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2021.02.01

なぜ中学受験をするの?私立中学へ行くメリット、デメリット、子どもの向き・不向きを解説します

中学受験業界で学年の切り替わる2月。周りが塾に行き始め、わが子にも中学受験をさせたほうがよいのか悩む保護者も多いのではないでしょうか。しかし、そもそもなぜみんな私立中学を選択するのだろう、大学付属校や上位校へ行けなくても私立中学へ行く意味はあるの? そこで、受験のプロである石井知哉さんが中学受験について考えるポイントをアドバイスします。

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よその家庭はなぜ中学受験をさせるの?

無試験で入れて自宅からも近い地元の中学校があるのに、なぜ受験勉強という苦労をしてまで、中学受験をするのか。その答えは、家庭の数だけあります。

ですが、 私がこれまで見てきたところでは、次のような理由やきっかけから中学受験をしようと考える家庭が多いようです。

【理由①】通わせたい学校がある

志望校が明確な場合です。わが子を通わせたい学校があるから、そこに入るために中学受験をする、という目的意識が明確な場合ですね。

御三家とよばれるような上位校を狙う家庭はこの理由に当てはまります。ですが、最初から通わせたい学校、志望校が明確な家庭は多くはありません。ほとんどが、②以降の理由になります。

また、通わせたい学校は特になく、初めは中学受験にも乗り気ではなかったのに説明会や学校見学に参加したら学校に惚れこんでしまった。そんなケースもよくあります。

【理由②】周囲の影響を受けて

友人や親戚に中学受験をした、あるいは、これからする家庭があり、それがきっかけに関心を抱いたというケースです。特に中学受験への意識はなかったけれど、塾に通わせたら成績が良く、講師から中学受験をすすめられた、という事例もあります。

【理由③】高校受験・大学受験で苦労させたくない

中学受験でがんばって中高一貫校に入れば、高校受験で苦労せずに済みます。大学付属なら、大学進学までの道のりも負担が小さくなりますよね。「受験を気にせずにのびのびと好きなことに打ち込める環境を与えたい」という声もよく耳にします。

【理由④】親も中学受験をしたから

自分も中学受験をしたから、わが子にも中学受験をさせたい、というケースです。親子で同じ母校に、という希望もあれば、違う学校でもいいので、受験させて我が子に合った学校を見つけたい、という希望もあります。

【理由⑤】地元の公立中に行かせたくない

いじめや事故など、地元の中学校が荒れているという話を保護者仲間から聞いて、というきっかけもあります。そんな中学校にわが子を3年間預けて大丈夫だろうか? そんな不安から、中学受験を選ぶ家庭も少なくありません。

以上が、多くの家庭が中学受験をする理由・きっかけです。

もちろん、上記以外に理由がある場合もあることでしょう。そして、このようにはっきりした理由がない家庭もあります。

これが正しい、あれが間違っている、ということはありません。どの理由なら受かりやすくて、どのきっかけなら落ちやすい、ということもありません。ただ、いずれにしても「わが子にはより良い学習環境を与えたい」という親心が根底にあります

私立中学へ行くメリットとは?

では、私立中学にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

「上位校に行くわけでもないのにハードな勉強をさせ、受験をする意味があるのか」という疑問を抱く家庭もあると思いますが、「絶対にこの学校でなければ」というこだわりがない限り、私立中学へ行くメリットに学校の偏差値は実はあまり関係がありません。

私立中学のメリット①~良質な環境で学べる

志望中学校に受かれば、各校の理念にのっとった教育環境で6年間(中高一貫校の場合)を過ごすことができます。

授業では、高度な内容を教えるだけではありません。実験や観察、調べ学習やディスカッション、プレゼンテーションなど、思考力や判断力、表現力を身につけるための活動を多く取り入れている学校も少なくありません。

また、企業とのコラボによる商品開発や海外語学研修など、公立中学校ではなかなか経験できない機会が豊富に用意されています。これらを通じて、社会や世界へと、子どもの視野を広げることができるのは私立だからこそかもしれません。

私立中学のメリット②~大学受験に有利

ほとんどの中高一貫校では、大学受験から逆算してカリキュラムを整えています。学習進度も早く、中高6年間の学習内容を高2までに先取り学習し、高3の1年間を大学受験に向けた実戦的な演習を多く取り入れる学校がほとんどです。

