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2024.07.19

教育支援センター(適応指導教室)とは|どんな子が通ってる?メリット・デメリットは?

不登校の子どもたちが通う「教育支援センター(適応指導教室)」とは、どのような施設なのでしょうか。その特徴や、ほかの施設との違い、メリットやデメリットなどを紹介します。学校以外の居場所や勉強できる場所が気になる保護者の方はぜひ参考にしてくださいね。

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教育支援センターとは

教育支援センターとは、長期間学校を休んでいる不登校の子どもたちをサポートしている公的な機関です。都道府県や市区町村などの教育委員会などによって設置され、不登校の児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立する支援を行うことを目的に運営されています。

2019年に文部科学省が行った調査によると、教育支援センターを設置している自治体は約63%。一部高校生や高校を中退した生徒を受け入れている施設もありますが、小中学生を受け入れ対象としている施設が多いようです。

教育支援センターでは、児童生徒の在籍校や保護者と連携を取りながら、個別のカウンセリングや集団生活の指導、教科学習のサポートを行っています。なお、教育相談室のような児童生徒の相談に応じるだけの施設は、教育支援センターに含まれません。

適応指導教室とは

適応指導教室とは、全国で広く使われてきた教育支援センターの名称です。しかし、保護者からの「違和感がある」という声を受けて、文部科学省は2019年度に「適応指導教室」という名称の使用を廃止。「教育支援センター」に変更しました。

2019年10月25日に文部科学省が「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知を出すと、東京都立川市が適応指導教室「おおぞら」「たまがわ」を教育支援センター「おおぞら」「たまがわ」にするなど、一部の設置者が施設の名を改名。

その後、2023年6月10日に文部科学省が、「従来使用していた適応指導学級の呼称について、不登校児童生徒や保護者にとって抵抗感を減らし親しみやすいものにするため『教育支援センター』若しくは各教育委員会等において工夫された名称としていただくようご検討をお願いします。」という通知を出すと、多くの設置者がそれに呼応し、教育支援センターへと名を改めるようになりました。

千葉県野田市の「野田市適応指導学級・ひばり相談室」は「野田市教育支援センター ひばり」に、鹿児島県指宿市の適応指導教室「なのはな教室」「ツマベニ教室」は教育支援センター「なのはな教室」「ツマベニ教室」に。長野県茅野市は市民にアンケートを募り、愛称まで変更しています。

教育支援センターと適応指導教室の違い

名称が適応指導教室から教育支援センターに変更になったというだけで、どちらも子どもたちが安心して学べる環境を提供する公的機関であることに変わりはありません。

しかし文部科学省は、2019年10月25日に通知した「教育支援センターガイドライン」の中で、教育支援センターの設置の目的を一部変更。従来設置の目的に記載していた「学校復帰」という文言を削除し、その代わりに「社会的自立」という文言を加えました。

センターは、不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善等のための相談・指導(学習指導を含む。以下同じ。)を行うことにより、その社会的自立に資することを基本とする。

教育支援センター整備指針(試案)

これにより、各地の教育支援センターは、不登校の児童生徒の「学校復帰」を目指すのではなく、学校復帰を含めた「社会的自立」を目指す場所と位置付けられました。

この通知では、「不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方(支援の視点)」として、以下のような内容も記載されています。

不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。また、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

教育支援センターに通う子どもたちの特徴

不登校の原因は?

教育支援センターに通う子どもたちは、多様な背景やニーズを持っています。学校に行きたくても行けない子もいれば、無気力や学業不振を理由に行きたくなくなってしまった子、他の児童生徒や教職員との関係がこじれてしまい、行けなくなってしまった子などが通います。

中でも多いのが、情緒混乱や人間関係、無気力、家庭環境、学業不振により不登校になってしまった子で、遊びや非行が原因で行けなくなってしまった子はそれほど多くはありません。

こうした子どもたちは、通常の学校では適切なサポートを受けられない場合が多いため、教育支援センターで一人ひとりの特性やニーズに合わせた学習支援やカウンセリングを受けています。

文部科学省 平成元年「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果

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不登校の原因については、こちらのページで詳しく紹介しています。
不登校の原因・理由を解説|親が家庭でできる対応とNG行動とは?

