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2023.04.09

母子登校はいつまで続く?「やめたい」母親の負担を軽くする方法

子どもに保護者が付き添い一緒に登校する母子登校。毎日のツラさに加えて「不登校よりはいいでしょ」「今は寄り添うことが大切」「過保護じゃないの?」など、周囲の声に苦しんでいませんか? 誰にも頼れないあなたの気持ちが少しでも軽くなるように、教育アドバイザーの若山修也さんがアドバイスします。

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この記事を執筆したのは…

若山修也さん教育アドバイザー

10年以上にわたり学校教育に携わってきており、不登校に悩む生徒、保護者の方の個別相談を1000件以上受けてきた。中高英語科の教員免許のほか、重度訪問介護従業者資格を保有。現在は通信制高校の職員として進路や受験へのアドバイスを行っているほか、さまざまな親子の相談にのっている。

母子登校の付き添いは母親が多い

「初めて子どもが『学校いきたくない…』と学校に行きしぶったあの日、一体どうすればよかったのだろう」

これは、不登校や登校しぶりの子どもがいる家族の大半が抱えている悩みです。私はこれまで学校生活や子育てについての悩みを1000件以上聞いてきましたが、母子登校中の家族からの相談は毎年増える一方です。

保護者なら誰もが自分の子どもに「楽しく幸せな学校生活を過ごしてほしい」と願っています。ですが、そのために家族が犠牲になっていいというわけではありません

そもそも、母子登校という言葉自体にも疑問がありますよね。母子ではなく、父や祖父母でもよかったはずです。母子登校という言葉自体が、母親の負担を前提にしている言葉だと感じている人もいるかもしれません。

ですが、現実的には、お母さんの付き添いで学校に通うというパターンが多いのもまた事実です。その点を踏まえて、今回の記事では付き添い登校の課題を総称して母子登校と表現させてください。

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母子登校の形はさまざま

母子登校とは、主に小学校の児童が抱える登校上の課題で、父母など家族の付き添いがなければ学校に通えない状態を指しています。

家から校門まで一緒に登校するケース、教室まで一緒に入り朝の会まで見守るケースがあるだけでなく、子どもの授業中は親が別室で待機する状態になっているケース、一緒に授業まで参加するケースなど形式はさまざまです。ほぼ1日中付き添うとなると、共働き家庭は仕事を続けることも困難でしょう。

そもそも母子登校は、「学校にいきたくない」と子どもが訴え、「不登校になってしまうくらいなら…」と保護者が必死に努力した結果、始まるケースが多く、段階的に通常登校へ戻っていくことを期待して続けています。

そんな母子登校が”日常”になっている状態において、家族の負担は計り知れません不登校と比較して問題の程度が軽い・重いと安易に比較できるものではないのです。

調査されていない母子登校の数

文部科学省は不登校について毎年調査を行っています。

令和2年度の最新の調査によると、小・中学校の不登校児童生徒数は、前年より1万4855人増加しており、全国の不登校児童数は19万6127人になっています。不登校中の児童生徒の数は、8年連続で増加中で今回が過去最多の数です。

一方、母子登校については、公的な調査や数値の報告は行われていません。なぜなら、母子登校は子どもは保護者の付き添いの結果、授業に”出席”しているので、文部科学省の調査の形態では数を把握することができないのです。

数値として表面化していることもあり、不登校は社会的な問題としても大きく取り上げられることが多く、支援の枠組みや周辺の情報が徐々に充実してきています。一方で、母子登校については調査も支援も不足しています

ですが、不登校等支援機関への母子登校に悩む家族からの相談や報告は、特に5月から7月にかけて多くなります

私は、不登校中の児童生徒数が増加していく過程の中で、グラデーションのように母子登校の件数も増えていると推測しています。

母子登校の悩みを抱えていることは決して珍しいこと、特別なことではありません。同じ悩みを抱えている家族が全国にたくさんいるという事実を理解し、自分を責めすぎないでくださいね。

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もう限界!母子登校の多すぎる負担

「一緒じゃないと学校に行けない、行きたくない!」と子どもが苦しんだり泣いたりします。ですが、泣きたいのは親も同じです。母子登校がつらい理由をあげてみると、次のようなことが考えられます。改めて見ると、つらくなるのも当たり前ですよね。

「育て方が悪かった」と自分を責める

「周りの子ができることがうちの子はできない」「どうしたらよかったのだろう」という行き場のない不安やプレッシャーに襲われることがあります。「よそはよそ、ウチはウチ」と簡単に割り切れたら、今こんなにつらい思いをしていないはずです。

