無料サービスも充実!勉強しない休校中の子が学習したくなる6のヒント
休校期間中の子どもたちの学習をサポートしようと、さまざまな学習サービスが無料で利用できるようになっています。親世代にとっては、家にいながらこんなに多彩で充実したサービスを試せるなんて「うらやましい」と思ってしまいますよね。しかし、肝心のわが子は、いろんなサービスを紹介しても素っ気ないそぶりだったり、学校から出された宿題もやらされている感満載だったりという家庭も多いようです。そこで、これまでの記事で紹介されてきた、子どものやる気を引き出すヒントをまとめて紹介します。
新型コロナの感染拡大を防ぐため、急遽始まった休校期間。いつの間にか、勉強せずにダラダラ過ごすのが当たり前になっている子どももいるのではないでしょうか。
「動画視聴やゲームばかりで、このままでいいのか親として不安」
「何もしないでダラダラしているわが子を見るとイライラする」
「口うるさく言わないと勉強しない」
「この日々がいつまで続くのか!」など、
親のストレスが溜まってきていたり、複雑な思いを抱えていたり、という人も多いのではないでしょうか。
さらに、「さまざまな企業、団体が無料で学習サービスを提供しているのに、肝心の子どもがやる気になってくれない!」とやきもきしている親も多いことでしょう。
ちなみに、主要4教科から今年度から始める教科も充実の無料サービスを集めた記事はこちらから!
休校中に無料利用できる教育/読書サービスまとめ【4月版・随時更新】
そこで、これまでも子どもが勉強に取り組むためにどうしたらいいのかというテーマでさまざまな記事を展開してきたソクたまが、過去の記事から厳選した6つのヒントを紹介します。実践しやすいものばかり! 休校中の勉強に悩み親子に届けます。
目次
【ヒント1】休校でやる気の出ない子どもにかける魔法の言葉
「子どもを勉強嫌いにさせない」をモットーに学習塾を主宰する小田マリエさんが、勉強に気が入らない子どもに対してまず行っているのが「勉強をしない原因を探る」ということ。
「心身の状態が整っていないためにやる気が起きないということは珍しくありません。大人にとっては大したことでなくても、子どもにとっては大きなダメージを受けている場合があります」(小田さん)
はた目には、学校が休みになってうれしそうに見える子でも、本心で何を思い感じているのかは分かりません。人生初の長期間の休校という状況に、不安や戸惑いが隠れているかもしれませんし、急に訪れた休みをどう過ごしていいのか分からないというだけかもしれません。小田さんによると、「どうしたの?」という声掛けと会話で、気持ちが切り替わる子も多いそう。
また、小田さんが“魔法の言葉”と名付けたのが「一緒にやろう」というフレーズ。
「学習環境が身についておらず、『やりたくないことをやらされている』という子どもにこそ有効な言葉です。親としては、自分が家事をしている間に勉強を済ませてくれれば助かるのに…と思うでしょうが、やる気がない子を机に向かわせるには、子どもに寄り添って親も何かをしましょう。おすすめなのは、ノートに文字を書き込む家計簿。同じように書き込んでいるのを見て、子どもは一緒にやっている感が高まります。“監視をする”のではなく“一緒にやる”というスタンスを忘れずに」(小田さん)
<小田さんのさらなるテクニックを紹介している記事はこちら>
引用元記事:塾講師のテクニックを伝授! やる気のない子をその気にさせる3ステップと魔法の言葉
【ヒント2】休校中の学習習慣、まずは机に向かうことが目標
小学校や塾で講師を務めてきた須貝誠さんは、最初から勉強をさせることを目指さなくても「始めのうちは勉強していなくても、机に向かわせるだけでいい」と先輩教師か言われたことがあるそう。
机に座っていれば勉強ではなく、好きなことをしていてもOK。まずは、机に向かわせる習慣をつけることが大切なのだそう。机に向かう時間は、一般的に“学年×10分”でよく、5年生であれば“5×10分”で50分、6年生であれば“6×10”で60分を目標に始めてみましょう。時間は、1日のトータルでの計算でいいそうです。
また、須貝さんは記事の中で“やる気をなくさせたり、劣等感を抱かせたりすることのない良い叱り方”をするようにとも伝えています。良い叱り方をするためには、以下のルールを守ることをおすすめしています。
“良い叱り方”5つのルール
- 子どもの性格を責めない、批判しない
- 大きな失敗は叱らず、小さな失敗こそ大きく叱る
- 行為を叱って人柄は叱らない
- 叱る理由をはっきりさせる
- ついでに叱ったり、ダラダラと叱ったりしない
最近の自分を振り返ってみて、「そんなにのんびりしているからダメなのよ」(性格を批判、責める)、「そうやって、あなたはいつもゲームばかり! この間も…」(ダラダラと叱る)などと子どもを叱っていませんか? 嫌な思いをしながら叱り、子どももどんどんやる気をなくしていくのだとしたら叱っている意味がないですよね。
<須貝さんがもっと詳しく執筆した記事はこちら>
家庭でもできる! 子どものやる気スイッチをONにする10の感情
良い叱り方/悪い叱り方 子どものやる気は叱り方に左右される!
