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2024.07.19

オルタナティブ教育とは?特徴やメリット・デメリット、日本と海外の動向を解説

近年注目されている「オルタナティブ教育」は、公立学校でも私立学校でもない新しい教育方法の選択肢です。この記事では、学校になじめない子どもの受け皿にもなっているオルタナティブ教育やオルタナティブスクールについて紹介します。

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「子どもにとってより良い教育環境を」と願うのは自然なことです。学校での一律の指導ではなく、子どもの個性を生かすような教育方法はないものでしょうか?

そこで近年、注目されているのが、「オルタナティブ教育」です。「オルタナティブ(alternative)」とは、「もうひとつの」「代替えの」という意味。公立学校でも私立学校でもない新しい選択肢は、お子さんの学びの新たな出発点になるかもしれません。

オルタナティブ教育とは

「オルタナティブ教育」とは、アメリカやヨーロッパの哲学的思想をベースにした教育方法のひとつです。子どもの個性や自主性を伸ばすような指導が特徴で、不登校や発達障害など学校になじめない子どもの受け皿にもなっています。

オルタナティブ教育の特徴

オルタナティブ教育とは、学校教育法の外、つまり文部科学省管轄外の教育機関(スクール)が、独自の理念や教育方針を掲げておこなう教育指導のことです。

はっきりとした定義は設けられていませんが、子ども同士が対話する形式の授業や少人数のクラス編成など、一般的な学校では実施しにくい、生徒の主体性や個性を伸ばすような指導をしているのが特徴です。

オルタナティブ教育の教育内容

オルタナティブ教育の具体的な内容は、スクールによって異なりますが、特に多いのは体験型の学習。料理、演劇、工作など、子どもたちが関心を持ったテーマに自由に取り組めるようになっています。

教科書に沿った内容を大勢で学ぶよりも、自分が今知りたいこと、興味のあることを、ひとりや少人数で学習する方が向いている子もいるでしょう。座学ではなく体験を通した学びが、子どもの学びの意欲を促進したり個性を伸ばしたりできる点も支持されています。

また、子どもを指導する立場の人も、「教師」というポジションではなく「スタッフ」という立ち位置。子どもが主役で、それを支える大人––––という、フラットな関係性も特徴のひとつです。

オルタナティブ教育と一条校の違い

「一条校」という名称を聞いたことはありますか? 一条校とは、いわゆる“一般的な進学先”のことです。

例えば以下のような教育機関が該当します。

  • 幼稚園
  • 小学校
  • 中学校
  • 高等学校
  • 中等教育学校
  • 特別支援学校
  • 大学
  • 高等専門学校

これらの一条校では、文部科学省の規定したルールに沿って学習内容が定められています。

一方オルタナティブを導入しているスクールでは、独自のルールで指導がすすめられます。

そのため、オルタナティブの学習過程を修了しても、一般の小学校・中学校・高校の卒業資格は基本的には得られません。そのため、義務教育の期間は地元の小学校や中学校に席を置き、欠席として扱ってもらうことが多くあります。

しかし、教育の多様化がすすむ今、スクールの出席日を公立学校の出席日として扱う自治体も増えてきています。進学を考えている場合は、事前に確認するといいでしょう。

オルタナティブ教育とフリースクールの関係

オルタナティブ教育(オルタナティブスクール)とフリースクールは似ていますが、オルタナティブスクールのほうが包括的です。

オルタナティブスクールという大きな枠があり、その内側にフリースクールがあるとイメージするとわかりやすいかもしれません。

フリースクールは、不登校や引きこもりになった子どもが過ごす場所、という意味合いが強い反面、オルタナティブスクールは、不登校や引きこもりの子どもはもちろん、家庭の教育方針を背景に通っている子も多くいます。例えば、「個性を伸ばす教育を受けさせたい」「体験型の学習をさせたい」というように、保護者の教育観から進学する子も多いです。

オルタナティブ教育の種類

オルタナティブ教育の種類は主に7つあります。それぞれの特徴を紹介しましょう。

モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育のモットーは「子どもには自分で自分を教育する力がある」。この“自己教育力”を伸ばすことを目的に指導がおこなわれます。1907年、医者のマリア・モンテッソーリ(Maria Montessori)氏によって考案されました。

