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2020.01.14

我が子のやる気を引き出す中学受験塾の選び方とは?先輩親子の失敗談から大解剖!

中学受験では約8割の子どもが塾に通っています。塾を選ぶ際、合格率や費用を重視しがちですが、中学受験に挑んでいる親子が悩むのは、子どもがやる気不足やストレスなど、子どもの気持ちに関することのよう。中学受験の勉強において子どものやる気スイッチを押してくれる塾とはどんな塾なのか、先輩親子のリアルな声をもとに分析してみました。

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中学受験を考えた時、最初に悩むのが塾選びではないでしょうか。一般的に、小学校3年生の2月から本格的に勉強を始める子どもが多いといわれており、1月には多くの塾が体験授業などのキャンペーンを開催します。

ただ、当たり前ですが、体験授業などでは塾側がアピールしたいことを前面に伝えるため、悪い情報は教えてもらえません。一方で、中学受験経験者からはこんなリアルな声も聞こえます。

 「長丁場の受験勉強で、子どもが途中でやる気を失ってしまった」
 「受験勉強のプレッシャーで、子どもが勉強嫌いになってしまった」

 子どもの将来のためにと時間とお金をかけて塾に通わせているにもかかわらず、結果として子どもの心にダメージを与えてしまうのは本末転倒。後悔してもしきれないですね。

親としては「子ども自身がやる気やモチベーションを持って塾に通ってくれる」ことが一番。そのためには、子どもの性格に合う塾を選ぶことが重要です。

この記事では、中学受験の塾として主な選択肢となる

  1. 大手進学塾
  2. 個別指導塾
  3. 地元密着の中小塾

の3タイプの塾に通っていた親子の「失敗談」に注目。そこから、それぞれの塾でやる気を失いがちな子ども像を分析しました。我が子の性格と比べれば、我が子に向いていそうな塾のタイプが想像できるはずです。

さらに、子供自身がモチベーションを持って通ってくれる塾を見定めるために、塾見学のチェックポイントも挙げています。

塾見学に繰り出す際にぜひ活用してくださいね。

この記事は、以下の専門家に執筆いただいた記事を元に、ソクラテスのたまご編集部がまとめました。

稲石加奈 >>記事一覧はこちら
教育・受験指導専門家の西村創が主宰する「西村教育研究チーム」のメンバー、フリーライター。大学卒業後、書店に勤務し、実用書や旅行書、新書等、幅広く売場を担当。書籍を扱うプロとして常にアンテナを張り、多岐にわたるジャンルに対して学びの姿勢を貫く。その後、医療系商社勤務を経て、難関中学受験をメインに据えた進学塾の講師を務める。 

三戸芙由香 >>記事一覧はこちら
教育・受験指導専門家の西村創が主宰する「西村教育研究チーム」のメンバー。高校生と小学生の子供をもつママライター。兄弟平等をモットーにした2人の子育て経験を元にリアルな声を届けている。

大手進学塾に通っていた親子の失敗談

大手進学塾は、豊富なデータや確立されたノウハウを元に組まれたカリキュラム、オリジナルテキスト、一流の講師陣などを用意し、クオリティーの高い一斉授業を提供してくれます。一番最初に検討する保護者も多いと思いますが、大手進学塾に通っていた親子が後悔した点はなんでしょうか?

ありがちな失敗①「面倒見のよい塾だと聞いていたのにフォローが少なかった」

大手進学塾は、生徒数が多いこともあり、個別のフォローが弱い傾向があります。授業についていけなくなった場合も、塾側から気づいてフォローしてくれる可能性は低いでしょう。分からない点を自主的に講師に聞きに行ける子ならば、まだ打つ手がありますが、消極的な子どもの場合、結局理解できずに大手塾のメリットを活かすことができないまま受講費を払い続けることになる可能性があります。

