学校の補習はもちろん中学受験対策が可能な塾も! 小学生向けオンライン塾9選

コロナ禍で注目されはじめたオンライン塾。今、さまざま理由から利用を検討する家庭が増加しています。しかし、「オンライン授業で成績が伸びるの?」「中学受験対策もしてくれるの?」など、気になる点は多いはず。今回は、ライター・黒澤真紀さんのお子さんの体験談とともに、オンライン塾の選び方とおすすめのオンライン塾を紹介します。
目次
通塾とオンライン塾の違いは? オンライン塾はどんな種類がある?
オンライン塾は、インターネットを通じて授業を受けるスタイルの塾。スマートフォンやタブレット、パソコンなどの通信機器があれば、時間や場所を選ばず、どこでも授業が受けられます。
オンライン塾自体は以前からありましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い一気に需要が高まり、注目を集めるようになりました。
複数の生徒が集まって塾の教室で授業を受ける「通塾型」に対し、オンライン塾はインターネットを使って自宅で双方向授業を受けたり、タブレット教材で学習したりします。多くはZoomなどの会議システムを使用しますが、独自のシステムを用いるところもあります。
オンライン塾の種類
オンライン塾は、個別指導・集団指導・映像授業・個別学習と主に4つのスタイルに分けられます。
- 個別指導:1対1、もしくは1対2で授業をする。
- 集団指導:15人くらいまでのクラスで授業をする。
- 映像授業:録画してある授業映像を視聴し、テキストを使って自分で勉強する。
- 個別学習:専用のタブレットやパソコン上の問題を自分で解き、解答を送信。コンピュータが採点してくれる。
このように、オンライン塾といってもさまざま。子どもの性格や適性、塾に求めるものなど、ニーズにマッチしたスタイルを選ぶことができます。
今回は、通塾型により近いかたちで学習できる双方向型の個別指導・集団指導を行うオンライン塾について詳しく紹介しましょう。
【双方向型の個別指導】
個別指導は1対1、あるいは1対2のスタイルが主流。中には、生徒3人以上に対して講師が1人という塾もあります。いずれも、一人ひとりの通塾目標や課題に合わせて授業してくれます。
マンツーマンでは講師を独占できるため、徹底した解説を中心にした学習指導が受けられます。生徒が2人、もしくはそれ以上いる場合は講師が他の生徒に説明している間に待っている人は問題を解くので、解説と問題演習をバランス良く進められます。
分からないところがあればマンツーマンの場合はその場で、1対2などの場合は先生が自分に解説するターンが回ってきた時に質問できます。
【双方向型の集団指導】
集団指導は、講師による授業を複数の生徒が同じ時間に受講します。授業の進行は、対面とほぼ同じ。質問や発言の際は、挙手やチャットを利用して講師とコミュニケーションを取ることができます。

個別指導・集団指導どちらも、タブレットやパソコンがあれば受講可能。多くの塾は、受講申し込み時にタブレットを貸与してくれるので、パソコンよりも貸与されたタブレットを使う子が多いようです。スマートフォンでも受講できますが、画面が小さいと見づらいのであまりおすすめできません。
講師の指導が対面で受けられないことを心配する親は少なくありませんが、都内学習塾の講師によると、オンライン塾は対面式とそれほど変わりがないそう。画面上であっても「ここが分かっていないな」というのは、子どもの表情を見てすぐに気付くことができるといいます。
また、オンライン塾も学校の補習を中心とした塾と、中学受験対策ができる塾に分かれます。どの塾であれば受験対策が可能なのかは、「小学生向けオンライン塾9選」の章を参考にしてみてくださいね。
小学生向けオンライン塾のメリット・デメリット
通塾にしろオンライン塾にしろ、成績が伸びるかどうかは本人の取り組み方次第。けれど、一生懸命取り組んでいても成績が伸び悩む子はいるものです。本章では、オンライン塾のメリット・デメリットとともに、オンライン塾に向き・不向きはあるのかについて解説しましょう。
オンライン塾のメリット
- 通塾の必要がない
通塾時間を有効に使えるのは、大きなメリットです。本来であれば塾の往復にかかる時間を宿題や弱点補強に充てることができます。また、通塾型よりも時間に追われないため、他の習い事との両立がしやすい面もあります。また、往復の道のりで事故に遭ったり事件に巻き込まれたりといった親の心配がない点もメリットといえるでしょう。 - 全国どこからでも授業が受けられる
パソコンやタブレットなどのデバイスとインターネット環境さえあれば、どの地域からでも受講可能。また、塾によっては不登校の子ども向けのコースを用意していることもあります。
- 通塾型よりも授業料が安い
授業料が安いのも、オンライン塾の大きなメリットといえます。オンライン塾の場合、教室を構えず家賃がかからない分、授業料を抑えることができるのです。都内塾講師によると、受講料の目安は通塾型の8割くらいが相場だそう。 - 保護者面談や説明会などもZoomで対応
保護者面談、講習前の説明会、進学実績報告会といった塾のイベントもオンラインで参加できます。また、学習内容の質問や進路相談などがメールで対応可能。電話よりも気軽で時間制限もないため、利用しやすいでしょう。