また、多くの中学校が、進路ガイダンスや卒業生による講演などのイベントを行い、中学生のうちから大学進学に向けた意識づけを進めます。こうした取り組みは、偏差値の高い、いわゆる上位校に限らず中堅校でも充実しています

私立中学のメリット③好きなことに打ちこみやすい

高校受験がないため、中学3年間は「目先のテストの1点」にとらわれずに骨太の学力を養うことができます

部活動や委員会活動、文化祭、体育祭などの行事にも打ち込みやすいので、学びの幅が広がることでしょう。

特に、私立中学校の場合、施設が充実している場合が多く、運動部も文化部も良好な環境で日々の活動に打ち込むことができます。

高校受験というストレス要因なしで反抗期や思春期を過ごせるのも、見逃せないポイントです。

私立中学のメリット④~子どもの個性に合った教育

私立校は、独自の理念や教育方針をかかげています。面倒見の良い学校もあれば、子どもの自主性に任せる学校もあります。

また、女子校や男子校、共学と、周囲の環境や学校生活の雰囲気は学校ごとに大きく異なります。その中から、子どもの性格に合った学校を選べるのも、利点といえるでしょう。

中学受験をするメリットとは?

中学受験の目的は合格することですが、たとえ不合格でも得られるメリットが実は少なくありません。

中学受験のメリット①~基礎学力と集中力がアップ

中学受験では、小学校で学ぶ内容はもちろん、小学校の教科書レベルを超えた知識も必要です。国語・算数・理科・社会の4教科すべてにおいて、基礎力と応用力が求められます。公立高校の入試以上に細かい知識を問う学校もあるくらいです。

このように、広く深く勉強を重ねることで、中学校の先取り学習になるのです。また、中学受験生は、塾の月例テストや合否判定の模擬テストなど、数多くのテストを経験します。制限時間のかぎり問題にぶつかり、頭をフル回転させることで集中力も鍛えられます

中学受験のメリット②~中学受験でしか経験できない学びがある

最近では「知識を問う問題」だけでなく、「考えさせる問題」や「表現させる問題」を出す中学校が増えています。

解法パターンを当てはめれば答えを出せる問題とは違い、大人でも苦戦することがあります。

ときには、柔軟な頭をもつ子どものほうがうまく解けることもあります。中学や高校では触れないような問題もたくさんあり、中学受験生にしか経験できない学びがあるのです。

中学受験のメリット③~メンタルが強くなる

スポーツなら試合、音楽なら演奏会、バレエなら発表会、絵画ならコンクールと、さまざまな「本番」がありますよね。同じように、入試とは勉強の本番です。

積み重ねてきた受験勉強の成果を発揮するためには、子どもの精神的な強さやたくましさが重要です。

入試本番は、わずか数時間の試験で合否が判定され、希望の中学校で過ごせるかどうかが決まる過酷な環境です。

「わずか1点の差で合格・不合格が分かれる」というプレッシャーは、小学6年生にとっては過酷なものです。しかし、プレッシャーに向き合いながら全力を尽くすことで、精神的にも成長していくのです。こうした経験は、子どものメンタルを強くします。

中学受験のメリット④~自立心が育まれる

入試本番に受験生が最も頼れる相手、それは自分自身しかいません。

試験中は、言わば孤独な戦い。難しい問題も不安な気持ちも残り時間への焦りも、すべて子どもが自分一人で乗り越えなければいけません。

また、塾通いや宿題、模擬テストなど、受験生は忙しい毎日を過ごします。スケジュールを頭に入れて、家庭学習の管理が必要となりますが、すべてを親が管理するのは大変ですよね。

そこで、子どもが「何事も自分次第」という考え方や「自分のことは自分でやる」という習慣を身につけなければなりません。中学受験をする子は、大人びている子が多く見られますが、それはこうした自立心が養われているからなのです。

以上のように、中学受験は、万が一、不合格になったとしても学んだことが無駄にはなりません。

実際、公立中高一貫校を不合格になった悔しさをバネに、地元の中学校に進学して学年トップをキープした子もおり、その子は高校受験で最難関の国立高校に進学し、今は最難関の国立大学に通っています。

その子が語るには、「不合格という大きな挫折感を小学6年生で味わってから、勉強に対する身の入り方が変わった」とのことでした。このように、不合格ですら、子どもの人生においてプラスにはたらくことがあります。

中学受験をさせるデメリットとは?