ありがちな失敗②「子どもが授業のレベルに合わなかった」

個別のフォローが手薄な分、子どもたちのモチベーションアップに重要なのが、クラスメートからの刺激。同じレベルの志望校をめざすライバルと切磋琢磨し合うことで学力が上がっていきますが、時間が経ってくるとクラスのレベルについていけなくなり、やる気を失う子どもが出てきます。集団授業という性質上、ついていけない子に対して授業の中で配慮してもらうのは難しいでしょう。

ありがちな失敗③「クラブチームや部活動と両立できなかった」

集団授業のため、曜日と時間が決まっています。クラブチームに所属していたり、遅くまで活動する部活に所属していたりする場合は、遅刻・欠席をせずに通塾するのが困難になるケースが多いようです。

では、ここまでの内容をおさらいしつつ、大手進学塾のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

大手進学塾のメリット・デメリット

【メリット】

  • 豊富なデータおよびノウハウが確立されている
  • 使用しているオリジナルテキストのクオリティが高い
  • トップクラスに属すれば、たいてい一流講師の授業を受けられる
  • 自習室や参考資料などの設備が豊富

【デメリット】

  • 生徒の人数が多いため個々に手厚く見てもらうことが難しい

このような特徴を踏まえると、次のようなお子さんは大手進学塾で力を発揮できない可能性があります。

こんな性格の子どもは大手進学塾に向いていないかも

  • あからさまな競争が苦手な子ども
      -  模試の結果を競い合うような雰囲気があります。友人との差やクラス変動に対応できず、雰囲気に負けて実力を発揮できないことも。
  • 気持ち面でのフォローが重要な子ども
      -  大人数のため、細かいフォローは充実していません。
  • 親が細かいフォローをすることができない子ども
      -  大手進学塾では子どもの弱点を分析したり、苦手を克服させたりしてくれないため、フォローして教えるのは家庭の役割。親が子どもの勉強や成績を見て分析し、スケジュールや体調を管理し、心のメンテナンスもしていかなければなりません。
  • 大人しくて質問に行けない子ども
      -  分からない点を自主的に講師に聞きに行けない場合、苦手を克服できない可能性も。
  • 決められたスケジュールで通えない子ども
      -  集団授業のため、曜日や時間に融通がききません。

大手進学塾で苦戦しそうなお子さんのイメージが湧いてきましたね。では、続いて個別指導塾に通っていた親子の失敗談を見てみましょう。 

個別指導塾に通っていた親子の失敗談

個別指導塾の特徴は「手厚いフォロー」。スケジューリングやカリキュラムもオーダーメイドで対応してくれるのが大半であり、問題集を個々のレベルに合わせて用意する塾も少なくありません。大手進学塾の競い合う雰囲気に馴染めない子でも、学習に取り組みやすくなります。では、個別指導塾に通っていた親子が後悔した点は何でしょうか?

ありがちな失敗①「子どもと講師の相性が合わなかった」

個別指導塾の肝はなんといっても講師と子どもの相性。長時間、一対一で向かい合う関係性のため、両者の信頼関係が非常に重要です。講師との相性がいまいちだと感じた場合、講師の交代が可能な塾が大半ですが、一度下がった子どものモチベーションを再度上げるのに苦労することもあるでしょう。

ありがちな失敗②「講師の指導力に不満があった」

集団授業のように、固定されたカリキュラムがあるわけではないため、講師の力量によってはなかなか基本から抜け出せないケースもあります。また、講師には、学生アルバイトとプロ講師という2タイプがいますが、学生アルバイトの場合、双方に甘えが出てしまう場合もあります。難関校への合格をめざすのであればプロの講師のほうが確実性が高いでしょう。(ただしその分費用も高くなります。)

ありがちな失敗③「複数の子どもを同時に見るシステムで、時間を割いてもらえなかった」

個別指導とはいっても、必ず授業が一対一というわけではありません。“マンツーマン指導”を“個々の面倒を見ている”という意味合いで使っている塾もあるため、実際には教師一人に対して生徒が複数名という塾もあります。