オンライン塾のデメリット
- モチベーションが維持しづらい
これまで学校でも塾でも、授業といえば対面式の経験しかなかった子どもたちにとって、オンラインでの授業は集中力を持続するのが難しいかもしれません。子どもによっては授業中ぼんやりしてしまったり、分からなくてもそのままにしてしまったりする子も…。 - 自習室がない
自宅では集中できない場合に塾に行って勉強するという手がありますが、オンラインではそれが使えません。ただし、オンライン自習室を設定している塾もあります。オンライン自習室では、各塾の専用のページにアクセスして自習室のような雰囲気で勉強することができます。画面越しではありますが先生や他の生徒の存在を意識しながら進めることができるため、一人で勉強するよりも気が引き締まるはず。また、対面式の教室がある場合は、自習室の利用が可能な塾もあります。 - 競争心が芽生えにくい
特に受験生の場合は、仲間がいることで頑張れることがあるでしょう。オンライン塾では生徒同士でコミュニケーションを取る機会が少ないため、競争心や仲間意識が芽生えにくくなることがあるでしょう。 - 自宅の回線状況に影響される
Wi-Fiの接続が悪く、音声が途切れたり画面がフリーズしてしまったりといったハプニングが生じることもあります。 - 他の家族が気になって授業に集中できない
家庭の生活音、あるいは部屋にきょうだいがいることで集中できないという子どもはいるでしょう。 - 親のフォローが必要
自宅で受講できるため時間が有効に使えるというメリットがある反面、自己管理や時間管理が難しいという面もあります。そのため、特に最初の段階では親のフォローが必要になるでしょう。
【体験レポ】小学生がオンライン塾で学習したら偏差値が10アップ!
筆者の息子、小学6年の洸二朗も小学5年の4月から「EIKOH LiNKSTUDY」というオンライン塾で学習しています。
小5の2月から近隣の「栄光ゼミナール」に通塾していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により入塾後すぐオンライン授業に。6月から対面授業が再開しましたが、本人の希望によりオンラインで難関校受験を目指すEIKOH LiNKSTUDYに移行することになりました。

受講科目は算数・国語・英語。それぞれ45分授業で1クラス10名ほどです。教材は全教科栄光ゼミナールと同じものを使用。タブレットとタッチペンは、入塾後にレンタルで送られてきました。息子は中学受験をしないため、難関高校受験を目標にしています。
授業は、映像授業とZoom授業で1セット。Zoomの授業の前に映像授業で予習を行います。例えば算数の場合は火曜のZoom授業の前、前週の金曜に映像授業を視聴。授業前日の月曜までに宿題を終わらせるという学習スケジュールで行っています。

授業中は常に先生側から生徒の顔が見えているので、ぼんやりしていると気付かれてしまうそう。そのおかげもあってか、45分があっという間に感じるほど集中できているようです。10分前にはZoomを立ち上げ、先生とクラスのみんなでその日あった出来事を話すのも楽しい時間です。
講師と保護者、生徒とのやり取りは学習塾専用アプリを使用。お知らせ・指導報告書・宿題管理・面談予約など、全てオンラインで行います。

