【英語教師が教える】初心者でも無理せず上達できる勉強法&教材とは
学生時代に勉強したはずなのに英語が苦手!という人は少なくありません。「一から勉強し直すなら何から始めたらいいの?」「教材は何が続けやすい?」など、英語初心者の疑問とやる気に英語講師の石黒恵里子さんがこたえます。
英語学習が続かない理由とは
これまでも独学で英語学習を始めたものの途中で挫折したという経験がある人は多いかもしれません。英語学習が続かない理由は、次のようなことが考えられます。
【理由①】英語に苦手意識がある
中高時代の英語の授業や受験勉強で芽生えた苦手意識が尾を引いているケースです。また、引っ込み思案などの性格で英語を使って話すことが苦手だったり、英語が通じなかった挫折経験が忘れられなかったりするケースも考えられます。
【理由②】勉強方法が分からない
どんな勉強をしたらいいのか、どんな勉強法が自分に合っているのかが分からず前に進めないというケースです。
【理由③】時間管理やモチベーション持続の問題
仕事や家事、育児で日々忙しく、なかなか英語学習の時間を作ることができない人も多いことでしょう。また、英語への関心はあるのに、”勉強”となると「つまらない」と感じてしまったり、自分に合わないやり方で取り組んだりしてモチベーションは下がってしまったという人も少なくありません。
ですが、上記のような理由があるということは、それらの理由を解決すれば、英語学習はできるということです。
例えば、忙しい人は生活スタイルに合った方法、学校の英語の勉強が合わなかった人は違う方法で勉強するなど、「今まで挫折したから、今回もきっとできない」と諦める必要はありません。
モチベーションをキープさせる3ステップ
上記の【理由③】にもあるように、いくら最初はやる気があっても、その気持ちをキープするのは難しいですよね。また、【理由①】のように英語を「やらされていた」ことで苦手意識を持っている人もモチベーションをキープするのは難しいはずです。
そこで、おすすめするのが自分でゴール(目標)を設定することです。ゴールは自分の目指す英語レベルに匹敵する「大きなゴール」と、そこまでの過程にクリアしていく「小さなゴール」の2種類を設定。自分で学習計画を組み立てていくことで日々のやる気や充実感が変わっていきます。
【ステップ①】大きなゴールを設定する
大きなゴールは、例えば「ほめ言葉の表現のバリエーションを増やしたい」「資格試験に合格したい」といった英語学習を始めた理由や目的のこと。大きなゴールの内容によって学習内容は変わっていきます。
前者の「表現のバリエーションを増やしたい」場合は、語彙や表現方法を身に付けていくことが大事で、後者の「資格試験への合格」であれば、資格用の勉強が必要になりますよね。
そのため、実際に勉強を始める前に「何をしたくて英語を勉強するのか」ということを考え、大きなゴールを設定することはとても重要です。
【ステップ②】大きなゴールは具体的な内容にする
大きなゴールは、具体的に設定することも大切です。下記の2つのゴール例を見てください。
- 半年で話せるようになる。
- 半年後、旅行先で現地の人とやり取りをして買い物や食事ができる。
具体的なのは、明らかに②ですよね。具体的にゴールを設定することでも日々の学習内容が変わります。
①の漠然とした「話せる」ということに対して、②の場合は、買い物や食事の場面を想定でき、入店から会計までに使うフレーズを覚え、状況を想像しながら声に出す練習が必要だと認識できます。
また、必要なフレーズが明らかになっていれば、適切な単語帳やフレーズ集を選びやすく、効率的にモチベーションを維持しながら英語を学習することができます。
【ステップ③】小さなゴールを設定する
「小さなゴール」とは、大きなゴールに合わせた日々の学習内容をスケジューリングし、そしてそれを達成することです。
例えば、1週間分の勉強スケジュールを次のような手順で書き出してみてください。
「小さなゴール(学習スケジュール)」の立て方
- 紙やノートに24時間×1週間のコマを作る
- 決まっている予定、外せない予定を書き込む
- 予定が書かれていないスペースのうち、英語学習に使える時間を書き出す ※最初は20分でもまとまった時間が取れればまずはOK
- 1~2週間に1日、「ゆとりデー」をつくる 「ゆとりデー」とは調整日のこと。できなかった勉強を取り戻す日ですが、もし、スケジュール通りに学習ができているのであれば、「ゆとりデー」は予習復習をしたり好きな映画を英語で観る(英語を耳にする)日にしましょう。
英語学習は毎日触れることが大切です。よほどのことがない限り、5分間でもいいので毎日続けることを心がけてください。5分間でも音読や単語の確認などは行えます。
大きなゴールは、英語学習を始める上での目標であり、動機でもあります。ですが、遠くにある大きなゴールをひたすら目指しても負担が大きく挫折してしまうかもしれません。
小さなゴールを毎日達成していくことが、日々のモチベーションにつながっていき、大きなゴールへも辿り着きやすくなりますよ。