ありがちな失敗④「スケジュールに沿って進んでいるが、弱点のフォローが足りなかった」 「弱点でつまづいてしまい、スケジュール通りに勉強が進まなかった」

子どもに合わせたスケジュールで授業を進めることと、子どものつまづきや苦手分野を丁寧にケアすること。この2点を両立することが理想ですが、どちらかに偏ってしまうことも起こります。その場合、親から塾に意見を伝えることで、時間配分を調整してもらう必要があります。

では、ここまでの内容をおさらいしつつ、個別指導塾のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

個別指導塾のメリット・デメリット

【メリット】

  • 子どもに合った教師と巡り合えれば、すべての面で心強い
  • 生徒の予定に合わせて授業スケジュールを組むことができる
  • 勉強でわからないことがあっても質問しやすい (内向的なお子さんには重要なメリットです)
  • 家庭教師に比べると、問題集や受験データが塾にそろっている
  • 主に集団塾を利用しながら、苦手科目だけ個別指導塾や家庭教師を利用するケースも

【デメリット】

  • 一対一のために、つい甘えが出てしまう傾向がある

このような特徴を踏まえると、次のようなお子さんは個別指導塾で力を発揮できない可能性があります。 

こんな性格の子どもは個別指導塾に向いていないかも

  • ライバルがいないとだらけてしまう子ども
      -  競争心をバネに勉強するタイプの子どもは、モチベーションが高まらないかもしれません。
  • ひとりでコツコツ努力をするのが苦手な子ども
      -  自分のペースで勉強できることが個別指導塾の強み。一方で、自分のペースを見つけられないと、なかなか学習が進みません。

「信頼する大人に支えられながら自分のペースで勉強する」というスタイルのお子さんなら個別指導塾で力を発揮しそうです。では、最後に、地元密着の中小塾に通っていた親子の失敗談を見てみましょう。 

地元密着の中小塾に通っていた親子の失敗談

中小塾は、集団塾と個別指導塾の良いとこ取りが出来る可能性があります。塾ならではの情報収集力を活かしながら、講師やスタッフが個々の生徒に合わせて手厚く面倒を見てくれるケースも少なくなく、地元の友達とともに切磋琢磨しながら勉強することで、モチベーションも保ちやすいでしょう。では、地元密着の中小塾に通っていた親子が後悔したポイントはなんでしょうか?

ありがちな失敗①「子どもと講師の相性が合わなかった」「講師の指導力に不満があった」

中小規模の塾は、よくも悪くも講師の指導力頼みです。講師やスタッフの能力によってメリット・デメリットの程度も変わってきます。

ありがちな失敗②「地元以外の地域のデータを持っていなかった」

地元での受験には高い情報収集力を発揮できる塾でも、ほかの地域の学校に関するデータはもっていないケースがあります。

ありがちな失敗③「設備が小規模で、いつも自習室が満室だった」

大手塾に比べると設備が基本的に小規模で、活用できない可能性があります。

では、ここまでの内容をおさらいしつつ、地元密着の中小塾のメリット・デメリットをまとめてみましょう。

地元密着の中小塾のメリット・デメリット

【メリット】

  • 生徒の人数が少ないため、講師が生徒1人ひとりを認識して手厚く面倒をみやすい
  • 生徒が授業についていけないことに気づきやすく、臨機応変な対応をとりやすい

【デメリット】

  • 塾や講師によって指導力に差が出やすい
  • 入塾前に口コミ以外の情報はあまり得られない傾向があり、入塾するまで内情がわからないことも。

このような特徴を踏まえると、次のようなお子さんは中小塾で力を発揮できない可能性があります。

こんな性格の子どもは中小塾に向いていないかも

  • 人への好き嫌いが激しい子ども
      -  子どもと講師の相性が悪いからといって変更できるほど、クラスの数や講師の人数が豊富ではないことが多いでしょう。

ここまで、①大手進学塾、②個別指導塾、③地元密着の中小塾という3タイプの塾において、塾に通っていた親子の失敗談や、性格的に合わない子ども像を見てきました。ここまで読んで、我が子に不向きな塾タイプや、向いていそうな塾タイプが見えてきたのではないでしょうか

