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2023.02.09

中学受験の算数は戦略次第で伸ばせる【プロが教える中受勉強法】

中学受験の合格を勝ち取るためには「算数がカギ!」とよくいわれています。ほかの科目よりも苦手意識を感じやすく、実際に大人でも難しいと感じるような難問があるのも事実です。では、そんな算数の得点を伸ばすためどうすればよいか20年の経歴を持つ塾講師・安永吉光さんがアドバイスします。

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記事を執筆したのは…

安永吉光さん

東京・岡山の進学塾・予備校で20年以上の経歴を持つベテラン塾講師。現在は、岡山県倉敷市に「能力開発塾 自学道場」を開校し、「自学力」を養成するための授業を提供している。

本格的な受験対策前に必要な3つの力

まずは、本格的な受験を始める小学6年生までに身につけておきたい3つの力について説明しましょう。

【必要な力①】計算力(計算の精度とスピード)

計算力は中学受験において、算数の得点全体に大きく影響します。解き方は合っているのに、計算ミスをして失点してしまう…。というのは本当にもったいない失点です。

では、”速く、正確に”計算をするためにはどうすればよいのでしょうか。

まず、計算スピードの「遅い、速い」と計算精度の「正確、不正確」を図にして考えてみましょう。

計算が「速くて、正確」というAの状態を理想としたとき、今、子どもがB~Dのどの状況に居るのかを考えてみるようにしましょう

計算が「速くて、正確」というAの状態を理想としたとき、今、子どもがB~Dのどの状況に居るのかを考えてみるようにしましょう。

【BからAにする方法】

Bの領域(計算は早いが不正確)からAの領域(計算が早く正確)にするのは、そんなに難しくはありません。スピードは充分あるので、精度を高めることだけに集中をしていくようにしましょう。

計算の精度を高めるためには“同じ計算問題を繰り返し解く”のがおススメです。学校の計算ドリルや市販のドリルなど、どんなドリルでも構いませんが、10~20問程度の同じ計算問題を日を変えて2~3回くり返し解いてください。

何度やってもスラスラと正解できるようになれば、正確性がアップしてきた証です。

【CからAにする方法】

計算問題の場合、雑に解くのはダメなのですが、正確さを求めすぎると計算スピードは上がらならいため受験では少し不利になってしまいます。そこで、計算スピードを上げるためには、受験と同じように制限時間を設けるのがおススメです。

制限時間があると、最初のうちはミスが増え、計算スピードは速くてもミスが多い状態になることもあります。そのときは、上記で紹介したように、同じ問題を何度も解くなどを試してみてください。

【Dの状態から改善していく方法】

Dの領域(計算スピードが遅く不正確)にいる場合は、まずBの領域(計算スピードは速いが不正確)を目指します。そのため、制限時間内に解き終える練習から始めましょう。始めはミスが多いかもしれませんが、九九を覚えていったときと同じように、くり返し解いていると徐々にミスも減ってきます。

【必要な力②】読解力(文章を読める体力)

読解力はすべての学力の土台となる力です。「算数は好きだけど、国語は苦手!」という子もよく見かけますが、そのままにしておくと、やがて算数でも点数が取れなくなってきてしまいます。

なぜなら、小学校高学年の算数から大学受験の数学は、問題を正確に把握する力が必要になってくるからです。

特に都立や県立の中高一貫校で出題される適性検査は、読解力と表現力を必要とする問題となっています。

ここで一つ簡単な例題を出してみたいと思います。

問題

太郎君は今から3時間前に飴を5個食べました。午後2時でした。次郎君は午後3時に1個食べました。三郎君は今から4時間前に5個食べました。今何時ですか。

答えは午後5時です。

とても簡単な問題なのですが、実は、文章を読める体力がついていない子は、平気で飴の個数を答えたり、全然違う時間を答えたりしてしまいます。

私たち講師が指導する上で、一番困る生徒の状況は、問題文の中の数字をとりあえず使って式を作ってみるという状況です。

数字が表しているものがよくわからない状態で無理やり式を立ててしまうケースは、まさに読解力がついていない証拠です。

問いを解く上で「必要な情報は何か」「今何を求めなければいけないのか」という情報の取捨選択をする力はとても重要です。

しかし、動画全盛の現代において、文章に慣れ親しんでいない子は、文章から情報を読み取るという力が弱いケースも散見されます。

そうなってしまう前に、簡単なもの(下の学年のもの)でよいので、毎日のように文章題に触れる習慣をつけることが大切です。

算数は難問を解くとかっこよくみえる”派手な科目”ですが、土台に必要なのが”国語の力”であることを忘れないようにしましょう。

【必要な力③】文章を図や表に起こすクセ

先ほどは文章を読む体力について伝えましたが、文章から必要な情報を集めたら、図や表に描き起こして整理することも算数を攻略するためには重要です。

算数が得意な子はこの作業をしっかりやっているか、頭の中でこの作業が出来ていることがほとんどです。

ここでも1つ例を出してみます。

自学道場監修 「最強の文章題ドリル」より

上の画像は、小学4年生の子が解いた問題です。決して難しくない問題ですが、文章中の内容を読み取って、どんな状況になっているかを書く練習として解いてもらいました。

文章を絵に起こす作業は、内容が理解できているかどうかをチェックするのに最適な方法です。この問題でいえば、「イヌ、ネコ、カエルの順番であること」や「時間の差」などを記号や線分図として起こすことは、絵が苦手な子でもできるはずです。