英語学習について石黒恵里子さんに相談できます
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石黒恵里子さんへの相談ページを見てみるテーマ別!初心者向け英語勉強法
ひとことで英語といっても英単語、文法、リスニング、スピーキング、ライティングなど、勉強すべきことがいろいろありますよね。そこで、それぞれの学習を初心者がどう進めていくのがいいか紹介していきます。
【英単語】学習の進め方
どんな勉強でもスポーツでも土台がないと何もできませんよね。英語学習でいう土台は単語と文法です。
英単語に取り掛かる場合は、市販されている英単語の参考書やテキスト(例文が載っているもの)を用意し、状況をイメージしながら声に出して読みましょう。
学生時代の経験から、英単語は「何十回も書いて覚えるもの」と思っている人も多いことでしょう。確かに、書いて(手を動かして)体にしみこませて記憶していく方法も有効です。
ただ、別の有効な方法が、1つの単語を何度も目にすることで記憶する方法です。単語と例文を1個につき20秒くらい見て、次の単語と例文へ…という方法で、1冊の教材を何周もすると、同じ単語を何度も見ていくうちに記憶に残りやすくなります。
どちらがやりやすいかは人それぞれなので自分に合った方法を選んでください。
また、参考書を選ぶポイントは、興味のあるジャンルや自分ができそうなレベルのものにすること。前段落で設定した「大きなゴール」に合ったものにしましょう。
1冊を何度か繰り返し、読み上げることやその音を聞くことになれてきたら、次のレベルの参考書やテキストにレベルアップ。また、スピーキングやリスニング、ライティングの勉強で出てきたものの、よく意味が分からなかった単語を例文とともに書いていき、自分のオリジナル単語帳を作ってみるのもいいですね。
【文法】学習の進め方
英単語と同じく英語の基礎となる文法は、テキストとにらめっこをするだけでなく、声に出して例文を読むことがポイントです。音読の際は、状況をイメージしながら声を出すこと。声に出し、自分の耳で聞くことを繰り返すことで記憶に残りやすくなります。
「文法を学習する」というと、「いくつも問題を解いていく」というイメージがあると思います。資格試験をゴールとしている人にとってはやはり問題集をやるのは有効です。
ただ、どうしても”勉強”の意識が強くなってしまうため、英語が「つまらないもの」「単調なもの」という印象になり、モチベーションを維持するのが大変になってしまいがちです。
「楽しく勉強したい」という気持ちがあるなら、文法の解説にある例文を”声に出し、自分の耳で聞き、状況をアレンジして話す・書く”だけでも文法は身につきます。
また、文法の参考書やテキストを選ぶときは、中学高校の英文法が1冊にまとまっているものがおすすめですが、ハードルが高いと感じる場合は中学3年間分だけでもOKです。ちなみに、文法項目はどれも大切ですが、不定詞、分詞、関係詞を使いこなせるようになると、英語の活用力がグンと上がりますよ。
英単語と同じく、読み・聞きになれてきたら、次のレべルの参考書やテキストへレベルアップするだけでなく、ほかの勉強でよく分からなかった文法の例文をスマホやノートに書いていくようにしましょう。
【スピーキング】学習の進め方
スピーキング力が上がりやすいのが、日常の行動や思い、状況を(声に出さなくても)英語で言ってみることです。単語でいいので「これは英語でなんて言うのかな」と考えてみてください。
もし、日常生活の中で英単語に言い換える癖がついてきたら、単語だけでなく文章を考えるようにしましょう。例えば、通勤通学時間の風景、家での会話など、文法に不安があってもいいので状況を英語にしてみることが大切です。
文章をイメージできるようになってきたら、その回数を増やしていきます。日本語を介さず英語で考える癖がつくようになってきたら、オンライン英会話に挑戦しても楽しく有意義な会話レッスンができるはずです。
【ライティング】学習の進め方
ライティングといっても、テキストにある問題をただ解いていくだけでは楽しくないですよね。テストのためでなく、英語力を身に付けるためなら自分で考えながら自由に楽しく英文を書いていく練習をしましょう。
例えば、英単語や文法の勉強で出てきた例文を、少し変えて書き出してみてください。主語を変えてみる、現在の文を過去の文にしてみるなどアレンジするのがポイントです。
また、スピーキングのとき、頭で組み立てた英文を書き出し、翻訳機能などを使って添削するのも勉強のひとつです。
文章を書くことに慣れてきたら、単文ではなく日記くらいの長さの文章や、何かの出来事やニュースに対する意見を英語で書いてみましょう。書いた後は翻訳機能でチェックしてみてくださいね。
【リスニング】学習の進め方
リスニングの教材はとにかく興味関心のあるものを選ぶことがポイント。ただし、必ずスクリプト(音声の原稿。日本語訳もあれば尚可)と音声が手元に残るものを選びましょう。動画であれば一度聴いて7〜8割くらい分かるものを選ぶといいと思います。試聴できない参考書などを買う場合は、スクリプトを見て「簡単だな」と思う長さと難易度で選ぶと外れにくいですよ。
