【イベントリポート】子どもが自ら取り組みたくなる! 応用行動学をヒントにした夏休みの宿題の進め方

夏休みももうすう折り返し地点。思うように宿題が進んでいないことにヤキモキしている保護者も多いのではないでしょうか。そんな中、7月31日に東京・原宿で開催されたのが、障害児(者)向けの教育(就労)事業を展開するLITALICOとコクヨによるワークショップ「夏休みの宿題みんなでスタートダッシュ会」。18組の親子が参加し、宿題を楽しく進めるための計画づくりを行いました。家庭でも簡単にできそうなその内容をリポートします。
目次
学習を習慣化させるためにごほうびは必要?
今回のワークショップに用いられたのは、行動の前後で効果的な工夫をすることによって社会生活上の課題解決を導く方法論=ABA(応用行動分析)。発達が気になる子どもに有効な療育法の1つとしてLITALICOの教育プログラムに取り入れられています。
“行動前後の効果的な工夫”とは、今回のワークショップでいえば、親子の全容を把握してペース配分を決めて、実行できたときのためのごほうびを設定すること。
ごほうびを得ること、努力を目に見える形にすることで日々の学習(宿題をすること)を成功体験につなげていき、学習が習慣化することをサポートするのです。
ワークショップでは、小さなごほうびと大きなごほうびを設定。日々の学習で得られる小さなごほうびはシール、大きなごほうびはその内容を親子で相談していきました。

【ステップ1】宿題を書き出し、ごほうびの度合いを決める
それでは、ワークショップの流れにならって、どのように宿題計画を立てていけばいいのか紹介していきましょう。
ますは、紙の左半分に宿題をすべて書き出します。そして、それぞれの宿題から矢印を伸ばし、その宿題を行ったら、小さなごほうびであるシールを何枚もらえることにするのかを設定します。すべて設定したら、シールの合計枚数も計算しましょう。
例)算数が苦手で、読書感想文や自由研究が負担になっている子の場合
問題集(国語 10ページ)→1ページ/シール1枚
問題集(算数 15ページ)→1ページ/シール2枚
読書感想文 →シール5枚
自由研究 →シール5枚
絵日記 →シール3枚
計53枚
このとき、シールの枚数に上限は決めずに、子どもの気持ちを尊重すること。ワークショップに参加した保護者の中には、「シールの設定枚数で子どもが何をどの程度大変だと感じているのかが明確に分かりました」と話していた人もいました。

【ステップ2】シールを貼る用紙と大きなごほうびを設定する
【ステップ1】で出した合計枚数分のシールを貼ることができる用紙を用意します。ワークショップでは、すごろくシートが用意されていました。家庭でもトイレトレーニングに使われることが多いシールシートなどを使えば代用できそうです。
また、全枚数のシールを貼り終えるまでの間に大きなごほうびのコマを数個設定します。今回の記事では、ワークショップにならい6個。6個目はすべての宿題が終わり、最後のシールを貼るゴール地点に設定し、そこまでの間に5個の大きなごほうびのコマをなるべくバランスよく配置します。
前半は、少ないマスでごほうびにたどり着けるように配置にし、後半はたくさんのマスが必要でも特別感のあるごほうびを設定するとモチベーションをキープしやすくなるそう。

大きなごほうびはどんな内容がいいの?
それでは、大きなごほうびにはどんな内容を設定するのがいいのでしょうか? ワークショップでは、ごほうびは「パパとのキャッチボール」などの活動でもいいし、簡単なごほうびから特別なごほうびまで、バランスよく用意することをアドバイス。
簡単なごほうびとは、ゲームを10分延長権、おやつにケーキなど保護者が提供しやすいごほうび。特別感のあるごほうびは、ディズニーランドへ行く約束やおもちゃを買ったりなど。
ワークショップでは、「カレーパンを2個」「夜ご飯を焼き肉にする」「木の上で昼寝」など、ユニークで自由な発想のごほうびを挙げている親子もいました。保護者が「コレ!」と決めつけず、子どもが意欲的に宿題に取り組めるように相談しながら決めましょう。
【ステップ3】宿題を実行した枚数のシールを貼っていく
大きなごほうびまで設定できたら、後は、宿題をしていき、達成した分のシールを貼っていきます。シールを貼っていくことで、日々の努力が目に見えるので、子ども自身も達成感を感じることができます。
また、シールやすごろくを用意するのが面倒な人や、新学期が始まって以降もごほうびシステムで学習を習慣づけさせたい人におすすめなのがコクヨの「しゅくだいやる気ペン」。装置を付けたえんぴつを動かした分、連動させた専用アプリにエネルギーを注入することができ、すごろくゲームを進めていくことができます。
夏休みの最後になって必死に残った宿題を終えなくてもいいように、今からでも計画立てて、少しでも楽しく宿題を進められるようにサポートできたらいいですね。

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。
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