「育て方や関わり方が間違っていたのではないか」と自分を責めてしまうこともあります。ですが、誰も「親のなり方」なんて教えてもらったことはありません。子育て本などを一生懸命に読み、子どもと熱心に関わってきた人でも母子登校に至るケースは存在します

子どもの登校上の課題は様々な要因の組み合わせです。つまり「育て方が悪いせいで母子登校になった」とは一概にいえるはずがないのです。

周囲から「過保護」「愛情不足」と言われる

母子登校を続けていて一番に悩むことは、「自分は過保護なのだろうか」ということではないでしょうか。

自分でも悩み、不安に思っていることを周囲から言われる時ほどつらいことはありません。パートナーが「過保護すぎるんだよ」と言うケースもあり、涙が出るほど苦しいことですよね。

また、「子どもが学校に行き渋るのは愛情不足だから。子どもに寄り添ってあげて」といったアドバイスも世の中にはあります。ですが、母子登校を続けているにも関わらず、「愛情不足」と言われてしまっては、いよいよ逃げ道がありません。

ですが、「過保護」「愛情不足」という指摘は、1つの視点にしか過ぎず、状況を改善してくれるような「解決策」では一切ありません。そのような指摘だけで、この難しい「母子登校」を解決できるのであれば、誰も苦労はしていません。さまざまな指摘を全て正面から受け止めて、自分を追い込む必要はありませんよ。

「引きこもりや不登校よりいい」と言われる

自分の子供が引きこもりや不登校になることを一番に恐れて、母子登校が始まるケースが多くあります。

しかしながら当事者からすれば、母子登校の負担や不安、悩みは、不登校と比べて浅いわけでは全くありません。むしろ、時間をやりくりして子どもの学校生活に付き添いを続ける毎日は、時間的な拘束、体力的な負担も大きいものです。

不登校の状態と母子登校の状態、それは一概に「問題の程度の違い」とはいえないものです。母子登校特有の悩みが存在しています。「不登校よりもいいだなんて、簡単に言わないで」と思っているのはあなただけではないですよ。

「やめたい」「疲れた」と言えない

一度母子登校が始まると、「今後、どう離れていけばいいのかが分からない」という次の悩みがスタートします。

「私が付き添えば学校にいける」という事実や、「親は子どものために頑張るのが当たり前」という周囲の目、ほかに頼れる人がいないという環境が、本当はつらくても「やめたい」と言えない事態に追い込んでしまうのです。

ですが、大変なことやつらいことを「やめたい」と思うことは人として当たり前のことです。「やめたい」と思うことそれ自体に罪悪感は抱かないでくださいね。

いつまで続くのか見通しが立たない

母子登校がつらい大きな理由の1つは、「母子登校の負担がいつまで続くか分からない」ということです。

子どもが成長して「親に付き添ってもらうのが恥ずかしい」という気持ちが芽生えたら、自然と付き添いを求めなくなるという説もありますが、そんなことは果てしなく先のように思えるでしょう。

確かに登校上の課題は、明日あさってに急に状況が変わる、というものではない部分があります。

ただ、子どもの成長の場面は、必ずしも”ひとりで登校できるかどうか”ということだけではないはずです。

家での過ごし方、家事の手伝い、留守番など、一人でできなかったことが少しずつできるようになっていっていませんか? これらも母子登校が解消していくための確実なステップです。

子どもの”できないこと”ではなく、たとえ小さなことでも子どもが”ひとりでできること”に目を向けていくこと自体が”見通し”につながっていくかもしれませんよ。

子どものケアはあっても親のケアがない

保健室登校、スクールカウンセラーなど、子どもの心をケアしようとする制度や人は充実していますが、「親の気持ちをケアする」という観点にはなかなか光が当たりません

誰にも頼らずに悩みながらひとりで頑張っている人がたくさんいます。あなたは本当によくやっているし、心身ともに疲弊する前に、「どうかひとりで悩まないで」と伝えたいです。

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母子登校を変える3つのヒント

子どもにとっても親にとっても無理なく笑顔で過ごせる生活が少しでも早く戻ってきて欲しいですよね。しかし、母子登校の状態や子どもの特性は千差万別です。万能な解決策はありません。ですが、あなたの負担を軽くするためのヒントは紹介できます。

