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2020.11.20
2020.11.30

【中学生の不登校】後悔しない高校進学のために わが子に合った進路の選び方

「不登校のままでは高校進学はできない」そう考える時代は過ぎました。今は、不登校だからといって行けるところを選ぶのではなく自分に合った進路を選べる時代です。では、どのような進路があるのでしょうか。高校進学の仕組みや進学先それぞれの特徴を知り、どうやって進路を選べばいいのか、不登校専門個別指導塾を主宰する阿部伸一さんが解説します。

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【中学生の不登校】高校進学を取り巻く社会の変化

ひとことで不登校といっても本人の状態や家庭の状況など多岐に渡り、ひとくくりにすることはできません。ですが、高校進学を望める状態、環境にあり検討していくのであれば正しい情報を集めることが重要です。

なぜなら、不登校の子の高校進学に関する情報は、誤解を招くものや古い情報が錯綜しており、正しい情報を得ているかどうかによって選択の幅が大きく変わります。また親世代の「自分たちのときはこうだった」という経験もなかなか役には立ちづらいのも特徴です。

国の方針は「無理に学校に戻らなくていい」

かつて不登校生に対する国の方針は“学校へ戻すこと”でした。そのため高校進学においても“出席すること”に重きが置かれた仕組みが学校でも家庭でも当たり前でした。

しかし2017年に“学校へ戻ることだけを目的としない”という主旨が明記された教育機会確保法が施行されたのを機に、不登校の子は“無理に学校へ戻らなくてもいい”という“国のお墨付き”もとで進路選択ができるようになってきています。

2019年に文部科学省から通知された「不登校児童生徒への支援の在り方について」では

高等学校で学ぶ意欲や能力を有する不登校生について、これを適切に評価することが望まれること

と記載されています。この通知は全国の教育委員会、各知事などへ送られた国を挙げての取り組みです。もう“中学校へ通えなくても高校進学ができる”時代になっているのです。

こうした国の方向性に加えて、通信制高校やサポート校など不登校生が選択しやすい進学先は数を増やしています。高卒認定試験や留学なども含めると、進路の選択は非常に多くなります。

「どこか入れるところを探さなければいけない」ではなく「自分に合った進路を考えてみよう」といったスタンスで、情報を集めたり仕組みを学んだり、また親子で一緒に話す機会にしてみましょう。

不登校でも進学可能な4種の高校

ではどのような選択肢があり、選択するポイントがあるのでしょうか。

中学卒業後の進学先例

  • 全日制高校
  • 1日5〜6時間、週5日、など決められた日時で登校をして、集団授業を受ける形式です。学年ごとに決められた単位や規定をクリアすることで進級し、3年間を終了することで卒業となります。

  • 通信制高校
  • 決められた日数の登校(スクーリング)とレポート、テストによって単位を取得するタイプの高校です。卒業に必要な単位が取得することで卒業となります。卒業をすることで得られる資格は全日制高校と同じです。

  • サポート校
  • 主に通信制高校と提携をして卒業をサポートするのがサポート校です。サポート校だけでは高校卒業の資格は得られません。通信制高校は自力でレポートなどの課題を進められないケースも多いため、そこをサポートすることによって卒業を目指す形となります。

  • 単位制高校
  • 基本的には学年という概念がなく、学年ごとの区切りを設けずに、決められた単位数を全て取得することで卒業ができるタイプの高校です。全日制と比べると、生活面や学習内容での自由度が高いという特徴があります。通信制高校の多くは「単位制」となります。

  • 定時制高校
  • 全日制と同様に毎日登校するタイプの高校ですが、時間帯に幅があり選べることと、授業の時間が短いことが特徴です。単位制同様に、生活面での自由度が高くなります。多くは卒業までに4年間を費やしますが、高校によっては3年間での卒業も可能です。

不登校の高校進学を考える2つのポイント

では、先ほど紹介した複数の学校からどのように学校を選べばよいのでしょう。

【選択肢①】毎日通学(全日制高校)にするかどうか

それぞれの違いを簡単に伝えると「毎日、朝から夕方までの通学をするかどうか」です。

全日制高校、定時制高校は基本的に毎日登校をします。全日制高校は朝から夕方まで、学校にいる時間も長くなります。

一方、単位制高校は時間割を自分で組むことができて自由度が高くなり、通信制高校(サポート校)は、通学しなければならない学校が増えていますが、全日制と比べて、通学(登校)に関する規定がゆるいケースが大半のため、通学することが苦手なタイプの生徒向きといえます。

【選択肢②】公立と私立どちらにするのか

また別の見方として公立か私立かをまずは検討する家庭もあると思います。

公立と私立では運営形態が異なりますし、施設やカリキュラムの違いがあります。しかし、まず進路選択を始めるにあたって、わかりやすい違いの1つが費用面ではないでしょうか。

私立高校の実質無償化が制度改正によって実施されるとはいえ、少なくとも3年分の学費を支払うことを考えると、「できれば公立にして欲しい」と考える家庭もあって当然です。

