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2020.08.03

“過保護”と”過干渉”の違いとは? 診断テストで毒親度もチェック!

子育てにおける“過保護”と”過干渉”。どちらも子どものことに対して、過度に口を出したり手を出したりすることをいいます。今回は、過保護・過干渉になってしまう親の心理、過干渉・過保護を防ぐ心得を解説。診断チェックもあるので、子どもとの関わり方の参考にしてみてくださいね。

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“過保護”と“過干渉”の違い。過保護は悪いことではない?

大切なわが子のために、親が子どもに「何かしてあげたい」「つらい思いをさせたくない」と思うのは自然なことですよね。しかし、それが度を超すと“過保護”や“過干渉”になってしまうのです。

では、過保護と過干渉の違いは何なのでしょうか。

監修者

佐藤めぐみさん公認心理師・オランダ心理学会認定心理士

ソクたまでは、連載「親子の悩み相談室」を担当。欧米の大学・大学院で心理学を学び、「ポジティブ育児メソッド」を考案。現在は公認心理師として、育児相談室・ポジカフェでの心理カウンセリング、ポジティブ育児研究所での子育て心理学講座、メディアや企業への執筆活動などを通じ、ママをサポートする活動を行う。ドイツ在住。中学生の娘の母親として子育てにも奮闘中。https://megumi-sato.com/

過保護な子育てはどんな状態?

  • 過保護の意味
    親が子どもの面倒を必要以上に見ること。

    子どもが望むことを親が過度に受け入れ、やりたいようにさせてあげたり、子どもが失敗しそうなことは親が前もって手伝ってあげたりします。


    ある程度の年齢になれば、身の回りのことは自分でできるようになります。しかし毎朝、子どもの着替えを手伝ってあげたり靴を履かせてあげたりすることなどが該当します。


    また、おもちゃ屋などで「買って!」と駄々をこねる子に対し、さほど抵抗を示さず買い与えてしまうのも過保護にあたります。

  • 過保護になる親の心理
    失敗や挫折といった経験を先回りし回避してあげれば、親は子どもが悲しむ姿を見ずに済みます。子どもの望むことをさせてあげれば、親は常に子どもの笑顔を見ていられます。


    そこには「かわいい子どもの要求を拒否して子どもに嫌われたくない、嫌な思いをさせたくない」という気持ちが働いていると考えられます。親が子どもの望みに反する行動をとれば、子どもは泣いたり怒ったりして抵抗することもあるでしょう。


    これは育児をしていれば日常的に起こる光景です。一時的な衝突で子どもが親を心から嫌いになってしまうことはありません。


    しかし育児経験が少なかったり、自分に自信がなかったりすると「要求を聞き入れなければ、子どもの心を傷つけたり親子関係に悪影響を及ぼすのでは」と不安になってしまう場合もあるのです。


    また、親自身が過保護に育てられてきたため、子どもへの過保護な接し方が“当たり前”だと認識しているケースもあります。自分の親と同じようにわが子にも接することで、過保護の連鎖が起こっている可能性もあるのです。

一つの見解として、愛情のある過保護であれば悪い結果にはならないというものもありました。

しかし、最近のアメリカの研究では「親としての温かみを保った過保護の場合でも、自己否定感や問題行動のリスクはある」という結論が出されたのです。

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過干渉な子育てはどんな状態?

  • 過干渉の意味
    子どもが関わる物事について無理やり立ち入り、親自身の意思に子どもを従わせようとすること。


    過保護の場合は最初に子どもの意思がありますが、過干渉の場合は親の望むことを子どもに強いるため、前提となるべき子どもの気持ちが全く無視されている点が特徴です。親に悪気はなく、良かれと思って干渉していることもよくあります。


    例えば子どもの付き合う相手を親が選別し、子どもが遊びたがっているのに「あの子と遊んではいけない」と禁止してしまう。子どもが自分の言い分を話しても「あの子はあなたのためにならない」と聞き入れないのは、過干渉になります。


