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2022.08.13

フリースクールとは?元スタッフが考える不登校児が学校以外で成長できる理由

不登校の児童・生徒が通う施設というイメージのフリースクール。画一的な教育活動を行う一般の学校とは異なり、それぞれのペースに合わせて活動ができる場ですが、学校に通えるようになるために通う場所なのでしょうか? フリースクールでの勤務経験がある筆者が実際の様子、どのように子どもたちと関わっていたのかを紹介します。

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フリースクールとは

一般的にフリースクールというと一般的な小・中学校への登校が難しい児童・生徒が通う場所というイメージが強いかもしれません。

しかし、ひとことでフリースクールといっても大きく分けて3つのスタイルがあります。

フリースクールの3スタイル

<スタイル①>
不登校の子どもたちの受け皿となるフリースクールで、現在の日本で多くみられるスタイルです。

<スタイル②>
「オルタナティブスクール」と表現されるスクール。欧米の教育運動に触発されたシュタイナー教育など教育理念に従って学校が創設され、1980年代から増え始めました。私立学校として開校しているものもあります。

<スタイル③>
「新しい公立学校を創り出す会」をはじめ、公費を使ってメインストリームとは異なる学校をつくろうという市民運動によりできた学校です。1990年代から増え始めましたが、活動資金などの不足により継続が難しい学校も多いようです。

本来フリースクールとは、正規の学校としては認可を受けていない学校の総称です。

しかし、やはりフリースクールと聞くと頭に浮かべるのは、<スタイル①>ではないでしょうか。そこで、今回の記事の中では、フリースクールの定義を<スタイル➀>の場所という前提で話を進めていきましょう。

フリースクールで学べることとは

では、実際にフリースクールではどのような活動をしているところだと思いますか? 一例として、筆者が勤務していたスクールを紹介したいと思います。

このスクールは、英語塾が母体になっており、朝から夕方までをフリースクール、夕方から英語塾を運営していました。

生徒数は多いときで5人。在籍校へ通えるようになったり、進学したりなどの事情により、人数は流動的に増減していました。 基本的には、月~金曜の週5日間に開校をしており、それぞれの児童・生徒と相談して登校日数を決め、登校した日は学校の登校日数としてカウントされていました。

授業内容は、各学年・各生徒によって異りますが“卒業後、社会で生きていくための力をつける”という基本方針があり、コミュニケーション・一般常識・基礎学力などを個々の状態に合わせて学んでいきます。

時間割は運動やリラックスなどメンタルケアの要素も取り入れており、教材は学校で使っている教科書を用いたり、学校の先生からいただいたプリントや課題を行う時もありました。

不登校になるきっかけは人それぞれですが、つまづいたところをやり直し、自分の力で生きていけるよう自立していくためのサポートしていく場所だと、フリースクールを位置づけて運営していました。

日々の小さな目標達成が進学につながる

私が勤めていたスクールでは、子どもたちが何かにチャレンジする姿が見られました。

子どもたちは「遅刻や欠席するときは連絡をする」「〇ページから〇ページまで問題を解く」など自分で設定した小さな目標をクリアをしていくうちに、自分に自信が持てるようになり、「学校へ行ってみたい」「保健室だったら通えるかもしれない」「高校ではがんばりたい」と話すようになっていきました。

フリースクールに通い始めたからといって急に劇的に変化をするのではありません。日々の積み重ねが大きな変化につながり、小・中学校は不登校だった生徒が全日制高校へ進学した例もありました。

また、高校進学へ至るにはフリースクールの力だけではなく保護者や学校の先生の大きなサポートがありました。保護者は見守り続け、学校の先生は、学校の授業や進路などの情報を与え続け、“より良い進路を”と考えてくれていました。

不登校になった理由や思いは人それぞれなので、同じように周囲が支援したからといって同じ結果になるわけではありません。

学校に戻るという結果以外にも、人としゃべることが出来なかった生徒がアルバイトをスタートしたり、病気がちでフリースクールもなかなか来られなかった生徒が自分で設定した登校日数を毎週クリアできるようになったり、様々な結果が生まれました。

フリースクールのスタッフ・保護者・教員が子どものことを考えて動くことが“学校に通うことができる”以外の成長につながっていきました。

保護者や教員と一緒に未来を考えよう

不登校になるきっかけは本当にさまざまです。大人からすると「なんだそんなことか」と思うこともありました。しかし、「このままではいけない」ことは、児童・生徒本人が誰よりも分かっています。分かっているからつらいのです。

不登校の子どもとその親への支援活動を行う特定非営利活動法人「東京シューレ」の奥地圭子代表は、

学校へ行かないことへの社会の偏見や差別感は解消されず、本人の罪悪感や自責感は助長され、親は本心は登校させたく、子どもは苦しんでいる。

と日本教育行政学会シンポジウムで語っています。

もし、不登校で悩んでいる保護者の方がこの記事を読んでくださっているのであれば、“学校へ行く”という視点から一度離れて、子どもたちが“今”できることを見て、未来に繋げていくことを考えてみてください。

教員やフリースクールのスタッフは、特定の子に一生関わっていくことはできません。親の手からもいつかは離れてしまうことでしょう。そのとき、彼らが自分で生きていける術を身につけているかどうかは、とても大切なことです。

フリースクールは、通うことで学校に行けるようになるとは限りません。しかし、フリースクールは、不登校をきっかけに保護者・教員・スタッフそれぞれが、その子が生きていく上で何が必要なのかを確認し、学校に行けなかったことを成長へとつなげていけるよう協力関係を築く場になると思います。

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こんどうけいこ

公立小中、通信制高校、フリースクール、専門学校での指導経験あり。10年間小学生から留学生までいろいろな生徒と関わってきました。現在、社会人11年目、保育系専門学校で教育系科目を受け持っています。途中大学院に行き、学校教育の可能性を研究してきました。子どもたちに関わる大人の成長に関心があります。

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