ただの寝坊じゃない。10代の子の“10人に1人”が悩んでる「朝起きられない」障害への対処法

お子さんは毎朝すっきりと目覚められますか? 「起きられない」という日が目立つなら、「起立性調節障害(OD)」かもしれません。
ただの寝坊と区別しにくいですが、このまま叱ってばかりだと、お子さんが不登校になったり劣等感を抱いたりするかも。今回は、新しく発売された治療のための本をご紹介。正しく理解・対処してあげましょう。
10代の子の“10人に1人”は起立性調節障害(OD)に悩んでいる
2023年7月6日(木)、株式会社イマジカインフォスより書籍『子どもが起きない!』が発刊されました。
著者は渡辺正樹(わたなべ・まさき)さん。渡辺さんは神経内科医で、「日本一自律神経を検査している医師」として多くの起立性調節障害(OD)患者と向き合っています。

朝子どもが起きないとき、どのように声をかけていますか?
「夜もっと早く寝なさい」「寝坊なんてだらしないよ」など、子どもの反省をうながすような言葉を伝えているなら要注意。
「起立性調節障害」––––通称ODは、10代の10人に1人が罹患しているといわれるほどポピュラーな病気です。昨今ではコロナの影響で、例年より10倍も右肩上がりに増加中だとか。
ODの患者のうち、3~4割は不登校になるそうです。確かに、朝が弱いという病気なのに、毎日朝早くから登校を急かされるのはつらいですよね。
『子どもが起きない!』では、ODの基礎知識から、治療法、不登校克服までのノウハウがわかりやすく解説されています。イラストや漫画も使っているので、ODという病気を始めて知った方も理解しやすいでしょう。

起立性調節障害(OD)になりやすい子の特徴
ODは自律神経の乱れによって発症するといわれています。では自律神経が乱れる原因は何かを紐解くと、運動や食事などの生活習慣に行き着きます。
つまりODになりやすい子は、
- ほとんど運動しない
- 小食
- 痩せ型
という特徴を持っています。
もちろん全員に該当するわけではありませんが、お子さんに思い当たることがある場合、ODを疑って良いかもしれません。
病院に行くと、
- 問診でODの可能性を診断
- 自立神経そのものを検査
のいずれかで診断されることがほとんどとのこと。
しかし、いまだにはっきりとした治療法は確立されていません。現在のところ、ODの克服には“家族全員での生活習慣の改善”が有効とされています。
3ステップ・27のミッションで生活習慣を改善
そこで『子どもが起きない!』では、生活習慣の改善方法を3つのステップ・27のミッションに分けて紹介。
「夕食は20時までに済ませる」「魚も肉も赤身を積極的に選ぶ」「外出する日課を作る」など、今すぐにできるものばかりなので、家族全員で取り組みやすいですね。
著者の渡辺さんは、6カ月でOD患者を回復させてきた実績を数多く持っています。
本書ではそのノウハウを生かし、同じように、6カ月でのOD回復を目指しているそうです。軽症ODから重症ODの方まで、きっと本書が回復のための道しるべになるでしょう。

お子さんが「朝起きられない」ばかりだと、親は「早く寝ないから」「意志が弱いから」など理由を探しがちです。
しかし朝起きられないのは、ただの寝坊ではないかもしれません。
10代の子の“10人に1人”が悩んでいるといわれている、起立性調節障害(OD)。もし該当すると診断されたら、『子どもが起きない!』をバイブルに、症状を理解して、家族全員でお子さんをサポートしてあげてください。
<参考資料>
・PR TIMES(株式会社イマジカインフォス)

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。