一方で、中学受験には、デメリットとして、次の3つが考えられます。

中学受験のデメリット①~さまざまな費用がかかる

独学で中学受験対策をおこなうのは困難です。そのため、ほとんどの家庭は塾に通います。授業料や季節ごとの講習の費用、問題集や参考書、過去問集の購入費に加えて、模擬テストや交通費、入試の受験料もかかります。塾のほかに家庭教師、通信教育を利用するなら、さらに費用が必要となります。

中学受験のデメリット②~自由に使える時間が減る

一般的な中学受験塾は、小学4年生から毎週2、3回程度の授業があります。学年が上がるにつれて授業日数は増えるので勉強中心の生活になります。

ほかの習い事の時間を減らすことも必要になりますし、テレビやゲームを楽しむ時間、友達と遊ぶ時間、家族で出かける時間など、好きなことに使える時間は減ります。

中学受験のデメリット③~親子のストレスが増える

中学受験には、親子とも、体力的にも精神的にも大きなエネルギーを使います。成績が伸び悩んだり、模試の合格判定が良くなかったりと、思うようにいかない場面も出てきます。合格に向けて真剣に取り組めばこそ、ストレスも増えて、親子の間でピリピリした雰囲気になるおそれもあります。

中学受験を検討するなら、このようなデメリットとメリットがあることをふまえておきましょう。

中学受験に向いている子、向いていない子

中学受験をさせたいと考えていても、わが子が中学受験に向いているかどうかが気になりますよね。そこで、中学受験に合格した子によく見られる「10個の特徴」を紹介します。まずは、次の10個について当てはまるものにチェックをしてみてください。

中学受験適正チェックリスト

□ 家で短い時間でも勉強する習慣がついている
□ 小学3年生2学期の時点で学校授業内容の理解度・定着度が高い
□ 本や図鑑など、活字を読むのが好き
□ 知的好奇心が強い
□ コツコツと努力を続けることができる
□ 自立心があって周りに流されない
□ 人と競争するのが嫌いではない
□ 「何が何でもこの中学校に行きたい!」という志望校がある
□ クラスメイトや友達と同じ中学校に進めないことを受け入れられる
□ 塾通いを楽しめる

チェック数が多いほど、中学受験に向いているといえます。

ですが、まったく当てはまらないからといって諦める必要はありません。あくまでも、現時点でものに過ぎないからです。年齢が上がるにつれて子どもが変化してチェックが増えることもあるのです。

中学受験の主役は子どもです。受かるも落ちるも、子どものやる気次第。その意味では、「中学受験をしたい」と自分から言い出した子こそが、中学受験に向いた子なのかもしれません。

中学受験だけで人生は決まらない

以上、多くの家庭が中学受験をするきっかけや理由、中学受験のメリットやデメリット、向いている子・向いていない子について、お伝えしてきました。

思春期をどの中学校・高校で過ごすかは、子どもの人格形成において重要ですから、わが子にはどのような学習環境が最適なのか、一度真剣に考えてみるとよいでしょう。

中学受験を始めると、「合格すること」が最優先事項になります。そのこと自体は悪いことではありません。しかし、不合格になったらお先真っ暗、ということはありません。中学受験では、ときとして親がアツくなり過ぎて、子どもの意思が置いてきぼりになることがあります。

中学受験だけで人生は決まるわけではありません。高校受験や大学受験など、子どもの人生の転機はたくさんあります。中学受験は、子どもが幸せな人生を歩むための「手段」であって、「目的」ではありません

「中学受験をする方が良いのか、高校受験をする方が良いのか」という問題については、 “絶対の正解” はありません。ある子にとっての “正解” が別の子にとっての “正解” とは限らないからです。ですから、わが子の性格や将来の希望をふまえて、どのような道を選ぶのか、各家庭の方針を決断するのが親の役割といえます。

お子さんが幸せな人生を歩むための学習環境を選択し、そこで充実した学べるよう、応援しています。

石井知哉

石井知哉

教育・受験指導専門家の西村創が主宰する「西村教育研究チーム」のメンバー。高校受験Webサイト「School Post」(https://school-post.com)主宰。塾指導歴20年以上。小学生から大学浪人生まで、教科を問わず個々の成長を引き出す指導を得意とする。現在は、個別指導塾2校舎を統括する傍で、千代田区麹町に超少人数制個人指導道場「合格ゼミ」を開設。長年の経験と知見を記事にして発信中。アイデアと文面の大半は、こよなく愛するビーグル犬との散歩中に生まれる。

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