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2021.08.27

高学年や中学生の母子分離不安は母親のせい?過干渉や愛情不足が原因なの?

母親の愛情確認して引き留めようとしたり、母親と離れることを必要以上に不安がったりする母子分離不安。不登校の原因のひとつとされている母子分離不安になるのは母親のせいなのでしょうか? 公認心理士の鈴木こずえさんが、母子分離不安とは何か、そして、原因や子どもを傷つけずに状況を改善していく対応などを解説します。

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今回の相談

元々、親子仲はいいほうなのですが、小学6年生の息子が最近、特に甘えてくるようになりました。抱き着いてくることがあれば、「一緒に寝たい」「一緒にお風呂に入りたい」と言ってきます。思春期の男子の言動として違和感があり、ネットで調べてみると「母子分離不安」という言葉が気になりました。不登校の原因にもなるようで、このまま息子の言うまま甘えさせてよいものか悩んでいます。そもそも息子が「母子分離不安」になったのは、私の愛情が足りなかったり、過干渉過ぎたりしたからなのでしょうか?(小6男子の母)

話を伺ったのは…

鈴木こずえさん臨床発達心理士・公認心理師

小学校・中学校でスクールカウンセラーとして15年以上勤務経験があるほか、現在は、教育相談センターのカウンセラーとして、小中高生と保護者のカウンセリングを行っている。不登校、発達障害、緘黙、行動面での問題など、成長過程での身体・精神両面におけるさまざまな相談に応えている。

高学年や中学生でも母子分離不安はある

「おもに幼児期から小学校低学年までの子どもに多いといわれている母子分離不安ですが、高学年や中学生でも同じような状態になることがあります」と話すのは、公認心理士の鈴木こずえさん。自治体の教育相談センターで子育て・発達相談などを行っており、母子分離不安の親子にもたくさん出会ってきました。

「そもそも、母子分離不安とは、一番身近な存在である親から離れることに不安を感じることで、小さなお子さんであれば、どんなお子さんでも持つ自然な感情です。でもそれが非常に強くなると、日常生活に支障をきたしたり、苦痛を感じたりするようになり、下記のような状態や、時には赤ちゃん返りのような行動を取ることもあります」(鈴木さん、以下略)

母子分離不安の行動例

  • 親と離れたり、離れる場面を想像したりすると強い不安に襲われ、登校、外出、友達との遊び、留守番、就寝などの行動をひとりで行えなくなる
  • 親と離れたり、離れる場面を想像したりすると強い不安に襲われ、継続すると体の不調を訴え、頭痛・腹痛・嘔吐などの身体症状が出る
  • 母親や父親に対して年齢に合わない過度なスキンシップを求める
    例:異性の親へ抱きつく、異性の親と一緒に入浴する、同じ布団で寝るなど

「このような行動や症状が現れるのは、その強い不安を和らげるため、乳児期の頃のように、お母さんのそばで安心感を得ようとしているからです。そして、実際に安心感が得られることで、ますますお母さんから離れられなくなり、上記のような行動が持続します」

また、母子分離不安が強く出たり、状態が悪化したりするのは、新しい場面や状況に直面しストレスを受けたときが多く、入園や小学校入学時、学年の変わり目、下の子の誕生、転居、ペットの死など、環境に変化があったときに出やすいそうです。ただ、一か月程で落ち着いてくる一過性のことがあれば、長く続く場合もあるとのこと。

「相談者の方も、お子さんがそのような言動をとったときを思い出してみてください。環境の変化からお子さんが不安を感じるような状況だったのであれば、安心感を求めて母子分離不安のような症状が出ていたことが分かります」

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母子分離不安が母親のせいという場合もある

しかし、新しい場面や環境で不安を感じる人は少なくありません。母子分離不安を感じやすい子には、ほかにも要因があるのでしょうか。

子どもに原因がある場合

「母子分離不安を感じやすい子どものタイプとしてストレス耐性が弱い、刺激に弱い、不安を感じやすい、というもともとの性格(体質)があります。環境の変化や母親との関係がほかの子と同じようであっても母子分離不安になりやすい傾向があります」

ほかにもASD傾向がある子どもの中には、見通しが持ちにくかったり、記憶が薄れなかったりすることで、不安になりやすいという特性がある子もいるそうです。

「誰でも一度は”失敗”をした経験があるのではないでしょうか。多くの人はそのときは傷ついても、その後、記憶が薄れていきます。しかし、ASDの特性のひとつには、失敗経験の記憶が薄れずに鮮明によみがえり、似たような場面になると強い不安が呼び起こされるというものがあります」

例えば、友達と話しているときに相手を怒らせてしまった経験が何回かある場合、そのときに相手の気持ちの解説や、このようなときはどうすればいいのかというフォローがないと、本人の「失敗した」「怒らせてしまった」という記憶だけが残り、自己肯定感がどんどん下がっていくのです。

そして、自己肯定感が低くなり自信をなくしてしまった子は、「また何か失敗するのではないか」という不安が強く、ひとりでの活動・外出などができなくなっていくそう。

「不安は放置するとどんどん大きくなっていきます。早い段階で、適切に対処する方法を学び、不安をコントロールできるようになることが大切です」

愛情不足や過干渉で母子分離不安になる場合

母親の過干渉や甘やかし、母親自身の不安になりやすい性格が、母親と子どもの関係に影響を与え、母子分離不安を強くする場合もあるようです。

「原因が、過干渉や甘やかしだとしても、『じゃあ、子どもと距離置けばいい』という単純な話ではありません。『なぜ甘やかしてしまうのか』といった母親の中にある原因を考えましょう。

