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2024.03.11

ウィスク検査(WISC-V)の視空間指標とは?高い子の特徴や低い子への対応を発達の専門家が解説

5~16歳11ヵ月の子どもの知能検査であるWISC(ウィスク)。2022年の2月に、最新版であるWISC-Vが発売されました。同検査では、全体的な知能指数とあわせて5つの指標についても知れ、「子どもの得意なこと・苦手なこと」を把握することができます。
今回は、このWISC-Vにおける「視空間指標(VSI)」について、WISC-Vの検査を多数実施し、WISCのスペシャリストである心理士の車重徳さんが解説します。

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監修者

車 重徳さん

発達障害ラボ代表、心理士、カウンセラー、教員、 保育士、介護福祉士。長年、発達障害や学習障害、精神疾患の子ど もや大人のサポートや指導に従事。 「WISC-Ⅴ検査」については、公認心理師や臨床心理士に対しての研修や指導も行っている。

WISC-Vの視空間指標(VSI)とは?

視空間指標(VSI)とは、WISCーⅤの5つある指標のうち「空間を認識する力、二次元のものを見て立体を想像・理解できる力」を数値としてあらわしたものです。

空間を認識する力=空間認識力とは、分かりやすく言うとDIYやプラモデルを組み立てるような能力のことです。車の運転には空間認識力が必要ですし、バックで運転するのが苦手という場合、空間認識力が低い可能性があります。
他にも、料理で野菜を均等に切れない、裁縫で針に糸を通せない、といったことも空間認識力が低いと起こりえます。

ちなみに、この視空間指標はWISC-Vになり初めて登場した指標です。WISC-Vの前の版であるWISC-IVには、「目からとりいれた情報をどれぐらい処理できるか」をはかる知覚推理指標(PRI)がありました。これをWISC-Vでは「空間認識力を見る」視空間指標(VSI)と、「場の空気を読んだり先の見通しを立てたりする能力を見る」流動性推理指標(FRI)の2つにわけたのです。

視空間指標(VSI)に関する検査項目は?

視空間指標(VSI)の数値を出すにあたり受ける検査内容は、「主要下位検査」と呼ばれる基本検査の「積木模様」と「パズル」の2つだけです。この2つの検査以外に、補助的な検査である「二次下位検査」を実施することはありません。

※注 WISC-Ⅳにおいて基本検査と呼ばれていたものはWISC-Vで主要下位検査となり、WISC-Ⅳにおいて補助検査と呼ばれていたものはWISC-Vで二次下位検査となっています。

必ず受ける検査(主要下位検査)

検査項目検査で分かること
積み木模様立体的なものを自分で作り上げる能力(工作など)
パズル頭の中に設計図を思い描き、様々な考察をする能力

    視空間指標(VSI)の数値が高い子どもの特徴は?

    視空間指標の数値が高い子どもは、片付けなどものを整理したり、なくしたものを探したり見つけたりすることが簡単にできる傾向にあります。またレゴブロックや工作などを手本通りに組み立てる作業や、模写などが得意な子も多いようです。
    ただ、本人の性格や優先順位などの問題で、視空間指標の値が高くても「面倒だから片付けない」「模写を雑にしてしまう」ということもありえます。

    ちなみに、建築士や飛行機のパイロット、歯科医には、空間認識力が高い人が多いです。他にも顕微鏡をずっとのぞき込むような仕事に就く人も、空間認知力が高い人が多い傾向にあります。
    近年注目される仕事としてARやVRなどに関するものがありますが、そういった仕事も空間認識力が求められるため、視空間指標の数値が高いと特殊な仕事に就く上で有利になる可能性があります。

    視空間指標(VSI)の数値が低い子のよくある困りごとは?

