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2024.06.10

機能不全家族とは?特徴や子どもへの影響、立て直し方を専門家が解説

皆さんは、「家族」というと、どのような姿を想像されますか。よく「理想の家族」として挙げられものには、アニメの「クレヨンしんちゃん」や「サザエさん」、「ムーミン」シリーズのムーミン一家などがありますよね。しかしながら、そんな理想の家族は実在するのでしょうか。「なんかモヤモヤする」「理想と違う」「小さい問題が山積みで手の付けようがない」など家族について悩み、苦しんでいる方もおられます。そのようなお悩みの皆さんがインターネット検索をすると、「機能不全家族」という言葉を目にするかもしれません。そこで本記事では、そのような「機能不全」にある「家族」にかかる問題や子どもへの影響、アダルトチルドレンとの関係、改善方法などについて執筆します。

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記事を執筆したのは…

新井寛規さん

小規模フリースクール「ろぐはうす」センター長。小学校教員、児童養護施設児童指導員、学童保育士、市家庭相談員を経て、2018年大阪府に学習生活支援センターろぐはうすを設立。現在、大学教育学部非常勤教員、保育士・教員養成専門学校の教員、保育士国家試験予備校非常勤講師、市府県放課後支援員研修講師、市府県子育て支援員研修講師、保育教育児童福祉コンサルティング、啓発活動を行っているほか、「境界に生きるー。」(UTSUWA出版)などの著書も手掛けている。

そもそも家族とは?

みなさんにとって、家族とはどこからどこまでを指しますか?

ペットである動物は家族でしょうか。実は、民法上の「家族」という定義はありません。法律関係でいうのならば、雇用保険法第61条に「配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ)、父母及び子(これらの者に準ずる者として厚生労働省令で定めるものを含む)並びに配偶者の父母」とあります。また類似する言葉として、「親族」「血族」「姻族」「親戚」「世帯」などの言葉が多く存在し、これらはある程度定義づけられています。

ここで私が大事だと思うことは、「理想の家族」という言葉自体にとらわれてしまい、それに近づきたいがために苦しみ悩む方が非常に多いということです。そもそも、冒頭に挙げたクレヨンしんちゃんやサザエさんなどの家族は、「家族」という定まったものがない以上ただの一例でしかなく、目指すべき理想像ではありません。理想とされる家族と自分が属する家族ではいろいろな条件が異なるので、同じような家族になることは不可能に近いと言えるでしょう。

家族を定義してしまうと、ペットは家族になり得ません。ですからこの記事において家族とは、「血縁・婚姻関係等がある、共同生活を営む集団(ただし、その関係については言及しない)」とします。要するに、一緒に住んでいるフワッとした共同体こそが家族なのです。

機能不全家族とは?

さて、そんな「家族」ですが、同居して共同生活を営む以上、それぞれの「役割」を全うし、システマチックに機能しなければいけません。

たとえば夫のAさんは働かず、大食漢で暴言を日常的に吐露しているとします。妻のBさんは、日中働き子どもCの世話もしていたとすれば、BさんとCがいれば家族として成立します。Aさんは収入がなく、食費はめっぽうかかる上にBさんやCの精神的なストレスの原因になっている状態ですので、家族の中の役割や価値は皆無です。ですから、こうした家族は「機能不全」を起こしていると言えます。

一方で、システマチックな機能だけの問題ではなく、家族関係上の感情面も大きいのが「不全」の難しいところです。仕事も地位も安泰、お金もあり周囲がうらやむ関係であっても、家族間のコミュニケーションが不十分であったり、健康状態や精神状態が悪く課題を抱えている場合もあります。ですから、見方によってはこうした家族も「機能不全」と言えるでしょう。

親自身が育った家庭環境も影響している

さらに、家族全体として捉えた際の特性について、ビーバーズは「遠心的家族」と「求心的家族」の 2 類型を用いています(Beavers1993)。遠心的家族とは、「家族を外側に追いやる力」が強い家族を意味し、求心的家族は「家族内に吸収し埋没させる力」が強い家族を意味します。※

