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2022.01.12

私たち共依存夫婦?依存する夫・妻の特徴や夫婦を待ち受ける末路とは?

周りから”仲良し夫婦”と思われている私たち夫婦。でも、「夫(妻)がいないと生きていけないかもしれない」と思っている今の状態は依存状態なのかも。支え合って生きていく夫婦が陥りがちな夫婦の共依存の特徴や行き過ぎた共依存夫婦の末路、脱却方法などを公認心理師の吉田純一さんが解説します。

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記事を執筆したのは…

吉田純一さん

公認心理師。36年間の中学校教員を経て、現在は教育現場で児童生徒、保護者、教職員のカウンセリングを行っている。今まで受けた相談件数は500件以上。

共依存の定義とは?

共依存がどんなものかを考える前に、そもそも依存症とはどんなことなのでしょうか。

厚労省のサイト「e-ヘルスネット」に書かれている健康用語を調べていると、依存症の定義は、“物質(アルコールや薬物など)や行為(ギャンブル、買い物など)への(特定の)何かに心を奪われ、やめたくても、やめられない状態になること”とされています。

夫婦の共依存も上記と同じような心理状態にあるといえますが、対象は物や行為ではなく人(依存症者)に対して依存している状態です。

同サイトでは、共依存は下記のように定義されています。

依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様

引用元:e-ヘルスネット

上記の定義にあてはめると、共依存状態の夫婦は、単に夫婦が互いに寄り添っているという状態ではありません。

相手にとって「自分が必要な存在である」と考えることで、離れることも自立することもできなくなり、互いに依存し合っている夫婦関係になってしまっている状態です。

ただし、共依存夫婦は、夫と妻が同じレベルで依存し合っているとは限りません。片方が一方的に依存する状態でも成り立ちますが、片方からの依存が強過ぎると相手が覚めてしまって共依存が壊れてしまい夫婦関係は破綻に向かいます。

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共依存状態の夫婦の特徴とは

それでは、具体的に、共依存状態の夫婦の特徴を見てみましょう。

【特徴①】常に行動を共にし、一心同体感が強い

共依存夫婦には、常に行動を共にし、一心同体感が強い傾向があります。

好きで一緒に居たいというより、相手を独占したいと思う気持ちが潜在的に働き、行動を共にすることで一体感を満たしているのかも知れません。周囲からは、仲良し夫婦に映っていることも多いです。

【特徴②】連絡をする回数が多すぎる

一緒に居たいという思いは、仕事や用事で離れているにときには、電話やメール、SNSで過剰に連絡する傾向があります。

最初は単に回数が多いだけでも、次第に「今どこにいるの?」「何をしているの?」「誰といるの?」など、相手の状況を根ほり葉ほり聞いてしまうようにエスカレートします。

さらに、相手が電話に出なかったり、返信しなかったりする場合は、不安が増大。連絡する回数はどんどん増えていきます。その行為がエスカレートし過ぎるとやがて夫婦関係も破綻が生じるかもしれません

【特徴③】夫(妻)のことをすべて知っていないと気が済まない

共依存状態に陥っている場合、「自分が支えなければ、夫(妻)は、途方にくれてしまう」と考えています。そのため、妻(夫)のことをすべて知っていないと気が済まなくなります。

その気持ちは、「相手を助けるためには、相手の行動を予測し、相手の気持ちに配慮しなければならない」と考えているからなのですが、相手に理解されない場合、「監視されている」と思われて何も教えなくなるかも知れません。

そうなると、ますます相手のすべてを知ることに執着してしまい、「助ける」ことではなく「知ること」だけが目的になってしまい、やがて互いの意識に大きな溝ができてしまいます。

【特徴④】必要以上に相手の許可を取ろうとする

お互いの干渉や束縛が強くなると、自分の行動や言動が期せずして相手を怒らせ、不安にさせてしまう場合があります。そんな衝突を避けるために、共依存夫婦は事前に自分の行動に相手の許可を取ろうとします

本来は、相手(夫や妻)の気持ちを思い遣っての対応から許可を取とうとしていても、許可を取ることが当然のことになってしまうと、夫婦関係が支配と従属といった関係になってしまうケースもあります。

共依存に陥りがちな妻・夫の特徴

共依存夫婦になる夫婦の中には、性格的に人に依存しやすい、あるいは依存されやすいといったタイプの人もいます。

以下に、共依存に落ちりがちな妻・夫の具体的な特徴をあげています。あなたは、大丈夫でしょうか?