    また「○○ちゃんは青と赤、どっちの服がいい?」と質問しておきながら、子どもが答える前に「○○ちゃんは青は似合わないから赤にしなさい」と答えを押し付けてしまうような場合。子どもの気持ちを聞き取る前に、親の判断を優先してしまうのは過干渉といえるでしょう。


    過干渉が問題なのは、子どもを意思のある個人と見ずに親の一部だと考えている点です。子どもを思い通りに操りたいというコントロール欲求が働いているのです。

  • 過干渉になる親の心理
    過干渉な親の中には、自身の抱える心配や不安といった強い思いが影響していることもあります。

    親自身が「○○しなければならない」「○○でなければ不幸になる」といった駆られるような気持ちがある場合、それを子どもにも強制してしまいます。


    例えば親自身に「偏差値の高い学校を卒業しなければ不幸になる」という強い思いがある場合、子どもの学力に見合わないような学校を無理やり受験させようとしたり、子どもが選んだ進路を頭ごなしに否定してしまったりすることがあります。


    また、親自身の自己肯定感の低さが過干渉に繋がることもあります。自己肯定感の低い人は、他人からの評価を必要以上に恐れる傾向があります。
    子どもの失敗や間違いが自分の評価につながるという恐怖心から、子どもをコントロールしようとするのです。

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過保護と過干渉が子どもに与える悪影響とは

過保護や過干渉は、親が子どもの成長に過剰に介入すること。

では、このような態度を取り続けていると子どもにどのような影響をもたらすのでしょうか。

子どもへの悪影響①:自分に自信が持てなくなる

親が介入しすぎることは、子どもの自尊心が育たなくなる可能性があります。子どもの失敗をあらかじめ回避してあげるような、過保護な行動を続けるのは問題です。

子どもはたくさんの失敗、そしてその失敗を乗り越えた成功をもとに自信をつけていきます。失敗がなければ成功も存在せず、自信も育ちません。保育園や幼稚園、学校に入ると誰も親ほど構ってはくれないことに気が付きます。何でも親がしてあげることでその子自身ができることが少ないと、周囲の子との能力差にもショックを受けることがあるかもしれません。そういった経験を積み重ねていくと、自信が持てなくなってしまうのです。

また、過干渉な親の子どもは自分の意思が軽視され否定される日常に育ちます。つまりは、家庭で親から既に劣等感を植え付けられている状態。自信のない態度で社会に出ると、さらにコンプレックスが強まってしまいます。

親がいつも先回りして物事を決めている場合、進路など重要な場面での自分の選択を信用することができません。どうしたら失敗しないのか、どの選択が正しいのかの判断を他人に委ねてしまうのです。

子どもへの悪影響②:自己主張ができなくなる

過保護や過干渉な親の元に育つと、自分の代わりに親が他人と交渉してくれるのに慣れてしまいます。過保護では子どものやりたいことを、過干渉では親の思ったことをという違いはあるものの、どちらも子どもが自分の気持ちを人前で主張する必要がありません。そうすると、自己主張をする能力が弱くなってしまいます。

例えば、幼児期の子どもによく見られる“列への割り込み”行動。自己主張ができる子は割り込んだ子にはっきりと「私が先だよ」と主張できます。また、意地悪をされた時には「そんなことしないで」と自分で相手に立ち向かうことができます。

それに対し、過保護や過干渉な親に育てられた子は他人に対し正当な自己主張をすることができません。嫌なことをされてもどうして良いか分からなくなってしまうのです。

子どもへの悪影響③:他人への思いやりが持てない

過保護な親に育てられると自分の意思がいつも肯定されるため、子どもはいつでも“自分が一番”と考えてしまいがち。他人を顧みる必要がないため、思いやりのない子に育ってしまう可能性があるでしょう。

一方、過干渉な親に育てられると自分の気持ちを否定されるため自分自身を大切に思えなくなってしまいます。自分を大切に思えないと、他人を大切にする気持ちも芽生えません。

例えば、自分の気持ちを優先しておもちゃを独り占めしてしまうなどといった行動は他人への思いやりの有無が関係してきます。

私は過保護・過干渉? 自分の毒親度をチェック!