教育法の例としては、「年下、年上の子どもと一緒に活動する」「専門のおもちゃ(教具)を使って感覚器官の発達をうながす」などが挙げられます。

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シュタイナー教育

シュナイター教育のモットーは「身体・頭・心のバランスが取れた人間を育成すること」。1919年、哲学者のルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner)氏によって生まれました。

教育法の例としては、「静かな環境をつくる」「1つの教科に集中的に取り組む」「芸術活動に精を出す」などがあります。

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イエナプラン教育

イエナプラン教育のモットーは「1人1人を尊重しながら、自立と共生を学ぶこと」。イエナ大学(ドイツ)の教授、ペーター・ペーターセン(Peter Petersen)氏によって提唱されました。

教育法の例としては、「教科の区別をつけない総合的な学習を実施している」「4つの基本活動(会話・遊び・仕事・催し)をローテーションする」などがあります。

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サドベリー教育

サドベリー教育のモットーは「子どもが学びたいと思ったことをそのときに行う」。個性や自主性を重視した、自由度の高い教育が特徴です。もともと、アメリカ・マサチューセッツ州のサドベリー・バレー・スクールで行われていました。

教育法の例としては、「学年分けがない」「クラス分けがない」「時間割がない」「授業がない」「テストがない」などが挙げられます。

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フレネ教育

フレネ教育のモットーは「自主性や表現力を高める」。特に自由作文に注力しています。フランス人の小学校教師であるセレスタン・フレネ(Celestin Freinet)氏によって考案されました。

教育法の例としては、「子どもが書いた作文を教材にする」「自分で活動計画表を作成する」「自分で作成した活動計画表に沿って学習する」といったことがあります。

ドルトンプラン教育

ドルトンプラン教育は、自主性と社会性を重んじた教育法です。1908年に教育者のヘレン・パーカースト(Helen Parkhurst)氏によって提唱されました。

教育法の例としては、「年下、年上の子どもと一緒に活動する」「教師がひとりひとりに合わせた学習計画表を作成する」「教師による個別指導」などが挙げられます。

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レッジョ・エミリア教育

レッジョエミリア教育の信念は「子どもには百とおりある」。子どもの個性や意思を大事にした教育が特徴です。1963年、イタリアの教育家、ローリス・マラグッツィ(Loris Malaguzzi)氏により考案されました。

教育法の例としては、「保育ドキュメンテーション(子どもの自主性を伸ばす活動)」「プロジェクト(長時間の探究学習)」などが挙げられます。

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オルタナティブ教育のメリット、デメリット

新しい学びの形として注目されているオルタナティブ教育ですが、メリットだけではなくデメリットもあります。

オルタナティブ教育のメリット

子どもファースト

オルタナティブ教育は子どもファーストの教育法です。決まった授業をスケジュール通りにおこなうわけではありません。学校のルール、行事、学習プランなど、子どもが自ら考える機会がたくさんあります。主体性が育まれると、将来に大きく役立ちそうです。

体験型の学習

オルタナティブ教育では、子どもたちの興味関心に基づき教育内容を決めていきます。特に多いのは体験型学習で、実際の体験を通すからこそ、深い学びや気づきにつながるでしょう。

少人数のクラス

オルタナティブスクールのクラスは、少人数制がほとんど。先生の目が届きやすいので、ひとりひとりの個性を踏まえた的確な指導が可能です。また年下、年上の子どもも同じクラスになるので、コミュニケーションの面でも成長するでしょう。

不登校の子どもも受け入れ可能

オルタナティブスクールは、不登校や発達障害など、一般的な小学校・中学校にはなじめなかった子どもを受け入れています。体験型の学習が多いため、「学校の授業についていけなかった」「座学は苦手」という子も自分らしい形で学びを続けられます。

オルタナティブ教育のデメリット

学校数が少ない

オルタナティブスクールに通いたくても、「近くにない」というケースが多いようです。実際、オルタナティブ教育が受けられるスクールは、全国で400~500校、東京都でも20校ほどしかありません。

