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2020.03.18

休校中の不安、ストレスの解消法、親子ゲンカを防ぐ方法を紹介/アンガーマネジメント【第20回】

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために実際されている臨時休校。先行きが見えず不安に思っている人は多いと思います。ぬぐい切れない社会不安と家庭の中に広がるストレス、それはイライラの種となり、いつの間にか怒りが大爆発!ということにもなりかねません。そこで今回は、臨時休校に伴う不安解消をアンガーマネジメントの視点から考えていきたいと思います。

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アメリカ同時多発テロで広がったアンガーマネジメント

北海道では2月末、全国では3月から始まった臨時休校。心の準備ができないまま、卒業を迎える子、転勤でお友達と離れなければならない子、クラス替えを控えている子もいることでしょう。私自身、中学3年生の冬休み中に急に引っ越しが決まり、直接友達にお別れが言えずとても寂しい思いをした経験があります。何十年経った今でもふと思い出します。どうにもできない事態とはいえ、子どもたちの心理的な負担は大きいと考えます。

実は恐れや不安と怒りは切り離せない関係にあります。恐れや不安が第一次感情となり、怒りになることがあるからです。

第一次感情について詳しく書かれた記事はこちら
怒りの裏に隠れている本当の気持ちに気づけるようになろう

アンガーマネジメント発祥の国であるアメリカでは、9.11の同時多発テロ以降、社会不安が蔓延し、アンガーマネジメントが広がったといわれています。

つまり、社会に大きな不安が広がったときこそ、アンガーマネジメントの出番なのです。

では、現在の日本の状況下では、どのようなことが不安などの第一次感情になるのか考えてみましょう。

休校中に感じている不安やストレスなど

  • 目に見えないウイルスへの恐れ
  • 急に決まった小中高の長期臨時休校の困惑
  • マスクをはじめ消毒液、トイレットペーパーやティッシュ等の買い占めによる品不足に対する不安や困惑
  • 共働きや一人親家庭における子どもの預け先の苦慮
  • 仕事のシフト変更や非正規雇用の給料減による生活不安
  • 休校中の子どもの勉強や学年末ということもあり評価への心配
  • 卒業生は最後の学校生活を過ごすことができない寂しさや無念さ
  • 卒業式の中止や保護者の出席を見合わせることへの寂しさや不満 など

人によってはまだまだ思い浮かぶかもしれませんが、これだけの数がパッと思いつくだけでも、いかに多くの人が不安やストレスを抱いている状況なのか簡単に推測できます。そして、これらが怒りになることも考えられます。

では、今回のように身体的・精神的・経済的不安が混在する中、どうすれば感情に振り回されずに冷静に過ごせるのでしょうか。

休校中の不安やストレスはリスト化することで解消できる

アンガーマネジメントは、いわば感情の“整理術”です。その考えを取り入れるとすると、不安要素を整理し、解決に向けての行動考えていくことで不安やストレスを解消していけるはずです。

では、具体的な方法を紹介していきましょう。

まずは、“不安リスト”を作ることから始めてみましょう。これは、不安に感じていることだけではなく、困っていること、気になっていることがあるときにも使えます。

不安リストの作り方

  1. 不安に感じている出来事を書き出します
  2. ①に対してどのぐらい不安を感じているのかを10段階で数値化(スケール化)します
  3. 解決策をリスト化してみましょう

不安なことを考えるほど不安感は大きくなります。逆に、不安要素を書くことで見える化し、数値化して、さらに解決策を書き出すことで不安は安心に変わっていきます。

そして、実際にできることを行動に移していくことで徐々に不安は解消されていくことでしょう。

下記は、今日本で広がっている不安や困惑を“リスト”化したものです。

新型コロナウイルスにまつわる(休校中の)不安リスト


ダウンロードはこちらから

“不安リスト”は、今回のような場合だけではなく、災害時にも役立ちます。

休校中のストレスによる親子ゲンカを防ぐ2つの方法

また、休校が続き、外出を控えなければならない中、家の中だけでは親も子もストレスが溜まっていきます。その上、子どもが勉強をせずにゲームばかりしていたり、手伝いをしてくれなかったりすると親はイライラしていくばかり…。

