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2022.04.15

小学生の子どもが「学校に行きたくない」と言ったら?親の対応を元教師がアドバイス

小学生のわが子が「学校に行きたくない」と言い出したら心配ですよね。行きたくない理由や子どもの本心が分からない中で親はどんな対応を取ればいいのか元小学校教師の伊藤さくらさんが解説します。

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小学生が「学校に行きたくない」理由

ある日、小学生の子どもが「学校に行きたくない」と言い出した! 保護者は「何があったの?」と頭が混乱してしまうことでしょう。

しかし、理由は分からなくて当然です。なぜならば、子ども自身も学校に行きたくない理由を分かっていないケースは少なくないからです。

私の経験上、小学生が「学校に行きたくない」と言い出す背景には大きく3つの理由が考えられます。

【理由①】友人や教師などの人間関係

子どもにとって、友人や教師との人間関係は学校生活を支える土台のようなものです。

特に新年度が始まる4月は、「クラス替えをして仲がいい友達と違うクラスになった」「新しい先生になじめない」と人間関係の悩みが増える時期です。誰かに嫌がらせをされたり、いじめにあったりという、ある意味分かりやすいエピソードがなくても登校をしぶり始めるケースもあるでしょう。

また、穏やかな教師から厳しい教師に変わったとき、子どもは大人が思っている以上にストレスを抱えています。ほかの子が注意をされているのを見て、自分が怒られたように感じる子どもも少なくありません。

保護者からすると「自分が怒られたわけではないんだから」と言いたくなりますが、大人だって悪い雰囲気のオフィスに通い続けるのは苦痛ですよね。ほとんどの場合は担任に慣れるとおさまっていくので、子どもの気持ちを受け止めつつ、見守るようにしましょう。

【理由②】勉強が分からない

学校生活の大半は国語や算数などの授業時間で占められています。授業の内容を理解できない子どもにとって、劣等感を感じながら難しい話を長時間聞き続けることは苦痛でしかありません。

低学年から中学年、高学年へと学習量と難しさはアップするため、学年が上がるごとに勉強についていけなくなる子どもは増えていきます。昨年度は大丈夫だったから、今年度も大丈夫とは限りません。

勉強が分からなくて登校をしぶっている可能性がある場合は、まずは担任に「勉強についていけているのかが心配なのですが、授業中の様子を教えてもらえますか?」と、相談をしてみましょう。子どもが学習を理解できているかは、教師側にとっても気になるポイントです。

個別にフォローをしたり、分かりやすい教材を準備したりと、適切なサポートを考えてもらうきっかけにもなるでしょう。

【理由③】心身の疲れ

心身の疲れが原因で、「学校に行きたくない」と言うパターンもあります。入学したばかりの1年生にとって、小学校は保育園や幼稚園とは明らかに違う場所です。

また、2022年現在は、授業時数の確保のために小1であっても入学した4月から5時間授業がスタートする学校もあります。

少人数制の保育園や自由な雰囲気の幼稚園で過ごしてきた子どもにとって、ルールが決まっている小学校は大人が想像している以上に窮屈なものです。

「1年生なんだから頑張らないといけない」と思うあまり、知らないうちに疲れが蓄積し、ある日突然プッツリと糸が切れたように学校に行きたがらなくなるパターンは少なくありません。

もちろん、2年生以上も例外ではありません。外国語学習やプログラミングなどの新しい教科が増えると同時に、間違いなく子ども達の学校生活は慌ただしくなっています。授業時数を確保するために、土曜授業を増やしている学校も少なくありません。これらの学校生活を取り巻く背景から、心身が疲れてしまう子どももいるのです。

「学校に行きたくない」のは親のせい?

