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2021.02.26

不登校の支援や相談先を活用するための5ステップとは?プロが具体的なノウハウを紹介

わが子が不登校になったときの支援先や相談先について、「ミモザの花~子どもの不登校を考える会」代表の五十嵐麻弥子さんが解説します。

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ステップ1:まずは子どもの状況を把握しましょう

子どもが不登校になったとき、まず思い出して欲しいのは、現在の日本の不登校児童・生徒の多さです。

「学校へ行くのは当たり前」という先入観が私たち親世代には少なからずあるのではないでしょうか。 しかし、不登校は年々増え続けており、文科省の資料によると令和元年度の時点で中学生の25人にひとりが不登校という状況になっています。

令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について/文部科学省「児童生徒の問題行動等調査結果公表資料」より

しかも、2020年度はコロナ禍の影響もあり、さらに多くの子どもたちが不登校になりつつあるといわれています。つまり、不登校は社会の中で“特別なもの”ではなくなりつつあるのです。

とはいえ、いざ子どもが学校へ行かなくなり、当たり前と思っていた日常が急に当たり前でなくなると、どんな保護者でもうろたえてしまうものです。

しかし、これまで数多くの不登校のケースを見てきましたが、いくら子どもをなだめすかしたり、叱ったり、泣き落としたり、無理やりひっぱったりしても、子どもは学校へ行けるようになりません

むしろ、このような行動を取るほど、保護者も子どもも不安が高まり、どうしていいかわからなくなってしまうでしょう。

子どもの身近な人に学校の様子を聞いてみる

まずは、子どもを無理やり学校へ行かせようとするのではなく、担任教師や、部活動の担当教諭、あるいは子どもが仲良くしている友達に学校での様子を聞いてみましょう。

なぜなら、友人とのトラブルなど明確な原因がある場合は、それを取り除いて学校へ行けるようになるケースあるからです。

ただし、不登校の原因は複雑な背景が重なり合っていることが多く、一つの原因を取り除いたからといってすぐに再登校できるとは限らないのも事実です。

原因と思われることを解決しても不登校が続くときは、子ども自身もなぜ学校へ行けないのかがわからない状態にあるのです。原因追及にこだわり過ぎず、まずは、子どもが家で安心して過ごせる配慮を優先していただければと思います。

ステップ2:学校に具体的な不登校支援を依頼してみよう

学校での様子を聞くだけでなく、次のような対応や支援を相談するケースも少なくありません。

教室以外の居場所を相談してみる

教室ではなく別室なら登校できそうであれば、保健室や図書室、コンピュータルーム、教育相談室などの空き教室にいさせてもらえないか学校に相談してみるのもよいでしょう。

このようなお願いは、担任教師や学年主任にするのもいいのですが、教室利用の権限は校長にある場合が多いので、直接校長に話をしてみるのもひとつの手です。

スクールカウンセラーによる心のケア

スクールカウンセラーとは、学校で生徒や保護者、ときには教職員からの相談にも乗ってくれる心理学の専門職員です。不登校はもちろん、心の不調・友達関係や親子関係のトラブルなどに加え、近年では発達障害に関する相談に乗ってくれるスクールカウンセラーも増えてきました。

スクールカウンセラーへの相談は、直接申し込みをすることもできますし、担任教師を通してお願いすることもできます。

スクールカウンセラーは子ども本人だけでなく保護者も利用することができます。本人が嫌がった場合は保護者だけでも面談を受けてみましょう。保護者が子どもへの接し方を学ぶことで、保護者はもちろん子ども本人の不安感・孤独感も和らぐはずです。

スクールカウンセラーを詳しく知りたいときはこちら

スクールカウンセラーの役割とは 相談方法や役立て方をカウンセラーがアドバイスします
スクールカウンセラーの役割とは 相談方法や役立て方をカウンセラーがアドバイスします
今や当たり前のように小中学校に配置されているスクールカウンセラー。しかし、名前は知っていても利用したことがない人や「どんな相談ができてるの?」「何をしてくれるの.....