【共依存になりやすい①】孤立するのが不安な性格

孤立することが不安なので、他者への関わり方は誰よりも穏やかで、礼儀正しい側面があります。周りからは良い人思われているかも知れません。

【共依存になりやすい②】親の愛情が不足していた

生まれ育った環境で親の愛情が不足していたり、経済的にゆとりがなったりした場合、ひとりの大人として自立することが困難で、必然的に他者に依存しやすくなってしまうこともあります。

【共依存になりやすい③】相手に尽くしすぎる

自分を頼ってくる相手が愛おしく、つい相手に尽くしすぎることはありませんか?

相手のだらしないところや不十分なところを見ると、「私がいなければ、相手(妻や夫)は、生きていけない」と思い、いつまでも援助の手を差し伸べ、尽くしてしまうのです。

優しさによる行動にみえるかもしれませんが、相手の自立や、反省の機会を奪い、一層共依存の関係が強まる状況を作っています

【共依存になりやすい④】頼られるのがうれしい

自分を頼ってくる相手(妻や夫)に、持ちつ持たれつの関係ではなく、一方的に相手を支え続けている関係になっていませんか?

しかも、支えることが嫌ではなく、「頼られてうれしい」と感じて支えることに幸せに感じてしまう人は依存に注意です。

支え続けることは、経済的にも精神的にも決して楽なことではありません。支え続ける姿が、悲壮感を漂わせている事さえあります。

【共依存になりやすい⑤】NOと言えない

相手に嫌われたり、自分から離れていくことを恐れて「NOと言えない」人間関係を築いてしまう人も共依存に要注意です。

相手の気持ちの変化に怯えた人間関係では、相手の意向に合わせてしまうようになります。

【共依存になりやすい⑥】経済的に自立できていない

女性に多く見られる傾向です。日本の古い家族観から、女性は外で働くよりも家事や育児に専念し、夫を支えるといった考えが残っています。

そのため、家計の収入は夫に頼り、妻は経済的に自立できていないという家庭も少なくありません。

収入のない妻は、経済的に頼らなければならなくなり、夫は見返りとして、自身に尽くすことを当然と考え、結果的に経済的なこと以外は妻に依存していしまうことで共依存関係が作られていきます。

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事例で解説!夫婦共依存が危険な理由、末路とは

お互いに寄り添い、健気に相手に尽くしている夫婦は、理想的な関係に映るかもしれません。

しかし、共依存が過ぎることが何故危険なのでしょう。

共依存の関係が、夫婦や家族にどのような影響があり、その末路には何が起こることが予測されるのでしょうか?いくつかの事例から考えてみましょう。

【事例①】無自覚の共依存夫婦に溝を深めていくだけ

夫のAさんは、学歴もあり、経済力もあります。再婚した若い妻は、仕事を辞め、優しく知識も経済力もある夫に頼りきっており、夫の身の回りの世話をすることや工夫した食事を作ることなどが生き甲斐となっています。

しかし妻は内心、「帰りが遅い」「連絡が返ってこない」ことに満たされない思いが募っていました。

夫のAさんも、「妻はいつも家にいるもの」と考え、自分が帰宅しても妻が家にいないと、怒りの感情が生じるようになりました。

お互いに、自分の思いが相手に伝わっていないと感じる度に、言い争いが始まりました。いつしか「私は(夫も妻も)こんなに、相手の為に尽くしているのに」許せないと、夫婦の間には埋められない大きな溝が出来上がってしまいました。

無自覚の共依存夫婦の怖さ

夫婦ともに、相手に尽くしているということから、自身が依存者であることに気付いていません。しかし、妻はAさんに尽くすことに生きがいを感じている点でAさんに依存しています。また、Aさん自身も育児や家庭生活の上では、妻に依存しているといえます。

お互いが共依存とは気づかないまま夫婦関係を続けても溝が埋まっていくことは難しく、溝は深くなっていくばかりでしょう。改善していくためには、まずは自分たちが共依存関係にあるということに気付かなければならないでしょう。(吉田さん)

【事例②】モラハラ共依存夫婦は離婚へ一直線!?