    視空間指標の数値が低い子どもは、図やグラフを読み取ったり作成したりすることや、地図を読み取ることが苦手な傾向にあります。

    そして視空間指標の数値が高い子どもとは反対に、片付けや掃除が苦手で、ものを探すのに時間がかかり、「もともとあった場所を思い出せない」「探しているものが目の前にあっても気づかない」ということがあります。

    また空間の認知に困難さがあるために、歩いていると周りにすぐぶつかってしまったり、段差につまづき転んでしまったりする、ということもあります。中には背中にリュックを背負ったとたんに自分の体の幅が分からなくなり、周りにぶつかってしまう、という子もいます。そういった子が検査を受けると、視空間指標の値が低く出る可能性が高いです。

    わが子の知能や特性、どこまで知っていますか?

    WISCは、子どもの発達状況や得意・不得意を知るのにとても役立つ検査。WISCを受けるメリットや検査でわかること、生活面や学習面にどう活かせるのか、詳しくチェックしてみませんか?

    WISC検査について詳しくはこちら
    wisc検査

    視空間指標(VSI)の数値が低い子の対応方法・数値を伸ばすには?

    検査を受けた結果、数値が低かったら落ち込んでしまうかもしれません。しかしトレーニングをすることで、苦手な部分を改善できる場合があります。ここでは具体的にどのようなことをすればいいのかについて紹介します。

    片付け・掃除・探し物が苦手な子どもの対応法

    片付けや掃除、探し物が苦手というのは生活に支障が出やすいですし、親としては何とかしてあげたいと思いますよね。

    対応策としては、物の場所を決めたり掃除をする日を決めたりする、一緒に使うもの同士や色でまとめておくなど、視覚的な構造化・仕組み化をして、片付けやすく、探しやすくすることが挙げられます。場合によっては、片付け方を写真にする、言語で説明したものを目で見て分かるように見せるのもいいでしょう。

    なお、視空間指標の値が高くても片付けや掃除が苦手な場合は、「掃除するモチベーションを高める」「掃除をせざるを得ない状況にする」というのが効果的です。 たとえば友達を定期的に家に呼び、部屋を片付けざるを得なくする、部屋を片付けておくことでメリットが生まれる状況を作るのです。

    視空間指標(VSI)の数値を伸ばす方法

    視空間指標の数値は、積み木やレゴブロック、LaQなど手先を使う知育玩具で伸ばすことができます。特におすすめなのは「タングラム」です。

    タングラムとは、100円均一ショップなどで売っている薄っぺらい積み木、パズルのことです。三角形や正方形などのパーツを組み合わせて、いろいろな形を作ることで、空間認知能力を鍛えられます。なお取り組むときは、制限時間を設けてみてください。何度も取り組むうちに、組み立てる速度が上がっていくはずです。

    視空間指標(VSI)の数値が低く、発達に心配がある場合の相談先

    家庭でトレーニングするだけでは不安、といった場合などは、専門家に相談してみてください。学校や専門機関、スクールカウンセラーなどに相談し、対応を検討していきましょう。

    また、ソクたま相談室の専門家に相談することも可能です。手元にあるWISC-Ⅴの検査結果を一緒に見ながらアドバイスをもらう、ということもできますので、心配事があれば気軽に相談してみてくださいね。

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    「ソクたま相談室」には、WISCの検査結果を分析し、子どもへの接し方やサポート方法など具体的なアドバイスをしてくれる専門家が多数在籍しています。手元のWISC検査の結果を最大限に活かしませんか?

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    ※知能検査WISC-Vの概要については、こちらの記事で詳しく解説しています。

    WISC-Ⅴ(ウィスク5)とは?Ⅳとの違いや検査内容・指標を専門家が解説
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    WISC(ウィスク)は、日本を含め世界各地で広く行われている児童向けの知能検査です。ウェクスラー式知能検査のひとつで、5歳0か月~16歳11ヵ月の子どもを対象と.....

    ※WISC-Vのその他の指標の数値が高い子・低い子の特徴については、それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
    言語理解指標とは?高い子の特徴や低い子への対応
    流動性推理指標が低い子や高い子の困り事・対応
    ワーキングメモリー指標が高い・低い子の特徴や対応
    処理速度指標とは?高い子と低い子の困り事や対応

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