「学校に行きたくない」という言葉ほど、親を苦しめるものはないでしょう。「私の育て方が悪かったのかな…」「もう少し、厳しく育てるべきだったのだろうか」と自分を責める保護者もいるかもしれません。

ですが、今、子どもの言葉に悩んでいる事実こそ、あなたが子どもと向き合っている証拠です。

「育て方が悪かったから」「甘やかしたから」と自分を責めるよりも、「学校に行きたくない」という言葉を子どもからのSOSだと受け止めて、まずは子どもの話にじっくりと耳を傾けてください。

子どもが「学校に行きたくない」と言っているのが自分のせいだと思うと、責められているような気がするでしょう。「なんとかしないと!」と思うあまりに、子どもの気持ちを否定したくなるかもしれません。

ですが、まずは子どもが悩んでいる事実を否定しないで受け止める(話を聞く)ところからスタートしてみてくださいね。

言葉以外の登校しぶりの兆候とは

子どもの中には「学校に行きたくない」という気持ちを言葉にすることができず、人知れず悩み続けている子もいることでしょう。

「学校に行きたくない」と言えない児童は、言葉以外のサインを出して伝えているかもしれません。では、どんなサインがあるのでしょう。

うまく言葉にできないときに表れやすい「子どもからのSOS」を2つ紹介します。

【SOSサイン①】朝になるとお腹が痛くなる

私が学級担任をしていたとき、ある児童が腹痛を理由に数日欠席したことがありました。心配になって連絡をしたところ、保護者の話では「学校に行く気はあるようだが、朝になるとお腹が痛くなってトイレにこもってしまうんです…」とのことでした。

「学校に行かなければならない」のは、子供自身が1番分かっていること。頭では分かっているけれど、心が追いつかないときに腹痛や吐き気という形で体の不調として表れる場合もあります。

【SOSサイン②】学校に行く前後の表情が暗い

学校に対する子どもの本心が表れやすいのは、学校に行く前と学校から帰ってきたときの表情です。

学校に行きたくない小学生にとって、学校に行かなくてはならない朝は、最も憂鬱になる時間です。夜更かしをしたわけでもないのに、朝なかなか起きなかったり、表情がどんよりと暗かったりするのは、「学校に行きたくない」気持ちの表れだと考えられます。

また、学校から帰ってきたときの表情が暗い場合、学校で嫌なことがあったり、つらい思いをしたりした可能性があるかもしれません。

子どもに「今日は、どんなことがあったの?」と質問してみたり、担任に連絡をしたりして教室での様子を教えてもらってみてください。

【学年別】親にしてほしい対応を紹介

小学生といっても、1年生と6年生では体格はもちろん、抱えている悩みや発達の段階も大きく違います。

当然ながら、子どもが「学校に行きたくない」と言う理由や対応も、学年によって異なります。

そこで、小学生のわが子が「学校に行きたくない」と言ったときにとるとよい親の対応を、低学年・中学年・高学年に分けて解説します。

【低学年の場合】担任から学校の様子を聞く

低学年の場合には、担任に連絡をして学校での様子を聞くのが大切です。「学校に行きたくない」と言っていることを伝えた上で、友達関係や授業の様子などを教えてもらいましょう。

小学1・2年生の場合、学校に行きたくない理由をうまく言葉で説明できない子がほとんどです。自分でも理由が分かっていない場合には、「嫌なことがあったから」と漠然とした答えが返ってくるでしょう。

「どんなことがあったの?」とさらに質問をすると、「先生の声が大きくて怖い」「○○ちゃんに悪口を言われた」など、子どもなりに精一杯答えてくれるかもしれません。しかし、それらの答えは、本心ではない可能性もあります。

そのため、枝葉の部分は解決できても、根っこにある「学校に行きたくない理由」は残ったままになる恐れがあるのです。

とはいえ、「忙しそうな担任の先生に、どうやって相談すればいいの?」と悩んでいる人は多いでしょう。私が担任をしていたときも相談するのを遠慮する保護者は少なくありませんでした。

直接相談しにくい場合には、連絡帳や手紙で「話したいことがあるので、時間をつくってもらえませんか?」とアクションを起こしてみてください。多くの教師は、「保護者と一緒に、子どもの悩みに向き合いたい」と思っています。教師の方から自宅に電話をくれたり、面談を設定したりしてもらえるでしょう。

【中学年の場合】話を聞き、一緒に解決策を考える

3・4年生になると、自分の思いや考えを言葉で説明できるようになります。学校に行きたくない理由を「そんなことで休むの?」などと否定せず、最後まで聞いてあげた上で、「どうしたいの?」と聞いてみてください。

子どもなりに「今日は休みたい」「先生と話してほしい」などの要望を言ってくれると思います。

ただ、このとき気をつけて欲しいのは、子どもの意思を尊重することです。

尊重するといっても、子どもの言いなりになるのではありません。「休むと、勉強に遅れてしまうけどどうする?」と保護者の広い視点から見て、休むことで生じる問題への解決策を子どもと一緒に考えるのです。