子どもが休むのはあなたのせいではない

母子登校を続ける母親の中には、「私のせいで子どもが休んでしまったらどうしよう」と思っている人がいるかもしれません。

ですが、もし、あなたが付き添えなくて子どもが学校に登校できなかったとしても落ち込まなくていいんです。

私が見てきた限り、母子登校のケースの中には、依存状態になっているパターンが多くあります。依存状態とは、学校以外の場所でも、子どもが母親と一緒にいることを求めている状態です。

すでに、聞いたことがある人もいるかもしれませんが、本来、人間は心のよりどころを増やしながら成長、自立をしていきます。つまり、頼れるものを増やしていくことが、学校生活だけでなく社会で生きていくために必要なのです。

ですから、パートナーや親戚に付き添いをお願いをして、子どもが頼れる人を増やしていくことは、あなたのためではなく子どものためなのです。ベビーシッターやファミリーサービスも選択肢になるでしょう。

もちろん、最初からうまくいくことはないでしょう。子どもは「ママじゃなきゃ嫌だ」と泣き、学校には行けないかもしれません。ですが、それは“あなたのせい”ではなく”子どものために行動した結果”です。

ほかにも、あなたの体調が悪いときは、「今日は具合が悪いから付き添ってあげられない」と言っていいんです。母親だって人間ですから、そんな日があって当然です。その結果、「じゃあ今日学校休む」と子どもが言っても、落ち込む必要はありません。

「子どものために」と頑張り続けた結果、あなたが倒れてしまえば、結果的に子どもは学校に行けませんよね。もし、本格的な疾患を患えば、その期間は長くなりますし、子ども自身も罪悪感にさいなまれることでしょう。

それよりも、「今日はダメだ」と思ったら休むことがお互いにとって最善の選択なのかもしれません。子どもと同じように、あなた自身のことを大切にしてあげてください。

<関連記事はこちら>
高学年や中学生の母子分離不安は母親のせい?過干渉や愛情不足が原因なの?

子どもと離れる時間を作ってほしい

どうしても「学校を休ませることができない」のであれば、休日に30分だけでもいいので自分の時間をつくってください

例えば、発達段階や年齢にもよりますが、子どもに留守番をお願いして、好きなカフェでゆっくりコーヒーを飲んで深呼吸をしてみるだけでも、肩の力が抜けて気持ちがラクになることがあります。パートナーが休みの週末、あなたが一人で出かけるのもいいでしょう。

少なくとも、あなただけが常に子どもと一緒にいないといけないわけではないのです。

カウンセラーなどに相談する

母子登校を解決するためにインターネットで情報を検索し、試してみては、うまくいかずに苦しんでいる親子によく出会います。

繰り返しになりますが、母子登校のパターンは千差万別であり、「こうすれば絶対解決する」ということはありません。わが家の場合はどうしたらいいのかというアドバイスを受けたり、冷静に現状を振り返るために、カウンセラーや登校課題の解消に取り組んでいる団体などに相談してみるのも選択肢のひとつです。

カウンセリングや支援団体に相談というと、尻込みしてしまう人もいるかもしれませんが、現在は気軽に相談できるオンラインカウンセリングや、スマホでチャット形式で相談できる仕組みも登場してきています。

ソクラテスのたまごの姉妹サイトである「ソクたま相談室」では、私を含めて多くの専門家から、あなたに合う人を選んでオンラインで相談をすることができます。よかったら、ぜひ一度のぞいてみてくださいね。

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つらい気持ちは吐き出していい

子どもの登校上の課題で悩んでいる人の中には、まるで自分の気持ちをラクにすることに対して罪悪感のようなものを感じている人がいます。

一方で、無理に張り切って踏ん張り過ぎてしまうことで、疲弊してしまったり、子どもの依存傾向が一層が高まってしまったりと、結果的に両者にとって望ましくない影響が生じる可能性も考えられます。

十分頑張っているのですから、ひと休みすることや誰かに助けを求めることに決して躊躇する必要はありません

子どものために何かをするだけではなく、あなたの不安を吐き出すことも母子登校を解決する最初の一歩になるかもしれませんよ。

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若山修也

通信制高校を代表として学校教育に10年以上携わり、不登校に悩む生徒、保護者の個別相談を1000件以上受けてきた。中高英語科の教員免許のほか、重度訪問介護従業者資格を保有。現在は、教育大手の民間会社で未来の学校のあり方を模索するほか、さまざまな親子の相談にのっている。

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