例えば、思春期の子どもに対してこの家族システムが働くとしましょう。遠心的家族システムがはたらくと、子どもは外で非行を繰り返すようになります。また求心的家族システムによって、家から出られない引きこもりや不登校の子が出てきます。そして、遠心的家族で育った母親の家族像と、求心的家族で育った父親の家族像は異なります。こうした家族全体の機能から見ていくと、個人間の問題と家族という小集団間の問題が複雑に入り混じっていることがわかります。

個人の感情や状態の問題はもとより、夫婦が育った環境による家族感や子育て観の違い、家族全体の機能の問題が影響しているのです。何をもって「機能不全」とするかという判断すら、専門家による多角的な視点がなければ難しいかもしれません。そのうえで家族と機能の問題は、現代において「増加している」と言われています。

※【出典元】家族の機能不全と虐待に関する試論. (菅野恵・2012).帝京大学心理学紀要2012.NO16. pp.23-27 

機能不全家族の5つのタイプとは?

それではここで、大まかではありますが機能不全家族のタイプ分けをしてみます。(あくまで私が経験してきたケースを大別しているため、そのあたりはどうかご理解ください)

①役割不全タイプ

一番イメージしやすいのがこのタイプです。個人間の役割や、個人の機能に課題があるケースです。

例えば、その人における家庭内の役割(育児・家事・介護・精神的な支え、家族間の調整など)がある程度与えられているにもかかわらず、その役割を全うできない人がいる場合などが該当します。また家族間の役割は、出産や育児、転職、子の自立、介護など、人生におけるライフイベントにより変化します。こうした変化に適応できない家族がいる場合も、役割不全(適応不全)と言えるでしょう。

さらに与えられている役割自体が「あっていない」場合も散見されます。男性であっても、家内で家事や育児をする方がパフォーマンスを発揮できる人もいますし、女性であっても家庭内のことよりもビジネスに向いていることもあるかもしれません。これはバランスの問題もあるでしょうが、単純に「家族はこうすべき」という視点のみで考えることは危険です。

父母をはじめとする家族の虐待などはもしかすると、そうした父母が父母としての役割が「あっていない」と捉えることができるかもしれません。そう考えるととても怖いですよね。

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②機能矛盾タイプ

家族機能そのものが瓦解していたり、不可能に近い役割を与えられている場合が該当します。たとえば、夫に「年収1000万以上ないと無理」「でも1日8時間しか働いたらダメ」「通勤時間は30分までよ」などを要求する妻がいた場合、どうでしょうか。夫の役割として、かなり厳しい状況と言えますよね。

また、妻は「仕事・家事・食事・掃除・育児」担当で、夫は「仕事」担当のみという場合は、機能にかなりの偏りがあります。もちろん、家族内部の詳細が不明な場合は、外側から判断はできません。ですが、だからこそ負担のバランスがおかしいことに、当事者たちは気付けないのです。毒親問題やヤングケアラーなどは、このタイプに陥っている可能性があります。

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③放任タイプ・依存タイプ

このタイプは、先述した「遠心的家族」と「求心的家族」の家族システムが関係しています。

外に出そうとする家族機能は良く捉えた場合、家族という縛りから脱却し、それぞれが主体的な活動を行うことが可能です。しかし、家族というつながりが希薄化し、家族なのにバラバラになってしまい、不安定になったり不安を感じたりする要因となります。これは、ネグレクトや放置子問題と非常に関係があると私は考えています。

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また、家庭内のつながりを大事にしすぎると、互いを縛り合い、そこから抜けられなくなってしまいます。いわゆる「共依存」や「過干渉」につながるのです。こうした状態から抜け出すためには、お互いの認識を大きく改善しなくてはなりません。

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④一時的不全タイプ

怪我や病気、事故や離職などの大きなイベントやトラブルが起こってしまった際に、一時的に家族機能がマヒしたような状態になり、機能不全を起こしてしまうタイプです。

この場合は、だいたいの家族は家族機能の修復を行い、機能的活動を取り戻すのですが、中にはそうしたトラブルがきっかけで家庭が崩れてしまったり、精神的支柱にある人が不在となり、家族機能全体に大きなマイナスの影響が出ることもあります。

⑤外的(環境)要因タイプ

家族という小集団は機能的にうまくまわっているにもかかわらず、外的な要因や環境によって家族機能が不全状態に陥っているケースです。

例として、近くに住むどちらかの実祖父母や義理祖父母から金銭をせびられたり、お隣さんから無茶苦茶なクレームを受けたり、ブラックな会社からの無理な要求(1年に1回地方に転勤といったことが、数年間繰り返される/残業時間が月200時間を超えているなど)が常態化しているなどのケースが考えられます。

こうした家族は外敵から身を守るため、結束が強くなることもあります。しかし、外的要因が大きすぎると、内部から崩れてしまうこともあるのです。

機能不全家族の特徴とは?