いったん学校を休んでしまうと罪悪感や恐怖感が募ってどうしても学校へ足が向かないこともあります。無理に学校へ行かせるのではなく、カウンセラーの力も借りながら本人の意思を受け止め、尊重していきましょう。

ステップ3:学校以外に信頼できる相談先・支援先を見つけよう

先ほどスクールカウンセラーを紹介しましたが、近年認知度が上がってきたせいか、なかなか面談の予約がとれないことも珍しくありません。

また、公立学校の場合、スクールカウンセラーの出勤が1~2週間に1回というケースもあり、すぐ話を聞いてもらえないことがあります。そこで、心のケアを受けられる行政サービスや民間機関を紹介します。

無料でカウンセリングも受けられる子どもの居場所「適応指導教室」

スクールカウンセラー以外にも、行政が設置している相談窓口がいくつかあります。

例えば、自治体の教育委員会が管轄する「教育支援センター」「教育相談所」といった名称の機関があり、不登校の相談を受け付けているだけでなく、「適応指導教室」という施設を設置しています。適応指導教室は、不登校の児童生徒への指導を行うために設置されました。

適応指導教室とは

適応指導教室は、子どもの情緒の安定や基礎学力の補充、生活習慣の安定などを目的として自治体が設置している施設です。こちらに通っていると、在籍校で「出席」とカウントしてくれるケースが多いといえます。

「適応指導教室」のカウンセリングや心理教育は、保護者と子ども別々の心理士のもと受けることになります。スクールカウンセラーと同様、子どもが参加できない場合は保護者だけでも受けられます。概ね週1回、または2週間に1回のペースで1時間程度の面談が行われます。

ただし、すべての自治体に導入されていないこと、さらに、設置されている自治体でも定員があるため、なかなか通うことができないケースもあります。

利用するためには審査があって時間がかかるため、審査が通った時には子どもの気持ちが変わり「やっぱり行けない」となってしまうことも…。行政の柔軟な対応が求められています。

また、「教育支援センター」「教育相談所」「適応指導教室」などは、名称や支援内容が自治体によって異なります。自治体のホームページから探していくよりも、検索エンジンで「〇〇市(区町村) 不登校支援」といったキーワードで検索した方が、より早く情報が見つかります

心理技法で心の回復を図る「カウンセリングルーム」

公的機関のほかにも子どもの心理ケアを行ってくれる場所があります。

心理士のいるカウンセリングルームでは、子どもの症状や特性に合わせた心理技法を用いて、カウンセリングを行っています。親子カウンセリングや家族カウンセリングなど、保護者も含めて心のケアをしてくれることもあります

公的機関のカウンセリングは無料ですが、民間のカウンセリングには費用がかかります。心理士の持っている資格や実績によって費用には差がありますが、30分、50分、90分など、時間単位で費用が発生するシステムが多く、おおむね都市部では50分10,000円程度~、地方では6,000円程度~かかるようです。

私の個人的な感想ですが、費用はかかるものの民間のカウンセリングルームは、公的機関よりも手厚い印象があります。何を最優先にするかを考えて、家庭に合った施設を選ぶとよいでしょう。

この記事を書いた五十嵐麻弥子さんに相談してみませんか?

ソクラテスのたまごの姉妹サービス「ウチのこは」なら、オンライン上で五十嵐さんに子育ての悩みを相談できます。

五十嵐麻弥子さんへの相談ページを見てみる

ステップ4:身体的、心理的な悩みがあれば医師の支援を受けよう

不登校の原因が実は病気に由来する場合やストレスなどメンタル面で不安がある場合は専門家である医師の力を借りることも考えましょう。

起きられない原因は起立性調節障害の場合も

思春期はホルモンバランスが急激に変化するため、自律神経系の症状が現れやすい時期です。症状が特に強く、頭痛・腹痛・吐き気・嘔吐・めまいなどが生じる「起立性調節障害」という病気があります。不登校の中には、この症状に苦しんでいる子がたくさんいます。

起立性調節障害についての詳しい記事はこちら

中学生に多い起立性調節障害とは|症状や治療、学校生活、家庭でできるケアを医師が解説
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「朝、起きられない」「午前中はフラフラする」子どもにそう言われたら、あなたは何と言いますか?「遅くまで起きているからでしょ」「寝不足じゃないの?」と思うかもしれ.....