教育支援センターの在籍者の状況は?

文部科学省が2019年に実施した調査から、受け入れる対象の多くは、「設置者が所轄する地域の学校に通っていたり住所がある小中学生」であることがわかっています。

また、小中学生は学年が上がるほど在籍者数が増加しています。中学生では女子の方が男子よりも在籍者が多くなっていますが、全体を通して見ると、それほど大きな差はありません。

しかし、復帰者数も学年が上がるにつれて高くなっています。小学生では約42%、中学生では約35%の生徒児童が復帰しているようです。

文部科学省 平成元年「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果

教育支援センターの在籍期間は?

それでは、教育支援センターに在籍している児童生徒がどれくらいの期間在籍しているのかを見てみましょう。

小中学生では「6カ月以上1年未満」が最も多く、「1年以上」も含めると半数を超えています。特に中学生では教育支援センターに通う73%もの生徒が6カ月以上在籍しています。逆に、「3カ月未満」は小学生で21%、中学生で8%と、あまり多くはありません。

文部科学省 平成元年「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果

教育支援センターに在籍していた中学生の進路は?

通常とは異なる学校に通わせる際に気になるのが、卒業後の進路ではないでしょうか。

教育支援センターに在籍していた子どもの進路を調べると、「全日制高校」が最も多く、34%もの生徒が進学していることがわかりました。次いで「各種学校・専門学校」の約30%、「通信制高校」の約24%となっています。通常の学校に通う生徒と同じような進路にすすむこともできるといえるでしょう。

文部科学省 平成元年「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果

教育支援センターに通うメリットとデメリット

教育支援センターに通うメリット

教育支援センターに通う主なメリットをいくつか挙げてみましょう。

個別支援:教育支援センターでは、一人ひとりの児童生徒のニーズに合わせた個別指導が行われます。これにより、情緒的な問題や学業不振に陥った子どもたちが、自分に合ったペースで学習を進めることができます。

専門的なサポート:教育支援センターには、教育職系の職員や退職した教職員のほか、新理系職員、社会福祉系の職員なども携わっているため、学習面だけでなく心理的なサポートも受けることができます。

安心できる環境:通常の学校とは異なる落ち着いた環境で学習することができるため、ストレスを感じやすい子どもたちにとって安心して過ごせる場所となります。また、同じような課題を持つ子どもたちが集まるため、仲間意識や共感を得やすいのもメリットです。

柔軟なカリキュラム:教育支援センターでは、通常の学校のカリキュラムにとらわれず、子どもたちの興味や関心に合わせた柔軟な学習プログラムが提供されます。これにより、学ぶことへの意欲が高まります。

家庭との連携:教育支援センターは、保護者との連携を大切にしています。家庭でのサポート方法についてのアドバイスや、家庭環境に応じた支援を提供したり、施設によっては家庭への訪問を行っているところも。これにより、家庭と学校が一体となって子どもたちを支えることができます。

教育支援センターに通うデメリット

教育支援センターに通うことには多くのメリットがありますが、デメリットもいくつか考えられます。その主な点を挙げます。

通常の学校との連携不足:教育支援センターと通常の学校との間で情報共有や連携が十分でない場合、子どもの学習進度や支援内容にギャップが生じることがあります。これにより、教育支援センターから通常の学校に戻った際に適応が難しくなることがあります。

学習の遅れ:個別支援が行われる一方で、通常の学校のカリキュラムとは異なるため、場合によっては学習内容が遅れることがあります。特に受験を控えた子どもにとっては、この遅れが問題となることがあります。

社会性の発達に影響:教育支援センターの環境が非常に個別対応に特化しているため、大人数での活動や異年齢の子どもたちとの交流が少なくなることがあります。このことにより、社会性の発達が心配になる保護者もいるかもしれません。

教育支援センターは、多くの子どもたちにとって重要な支援を提供する場ですが、これらのデメリットも考慮しながら、子ども一人ひとりにとって最適な支援方法を検討することが重要です。