専業主婦のDさんは、幼い3人の子どもを育てています。ですが、夫は外で酒を飲んで、夜中に電話で妻に車での迎えを頼むような性格。

自信なさげなDさんは、友達から「そんな無理な要望には従わなくていいよ」と言われますが、断ることができません。そのうち、Dさんには怒られることが怖くて正直に言えない夫への秘密が増えていきました。

そして、 いつか秘密がばれるのではないかと怯えるようになり、夫への気持ちも冷めていきました。

依存が強くなり過ぎて夫婦は崩壊へ

Dさんの献身的な行動は、依存の典型ともいえます。また、夫のモラハラ的な言動もDさんの優しさに依存したものです。Dさんが夫の機嫌を損ねたくないと、秘密を重ねることは共依存を強くする行動となります。しかし、秘密を背負った重荷からDさんが解放されることはなく、その重さに耐えられなくなったDさんの夫への愛は冷めていき、結果的に夫婦関係の崩壊を招くことになっていくのです。

夫婦の関係にはさまざまな形があって当然です。ですが、共依存が進むと、埋められない大きな溝を作ってしまったり、夫婦関係が破綻したりする未来がまっているかもしれません。

共依存夫婦を脱却するための方法

「もしかしてうちは共依存夫婦?」と考えている場合、共依存夫婦を脱却する方法もあります。

【脱却方法①】精神・経済的に自立を目指す

共依存の夫婦は、結局は両者が相手に依存した生き方を選択しています。

一方がその関係を自覚し、依存を止め自立することができれば、共依存は成り立たなくなります。

しかし、自立とはどんな状態でしょうか。分かりやすいのが、経済的な自立です。専業主婦の場合、すぐに「経済的な自立を」といわれても難しいかもしれません。では、自分の生き方を見直すなど、精神的自立を目指すことはできないでしょうか。

精神的な自立とは、他人に頼らず自分の考えや意思で決定することです。相手の考えに従い、自分の意思で決定できない状況は自立ではありません

では、相手のことを考えずに自分勝手にふるまっているのは、精神的に自立しているかといえば、そうではありません。精神的な自立とは、他者の気持ちや考えを理解した上で、自分の考えや意思をまとめて決定をするということです。

   

  • 新聞を読む
  • 読書をする
  • 尊敬する人物を見つける
  • 趣味や資格にチャレンジする
  • 自分の考えを明確にする
  • 短期・中期・長期の目標を立てる

上記のような取り組みを始めることで、周囲の意見や考えを受け入れつつ自分の考えをもつ練習を始めてみてください。

【脱却方法②】別居や離婚など物理的に距離を置く

共依存の関係は、両者が常に相手の存在を求めている関係であり、物理的にも近い距離にいるのが自然な状態です。

精神的に切り離すことが困難な場合は、別居や離婚など物理的に距離を置いてみることも共依存を脱却する上で有効な手段になります。

相手の入院や死亡で、やむを得ず離れ離れとなったことで、共依存の関係にあったことに初めて気づいたというケースも多くあります。

【脱却方法③】自分のためにカウンセリングを受ける

共依存関係を改善できない理由のひとつが、自分自身にその自覚がないことです。

これまでの記事を読んで、「もしかして、自分たちも共依存夫婦かも?」と、思い当たる節があるならば、まずはカウセリングを受けることおすすめします。

前述の通り、共依存に陥りやすい背景には親からの愛情不足など、自分の力だけでは解決できない問題もあります。

カウンセリングを通して、共依存の関係を自覚するとともに自分の中にある共依存の芽を見つけることができれば、解消への大きなスタートとなります。

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【脱却方法④】夫婦でカウンセリングを受ける

妻か夫のどちらかだけが共依存の関係にあることを自覚しても、相手が共に改善しようと立ち上がらないと、関係の修正には時間がかかります。

夫婦でカウンセリングを受けることで、お互いが自覚を持つことができれば、改善に大きく近づくことができるでしょう。

夫婦が共に自立を目指すことで、相手の存在を真に慈しみ、敬い、支え合う関係へと昇華させることができるのではないでしょうか。

共依存夫婦が生まれる背景には、日本の古くからの家族制度が少なからず影響しています。夫婦同一姓では、ほとんどが男性の氏を名乗ることから、無意識に女性が男性に依存する生き方が普通と考えています。内助の功とは、女性の生き様となっています。

近年、女性の社会進出が進み、専業主夫といった言葉も生まれていますが、この場合も、一方が依存するという生き方では、同じです。

共依存を解消することは、結局は、夫婦がどちらも相手に依存するのではなく、それぞれ自立した生き方をすることにつながります。

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吉田純一

公認心理士。36年間の中学校教員を経て、現在は教育現場で児童生徒、保護者、教職員のカウンセリングを行っている。今まで受けた相談件数は500件以上。共著に『環境授業に使える面白クイズ』(明治図書)『新しい問題解決学習の授業展開』(ぎょうせい)などがある。

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