レッジョエミリア教育とは? 教育理念や特徴、メリット・デメリットを紹介!
レッジョエミリア教育は、イタリア発祥の子どもを主体としたアプローチで、「子どもには100人100通りある」という考え方を基にしています。この記事では、この幼児教育法の特徴、メリット・デメリット、そして家庭での実践方法を紹介します。お子さんに最適な教育方法を探している方は、ぜひ参考にしてください。
幼児向けの新しい教育アプローチとして注目されている、レッジョエミリア教育。「子どもには100通りある」という考え方をベースに、子ども主体の教育を実践しています。
この記事では、レッジョエミリア教育の特徴やメリット・デメリット、家庭での実践方法などを紹介します。お子さんに合った教育方法をリサーチしている方はぜひ参考にしてください。
目次
レッジョエミリア教育(レッジョエミリアアプローチ)とは?
そもそも、レッジョエミリア教育とは何でしょうか?
まずは起源や教育理念から見ていきましょう。
レッジョエミリア教育の起源と歴史
レッジョエミリア教育は、その名の通りレッジョ・エミリア市(北イタリア)より発祥した、教育アプローチ法です。提唱したのは教師のローリス・マラグッツィ氏。
教育理念は「100の言葉」で、独自のメソッドを通して子どもの可能性を伸ばすことを目的にしています。
「100の言葉」
子どもには
100とおりある。
子どもには
100のことば
100の手
100の考え
100の考え方
遊び方や話し方
100いつでも100の
聞き方
驚き方、愛し方
歌ったり、理解するのに
100の喜び
発見するのに
100の世界
発明するのに
100の世界
夢見るのに
100の世界がある。
子どもには
100のことばがある
(それからもっともっともっと)以下続く……
「なら歴史芸術文化村」公式Webサイトより引用
レッジョエミリアアプローチの教育理念
上記「100の言葉」の中には、「学校や文化が 頭とからだをバラバラにする。手を使わずに考えなさい 頭を使わずにやりなさい 話さずに聞きなさい ふざけずに理解しなさい」など、これまでの幼児教育を非難する言葉もあります。
レッジョエミリア教育は、これまでの画一的なやり方ではなく、子ども一人ひとりの個性・価値観を認める必要性を提唱しています。
“子どもたちはそれぞれ違う人間なのだから、100人いたら100通りの教育があって然るべき”。これこそがレッジョエミリアアプローチの教育理念なのです。
レッジョエミリア教育の特徴
レッジョエミリア教育の特徴は、大きく分けて4つあります。一般的な保育園や幼稚園では実現できないような学習スタイルは、子どもはもちろん大人もワクワクしそうです。
開放的な環境
レッジョエミリア教育をおこなう教室に壁はありません。保育士が子どもたちを見守れるように、そして子どもたちが伸び伸び過ごせるように、教室・お昼寝の部屋・アトリエなどすべての壁をなくしてひとつの大きな空間をつくっています。
自由な創作環境
レッジョエミリア教育では、身のまわりのあらゆるモノが教材になります。たとえば、植物、石、小枝、雪、車の音など公園や道ばたに落ちているものも、壊れてしまい、一般的にゴミと呼ばれるものも、積極的に活用します。
もちろん画用紙など一般的な教材も使いますが、身近なモノが教材になると日常生活も発見と発明の連続になりそうですね。
プロジェクトベースの学び
レッジョエミリア教育では、子ども同士で「1年単位で取り組むテーマ」を話し合い、決定した事柄を形にしていく「プロジェクト」と呼ばれる活動を展開しています。
一般的な保育園や幼稚園だと「今日はこれをやりましょう」と保育士から言い渡されることが多いですが、子どもが自分で決めたことなら興味を持って長く取り組めそうですね。
ドキュメンテーションを作成する
レッジョエミリア教育では、子どもたちの毎日の活動「ドキュメンテーション」に記録します。
ドキュメンテーションには、友達同士の会話、保育士との会話、その日の活動、その日の出来事などを、文字・写真・動画などさまざまな方法で整理しています。誰でも見られるように工夫されているので、お子さんも保護者も楽しめるでしょう。
レッジョエミリア教育のメリット・デメリット
レッジョエミリア教育は、“子どもファースト”の自由な教育が特徴です。しかしメリットだけではなくデメリットもあります。どちらも知っておけば、入学後に満足な学校生活が送れるでしょう。
レッジョエミリア教育のメリット
自主性や協調性が育つ
レッジョエミリア教育では4~5人のグループで活動します。保育士からの指示はないので、基本的に子ども同士で話し合いながら作業をすすめていきます。自分の意見を主張したり、相手の意見を聞いて納得したり、交渉してみたりなど、社会につながるスキルの獲得が期待できるでしょう。
子どもの“学びたい”が最優先
レッジョエミリア教育のプロジェクト活動は、子どもの好奇心を大切にしています。子どもが「これをもっと知りたい」と思うことがあれば、1年かかっても追及させてくれるのです。一般的な保育園や幼稚園のように決まった時間割がないからこそできることですね。
レッジョエミリア教育のデメリット
望んだ学習ができないことがある
先ほど、プロジェクト活動の内容は子ども同士で話し合って決めるとお伝えしました。しかし全員の意見が最初から一致するとは限らず、時にはお子さんの意にそぐわない決定となることもあるでしょう。このように、レッジョエミリア教育は個性を伸ばす教育とは少し異なることは知っておいた方がいいでしょう。
保護者の役割が大きい
子どもたちのプロジェクト活動は、保護者・保育士・地域住民などに支えられながら成り立っています。そのため、保護者の役割を負担に感じたり参加回数の多さに疲れたりすることがあるかもしれません。
モンテッソーリ教育との違い
レッジョエミリア教育と混同しがちなのが、「モンテッソーリ教育」です。レッジョエミリア教育とモンテッソーリ教育はどのように違うのでしょうか。