ここまで「機能不全家族」のタイプについて紹介してきましたが、では実際にどのような特徴があるのでしょうか。アメリカのセラピストであるクリッツバーグの著書である『アダルトチルドレン・シンドローム: 自己発見と回復のためのステップ』によれば、具体的には、以下の8つが挙げられます。

①強固なルールでの生活を強制する                                

②家族構成員に強固な役割がある

③社会に対して、家族で共有されている秘密がある

④家族の中に他人が入り込むことへの抵抗が大きい

⑤家族間のプライバシーがなく、境界があいまいである

⑥家族への忠誠が強いられていて、家族から去ることが許されていない

⑦家族間の葛藤は否定されて無視されている

⑧家族のあり方の変化に抵抗する家族としてのまとまりは分断され、統一性がない

では、このような家庭で育った子どもや大人への影響は、どのような形で現れるのでしょうか。ここからは、上記8つの特徴を掘り下げ、これらの特徴に至る背景などについても考えてみます。

機能不全家族の特徴が引き起こす問題とは?

先述したように、機能不全家族には様々な対応と原因があり、課題が入り混じっています。ですから、「このタイプはこうした特徴がある」という決まり事はありません。そのうえで、そうした様々なケースによって、下記のような問題が起こりやすいとされています。

【1】家族の安心感や安全性を奪い、毒親や虐待を生みやすい

該当する特徴①強固なルールでの生活を強制する②家族構成員に強固な役割がある⑦家族間の葛藤は否定されて無視されている 

機能不全を起こしており、家族がバラバラである以上、誰かが支配者となり独裁的な集団にしなければまとまらない、という理論は、頭では理解できますよね。だからこそ、規律を詳細に明記し、家族の役割も全て断定してしまいます。しかし、こうした支配的な関係性は、精神的なストレスと直結している場合が多いので、構成員(他の家族)の安心感や安全性を奪うことになります。意見や口答えも許されません。軍隊的な集団あるいは「昭和のがんこ親父」もこうした特徴をもっています。毒親や虐待など、多くの問題のトリガーになるかもしれません。

【2】性的虐待や身体的虐待が起こりやすい

該当する特徴③社会に対して、家族で共有されている秘密がある④家族の中に他人が入り込むことへの抵抗が大きい

日本には、昔から「うちはうち、よそはよそ」という考え方があります。ただでさえ、家庭間の踏み入った話を公共の場で共有することはあまりないでしょう。さらに、社会に対しての秘密やうしろめたさ(例えば子どもや高齢者を虐待をしているなど)がある場合は、「外」に漏れないように、強固なクローズド・コミュニティが形成されやすくなります。こうしたコミュニティの中では、性的虐待や身体的虐待が起こりやすくなります。

【3】閉ざされた関係性により、虐待・洗脳・毒親・ヤングケアラーなどの問題が起こりやすい

該当する特徴⑤家族間のプライバシーがなく、境界があいまいである

あまりに家族同士のつながりが強くなると、家族間のプライバシーそもそもがなくなってしまい、家族間の同一化現象がおこります。これはある意味「共依存関係」と言えるでしょう。
こちらも【2】性的虐待や身体的虐待が起こりやすいと同様に「閉ざされた関係性」になりやすいため、やはり虐待、洗脳、毒親、ヤングケアラーなどの問題と関わりがあります。

【4】家族という枠の中から出ていくことができない

該当する特徴⑥家族への忠誠が強いられていて、家族から去ることが許されていない⑧家族のあり方の変化に抵抗する家族としてのまとまりは分断され、統一性がない

これもある種の強制や制限ですが、地域性や家族の所属するコミュニティなども影響すると思われます。「絶対に地元で就職しないといけない」「よそ者の婿をもらうことは許されない」などのムラ社会的な関係性を強要する地域やコミュニティは、日本においても存在します。

家族構成や家族内での立場が「機能不全家族で育つこと」に与える影響とは?