文章を図や表に書き起こすクセをつけていると、規則性の問題や面積図、線分図などを使う問題を解くときに、スムーズに式を立てることができるようになります。

また、情報や条件を整理して活用するという力は、中学受験に限らず大学受験や社会に出てからも必要となる力です。ぜひ、早いうちにこの力を身につけておきましょう。

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【中学受験の算数】重要な3つの単元&攻略法

次に、中学受験の算数には合否を左右する単元がいくつか存在します。今回は特に重要な3つの単元について解説します。

【重要な単元①】割合と比

割合と比は、中学受験頻出の単元であり、進学塾でも5~6年生の2年間で2~3周してマスターしていく単元です。この単元が理解できると、解ける問題の幅が大きく広がります。

割合と比の厄介なところは、大人にとっては簡単でも子どもにとっては理解しにくいという点です。

割合と比を攻略するためには、「分数の理解」と「もとになる数、比べる数」の関係の把握が大切です。特に分数の感覚が身についているかどうかは、割合を理解するのにとても重要です。

例えば、「100の4分の1は25」という感覚があれば、「25%は100の4分の1」だということもわかりやすくなります。

子どもたちは分数より小数の方がなじみがあるので、いろんな問題を小数で考えようとする傾向がありますが、実は分数の方が、後々計算が楽になることが多く、また、分数は中学受験に必要なすべての数を表すことができるので、分数を使いこなせると、解ける問題が増えていきます。

分数の計算が苦手な子は、まず分数に慣れるところから始めましょう。

【重要な単元②】速さ

速さの攻略には、「速さ」「時間」「距離」(は・じ・き)の関係性を把握することが一番のポイントです。

「100m(距離)を秒速5m(速さ)で走ると20秒(時間)かかる」というように関係性が身についてくる速さの攻略に近づきます。

また、速さの単元では、それぞれの単位の変換でつまずく子も多いです。

例えば、「時速と分速」「mとkm」などの変換がスムーズにできるかどうかで、ケアレスミスの防止にもつながります。単位変換の練習は地道に行いましょう。

【重要な単元③】図形

図形の問題にはさまざまなパターンがあり、中にはひらめきが必要な問題もあります。

図形には平面図形と空間図形がありますが、図形に苦手意識がある場合は、平面図形の簡単な問題から慣れていくようにしましょう。

図形の問題をすべて正解するのはとても難しいですが、基本的な問題に関しては練習をすれば、必ず得点できるようになります。よく出るパターンの問題は、何度も解いて確実に得点が取れるという状態を目指しましょう。

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算数が苦手な子向け!3つの戦略

算数は得意不得意が最も出やすい科目です。そこで、算数が苦手な子でも致命傷を負わないようにできる3つの戦略を紹介します。

【戦略①】子どもの得点力に合った志望校を選ぶ

算数が苦手な子は、算数の配点が高い学校ではなく配点が均等な学校を選ぶことを心がけましょう。そして、出来れば得意科目の配点が高くなるような学校を選びます。

 国語算数理科社会
A1001006060
B1001004040
C100100100100

例えば、上記の表のような配点の場合、算数が苦手な子はC校を選べば、相対的に算数の配点が低くなります。逆にB校を選んでしまうと、算数の配点比率が高く、算数の出来によっては致命傷になってしまうこともあるでしょう。

算数の実力を上げることも大切ですが、その子に合った志望校選びをしてあげることで、合格がグッと近づいてくるのです。

【戦略②】小問集合を確実に取る

過去問題を見てみると、算数は最初に「小問集合」と呼ばれる計算問題や一行問題などの難易度の高くない問題が配置されている学校が多いのではないでしょうか。

「小問集合」は一問の配点は大きくはないのですが、問題数が多いので全体の30%程度の配点になるケースが多いです。100点のうちの30点と捉えると、この「小問集合」での得点は非常に大きいですよね。

多くの学校では、各教科65~70%の得点率で合格圏内に入ることを考えると、「小問集合」で満点に近く得点できていれば、ほかの問題で少しずつ得点を積み上げるだけで50%近い得点を取ることができるでしょう。苦手な算数で50%程度取れていれば、ほかの3科目で算数分をカバーすることは十分に可能です。

「小問集合」を得点できるようにするために、計算ドリルや出る順の問題集などを出来るだけ毎日少しずつ取り組むように心がけましょう。

【戦略③】難問よりも基本問題を抑える

算数の勉強が進んでくると、必ず苦手な単元に出くわすものです。そして、多くの場合が前述の3つの重要単元なのではないでしょうか。

重要な単元は苦労することが多いですが、基本的な問題をくり返し解いていくことで、徐々にできるようになっていきます。

難問の多くは、合否に影響しない(多くの人が解けない)問題なので、難問に焦点を合わせて勉強をするのは非効率です。常に「合格するために何が必要か」という視点を忘れずに学習計画を立てるようにしましょう。

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中学受験の算数はやれば伸びる

中学受験の算数は、しっかりと戦略をもって準備をすれば得点を積み上げていくことが可能な科目です。

また、小学生はまだまだ心も体も発達途上です。日に日に成長を遂げている最中ですので、あきらめずに頑張っていることで、それまで解けなかった問題が急に解けるようになることも珍しいことではありません。

さまざまな情報、間違いに一喜一憂せずに、基本的な学習をコツコツ積み重ねて志望校の合格を勝ち取ってくださいね!

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安永吉光

東京都内や岡山県内の進学塾・予備校で20年の経歴を持つ塾講師。現在は、岡山県倉敷市に「能力開発塾 自学道場」を開校しているほか、通信制高校サポート校「安永教育学院」、保護者のための子育て講座「自学道子育てラボ」も運営している。

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