リスニング学習のポイントは、とにかくマネをして音読することです。まずは、リズムやイントネーション(音の上がり下がり)を意識して音読し、それができたら意味を考えながら言ってみましょう。1つの文章を1日最低10回、毎日繰り返し、その文に慣れたら次の文をまた数日かけて慣らしていくようにしていってくださいね。
聞き、復唱することに慣れてきたら、内容を知っているニュースを英語で聞いてみるのも勉強になります。
また、教材に慣れてくるとワンランク上のものに買い替えたくなりますが、同じ教材のままシャドーイングするのもおすすめです。
シャドーイングとは、音声を聞いた後、英文を見ずに0.5秒程度遅れて続けて言うこと。音、リズム、イントネーション(音の上がり下がり)を意識して発音してみましょう。
日本人には、英文をその単語の意味は分かるのに、下記のような「くっつく音、抜け落ちてしまう音、くっついたら違う音を聞き取るのが苦手」という人は多いです。
- くっつく音 例)Can_I try this on? (これを試着してもいいですか) 「キャン アィ → キャナィ」
- 抜け落ちてしまう音 例)Take care. (気をつけて。人がさよならするときのあいさつ表現としても使われる) 「テイク ケア → テイッケア」※[k]の音が発音されていない。
- くっついたらスペルとは違う音 例)Did_you take an English lesson yesterday?(昨日は英語の授業を受けましたか) 「ディドゥ ユー → ディジュー」※「ドゥ」が「ヂュ」に変化
意味やスプリクとを確認しながら音声を聞き、自分でも発音してみましょう。1フレーズを1日10回以上繰り返せると理想的です。
また、ディクテーション(聞き取って書くこと)も効果的です。最初は1文でOKなので、音を意識しながら聞き、書くことを心がけてくださいね。
効率的に英語を習得するために
英語学習を完璧にしようとする人ほど、「まずは単語と文法で基礎固めをして、それができたらスピーキングに挑戦しよう」と段階を踏んだ計画を立てがちですが、効率がいいとはいえません。
上記で紹介した方法であれば、例えば「文法の学習」でも、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングなど、いろいろな角度から英語のスキルを総合的に伸ばすことが可能です。
もちろん単語文法の土台がないと聴いたり書いたり読んだりすることは出来ませんが、その土台を作る段階で上記のようにすることで、結果的に聴いたり話したりすることに前向きな姿勢をつくることができるのです。
上記で紹介した勉強法を続ければ、自分なりの言葉で言いたいことを難なく表現したり、長い時間相手とやりとりしたりすることも可能です。
ぜひ、「これが完璧にできたら次のもの(これができるまでは次にいけない)」ではなく、1つの学習で効率的にいろいろな英語のスキルを高めていってください。
英語学習について石黒恵里子さんに相談できます
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石黒恵里子さんへの相談ページを見てみる英語初心者におすすめの英語教材4選
上記の勉強法に合わせて英語初心者の勉強におすすめの教材を紹介します。
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「毎日の英単語」
「使える英語」という視点でネイティブが日常会話に使う単語を中心に紹介されています。単なる英単語だけでなくフレーズで表現されているので理解も深まりやすい1冊です。同じシリーズの「毎日の英文法」と合わせて使えば、いろいろな文(過去の文、助動詞を使った文など)が作れるようになり英語表現の幅が広がります。
「ゼロからスタート 英語を読むトレーニングブック」
正しい英語の読み方を身に付けたい人におすすめのトレーニングブック。身近な話題をテーマにした英文素材が満載で、英文が短いものから徐々に長くなっていく流れは、初心者もレベルアップしやすくなっています。ネイティブスピーカーによる音声付きなので、リスニング力も鍛えられますよ。
苦手意識を持っている英語を勉強したいと思っていることはそれだけですばらしいことです。英語学習を始めたら、ぜひカレンダーや手帳などに「今日は〇〇ができた!」という達成感や感想をメモしていってください。「◎、〇、△、✕」などのマークだけでもいいですよ。
英語を始めたいと思ったあなたが見事ゴールへ到達することを願っています。
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大学卒業後、公立中学校への勤務を経て塾講師へ。中学生~社会人まで、幅広い世代に英語を教えてきた経験があり、現在は私学の中高一貫校で英語講師、日本語学校で日本語教師、そして都内の英語体育を展開するスクールの留学部門スタッフとして活動している。