。
本書で、その理由について詳しく描かれていますが、この気づきをきっかけに、主人公はもう一度東大を目指して3度目の受験に臨みました。
物語の中では、優秀な後輩に気後れし、女友達や友人との気まずい再会から自分を見つめ直す主人公の心の動きや葛藤、感情の変化が、過去の回想とともに瑞々しく描写されています。
受験生だけでなく、将来や生き方に不安を抱えている人にも何か共感できるシーンが各章に盛り込まれている小説仕立てで展開していきます。

負けるかもしれない。でも自分の意志を持って取り組んでほしい

作者の西岡さんは次のように話しています。
「少子高齢化の今、子どもたちはどんどん『大人の顔色を見て』育っているな、と思います。自分の意思をはっきり表明するような元気の良い子は減って、親や先生が『ここの大学にしなさい』と言ったところに唯々諾々と受け入れて進んでいく場合が多いな、と。
西岡壱誠さんコメント (PR TIMESより)
でもそんな中で、僕はそれでも、自分の意思を持って何かに取り組んでもらいたいと思っています。頑張っても報われないかもしれないし、戦ったって負けるかもしれない。努力が無駄になることだって多くって、誰かに従って生きている方が楽。それでも、何か一歩前に進んだ時に、得られる何かがあるのかもしれない」
本書の中で、読者が主人公を通して自分自身の心と向き合い、自分の意思で自分の人生を動かすヒントが見つけられるのではないでしょうか。
残念がたくさんあった作者だからこそ、描けるリアルストーリー。
自分を見つめ直す時間や、人との巡り合いを大切にすること。自分の意思で自分の人生を動かしてみること。すると、見える世界が変わり、自分が人生の真の監督になれるのだと、本書は教えてくれているようです。
大学合格を目指す受験生や保護者、教師、そして生き方に不安を抱えている人、将来に疑問を感じている人にも、これからのヒント探しにぜひ読んでもらいたい一冊です。
<参考資料>
・株式会社新潮社 『ドラゴン桜』作者・三田紀房さん推薦の帯コメント公開! 現役東大生作家・西岡壱誠『それでも僕は東大に合格したかった』9月22日発売(PR TIMES)

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