ここで具体的な立場を踏まえて考えてみましょう。

ケース1:長女と長男のきょうだいの「長女」の場合

強烈なルールによる束縛や、役割の押しつけがある場合、長女はもっとも家庭の中で役割を担いやすいと言えます。特に、シングル家庭や母親が精神疾患で活動量が低い場合は、掃除洗濯などの家事にはじまり食事や介護、幼い弟の世話など、ヤングケアラーを通り越して従属的な扱いを受けている子どもも少なくありません。

さらにに怖いのは、家庭内における過度な役割や期待に慣れきって順応してしまい、そうした過負荷な環境を「自分は必要とされている」と認知を歪めてしまっている場合があることです。

ケース2:一人っ子の「長男」の場合

一人っ子長男によくあるのは、過保護すぎるケースです。「別に多少の過保護なら良いのでは?」と感じるかもしれませんが、とんでもないです。過保護から「過干渉」に移行することが多く、過干渉となった場合、親は何でも子どものせいにして子どもをコントロールしようとしたり、支配下に置いて指示命令を繰り返してしまうことがあります。これも適切な親子関係ではなりません。母子や父子という役割を超えた関係による、機能不全と言えるでしょう。

また夫婦関係に課題がある場合は、その影響をダイレクトに受けて1人で抱え込むため、心身へのストレスがかかりやすいと言えます。

ケース3:3人きょうだい(長男、長女、次女)の「次女」場合

ケース2と異なりきょうだいの数が多ければ、家庭不和の影響が分散して楽になることもあります。しかし、それはあくまで表面上そう見えるだけで、実際は複雑なきょうだい関係が渦巻いていることも多いと感じます。

特に末っ子は兄や姉の影響を受けます。非行に走る兄、ひきこもる姉など、機能不全がかなり深刻な状況となっている状態で思春期などを過ごすため、「もうどうしようもない」と感じて諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。やがて心をふさぎ何も感じなくなり、社会に出ていくことができたとしても、典型的な愛着の課題を抱えていることも少なくありません。

アダルトチルドレンと機能不全家族の関係性とは?

アダルトチルドレンはアメリカのソーシャル・ワーカーだったクラウディア・ブラック(Claudia Black)が、アルコール依存症患者の親を持って成人に達した人たちに、いくつかの共通点があることに気づき、彼らをAdult Children of Alcoholic と呼んだのが起源とされています。

当時のアメリカではアルコール依存症が社会問題となっており、アルコール依存症の患者の子どもたちは、反社会的な行動を起こすと言われていました。しかしながら酒害家庭だけではなく、機能不全家族による養育を受けた子どもたちにも同じ特徴がみられることが分かり、現在のAdult Children of Dysfunctional Family(機能不全家族で育ったアダルトチルドレン)という表記になったという歴史があります。こうした背景からみても、アダルトチルドレンと機能不全家族は、強い関係性があることがわかるでしょう。

アダルトチルドレンの特徴は、自己認識能力や自己肯定感が低い、他人の意見に流されてしまい主体性がない、感情のコントロールが苦手、自己犠牲的判断をするなどがあります。こうした特徴が生じる背景には、「機能不全家族」による養育環境があるのです。機能不全家族やアダルトチルドレンの遺伝的要因は確証がないとされているものの、再生産されることが多いと言われています。改善の一歩として、自分のせいだと抱え込むのではなく、まず立ち止まって考えてみることが重要です。

機能不全家族を立て直す方法とは?