「毎日、朝からの通学をするかどうか」と「費用」。この2つ基準で考えただけでも、進路選択がいくらか絞られてきます。しかし、それでもまだまだ選択肢が続きますので、いくつかのケースを、もう少し具体的に考えてみます。

全日制高校の場合|不登校でも進学に不利ではない

全日制高校を前向きに考えたくても「不登校だから不利なのでは?」と考える保護者もいるかもしれません。

しかし、諦める前にまずは現在在籍している中学校に相談をしてみてください。協力してもらえれば、全日制高校への進学に心強い存在となります。

前述の通り、国の方針として“不登校でも高校進学ができる”流れは進んでいます。その一環として、中学校側が不登校を“やむを得ない長期欠席”と認めて書類を作成することにより、ほかの出席している生徒たちとほぼ同等に高校受験をすることが可能になる仕組みがあるのです。

この“長期欠席”を申請すると内申点は加味せず、入試の点数だけで合否の判断をしてもらうことができるため、出席日数や内申点のためだけに無理やり学校へ行く必要がなくなります

親世代の高校受験を思えば「出席していない=内申点がもらえない=高校受験ができない」と考えがちですが時代は変わってきています。

ただし、まだまだ協力体制には地域や学校によって差が生じています。国の方針が明確になっているにもかかわらず、なかなか不登校に対する理解を示さない学校は大都市圏でも存在します。

つまり、在籍する中学校次第で事情が変わってきます。全日制高校を検討する際には、まず中学校への相談を欠かさないでください。

オープン入試を活用して全日制高校へ

中学校の協力が得られなくても、地域によっては全日制高校への進学が可能です。

出席ができず内申点を得られなかったり、中学校から長期欠席を認めてもらえなかったりしても希望する高校を受験できる制度が「オープン入試」と呼ばれるものです。

この制度も内申点は加味せずに入試の点数だけで合否を判断してもらえますので、無理やり登校をする必要はなくなります。

「学校へ戻らなければいけない」というプレッシャーがなくなると、自分のペースで受験勉強に集中することができるようになり、在籍する中学校との関わりもほとんど必要なくなるので親子ともに気持ちの回復を図るには適しているのではないでしょうか。

ただし、この「オープン入試」を利用しているのは大半が私立高校です。

この制度は不登校生に限らず利用できるため、中学校の先生は内容や情報を把握している場合が多いはずです。協力が得られなくても受験できる仕組みですが、やはり在籍している中学校への相談はしてみたほうがいいですよ。

通信制高校・サポート校の場合|情報収集が大事

通信制高校・サポート校への進路を考えるうえで大事なポイントは、“よく調べること”です。

通信制高校・サポート校を検討する場合については、中学校からの情報重視ではなく、検討する高校そのものを自分でよく知ることに取り組みましょう。

全日制高校は、学校生活の内容やルールなどがイメージしやすいです。登校して、テストを受けて、学校行事があって、担任がいてクラスがあって部活動や委員会があって、教室があって職員室や体育館があってなど、保護者世代が抱く高校の印象のままでよいでしょう。

しかし通信制高校・サポート校は、あらゆる部分が学校ごとに大きく異なるため、なかなか学校生活をイメージしづらいのが特徴のひとつです。クラスやテストの有無、カリキュラムや進路指導、学校行事、先生の関わり方など、それぞれが学校によって大きな違いがあります。

通信制高校は、レポート提出、テスト、スクーリングをクリアすることで単位を取得して卒業資格を得ることができます。全日制高校のような出席(登校)日数が厳しく規定されているわけではないため自由度が高くなりますが、レポート提出や日々の学習をひとりで進めるのは決して簡単なことではありません

そこで通信制高校の課題をより進めやすくしてくれる存在がサポート校になります。

通信制高校(サポート校)選び2つのポイント

近年、通信制高校・サポート校の数は増加傾向にあります。文部科学省が令和元年に公表した調査によると約20年前(1998年)に100校だったのが現在250校を超えています(通信制課程を置く学校数の推移)。社会的に少子化が進む中で学校数が2.5倍に増えているのです。

その中ですべての情報を網羅するのは大変なことですが、選ぶ際のポイントを2点伝えましょう。

ポイント①勉強に対する意欲の高さ

まずは「勉強をしたいかどうか」を考えましょう。不登校になった理由やその後の対応によって、高校選びをする段階での気持ちの回復具合は個人差があります

「中学校には通っていないが勉強への意欲はある」「不登校だけど大学進学を目指したい」といった場合には、勉強を教えてもらえる学習環境のある通信制高校・サポート校を探してみましょう。

逆に、勉強をすることに抵抗がある、学校の勉強以外のことに興味がある場合には、勉強面以外のカリキュラムや特徴を中心に選んでみるといいでしょう。

ポイント②自分の感性、印象を大事にする

もうひとつのポイントは、最初から他人の評価をうのみにしないことです。

通信制高校・サポート校は学校によって仕組みも内容も個性的です。ある子にとってベストな居場所でも、ほかの子にとっては居心地が悪いというケースが全日制高校などと比べて顕著です。