小5の入塾テストでは、成績順で3番目のクラスで偏差値58。最初の目標は、一つ上のクラスに上がることでした。クラス替えは年に3回のタームテストの結果で決まります。息子に認識してもらったのは、日々の積み重ねの大切さ。親子で3つの約束を決めました。
- 1週間のスケジュールを決めて、実行すること。それができなければゲームをしない。
- 授業で理解できなかった部分は、土曜日のコンサルティングルーム(先生にZoomで質問できるシステム)を予約して先生に質問すること。
- 授業中に、1回は発言すること。
そして、6年生の5月のタームテストでは3教科平均偏差値68の過去最高をたたき出し、ついに目標だった一つ上のクラスに入ることができました。
息子の好きな科目は英語。「英会話中心のスピーキング回が特に楽しい」と毎回、張り切って受講しています。塾でかなり先取り学習をしているので、中学に進んだときの安心感があると感じています。今は、英検4級合格に向けて勉強中です。
小学生向けオンライン塾9選
最後に、小学生向けオンライン塾を紹介します。塾ごとの特徴を見比べながら、家庭のニーズや子どものタイプにあったオンライン塾を見つけてくださいね。
1.Fitオンラインゼミ

小学1年から受講可能。受講形態は、個別WEB指導・ライブ授業・問題練習・映像授業の4つ。そのうち、双方向型は個別WEB指導とライブ授業になります。
- 個別WEB指導
担任と1対2で行われる授業。国語・算数・理科・社会に加え英語や英会話、英検対策も。タブレットのレンタルは、月額1100円。年に3回、学力診断テストがあります。 - ライブ授業
20~45分のリアルタイム授業に加え、映像授業の中から必要なものを選び、好きなときに視聴ができます。
学校の授業の補習型で“中学進学を見据えた学習アドバイス”をしてくれるので、中学進学の準備にいち早く取り組むことができます。
2.ネット松陰塾

小学1年から受講可能で、コースは2つ。
- コーチングコース
コーチ(講師)が見守る中、スカイプ上に複数人で60分または90分間の自立学習を行う。 - プライベートコース
マンツーマンで60分または90分の自立学習を行う。
特徴は、“わかる”まで先に進まないこと。講師による徹底したサポートで、学力向上を目指します。
オリジナルのe-ラーニング教材「Showinシステム」は、小中5教科12万問以上が収録されている演習教材。こだわりの教材で効率的に学ぶことができます。
3. AICオンライン@HOME

小学4年から受講可能で、教科は算数と国語。学校の補習に力を入れており、1対2の個別指導で行われます。
特徴的なのが、授業時の映像を画像として残せること。パソコンに保存しておけば、テスト前などの必要なときに見直して復習することが可能です。
授業で使うテキストの他、
- ドキュメントカメラ(書画カメラ)
- ヘッドセット
が塾から届きます。
ドキュメントカメラは手元を映すもので、講師が生徒のノートをチェックすることができます。対面式同様、机間巡視してくれるのはうれしいポイント。ヘッドセットは、マイク付きのイヤホン・ヘッドフォンのこと。外の音が気にならず、マイクで話せるためスムーズに講師に声が届きます。
4. そら塾

国語・算数・英語の3教科で、小学3年から受講可能。1対2の個別指導です。予習に力を入れ、学校の少し先を学べるのが特徴。学校の授業の補習型が多い個別指導の中で、あえて先取学習をするのは珍しいパターン。
冬期講習などの講習時には復習に力を入れ、一人ひとりの“分からない”単元まで戻って復習をしてくれます。また“分からない部分をそのままにしない”ために、毎回の授業で生徒の理解度を細かくチェックしてくれます。オンライン自習室の用意があるので、講師に直接質問することもできます。
個別指導というと講師とわが子の相性も気になるものですが、合わない場合は担当を変更することができるのもポイントです。
5. 個別指導塾ラシク