ここまで、機能不全家族の特徴と問題点について述べてきました。それでは、具体的にはそんな家族をどのように立て直していけば良いのでしょうか。

家族を立て直す内的アプローチ

現代の日本のカウンセリングにおいて、最も多く用いられるのが内的アプローチだと思います。つまり、その人個人の心に訴えかけて、思考や悩みに直接アプローチする方法のことです。具体的には、認知行動療法などによる自己肯定感の補填、抑圧感情の開放、メタ認知的視点による認知の矯正などが挙げられます。
機能不全におけるいくつかのタイプを記載しましたが、多くのタイプは「家族」における考え方や捉え方が偏っていて、「こうあらなければならない」「家族とはこういうべきだ」という思考に囚われています。ただ、対象者の周囲がそれに気付いたとしても、当の本人は全く気付かないケースがほとんどでしょう。ですから、少し別の視点からアプローチしても良いかもしれません。夫の決めつけがひどい場合は「子どもへの影響があるから」と伝えてみたり、仕事や収入などの興味関心が高い事柄から話してみても良いでしょう。

家族を立て直す外的アプローチ

次に、外的なアプローチも忘れてはいけません。先ほどお伝えした内的なアプローチは個人の心にフォーカスしますが、一方で外的なサポートは「徹底的な現状把握」と「資源の確保」です。問題や課題の核心がどこにあり、周囲にある使えるもの(人やサービス、情報など)を整理します。これも多くの人は、なかなか気付けないことが多い印象です。

家族機能に何らかの課題があるときは、それを補う外的資源がある場合と、全くない場合では生活が違ってきます。たった少しの変化でも、日数がたつ中で大きく作用するものはあります。

実際にあった相談の事例

以前私に、女性から「義理の両親からの子育て介入が辛い。自身の子育てが否定された気になる。うつ状態かもしれない」という相談がありました。家庭のルールにまで口出しをされており、女性の夫も認識しているけれども、自身の親だから強く言えない(むしろ夫は一緒になって子育てに関するダメ出しを日常的にしてくる)とのことでした。

この場合は妻が相談者だったので、子どもへの影響の確認や、義理の両親は孫に依存している状態ではないか、という話をしました。しかしながら、義理の両親からこの女性が虐待を受けている、とは断言できない状況でした。ただ、妻が夫に「本当に辛い」ということを正確に伝えられていないと感じたので、その伝え方をサポートしました。このサポートはまさに内的アプローチと言えます。

さらに、外的アプローチとして夫と義両親と、自分の両親との接点を意図的に増やすように伝えました。距離的にこれまでどうしても義両親と会う時間が多かったのですが、妻の精神的な安定や、環境改善のためにも自分の両親とももっと関わる必要を感じたからです。

こうした状況を確認しつつ、適切な道筋を考えるためには、自分1人では難しい場合があります。友人や周囲の人に相談できる環境にいない方は、専門家への相談も視野に入れてみてください。

専門家への相談もおすすめ

主な相談窓口としては、市区町村にある家庭福祉や子育て支援課などの相談窓口があります。法的な相談は弁護士がやはり有効です。市区町村によっては法律相談窓口があったり、そうした日が決められている場合が多くあります。また法テラスも活用しましょう。

そして自身に精神的な課題がある場合は、精神科のある病院で受診してみることをおすすめします。家族関係の民間のカウンセリングサービスを受ける場合は、公認心理士や臨床心理士などの専門資格の有無と実績を必ず確認してください。ソクたま相談室にも優秀な専門家が多く在籍していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

※参考文献・URL

レイモンド・M. ジャミオロスキー『わたしの家族はどこかへん?: 機能不全家族で育つ・暮らす (10代のセルフケア 5) 』‎ 大月書店

アダルトチルドレンの由来. NPO法人日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン.

ウェイン クリッツバーグ『アダルトチルドレン・シンドローム: 自己発見と回復のためのステップ』‎ 金剛出版

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新井 寛規

小規模フリースクール「ろぐはうす」センター長。家庭教育師。小学校教員、児童養護施設児童指導員、学童保育士、市家庭相談員を経て、2018年大阪府に学習生活支援センターろぐはうすを設立。現在、大学教育学部非常勤教員、保育士・教員養成専門学校の教員、保育士国家試験予備校非常勤講師、市府県放課後支援員研修講師、市府県子育て支援員研修講師、保育教育児童福祉コンサルティング、啓発活動を行っているほか、「境界に生きるー。」(UTSUWA出版)などの著書も手掛けている。

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