「愛着障害」を修復する方法。子どもの困った行動は愛情不足のせい?
お子さんの気になる行動、ありますか?なかには、「うちの子発達障害……?」と心配している方もいるのではないでしょうか。もしかしたら、それらの行動は愛着障害によるものかもしれません。また、大人になっても“生きづらさ”を抱えたままの方もいるでしょう。そんなすべての方に役立つ本が発売されました。
3歳以降の子でも愛着形成は「できる」
2022年9月30日、合同出版株式会社が『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』を刊行。
本書では、愛着障害について詳しく解説しています。たとえば、愛着障害の基礎知識や日常での行動の特徴、発達障害との見分け方、支援を通した解消方法など。
著者は、和歌山大学教育学部教授であり、臨床発達心理士スーパーバイザーや上級教育カウンセラーなど10以上の肩書や資格を持つ、米沢好史(よねざわ よしふみ)さん。愛着に問題がある子どもを支援してきた経験も豊富で、本書には米沢さんが培ったノウハウがすべて詰め込まれています。
一般的に、愛着障害は安心感を得られる状態で成長しなかったために、情緒が不安定になり、他者と信頼関係を築きにくくなる障がいです。愛着障害は乳幼児期の愛情不足が原因と言われてきました。例えば、次のような不安的な家庭環境で育った子どもは愛着障害になることがあるといわれています。
- 幼少期に愛情を注いでくれる親を病気などで亡くしてしまった(あるいは離婚して目の前からいなくなってしまった)
- 養育者から虐待やネグレクトを受けながら育った
- 養育者がコロコロ変わる状態だった
- 兄姉や弟妹とは極端に差別されて育った
また、「3歳を過ぎてから愛着形成するのは手遅れ」などと言われがちです。
しかし米沢さんは、それらを真っ向から否定。「愛情不足が原因ではない」「何歳からでも修復できる」と力強く解説しています。
親子関係って、なかなか複雑なもの。言葉が通じずコミュニケーションが思うように取れない乳幼児期は余計にストレスが溜まりますよね。99%ワンオペ育児だった筆者も、当時はただひたすら必死で、育児を楽しんでいたとは正直言えない部分があります。子どもは現在小学2年生まで成長しましたが、反抗的な言動をされるたびに「私の愛情が足りなかったから?」と思うときがあります。
もし愛着障害だとしても、著者から「何歳からでも修復できる」とお墨付きがあると安心します。子どもが心おだやかに成長するために、そして良好な親子関係を築くために、『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』をバイブルにしたいです……!
愛着障害と発達障害を見分けるポイント
『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』は、大きく5章に分かれています。
第1章では、愛着障害の基礎知識を。第2章は愛着障害の具体的な特徴を紹介しています。例えば、触る必要のない物を触ったり、年齢にかかわらず抱っこやおんぶなどの強い身体的接触を求めたりなど、愛着障害に見られる6つの行動の特徴がイラストとともにまとまっています。第3章は発達障害との見分け方、第4章は支援を通した解決策、第5章ではよくある相談内容をまとめています。
特に、「愛着障害と発達障害を見分けるポイント」の表は必見です。愛着障害と発達障害の症状には類似性があるため、その違いを診断することは難しいです。自分の子育てに極端に自信がない状態で子どもを見てしまうと、「私のせいかも」という思いが先立ち、発達障害の症状を見過ごしてしまうかもしれません。
そんなときは、この表を使ってみましょう。
子どもが何か不適切な行動をしたとき、表に照らし合わせるだけで、それが「愛着障害」「発達障害」どちらに該当しそうなのかを見定められます。
本書によると、たとえば保護者が「〇〇したら後で~~しようね」と子どもに伝えた場合、子どもはどのような反応をするでしょうか。表に照らし合わせると、「すぐしてしまう」はADHD(発達障害/注意欠如・多動性)、自分なりの捉え方をするのがASD(発達障害/自閉症スペクトラム)、気が向かなければ従わないのがAD(愛着障害)です。
お子さんがどちらに分類できるかがわかれば、相談や支援もスムーズになりそうですね。
愛着障害には2種類ある
愛着障害とひと口にいっても、医学的には「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」「脱抑制型愛着障害(脱抑制性対人交流障害)」の2つに分類されます。
反応性アタッチメント障害は、人を信頼せず警戒心が強いという特徴があります。他者との交流が少なく、困っていても誰にも助けを求めません。ちなみにこの症状はASDと似ているため、判断が難しいとされています。
一方、脱抑制型対人交流愛着障害の場合は反対に人との距離が極端に近くなります。人に対してベタベタしすぎる、いわば過度にフレンドリーな状態です。たとえば初対面の相手でも遠慮なくおんぶや抱っこをせがんだり、馴れ馴れしい態度を取ったりなど。この症状はADHDと似ているため、判断が難しいとされています。
「反応性アタッチメント障害」「脱抑制型愛着障害」は、特性がそれぞれ真逆で不思議ですね。
『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』は、生きづらさに悩むすべての人におすすめの一冊です。
「どうしてこんな性格なんだろう」とお子さんやご自身を責め続けるのは辛いですよね……。しかし精神的な病気の一種とわかれば、少しは気が楽になりませんか?
著者の米沢さんは、「何歳からでも修復できる」と背中を押してくれます。『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』を片手に、子どもとの関係を改善するための一歩を踏み出しましょう。
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