【ヒント3】休校中の子がイライラするNGワード1位は「勉強しなさい」
幅広く教育問題に携わる諸葛正弥さんは、子どもに言ってはいけないNGワードとふさわしい声かけについて記事にしています。
株式会社Z会が運営するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「パルティオゼット」が2009年に行ったアンケートによると、中高生が親から言われてイヤな言葉の第1位が「早く○○しなさい」第2位が「 勉強しなさい」だったそう。この2つを組み合わせた「勉強しなさい」は、言われてもやる気が出るどころか、嫌な思いをする可能性のほうが高いのです。
では、なぜ「~しなさい」は嫌がられるのでしょうか。
「子どもの自我の発達はだいたい15歳くらいまでに発達していくといわれています。しかし、精神的には自立をしようとするけれど、現実的には保護者や大人の庇護がなければ生きられませんよね。そこで、大人へ反発的な態度をとることで自分の立場を確立するのです。
つまり、親から『~しなさい』と言われても、自立したいがために反発し『今やろうと思ったのに』『そんなことを言うから余計にやる気がなくなった』という反応になってしまうのです」(諸葛さん)
では、なんと言えばよいのでしょうか。
「大事なポイントは2つです。1つめは、親が感情的にならないこと。2つめは、命令ではなく子どもの計画に協力する、というスタンスで話を進めることです。例えば、宿題をさせたいのであれば、『夕食の時間を決めようと思うけれど、宿題をやる時間もあるだろうから、何時にするのが良い?』などスケジュールの相談をし、家族が協力する姿勢を示しながら子どもに具体的な計画を自然に立てさせるのです」(諸葛さん)
<諸葛さんがもっと詳しく執筆した記事はこちら>
親から言われて嫌な言葉No.1「早く勉強しなさい」を言ってはいけない理由
【ヒント4】休校中の家庭学習は“ごほうび”で習慣にする
夏休みにソクたま編集部が取材したのは、障害児(者)向けの教育(就労)事業を展開するLITALICOとコクヨによる夏休みの宿題を計画的にすすめるためのワークショップでした。
ワークショップで用いられたのは、行動の前後で効果的な工夫をすることによって社会生活上の課題解決を導く方法論=ABA(応用行動分析)。親子で宿題の全容を把握して、すべてを終えるという最終的なゴールまでの間に、小さな達成目標を置きながらペース配分をしていき、学習を習慣化させていくというものです。
学習計画の立て方
<ステップ1>全体を把握する
休校期間中のすべての宿題もしくは、オンライン学習をどれぐらいの量をやるのかをページ数、単元数などなるべく細かく書き出してみる。
例)
算数ドリル 20ページ
オンライン学習教材 15ページ
<ステップ2>全体数を見える形にする
ステップ1の合計数を出し、その数分のマス目を用意する。
例)
算数ドリル(20ページ)+オンライン学習教材(15ページ)=35個(ページ)
合計数のマス(35マス)の全マスを埋めていけるような紙、もしくはすごろくシートを用意する。
<ステップ3>考え方と進め方
35個の間に子どものモチベーションが切れない間隔でごほうびを設定。1ページ(単元)やるごとに1マスにシールやスタンプを押していき、ごほうびに達成したら与えるようにする。
<ステップ4>ごほうびを設定する
ごほうびの内容はを決める。間にあるごほうびは「ゲームの時間を30分延長してもいい」「夜、いつもより遅く起きていてもいい」など、親が負担にならないけど子どもはうれしいことに、すべてを終える最終ゴールは、「状況が落ち着いたら遊園地へ行く」「新しいゲームをダウンロードする」など、少し大きなごほうびにする。
シールやスタンプで学習をしたことが目に見えて分かる達成感とごほうびで得られる成功体験が子どものやる気キープにつながります。