「親にやらされているのではなく、自分で決めた」と子どもに思わせることが、学校に行く一歩につながります。

【高学年の場合】親が前のめりにならず見守る

高学年で気をつけたいのは、親が前に出すぎないことです。わが子が悩んでいるのですから、「なんとかしてあげたい」と思うのは当然です。

しかし、思春期でもある高学年は親を疎ましく感じ始める時期でもあります。また、親に余計な心配をかけたくないために本音を話さない子どもがいるのも事実です。

学生時代、私も人間関係に悩んで「学校に行きたくない」と思った経験があります。聞こえるように悪口を言われたり、あからさまに無視をされ続けたりする学校生活は苦痛そのものでした。

そんなある日、家で家族とくだらない話をして笑ったときに、思わず涙がこぼれてきました。久しぶりに笑ったことで「親にだけは話したくない」と思っていた気持ちが解放され、母親に学校での悩みを話したのを覚えています。

母が私の異変に気付いていたのかは分かりませんが、「何があったの?」「悩んでいるんじゃないの?」と聞き出そうとしなくても、家族の温かさが子どもの心を解きほぐす可能性は大いにあります

子どもの悩みを聞き出したくなる気持ちは分かりますが、グッとこらえて温かく見守るようにしてくださいね。

休むと不登校になってしまう?

「学校を休ませると、不登校になるのではないか?」と心配している保護者は少なくないのではないでしょうか?

確かに、「1日休ませると、そのまま学校に行かなくなるのではないか」と不安になるのは当然のことです。ですが、休んだからといって必ず不登校になるわけではありません。

忙しい小学生には休息(休むこと)も大切

私が小学校で働くようになって、1番驚いたのは「子どもたちの忙しさ」です。授業の合間にある5分程度の休憩は、トイレに行ったり教室を移動したりするとあっという間に終わってしまいます。

保育園や幼稚園から小学校に入学したばかりの1年生は特に、体力面でもかなりハードな生活でしょう。また、高学年になるとクラブや委員会、行事などの集まりが入って中休みや昼休みがつぶれてしまうことも多々あります。

いくらエネルギーがあるといっても、8時過ぎから15時過ぎまでの時間をほとんど休憩なしで過ごすのはかなり大変なものです。疲れから「学校に行きたくない」と言っている場合には、思い切って休むのは決して悪いことではありません。

むしろ疲れたときは休ませて、限界を超えさせないことが不登校対策のひとつになるかもしれませんよ。

不安なときは、担任や学校へ相談を

「休み癖がつかないか心配」という保護者もいるでしょう。

そんなときは、遠慮しないで担任や学校に相談してください。多くの学校は、学級だけではなく学年、学校で不登校を減らす・なくすための対策を考えています

例えば学習面が理由で「学校に行きたくない」と言っている場合、状況によっては個別のサポートをつけて子供の苦しさを取り除くこともできるでしょう。

万が一、欠席が続いたときにも学校として対応してもらえるので、不安な気持ちをそのまま伝えておくのも大切です。

子どもも親も、十分頑張っている

子どもが「学校に行きたくない」というのは、頑張っていないからではありません。むしろ、自分なりに精一杯、頑張ってきたからこそ出る言葉といえます。

私は学校現場で多くの児童、保護者と関わってきましたが、パターンは違えど、どの親子もみな必死でした。

子どもを思って投げかけた言葉であってもピシャリと拒絶されることもあるでしょう。しかし、土に植えられた種が花を咲かせるように、親の真剣な言葉は時間がかかってもきっと子どもの心に届くはずです。

子どもが「学校に行きたくない」と言ったときには、まず話を聞いて「何に悩んでいるのか」を探ってみましょう。そして、家庭だけで抱えずに担任や学校をどんどん頼ってくださいね。いろいろな立場の人に相談をすることで、1人では気づかなかった子どもの思いや発達に応じた対応を知ることができるでしょう。

伊藤さくら

伊藤さくら

大学卒業後、公立小学校に10年以上勤務し、学級担任、専科(家庭科・算数)を経験。現在は2人の子どもを育てながらWebライターとして活躍するほか、教師経験を生かして、学習や人間関係に悩む親子の相談にのっている。

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