では、候補の塾が絞れてきたら、いよいよ塾見学に出かけましょう

次からは、塾見学の際に親が見定めたいチェックポイントを挙げましたので参考にしてください。

子どもにぴったりの塾を見定めるために、親が確認したいチェックポイント

塾見学に行くと、塾側から合格実績やカリキュラムについて丁寧な説明を受けるでしょう。それも大事なポイントですが、塾と子どもの相性を見極めるためには違った視点も必要。親が確認したいチェックポイントをまとめました。

【基本情報】

  • 立地
  • コース
  • 料金
  • セキュリティー

【授業の様子】

  • 塾生たちは集中して講師の話を聞いているか
  • 授業の雰囲気は子どもに合っていそうか

【設備について】

  • 自習室をはじめとする塾の設備は使いやすそうか。
    →自習室があるといってもスペースが狭かったり、席数が少なかったりする場合も。
  • 自習室のルールは守られているか
    → 子ども同士での私語や、回し手紙などに興じていませんか。子ども同士で質問し合い、お互いの時間を浪費してしまうケースもあります。
  • 自習室の見回りはあるか
    → 講師が目配りをすることで、子どもたちが自習室で効果的に勉強できるようになります。
  • 塾内が清潔に保たれているかどうか

【塾のシステムについて】

  • 授業を休んだ場合、振替できるのかどうか
  • 授業外のフォローはあるのか
  • 個別指導講師や集団クラスの変更は可能か
  • 保護者との面談の頻度はどの程度か

【実績について】

  • 合格実績の内訳
  • 講師の常勤率
    → 子どもに対して同じ講師が付くことで信頼性が生まれます。

【サポートについて】

  • 苦手単元克服のサポート
    → 苦手単元の克服にあたって塾側のとるサポート方法は、塾の指導形態や子どもの状況によって変わってきます。授業後、自習室で復習させて塾講師の手が空いているときに生徒へアドバイスするケースもありますし、集団授業と個別指導を併用させて担当講師間で連携してサポートに当たるケースもあります。
  • 家庭学習を軌道に乗せるサポート
    → 通塾していることで満足しないよう、どんな方法で家庭学習をサポートしているのかを確認してみましょう。塾に通ううえで大切なのは、スタート時点で学習を軌道に乗せることです。具体的なアドバイスをしてくれる塾はよい塾である可能性が高いといえます。
  • 志望校選定で失敗しないためのサポート
    → 第一志望校は割と早い段階で決まりますが、併願校の絞り込みは難航しがち。数多くの学校情報に詳しい塾であれば、偏差値以外の情報も加味して、親子の方針に合った志望校選びをサポートしてくれます。

こちらにPDF版も用意しましたので、ぜひプリントアウトして塾見学におでかけください!

子どもにぴったりの塾を見定めるために、親が確認したいチェックポイント(PDF版)

 子どもがモチベーションを持って通ってくれる塾が一番

少し古いデータになりますが、2012年にベネッセが中学受験を予定している小学校6年生の親にアンケートを取ったところ、4割強(44.3%)が受験をやめさせようと考えたことがあると回答したそう。その理由の上位に上がっていたのが、子どもがやる気にならないことや、子どもの疲れ・ストレス、生活のゆとりの無さなど、子どもの負担に関する意見でした。

ベネッセ教育総合研究所 中学受験に関する調査 [2012年] (外部サイト)

イヤイヤ机に向かうのと、自主的に勉強をするのでは子どもへの精神的な負担量は異なるはずです。塾が子どもの「やる気スイッチ」をうまく押してくれて、子どもがある程度主体性を持って受験勉強に臨んでくれたら、子ども自身はもちろん、家庭の負担や悩みも軽くなるはずです。

今回の記事が、塾選びで悩むみなさまのお役に立つことを願っています。

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