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2019.04.24

あなたを怒らせている正体 “~であるべき”に気づいて/アンガーマネジメント【第5回】

連載も今回で6回目です。今までお伝えしてきたアンガーマネジメントのトレーニングを続けていらっしゃいますか? 前回の記事【アンガーマネジメント5】では、目に見えにくい怒りの感情を“見える化”する方法を御紹介しましたが、アンガーログは活用できていますか? 今回のトレーニングでは、あなたを怒らせるものの正体について明かしていきたいと思います。

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身近な出来事で怒らせた正体を見破ろう

あなたを怒らせるものの正体について考えるために、まずは、最近イラッとしたことを思い出してみましょう。どんなことでイラっとしましたか?

例えば…

ご飯を残した子どもにイラッ!

ノロノロ運転をする車にムカッ!

待ち合わせをしていた相手が遅れてきてカチン!

などのようなことです。次に、一体何が“自分を怒らせているのか”を考えていきましょう。怒らせているのは、誰か人ですか? あるいは出来事でしょうか?

例えば、

「ご飯を残した子どもにイラッ!」としたときであれば、あなたを怒らせたのは、子ども? それともご飯を残したこと?

「ノロノロ運転をする車にムカッ!」としたときであれば、ノロノロ運転? それとも車? 

「待ち合わせをしていた相手が遅れてきてカチン!」としたときであれば、相手? それとも遅れたこと?

もし、思い当たる答えが“子ども”“ノロノロ運転”“遅れたこと”だったとしても…

いつどんなときでも子どもにイラッとしますか?

ノロノロ運転にどんなときもムカッとしますか?

遅れたことに対していつもカチンときますか?

そう考えると“いつも”ではないかもしれませんよね…

そうなのです。実は、どれもあなたを怒らせていた正体ではないからです。

私たちを怒らせる犯人の正体は“べき”という考え

私たちを怒らせているものの正体は、ズバリ“べき”です。

“べき”というのは、自分の理想や欲求、価値観を表す言葉。この“べき”思考が、私たちが怒る原因になっているのです。

みなさんはどんな“べき”あるいは、“べきではない”を信じていますか? 書き出してみましょう。

例えば…

ご飯は残さずに食べるべき

周りを考えて運転するべき

遅刻はするべきではない

他にも

あいさつはするべき

ウソをつくべきではない

人に迷惑をかけるべきではない

出したものは片付けるべき

子どもは親の言うことを聞くべき

ルールは守るべき

宿題はするべき…

意識をしてみると、意外とたくさん出てきませんか? 人間は、この信じている“べき”が目の前で裏切られると怒りになるのです。

「べきログ」を書いて重要度をレベル分けしよう

このように、どんなべきが自分の中にあるのか“べき”を書き出してみるのも、アンガーマネジメントのテクニックのひとつであり「べきログ」と言います。

さらに、その“べき”をどのくらい強く信じているか、重要度のレベル分けをしてみましょう。

“ご飯は残さず食べるべき”を例にとって考えてみると、「重要度が10(絶対残すべきではない)」と考える人もいれば、「重要度が5(ときと場合による)」の人もいますし、「重要度が2(食べたくないときは残してもいいんじゃない?)」と思う人もいるわけです。

人それぞれ「程度」が違い、その「程度」はお互いに見せ合わないとわかりません。たとえ家族全員が「ご飯は残さず食べるべき」と思っていたとしても、お母さんは重要度10、お父さんは重要度6、子どもは重要度3だったらどうなるでしょう?

子どもがご飯を残した時点で、お母さんは激怒して「残さず食べなさい!」といってムリにでも食べさせるでしょうね。

でも、お父さんは「食べたくなければ食べなくていいよ」と言い、子どもは「ムリに食べさせるなんておかしい!」と反発することでしょう。

家族全員が“ご飯は残さず食べるべき”と思っているのに、これだけ程度が違うのです。

さらに「食べたくなければ食べなくていい」と言ったお父さんに対して、お母さんは怒り心頭!せっかくの食卓が険悪な雰囲気にもなりかねません(苦笑)

“べき”の程度は、特に家族間での不毛なケンカを生み出す源になります。これを避けるためには、分かり合っているつもりの家族間でも“べき”のすりあわせをすることが大事なのです。

重要度も意識した「べきログ」を活用してみてくださいね。今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

長縄史子

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

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