実は、そのイライラの原因は、“べき思考”なのです。“べき思考”とは、自分の理想や欲求、価値観を表す“~すべき”というという考えのこと。この“~すべき”という思いが目の前で裏切られることが怒りになるのです。

“べき思考” についての詳しくはこちらの記事に書かれています
あなたを怒らせている正体 “~であるべき”に気づいて

休校中、親は「普段通りの生活をするべき」「勉強をするべき」「家の手伝いをするべき」などと思っています。一方で子どもにとっては急にやってきた特別休暇。「好きに過ごせる時間がたっぷりある!」と思ったのに親からは「勉強しなさい」「ゲームばかりするな」などと言われて嫌気がさしているのです。親と子の思いは完全にすれ違っていますよね。

こういうときほど、どうしたらお互いにとってOKなのか、親と子のすりあわせが大切になります。

親が考える「べき思考」はその人にとっては正しいことなのですが、一歩間違えれば押しつけや決めつけになってしまい、押し通そうとすると子どもをコントロールしようとしてしまうので気を付けましょう。

私も息子に口答えをされると、「3歳ぐらいの頃はかわいかったのに!」と思ってしまいます。これも「(子どもが親に)口答えをするべきではない」という“べき思考”が怒りを増幅させているのかもしれません。

口答えにイラっとしたときに有効なアンガーマネジメントは、挑発に乗らないこと、そして正しさを求めないことです。

正しさを求め過ぎると暴力に繋がってしまうことがあります。「挑発にのってしまいそう」「イラっとした」ときは、下記を試してみてください。

イラッとしたときの対処術

・6秒ルール

感情のピークである6秒間、言い返す・仕返すことなく、上手くやり過ごしましょう。

6秒ルールの詳細は、こちらの記事を参考にしてください。
イライラッ!を後悔するほどの怒りに変えないための6秒間トレーニング

・その場を離れる

その場を離れるタイムアウトをしてみましょう。

その場を離れるなどのスキルはこちらの記事で紹介しています。
忙しい朝の親子バトルを防ぐための方法とは?

さらに、「このままだといつか怒りが暴力につながってしまうかも?」と感じる人は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

しつけ?虐待?家庭内体罰で後悔にしないために【改正児童虐待防止法によせて】

イレギュラーな時は気分転換や「いつもと違う」を楽しんで

ただ、学校が休校になるなど世の中がイレギュラーな今、ルーティーンの日常や思考に戻そうとするほうが無理な話かもしれません。だからこそ、イライラしたり、ストレスを感じている時は、親子でこまめな気分転換を行うことも大切です。

私の家では、窓を開けて空気の入れ換えたり、散歩をしたり、リズムのよい音楽を聞いたり、その日の気分でアロマを使ったり、バランスボールを使ってストレッチをしたり、昼ご飯やおやつを一緒に作ったりしています。

勉強は、その日用に準備したプリントを午前中に終わらせるというザックリとしたルールで勉強時間を確保しています。ほかにも教科の学習だけでなく、なるべくいつもしないこと、できないことを取り入れることも心がけています。

息子は木の枝を伐ってきて木刀を作ったり、LEGOでいつも以上に大きな作品を作ったり、無料公開されているプログラミングをやってみたりしています。不安定な日常だからこそ、心は安定させて過ごしてほしいと思っています。

先行きが見えない時、人は不安になります。冷静な判断ができなくなり、デマ情報に扇動されてしまうことも仕方がないことでしょう。しかし、マイナスの感情は周りにも伝染しやすくなります。アンガーマネジメントや気分転換を取り入れて無駄にイライラして家族に八つ当たりをしないようにしたいですね。

今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

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長縄史子

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

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