起立性調節障害の子は、体調不良で朝なかなか起きることができず、結果として学校へ行けなくなります。夕方になると体調が落ち着く場合が多いため、サボっていると勘違いされやすいのですが、朝は本当に体調が悪く起き上がることができません。そのような症状が見られたら、一度、小児科へ相談しましょう。

すぐ回復するケースは少ないので、焦らず子どもの体調を見守ってほしいと思います。遅い始業時間を選べる高校もあるので進学を心配し過ぎる必要はありません

精神的な不安、心配は心療内科や精神科へ

一方で、明らかに元気がなく、精神的に不安定な様子が見られたときは、心療内科や精神科にかかることも考えましょう。

  • 家族と口を利かない
  • ベッドや布団から起き上がれない
  • 自分の部屋から出てこない
  • ほとんど食事をとらない
  • お風呂も入らない
  • 歯も磨かない

以上のような状態が長引くときは、注意して子どもの様子をみましょう。

基本的に精神症状が強い時は精神科、頭痛や腹痛などの身体症状が強い時は心療内科にかかります。

精神科と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが、最近は子ども向けの児童精神科クリニックも街中で多く見られるようになりました。どこにかかったらわからないときは、まずかかりつけ医や子どものことをよく知る小児科医に相談して、専門医を紹介してもらいましょう。

大学病院、総合病院にかかるときの注意点

もし、大学病院や総合病院を選ぶ場合は、児童精神科、思春期心理科、不登校外来、思春期外来といった名称があるところを探します。

ただし、大きい病院は専門性が高い反面、治療内容と子どもの症状とのミスマッチや予約がなかなか取れないなどの面もあるため注意が必要です。

事前に電話をかけて「子どもの状況を話して診察してもらえるか」「診察はいつごろになるか」を確認した方が確実です。

さらに、大病院にかかる時は紹介状が必要なので、いったんかかりつけ医院や小児科で相談し、紹介状を書いてもらう必要があります。教育センターなどでカウンセリングを受けている場合は、心理士に紹介状を書いてもらうこともできます。

ステップ5:不登校が長引いてきたら、学習サポートや親の会を活用

不登校が長引いてきたら、子どもの居場所や勉強面の支援も検討する必要があります。また、親の孤独感を和らげることも重要です。

不登校支援を掲げる民間団体やNPO法人など、民間でさまざまなサービスがありますので検討しましょう。子どもが安心して過ごせる居場所を提供してくれるところや勉強を教えてくれるところ、情報提供をしてくれるところなど、実にさまざまな支援機関があります。

学習のサポートはフリースクール、塾、家庭教師へ

勉強の遅れが気になるときは、フリースクール、不登校児対応の塾・家庭教師のサービスがあります。

フリースクールは施設によって規模が違うだけでなく、学習に対する姿勢もさまざまです。学校のように学習カリキュラムを組んでいる施設、子どもの自主性に任せる施設、勉強する元気が出てくるまでの居場所を提供してくれる施設など、わが子の状況に合わせて探してみてください。

どのフリースクールも、スタッフは不登校の子どもたちのことをとてもよく理解しているので、大変頼りになります。

また、塾の場合は、不登校児専門とうたっているものもあれば、通常の塾内に不登校児のための時間を設けているところもあります。移動が気になるのであれば、オンライン授業を行っている塾や、不登校児への対応を研修で身に着けさせてから講師を派遣するという家庭教師センターを選択する方法もあります。

不登校の塾選びを詳しく知りたいときはこちら

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「不登校だけど勉強はしたい」「学校ではなく塾へ行ってみたい」という子は意外と多いそう。もしかすると「だったら学校へ行けばいいじゃない」と思うかもしれませんが、心.....