教育支援センターとフリースクールの違い

教育支援センターとフリースクールは、どちらも特別な支援が必要な子どもたちをサポートする場所ですが、その目的やアプローチにはいくつかの違いがあります。

まず、教育支援センターは不登校の子どもの支援を主な目的にしているのに対し、フリースクールは学校外の自由な学びの場を提供しているので、不登校や学校に違和感を感じる子どもたちのほか、各スクールの学びや方針に賛同する家庭の子どもも通っています。

また、教育支援センターは公的機関によって運営され、個別の学習支援プランが提供されていますが、フリースクールは民間団体や個人によって運営され、独自のプランで自由な学習活動を行っています。

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フリースクールについてはこちらのページで詳しく紹介しています。
フリースクールとは?費用や進路、不登校の子が成長できる理由を元スタッフが解説

教育支援センターの利用条件と手続き

教育支援センターの利用条件

教育支援センターの利用条件や利用までの流れは、自治体や施設によって異なります。設置場所などの概要は、各自治体のホームページを検索すると掲載されていることが多いようです。詳細な条件や手続きについては、子どもが通っている学校や地域の教育委員会に問い合わせてみてください。

一般的には、本人に教育支援センターに通いたいという意思があるかどうか、保護者の同意があるかどうかに加え、子どもが在籍している学校が通所を認めていることが必要になります。いずれにも該当する場合に、学校の担任教師やスクールカウンセラーが保護者と協力して申請の手続きをすすめます。

また、施設によっては保護者の送迎が必須だったり、お弁当が必要だったり、家庭訪問が実施されていたり、保護者会やグループカウンセリングが行われたりすることもあります。保護者のサポートや協力が可能であることを条件にしている施設もあるようです。反対に、ひとりで通所できることを条件にしている施設もあります。

教育支援センターの利用手続き

具体的な利用手続きも、自治体や施設によって変わりますが、一般的に以下の流れですすんでいきます。

1.教育支援センターで面談を行う

まずは通所を希望する教育支援センターに連絡を取り、面談を行います。ここでお子さんに通所の意思があるかどうかを確認しておくと良いでしょう。

2.在籍する学校との相談

子どもや保護者が教育支援センターを利用したいと思った場合も、在籍校を通した利用申請が必要になります。まずは在籍する学校の担任教師やスクールカウンセラーに相談しましょう。学校側が教育支援センターの利用を提案することもあります。

3.申請書の提出

学校からの許可が得られた後、保護者は教育支援センターの利用申請書を記入し、学校長を通じて提出します。申請書には子どもの状況や支援の必要性を詳しく記載します。

4.利用の決定

提出された申請書をもとに、利用の可否が決定されます。この段階で、教育支援センターの職員や教育委員会の担当者との面談が行われる場合もあります。利用が承認された場合、具体的な支援計画が立てられ、支援が開始されます。

教育支援センターの利用手続きは、子どもの状況や支援の内容によって異なることがあります。手続きがスムーズに進むよう、学校や施設、教育委員会などと密に連絡を取り合うことが重要です。

教育支援センター(適応指導教室)は、不登校や学習困難、情緒障害を抱える子どもたちの居場所となる施設です。個別のニーズに応じた支援が提供されるため、子どもたちの成長と社会適応を促進します。

これらの施設を利用することで、子どもたちの健全な成長を支え、家庭や学校生活の改善に役立てることもできるでしょう。お子さんの不登校に悩んでいる保護者の方は、各自治体や施設の利用条件を確認し、在籍する学校と相談しながら、教育支援センター(適応指導教室)の利用を検討してみてもいいかもしれませんね。

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不登校の子の居場所や相談先については、こちらのページでも紹介しています。
保健室登校とは?メリット・デメリットや教室復帰への5つのステップを解説
不登校特例校(学びの多様化学校)とは? 入学条件や費用、進路について解説
不登校の悩みの相談先はどこ?6つの支援先と相談するメリット

【参考サイト】
「教育支援センター(適応指導教室) に関する実態調査」結果|文部科学省
不登校の子どもをサポートする教育支援センター(適応指導教室)とは?支援の内容や、利用方法を解説|LITALICO発達ナビ
教育支援センター(適応指導教室)ってどんなところ?メリットやデメリット・フリースクールとの違いを徹底解説!|ツナグバ
教育支援センター(適応指導教室)はどんな場所?文部科学省の情報をもとに解説!|サブスタ

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