学校によって教育方針が異なる

オルタナティブスクールは、それぞれが独自のスタイルで運営しています。オルタナティブスクールによって教育方針や授業内容にかなり差があるので、「こんなはずではなかった」とならないよう、入学前にしっかりリサーチしておいた方がいいでしょう。

中学校で修了することが多い

多くのオルタナティブスクールでは、小学校または中学校で課程を修了します。高校まで通えるところはほんのわずかで、多くの子どもたちは途中から一条校に通って学びを継続します。自由な授業スタイルが定着した子どもたちにとって、ルールに沿った指導をする一条校での生活は、なかなかなじめず窮屈に感じられるかもしれません。

学費が高い

オルタナティブスクールは公教育ではないため、学費は基本的に保護者が負担しなければなりません。私立学校以上の費用がかかることもあるので、事前に確認しておきましょう。

卒業資格を得られないことがある

オルタナティブスクールのほとんどは、認可外です。休まずスクールに通っても、法律的には不登校の扱いになり、卒業資格も得られず、内申点もつかないことが少なくありません。そのため、一条校への進学を考えているご家庭は注意した方がいいでしょう。ただし、前述のように、出席扱いになることもあるのでスクールや自治体に問い合わせてみましょう。

日本のオルタナティブ教育の事例

日本でオルタナティブ教育を取り入れているスクールを紹介します。スクールごとに特色が異なるので、入学前によく比較検討しましょう。

東京コミュニティスクール

東京コミュニティスクールは、3~12歳までの子どもが通う全日制マイクロスクールです。「自和自和(じわじわ)」という教育理念のもと、初等部では「Being ourselves (自主自律)」「Adapting ourselves to space and time (時空因縁)」「Expressing ourselves (意思表現)」「Finding mechanisms around us (万象究理)」「Organizing our community (社会寄与)」「Sharing our planet (共存共生)」という6つの探求領域における教科融合型の学びをおこなっています。

自由の森学園

自由の森学園は点数での評価を設けていません。通知表は「文章」で記述して評価をつけるので、子どもにとっては「見てもらえている」という原動力につながるでしょう。中学1年生〜高校3年生まで男女別の寮を5棟設けられており、寮生と通学生が通っています。授業で学んだことを形にして残す「作品主義」という考え方を採用しているので、一般的な学校だけでは体験できないような、たくさんの思い出もできそう。

日本と海外のオルタナティブスクールの違い

オルタナティブ教育のシステムや内容は、国によって大きく異なります。

例えば費用面において、日本のオルタナティブスクールは国からの支援が得られていない施設が多いため、一般的な公立学校よりも多くの費用がかかりますが、オランダなど多くの国は公費助成が受けられます。

教育の内容においても、カナダのオンタリオ州のように行政から細かなルールが設けられている国もあれば、日本のように学校がそれぞれの教育方針で運営している国もあります。

世界的に見ると、オルタナティブ教育の主流は、公費助成がある代わりに、行政からの指示(ルール)も多いという傾向があるそうです。世界にならい、日本のオルタナティブスクールのあり方も、今後変わっていくかもしれません。

オルタナティブ教育をおこなうスクールには、それぞれ独自の学びの形や教育方針があります。お子さんの進学先にオルタナティブ教育を検討されている保護者の方は、公式Webサイトやスクール見学でご家庭の方針に合うかどうかをチェックしてみてくださいね。

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【オルタナティブ教育②】子どもの「好き」を育むサドベリースクール

【参考サイト】
オルタナティブ教育とは?特徴や事例・メリットなどわかりやすく解説|QUREOプログラミング教室
オルタナティブ教育と学校教育の違いは?特徴とメリット・デメリット|すらら
予測困難な時代にこそ求められる「オルタナティブ教育」とは 永田佳之教授に聞く|EduA
今、増えているオルタナティブスクールってどんなところ?特徴・メリット・デメリットを徹底解説!|ツナグバ
オルタナティブ教育とは? シュタイナー、フリースクール、自宅学習などの種類や懸念点を調べてみた|通信制高校ナビ
全ての子供たちの可能性を引き出す社会の実現のために・・ 「教員の多様性確保」と「オルタナティブスクールの公的認証」を検討すべき|2020年10月21日 第3回教育再生実行会議 意見書

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