他人の評判よりも、自分の感覚を大事にして、自分に合ったところかどうかで選んでみましょう。

実際に学校へ足を運び担当者や責任者と話した印象を重要視すること。そしてある程度、選択肢が絞られた段階になってから他人の評判を参考にすると、よりよい選択ができる可能性も高まるはずです。

定時制・単位制高校という選択肢もある

全日制高校や通信制高校・サポート校の説明をしてきましたが、不登校生や関係者にとって注目され続けている単位制高校や定時制高校という選択もあります。

単位制高校や定時制高校は、仕組みや内容にそれぞれ特徴がありますが、どちらも全日制と比べて自由度が高いのが大きな特徴です。

毎日朝から夕方まで通わなければならない全日制のような登校スタイルが苦手な場合だけでなく、時間を有効活用して専門的なことを学びたい場合、あるいは無理な登校や集団生活をせずに心身の回復を図りたい場合など子どもの状況、状態に合わせて通うことができます。

“自分に合った学校”として、定時制高校や単位制高校を選択する不登校生は増えています。

ちなみに親世代の中には定時制高校と聞くと「昼間は働いて夜に通う高校」とイメージする人もいるかもしれませんが、現在では“昼間に通う定時制高校”が一定の人気を得ています

多様化する高校の情報を集約するのは中学校

全日制高校とは異なる高校を検討する場合も、実は在籍する中学校への相談をしたほうがよいでしょう。

現在、都道府県ごとに様々なタイプの高校がどんどん新設されています。インターネットで調べる程度では、何が何だか分からなくなる地域もあるはずです。

特に都市部では公立高校のタイプを多様化させる流れが続いています。

全日制高校、単位制高校、定時制高校といった分類であれば、言葉の意味を調べることでイメージも湧きやすいかもしれません。しかし、例えば東京都では、下記のように名称だけでは高校のタイプがわからないものが増えています。

チャレンジスクール

東京都立の稔ヶ丘高等学校、世田谷泉高等学校、六本木高等学校、桐ヶ丘高等学校などのことであり、昼夜間3部制の定時制・単位制・総合学科の高校です。

エンカレッジスクール

エンカレッジとは、励ます・勇気づけるという意味があり、小中学校で力を発揮できなかった子のやる気を育てながら充実した学校生活を応援する全日制高校。発達障害など特別な配慮が必要な子の学び直しにも力を入れています。

選択肢が増えるのは喜ばしいことです。しかし、内容がわからないままや、誤解をしたままでは、せっかく増えている選択肢が無駄になりかねませんよね。

新設されている高校の数々は各都道府県の教育委員会が担当して情報提供をしており、その情報を最も早く正しくキャッチできるのは公立中学校です。

そのため、どんな高校を選ぶにしろ、まずは在籍している中学校の先生へ相談することが大切です。

私立一貫校の不登校は行政、専門機関へ相談を

ただし、私立の中高一貫校に在籍している場合は注意が必要です。多くの私立一貫校の教員は高校受験や高校進学の仕組みについての情報が少なかったり、あるいは情報が古いままだったりすることもあります。

これは私立一貫校の先生が知識不足、能力不足という話ではなく、大半の私立一貫校の場合、そもそも高校受験を想定していないために仕方がないのです。

ましてや、不登校状態から内部進学をせずに外部受験をするとなると、教員の好意で情報を集めたり相談にのったりしない限り、在籍する中学校とはいえ相談先としては不十分な可能性が高くなります。

私立一貫校の場合、高校進学だけではなく不登校生の支援に関する情報も非常に少ないと個人的に感じています。

実際の例として、不登校生の受け入れ先の1つとして自治体に設置されている“「教育支援センター」の在籍生徒数は、公立学校生が98%で私立学校生は1 %程度”という結果が不登校に関する調査研究協力者会議などによる調査で出ています。

私立一貫校で不登校の場合、在籍校だけではなく教育委員会や行政の窓口、あるいは民間の専門機関にも相談してみましょう。

“長期欠席の認定”についても教育委員会、オープン入試については高校へ直接問い合わせをするほか、不登校生を専門に教えている学習塾やフリースクール、NPOなどへ相談をしてみてください。

<参考資料>
「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年10月25日文部科学省)
「高等学校教育の現状について」(令和元年8月30日文部科学省)
東京都の公立高校のタイプ(東京都教育委員会)
高等学校就学支援金制度(文部科学省)
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の施行状況に関する議論の取りまとめ(令和元年 不登校に関する調査研究協力者会議など編)




阿部伸一

阿部伸一

不登校専門のカウンセラー。不登校専門の個別指導塾、家庭教師派遣、サポート校の運営を行う。2003年より学習サービス事業の株式会社REOにて「不登校専門サポートコース」を発足。2010年より「特定非営利活動法人いばしょづくり」にて不登校経験者や保護者向けのイベントや交流の活動を開始し、各地でセミナー、講演、個別相談会、またオンラインでの活動も行っている。著書に「不登校は天才の卵」(宝島社)などがある。 オフィシャルサイト:https://abe-futoukou.jp/

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