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2022.10.11

勉強ができない子の特徴、ベテラン教師直伝の4つの克服法と親ができること

小学生のわが子のテストの点数を見て「もしかして勉強ができない?」とこみ上げてくる不安。「やる気になればできるはず」と見守り続けるだけでいいのでしょうか。勉強が苦手で学校の成績が悪い子の特徴や対策、親ができることをベテラン現役教師の神保勇児さんが解説します。

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記事を執筆したのは…

神保勇児さん小学校教諭

東京・大阪の小中学校で約20年の教師を務める一方で、算数の教科書の執筆(啓林館)や本の出版、雑誌の執筆、教育委員会主催の研究会講演、オンラインセミナーなど精力的に活動中。

学校のテストが悪い=頭が悪いではない

わが子が持って帰ってきたテストを見て、「えっ?こんな問題もできてないの?」と思わず声に出してしまうことがありますね。ですが、学校のテストは子どもの良し悪しを決めるものではありません。

そもそも、学校のテストは、学習指導要領に位置付けられた内容についての理解がどれくらい深まっているかを調査するためのものです。つまり、勉強したことがどの程度、定着しているかを調べるためのものなのです。

テストを行うことで、子どもは、できたところ・できなかったところを客観的に知ることができ、教師は指導を改善するための1つの資料となります。つまり、テストは子どもを判定するためだけのものではなく、今後の指導に生かすための材料のひとつという役割が大きいのです。

小学生のテスト結果

学校もテストだけで子どもの能力を測らない

ですが、「テストができてない=授業を理解できていない=やっぱり不安だ」と感じる気持ちも分かります。

では、テストではなく通知表に視点を切り替えてみてください。通知表はテストの点数だけで評価をされているわけではないですよね。

学校はテストだけでなく、授業中の発表・発言する姿勢、制作物、ノート、勉強への取り組み方の様子など、より多角的な視点で子どもをみています。それは、テストだけでは、その子の能力や可能性を評価をするのは難しいからなのです。

不安な気持ちは分かりますが、テストだけを見て子どもを責めたり、反省させたりする必要はありませんよ。

学校での評価の様子

勉強ができない子の4つの特徴

子どものテストの点数が悪いのに、あっけらかんとしている子どもを見ると「悔しくないの?」「なんでがんばろうと思わないの?」と思うこともあるでしょう。これまでの教師経験を踏まえたり、子どもたちから話を聞いてきた限り、テストの点数が悪くてもがんばろうとしない理由や特徴は、下記の4点にあります。

【特徴①】勉強=失敗経験となっている

「勉強をしなくてはいけない」「勉強しないとどんな結果になるか」ということは、テストの点数が悪い子ほど分かっています。でも、分かっているけどしたくないのです。この状況に陥っている子は、成功した経験より失敗した経験の方が多い子や失敗した時に叱られた経験が多い傾向がみられます。

例えば、点数の悪いテストを持って帰ったとき、怒ったことはありませんか。子ども自身もショックを受けているのにプラスして、大好きな親も怒らせてしまった…。子どもにとっては立派な失敗体験です。

勉強をしないことやできないことを叱って反省させても、子どもの学習意欲にはつながりませんし、学力も伸びません。むしろ、机に向かう意欲を失う結果になっているのです。

【特徴②】がんばり方がわからない

勉強をする意欲があっても、どんな問題から手をつけたらいいのかが分からずに悩んでいる子も少なくありません。苦手なことを克服したいと思っているのに、やり方が分からなくて困っているなんてもどかしいですよね。

【特徴③】「どうせできない」と諦めている

学校でテストを返却するとき、「誰にも見られたくない」「どうせ僕はできないやつなんだ」と思ってしまう子も多くみられます。誰かを傷つけるような悪いことをしているのではないのに自分を責めてしまう傾向があります。

【特徴④】基礎学力が身についていない

基礎的な学力が身についていないと応用に進むのは難しいものです。特に子どもが苦手意識を持っている教科では、基礎学力が十分についてないことが原因で今学習している内容への理解が追い付かなくなることがあります。

授業が進むほど「難しい」「わからない」という気持ちが大きくなり、勉強に対するモチベーションが下がってしまいます。

勉強ができなくて落ち込む子

そのほかにも、生活習慣が乱れていることで昼間眠くなってしまい授業に集中できなかったり、スマホや漫画など家での誘惑が多く宿題に集中できなかったりと、環境面が原因のひとつになっている場合もあります。

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「勉強ができない」を克服する4つの対策

では、上記のような理由で勉強ができない子や、勉強嫌いになってほしくないと思っている場合はどのようにしたらいいのでしょうか。家庭で簡単に実践できる4つの克服法を紹介します。