小学2年から受講可能。復習・予習を希望に合わせて対応してくれます。
大きい特徴は2つ。
- 価格が安い。
- 授業回数の上限が月16回と多い。
例えば、小学2~3年生は月4回で4400円、小学4~6年生は月8回~で8800円。月16回でも小学生なら小学2~6年生まで1万3200円です。
授業の回数を減らさずに授業料はなるべく安く抑えたいという家庭にもおすすめです。
6. EIKOH LiNKSTUDY

小3~中3は双方向型の集団指導。小1~2、高校生は個別指導。難関校も目指せる中高受験対策が専門です。
中学受験生は4教科。中学受験をしない小学生で難関高校を目指す子は国語・算数・英語の3教科。「動画配信授業×少人数の双方向オンライン授業」で、中学・高校受験合格へと導きます。
栄光ゼミナールと同じ教材を使用し、多くの難関中学・高校に合格させてきた精鋭講師陣が授業を担当。合格までの道のりをサポートし、相談にも細やかに対応してくれる学習相談専門の「コンシェルジュ」も特徴です。
受講や宿題では、専用のペン付きタブレットを使用。年に3~5回、タームテストを実施して偏差値を確認する他、外部模試の受験も可能で、振り返りの部分までしっかりサポートしてくれます。
他塾との違いは、授業中に講師が2台のパソコンで生徒の様子を確認していること。1台は板書を共有するパソコン、もう一台は全生徒の表情を映すパソコンです。Zoomなどでは画面共有をすると生徒の顔が4~5人しか映らず、全員の様子を確認できないのが欠点ですが、生徒一人ひとりの様子をしっかりチェックしてくれるのは親にとっての安心材料になります。
7. enaオンラインクラス

小学3年から受講可能。中学受験生は4教科。録画された授業を視聴する単方向映像授業ですが、ただ“見る”だけではなく、授業の間クラス担任が映像越しに受講生の様子を確認し、進行管理を行います。
授業前には授業のポイント説明などを行う双方向型の「enaタイム」があり、クラス担任への質問が可能。オンラインでありながらクラスの一体感を大切にしており、“同じ目標に向かって頑張ろう”という雰囲気の中、学習に励むことができます。
enaで実施される各種特訓授業、合宿への参加も可能です。
8. 早稲田アカデミー オンライン校

小学3年から受講可能。中学受験生は4教科。中学受験で高い実績を誇る早稲田アカデミーのオンライン部門。
6年生は、中学受験合格実績を牽引する「小6対象 NN(何がなんでも)志望校別コース」の教室での授業が、双方向のオンライン授業で受講できます。足を運ばずに受講できるため、首都圏外や海外から受講する子もいるようです。見たい教科と単元のポイントをまとめた、オンデマンド映像授業もあわせて視聴可能。難関中学にチャレンジしたいという家庭も、徹底した志望校対策を受けられるのが最大のメリットといえるでしょう。
9. 中学受験個別指導のSS-1 オンライン教室

小学1年から受講可能。「基礎」「中堅」「難関」というにコースに分かれています。
授業スタイルは、プロ講師による1対1の個別指導。通塾と併用可ですが、教室が都内と横浜に限られているので、近郊以外の子どもはオンラインのみとなります。
毎月数回行われる「最速シリーズ」という、1回完結型・親子参加型のオンライン少人数制授業もあります。
2021年12月時点では、6年生のオンラインクラスは定員に達するほどの人気ぶり。「最短で塾の成績を上げる」というコンセプトを掲げ、いま通っている塾の学習フォローを徹底して行ってくれます。塾の弱点補強や塾のクラスの順位を上げたいという子どもにおすすめです。

日々進化を続けるオンライン塾。学校の授業の補習はもちろん、中学受験対策が可能な塾も増えています。時間が有効に使え、通塾時の送迎も必要なく、塾からの帰りが遅くて心配することもありません。オンライン塾は、新たな学びの選択肢として今後ますます定着していくことでしょう。
<構成:ソクラテスのたまご編集部 執筆:黒澤真紀>

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。