「目の前にニンジンをぶら下げて勉強させるなんて間違っている」という説も否定しませんが、やる気のない子に毎日「やりなさい」と言い続けて親子仲がうまくいかないよりは、学習習慣をつけるためと思ってごほうび方式を取り入れてみるのもいいのではないでしょうか。
<ワークショップの詳しいリポート記事はこちら>
【イベントリポート】子どもが自ら取り組みたくなる! 応用行動学をヒントにした夏休みの宿題の進め方
【ヒント5】時間管理を意識して休校中の勉強効率UPへ
元塾講師の稲石加奈さんが教えてくれたのは、時間の使い方です。学校では、5~6時間も授業をしていたんだから、休校期間中は家でもなるべく机に向かわせないといけないと思っている人もいるかもしれませんが、稲石さんいわく「勉強は時間をかければよいものではありません。ダラダラと机に向かっていることが勉強の価値を下げてしまい、逆効果になっていることもあります」とのこと。
勉強×時間を考えるなら、まずは勉強を始める前に取り組む内容に合わせて時間配分を決めておくこと。というのが稲石さんの考え。勉強する全体の時間と何時までにこの単元を終わらせるといったざっくりとした時間配分(自分のペースよりややタイトに設定する)を決めてから勉強するほうがはるかに効率がいいとのことです。「目安がないまま解いているとマジメにやっているつもりでも必要以上に時間がかかっている場合があります」(稲石さん)
また、時間を意識したメリハリのある学習を身に付けるには、生活から見直す必要もあります。「日常的に時間への意識を育んでいく必要性があります。まずは腕時計をつけさせるようにし、友だちと遊ぶ際は、帰宅時間を守るというところから始めましょう。家庭での生活リズムを整えていきましょう」(稲石さん)
さらに学習と時間について詳しく書いた稲石加奈さんの記事はこちら
【ヒント6】勉強へのやる気がアップする子ども手帳の作り方
塾講師を経て日本語講師、翻訳家として活動する西川華さんは、子どもの意識が変わっていく手帳の作り方を教えてくれました。子ども自身が作っていく手帳で、生活や学習効率を見直すことができます。では、作り方を紹介していきましょう。
勉強のための子ども手帳の作り方
①24時間軸で書き込める手帳を用意する
②1週間目は過去の生活を書き込む
最初の1週間は、その日の何時から何時まで何をしたかなど生活記録を書き込みます。「朝起きた時間、朝ご飯は何時から何時まで、通学にかかる時間、勉強時間には勉強した科目も30分単位で書き込むうちに、スマホを2時間も触っていたり、何をしていたか思い出せない空白の時間があったりすることに気付きます」(西川さん)
③2週間目は予定を一気に書き込む
次の週は、1週間の予定を30分単位で立てさせます。余暇時間もしっかり作らせて何をするのかまで書かせることで生活にメリハリがつきやすくなります。
慣れるまでは、親がアドバイスをしながら予定を立てるのもいいそう。とはいえ、無理に勉強時間を組み込ませようとするとケンカになってしまいそうなので気を付けたいですね。
西川さんが書いたもっと詳しい手帳の作り方記事はこちら
わずか1週間で子どもの意識に変化が! 勉強ができる子になる手帳の作り方
ふいに訪れた長いお休み。学習習慣をなくしたり、ネット中毒、ゲーム依存症になってしまったりすることのないよう、毎日少しずつでも勉強はさせていきたいもの。ただし、学ぶことは勉強だけではありません。
新年度の学習指導要領より、思考力,判断力,表現力、人間性などが求められるようになっていきます。普段は忙しい小中学生が興味のあることを極めたり、好きなことに時間をかけて取り込んだりして個性や探求心を磨いていくための期間にもできたらいいですね。
新型コロナによる休校期間中に利用できるサービスをまとめた記事はこちら
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エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。