【克服法①】がんばりやできたところをほめる

子どもがテストを持って帰ってきたとき、親は間違えた問題に目が向きがちです。ですが、テスト全体を見てみると、子どもなりにがんばったところがあるはずです。

テストを見るときは、子どもに「がんばったね。自分ではどんなところががんばれたと思う?」と聞いてあげましょう。もしかしたら「数字をていねいに書いたよ」と、親の想定よりレベルの低いことを言うかもしれません。でも、最初はそれでもいいのです。「確かに!ていねいに書いてあるね!私より上手かも!」と子どものがんばったところをほめましょう。

ほかにも正解しているところを「この計算ができるようになったんだね」と具体的にほめてあげるのもとてもいいですよ。子どものがんばりを認めて、伸ばしていくことは大切です。

【克服法②】一緒に振り返り次回につなげる

テストを見ながら、子どものがんばりを認めた後は、「今回テストをやってみてどうだった?」と聞くことも大事です。

子どもは自分の取り組みを振り返りながら「ここが難しかったの」などと話し始めるはずです。大人に言われる前に、自分から課題を見つけて勉強をすることは次回の成功体験につながります。

自ら勉強してできるようになることが、子どもにとって大きな自信になります。この成功経験を重ねることで、今後、自分のできないところに目を向け、克服していく力が育まれるのです。

逆に、親から「ここができていない!」と叱られ、余裕のない状態で「今後すべきこと」に気付かされても、やらされた感で終わってしまいます。悪い点数のテストを持って帰ってきても、叱りたい気持ちをグッとこらえて、まずはできたところから褒め、子どもの目線で次回のがんばりにつなげることを試してみてください。

【克服法③】親も一緒に解いてみる

子どもと一緒に問題を解くことも子どもの学習意欲を高めます。例えば、子どもがテストで間違えた問題を一緒に解いてみてください。分からなければ解き方を子どもに聞くのもいいでしょう。親に教えることが子ども自身の理解にもつながります。勉強が親との楽しい時間になれば、勉強への意識が変わっていきます。

テスト以外にも日常的な勉強には「百ます計算」もいいですね。百ます計算は、九九の答えを「ます」に書いていく計算学習です。タイムを記録し、何分でできたかを記録していきます。

最初は、大人が勝っていても、たまに子どもが勝つような機会をつくっていると、そのうち子どもは自信をつけて、自分から進んで計算に取り組むようになっていきます。子どもが自分から進んで学習に取り組むだけでなく、学習習慣も自然につくることができます。

ゲーム感覚で勉強への自信と基礎学力を同時につけることができるおすすめの勉強方法です。

【克服法④】宿題を見守るようにする

多くの教師は「テストでは見えにくいその子のよさを見つけよう」という視点をもっています。

例えば、私の場合は算数が専門なので「発表が苦手だが、一生懸命自分の考えをノートに書けている」「コンパスできれいな円を描けないが、九九を素早く唱えることができる」というところを見ています。

子どもには得意な分野と苦手な分野がありますが、それはテストだけでは分かりにくいものです。ぜひ、子どもが宿題をする日々の様子を見てみてください。正解や不正解だけでなく、子どもががんばっていることや、いいところ、成長している様子に気が付くはずです。親が見ていてくれる、認めてくれる安心感は、子どもががんばるための原動力になりますよ。

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勉強できなくても親は自分を責めないで

子どもが勉強ができないことに気付いた保護者の中には、「私が一緒に勉強をしていればよかった?」と自分を責めてしまう人もいるかもしれません。確かに家庭での学習環境を整えられるのは親になります。ですが、自分を責めるくらい子どものことを心配しているあなたは、素敵な保護者です。親としての自信を無くす必要はありません。その気持ちを大切に上記の克服法を試してみてください。

また、子どものテストの点数、成績を見て「私は小学校のときにこれくらいできていたのに、何でこの子はできないんだろう」と悩む保護者もいることでしょう。個人面談でもこのような話はたくさん聞きます。

ですが、親と子どもは別の人間です。同じ環境で育っている兄弟ですら性格や勉強への傾向は違いますし、親子であればその違いはなおさらでしょう。同じようにできなくても当たり前なのです。

一方で、別の人間であるということは、子どもにはあなたにはできないことができる可能性があります。

私たち大人は、子ども”できないところ”に目を向けてしまいがちです。その根底には、子どもの将来のために「できないところをできるようにしてあげたい」という親心があるからでしょう。

ですが、子どもはダイヤモンドの原石です。“できない”ところにばかり目を向けて、磨けば光る部分(可能性や才能)を見逃してしまわないように“できる”ところを探してあげてくださいね。

神保勇児

国立大学大学院卒業後、公立中学校、国立大学附属中等教育学校で2年間講師を務めた後、大阪府の公立小学校と東京学芸大学附属大泉小学校で勤務し、現在、教師歴約20年。また、算数の教科書の執筆(啓林館)のほか、書籍・雑誌の執筆、教育委員会主催の研究会講演、オンラインセミナーを行っている。

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