教育理念とアプローチ
レッジョエミリア教育:子どもは一人ひとりすでに可能性を秘めている、というのが基本的な考え方です。その潜在的な力を伸ばすための、いわゆるアウトプット的な教育をおこないます。
モンテッソーリ教育:「自分を育てる力」を意識した教育をおこないます。自分自身に軸をおいているので、インプット的な教育といえるでしょう。
学習環境と教材
レッジョエミリア教育:決まった教材はなく、身近なモノや自然などあらゆるものを使って教育します。また、教室を含め、あらゆる学習空間に一切の壁を設けていないのでオープンな学習環境となっています。
モンテッソーリ教育:発達段階に基づいた独自の教具を使います。クラス編成は、年下・年上も含めた縦割りです。
保育者の役割と評価方法
レッジョエミリア教育:レッジョエミリア教育が重視するのは、プロジェクト活動とアート活動。それぞれの分野に応じた専門家である「アトリエリスタ(芸術専門官)」「ペタゴジスタ(教育専門官)」が担当します。
モンテッソーリ教育:国際資格「ディプロマ」を取得した人しか保育に携われません。
<モンテッソーリ教育についての記事はこちら>
“お受験指導の合格率100%”のモンテッソーリ教師が教える「10歳までの育児メソッド」
レッジョエミリア教育の取り入れ方
レッジョエミリア教育をおこなうのは、分野に応じた資格を取得した保育士です。しかし、家庭でレッジョエミリア教育のアプローチ方法を簡易的に取り入れるのは不可能ではないでしょう。
家庭での実践方法
家庭の場合は、まず子どもが興味を持って取り組めるようなテーマを探してみましょう。(プロジェクト活動)
例えば、走るのが早いお子さんだったら、「どうすればもっと早く走れるのか」について家族で検証するのはいかがでしょうか。走行フォームなどを保護者が動画に記録し、検証→実践を繰り返して、お子さんが気づきを得られるような結論を出していきます。
帰宅したら、子どもと一緒に写真をアルバムに保存するなど、活動の様子や記録をまとめましょう。(ドキュメンテーション)
教育施設での実践方法
教育施設の場合、家庭よりもスペースに比較的余裕があるのではないでしょうか。「レッジョエミリア教育を取り入れるためにすべての壁を撤去」というわけにはいかなくても、多目的実習室のように広いスペースがあると良いですね。
教育施設でも、家庭と同じようにテーマの設定から始めていきます。子どもたちを少人数のグループに分けてテーマを話し合ってもらいましょう。(プロジェクト活動)
保護者や保育士など、活動の様子は大人が記録→整理してあげてください。(ドキュメンテーション)
日本でのレッジョエミリア教育の事例
日本でレッジョエミリア教育を受けられる施設はまだまだ少ないので、今後普及が期待されます。参考までに、2つの施設でのレッジョエミリア教育の事例を見ていきましょう。
Kodomo Edu International School
東京都目黒区にあるKodomo Edu International Schoolは、レッジョエミリアのアプローチとして、子どもたちの成長を3つのステップに分けています。
【開花】
・クリティカル思考
・好奇心
・チームワーク
【成長】
・共感力
・自尊心
・自制心
【土壌】
・根気
・レジリエンス
上記3つのステップは、大人もそのまま使えるスキルです。幼いうちからデフォルトにしておくと、社会に出てからも生きやすくなりそうです。
Daizawa International School-DIS-
東京都世田谷区にあるDaizawa International School-DISでは、目的に合わせて4つのクラス分けをしています。
クラスによって
・テーマ付け学習
・音楽
・スポーツ
・自然体験
・ダンス
・クッキング
など学べる内容が異なるので、お子さんの興味関心を伸ばすきっかけになるでしょう。
レッジョエミリア教育が学べるおすすめの本
レッジョエミリア教育は本で学ぶことも可能です。レッジョエミリア教育のノウハウを知れば、メソッドを取り入れながらお子さんと接することもできるでしょう。
レッジョ・エミリアの乳幼児教育
著者が、「アトリエ」と呼ばれる空間でレッジョエミリア教育を実践した記録です。レッジョエミリア教育発祥の地で5年間メソッドを学び、日本で活動した著者。夫は映像作家で、彼が撮影した動画も二次元コードから読み込めます。
レッジョ・アプローチ 世界で最も注目される幼児教育
レッジョエミリア教育を日本に導入した著者が、実際に日本のプレスクールでレッジョエミリアアプローチを実践した記録です。「”共感する力”を育て、社会に参加できる子供に”」と、全4章にかけて、自らの考えを元に言葉をつづっています。
モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方
書店でよく見る育児書のように、表紙がポップなので初心者入門用にぴったり。エビデンスに基づいた革新的なメソッドは、『ヒルナンデス』『ノンストップ』など数々のメディアでも紹介されたほど。ほめ方や叱り方など、子どもへの声掛けを中心に解説しています。
レッジョエミリア教育は、新しい教育の形のひとつです。お子さんに合った教育方法で、伸び伸びと子育てできると良いですね。
<教育方法についての記事はこちら>
【参考サイト】
・レッジョエミリア教育とは?~成り立ちや特徴、メリットをまとめて紹介~|保育士くらぶ
・レッジョ・エミリア教育とは。3つの教育理念や特徴、一般的な教育法との違い|保育士バンク!
・レッジョエミリア教育とは?メリットやデメリット、教育方法例を解説|スポットライト
・レッジョエミリア教育とモンテッソーリ教育|5つの違いを解説|NEM
・【総まとめ】レッジョ・エミリア教育とは?家庭での実践方法まで解説|スタスタ
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