親なら誰でも、一度は「私の子育ては間違っていないかな?」と不安になることがあるのではないでしょうか。

自分の過保護・過干渉レベルはどのくらいなのか、チェックしてみてくださいね。

  • 夏休みの工作や自由研究は、子どもではなく親がほとんど仕上げている。
  • 子どもが話をしている途中に話を遮り、「そうじゃなくて」と親の意見を話してしまうことがある。
  • 子ども同士のトラブルが発生した時、事実関係を確認せずに相手の親や学校にすぐに苦情を言う。
  • 子どもの友達関係に対し「〇〇ちゃんはいい子だから遊んで」「〇〇ちゃんとはあまり関わらないで」と言う。
  • 子どもの日記やスマホの中身をチェックしたり、部屋を詮索する。
  • 送り迎えの必要がない場所や天候でも、常に車で送迎している。
  • 塾や習い事などの選択は、全て親が決めている。
  • 子どもが着る洋服につい口出しをして、「こっちの方がいいよ」「変だよ」などと言ってしまう。

3つ以上当てはまる人は、過保護・過干渉の傾向があるかもしれません。もしかすると、自分は過保護・過干渉な親ではないのか不安になった人もいるかもしれません。

でも、普段の子どもに対する態度はなかなか変えられませんよね。次章では、今日から始められる毒親防止対策を紹介しましょう。

過保護・過干渉な毒親にならないために。今日から始める4つのこ

自分の不安と向き合う

子どものやることにいちいち介入してしまうのは、親である自分自身の中に不安があるからかもしれません。しかしその不安は親のものであって、子どもの中にあるものではないのです。まずは自分の子どもに対する言動の中に、自分のどんな不安が隠れているのかを見つけてみましょう。不安を発見したら、その気持ちを自分でコントロールできないか考えてみましょう。

わが子と他の子を比較しない

育児書などの情報から“この年齢ならこのレベルまでできないといけない”とプレッシャーを感じること、周りの子と自分の子を比べてしまい焦りを感じることはあるでしょう。しかし他の子と比べることで親に「〇〇しなければならない」というような焦りや強い思いが生まれてしまったら、それは過干渉・過保護への道につながり兼ねません。自分の子と他人の子は違うと割り切り、わが子なりの良さを積極的に見つけていきましょう。

子どもに役割を与えて褒める

過干渉・過保護の問題点の一つは、子どもの自信が育たないことでした。子どもの自信を育てるためには、小さくても良いので成功体験を積み重ねることが大切。例えば家庭内で何らかの役割を持たせて、うまくできたら褒めてあげます。テーブル拭き、洗濯物たたみ、食後の食器運びなど日常的にできることがいいですね。自分の役割に責任を持って取り組み、それを継続することで自信がついていきます。大人から見たら不十分な点があるかもしれませんが、完璧を求めすぎないことが成功のコツです。

子どもの言動を見守る姿勢を心掛ける

過干渉の問題点は、子どもの意見を無視してしまうことでした。一方、子どもの失敗を恐れて全て先回りしてしまう過保護な態度も子どもを受け身にしてしまいます。子どもがやろうとしていることは、たとえ失敗しそうに見えても手を出さず黙って見守る姿勢を心掛けましょう。アドバイスすることは悪いことではありませんが、声を掛ける時は「そうじゃなくて」と割って入るよりも、「こうやるといいよ」とコツやヒントを伝える方が自立行動を促せます。

親なら誰しも、「わが子を守りたい」気持ちはあるものです。しかし、それが度を過ぎてしまうと親子の幸せにとってマイナスになってしまいます。親と子は、それぞれ違う個性と考え方を持った別々の人格であると意識しながら子どもと接してみてくださいね。

この記事を監修した佐藤めぐみさんに相談してみませんか?

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濱岡操緒

岩手県出身。大学卒業後、ゲーム会社で広報宣伝職を経験した後、ママ向け雑誌やブライダル誌を手掛ける編プロに所属。現在はフリーランスのエディター&ライターとして活動中。一人息子の中学受験で気持ちに全く余裕がない中、唯一の癒しとなっているのが愛犬と過ごす時間です。

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