例えば、過去に自分が強制的に自立させられた経験があるなど、母親が育ってきた環境や実家との関係が影響していることもあります」

このような場合は、専門家が母親にカウンセリングを行い、一緒に考えていくのがよいそう。

「また、子どもの不安が強い場合、心配し過ぎて母親が子どもから離れることができず“共依存”のような関係になり、母子分離不安の状態を悪化させてしまうこともあります。その場合、母子がそれぞれカウンセリングを受け、関係を改善していく必要があります。母親の接し方が変わっていけば子どもの要求が変わっていくケースも少なくありませんよ」

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母子分離不安を改善していくためにできること

それでは、今回の相談のように子どもに母子分離不安のような症状がある場合、どのように対応していけばよいのでしょうか。

「ひとことで母子分離不安といっても、背景にあるものによって適切な対応は変わっていきます。ですが、下記のようなことはどの子に対しても心がけたい対応です」

母子分離不安の子への対応

  • 子どもの不安をあおらない
  • 子どもの気持ちを想像し理解する
  • 子どもが安心できる時間、場所を作る
  • 母親・父親など(養育者)が協力し、子どもに一貫した分かりやすい態度で接する

何度も「大丈夫?」と聞いてしまったり、無理やり突き放したりするのはNG。また、「いい加減にして」と言って突き放すなど、感情的に接して子どもを傷つけないようにしましょう。今回の相談にある「一緒に入浴したがる」などの年齢にそぐわない要求には一貫して応じないようにしたいですね。

「ただし、要求を断るときは、『あなたのことが嫌いだから断るわけではない』ということを伝え、子どもの気持ちを傷つけないことが前提です」

子どもの要求のすべてを拒否するのではなく「一緒の布団で寝たい」という場合は、「同じ布団ではなく、一緒の部屋では寝るのはどう?」など、子どもの気持ちに歩み寄った上で線引きをするのもいいそう。

行き渋りや不登校なら学校との連携も必要

母子分離不安がある子の中には、学校へ行き渋ったり、不登校になったりする子もいます。

「母子分離不安で学校に行けないような場合、まずは母子分離不安があることを学校側に伝えて、”最初は母子で登校して母親が廊下から見守る”などの対応ができないかを相談をしてみてください」

最初は母親がいるという安心感が支えになっていますが、徐々に学校やクラスの中に安心できる人(友達や教師など)、安心できる場所(保健室や図書室など)が見つかっていくと、不安が軽減されていき、ひとりで学校生活が行えるようになっていくことが多いそう。

「時間はかかるかもしれませんが、少しずつスモールステップで行うことが大切です。行き来戻りつ、といった状態が続くこともありますが、達成感や自尊感情を育むことができるように長い目で成長を見守っていきましょう。また、お母さん自身を支える存在として、スクールカウンセラーも活用してくださいね」

「スクールカウンセラーは、子どもの状況やそのときの状態、変化を把握する上でも欠かせない存在」と鈴木さんは続けます。

「今回の相談にある子どもは小学生ですが、中学生になると不安があってもスクールカウンセラーに相談することをためらう子がほとんどです。人目のない時間に相談できるような配慮をしてもらい、子どもが安心して相談できる環境作りをお願いしてみるのもいいですね」

スクールカウンセラーの役割とは 相談方法や役立て方をカウンセラーがアドバイスします
スクールカウンセラーの役割とは 相談方法や役立て方をカウンセラーがアドバイスします
今や当たり前のように小中学校に配置されているスクールカウンセラー。しかし、名前は知っていても利用したことがない人や「どんな相談ができてるの?」「何をしてくれるの.....

母子分離不安を相談できる専門家とは

学校以外にも相談できる場所や専門家がいます。

「先ほどもお伝えしたように、母子分離不安とは長期的に向き合っていく必要があります。スクールカウンセター以外に継続的なカウンセリングを考えているなら、教育相談センターや療育・発達相談センターなど、自治体が設置している相談機関を利用してみてください

頭痛、腹痛、嘔吐などの身体的な症状もあれば、医療機関(心療内科、児童精神科など)の受診も検討してみる必要もあるそう。

「医療の必要性があるかは、カウンセラーに相談してみてもいいですね」

また、教育センターや医療機関では、母子並行のカウンセリングが可能。子どもに対しては、プレイセラピーや認知行動療法を行い、保護者向けのカウンセリングでは、不安や苦しい思いに対して共感的に話を聞いて、子どもの自立(不安をコントロールする)、保護者の自立を支えていく(子どもの自立を喜べるように、子どもの手を離せるように)ためのサポートを行ってくれるそう。

「母子分離不安で辛いのは、今後の方針や見通しが立たないことだと思います。専門家に相談することで子どもの状態を正確に見立てることができれば、今後の方針が立てられ、見通しがつきます。ぜひ、相談をしてみてください。

もし、どんな風に相談すればいいのか分からなかったり、自治体へ相談に躊躇する場合、一度『ウチのこは』を経由して相談をしてくれれば、個別のアドバイスもさせていただきます」

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母子分離不安は家庭で抱え込まないで

「赤ちゃんの頃から育ててきた母親が子どもを心配に思うことも『守りたい』と思うことも自然なことです。相談者さんのように『過保護』『甘やかしすぎ』と言われてしまうと自分を責めてしまうかもしれませんが、父親の高圧的な態度が子どもの不安を強めて、母親との密着度を高くしている場合もあります。母親だけが悪いということはないのです」

だからといって、母子分離不安による子ども要求をすべて受け入れてそのままにしていると、社会の中でひとりで生きていく力が育たず、引きこもりになる可能性もあります。

「状況が改善していくまでには時間がかかるかもしれません。ですが、少しでも早く子どもと向き合うことで未来は変わっていきます。”子どもを自分から引き離す”のではなく、”子どもの自信を育てていき不安をコントロールできる子になる”ように、専門家と一緒にがんばっていきましょう」

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