情報収集をするなら地元の「不登校の親の会」へ

私が主催しているような「不登校の親の会」も、不登校の家庭を支援する民間団体の一つです。保護者同士が交流することは、情報交換ができるとともに、「苦しい思いをしているのは自分だけではない」と気持ちの安定を図るのにも役立ちます

「子どもがゲームばかりしていてイライラするけどどうしたらいいのか」「毎日学校に休みの連絡を入れるのが苦痛だけどやめてはいけないのか」といった、不登校児の保護者なら誰もが経験するような日常の悩みを聞いてもらい、経験者の話を聞いて解決への糸口とすることができます。

また、地元の親の会に参加していると、その地域ならではの情報が手に入りやすいというよさもあります。

多くの親の会は、不登校を経験した保護者が立ち上げているため、それぞれ実体験があり、不登校の支援機関の情報や周辺の進学先などについて、より現状に沿った情報を得ることができるのです。自分の子どもに合った支援先を見つけるのに、地域の親の会はとても役立ちます。

独自のwebサイトやブログを持っている団体も多いので「地名 フリースクール」「地名 不登校 親の会」などと入力して検索するとよいでしょう。主催者のプロフィールを確認して、信頼できそうなところを選んでください。

SNSにもいろいろありますが、基本的に実名で登録しているFacebookは、比較的安心感があるといえるでしょう。

また、学校からの配布物に「親の会」などのチラシが入っていることもありますし、市区町村の役所や教育センターなどに、支援機関のチラシが置いてあることもあります。自治体の広報誌は、不登校関連のイベントが掲載されていることもあるので要チェックです。

少し注意してみると、情報は意外と身近にあるものです。いつもより少しアンテナを張って、情報を手に入れましょう。

また、フリースクールや親の会は、学校への復帰を第一に考えるところもあれば、無理に学校へは戻らず子どもの感性を大切にすることを考えるなど、団体によって方針が異なります。

スクールや会の雰囲気、関係者との相性もケースバイケースです。参加してみて気持ちに負担が生じるような場合や何か違うと感じるときは、無理に継続する必要はありません

行政から不登校に対する金銭的な支援はない

ここまで様々な支援を紹介してきましたが、カウンセリングやフリースクール、塾などの学習サービスなどは無償ではありません。金額もさまざまです。

しかし、残念ながら「不登校である」ということに対して行政から金銭的な支援は望めません。最初から高額なサービスを選んでしまうと続けていくのが大変になっていきます。「支払い続けられそうか」という点も支援を選ぶうえで重要なポイントです。

実際、子どもがいつ、どのように元気になっていくかということは、家庭や子どもの特性によって千差万別です。「対応は早い方がいい」「この団体を選べば大丈夫」といった正解があるわけではありません。焦らずに子どもや自分に合った支援機関を見つけていってくださいね。

この記事を書いた五十嵐麻弥子さんに相談してみませんか?

ソクラテスのたまごの姉妹サービス「ウチのこは」なら、オンライン上で五十嵐さんに子育ての悩みを相談できます。

五十嵐麻弥子さんへの相談ページを見てみる
五十嵐麻弥子

五十嵐麻弥子

「ミモザの花~子どもの不登校を考える会」代表/エディター・ライター。出版社勤務を経てフリーエディター・ライターに。教育、医療、健康、日本史を専門に執筆多数。二人の息子が不登校になったのをきっかけに、不登校支援団体「ミモザの花~子どもの不登校を考える会」を主催。不登校支援イベント、お話会、個別相談、執筆、行政への働きかけなどの活動を展開。趣味のギターではバンドや弾き語りのライブ活動を行っている。

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