塾と家庭教師代に月8万!中学受験をするのに勉強しない娘にイライラ・前編【専門家が回答】
中学受験をすると決めた子どもの教育費に月8万円かけているのに、子どもが勉強している気配がない……。子どもを見るたびに不満がたまり、次第には親子関係がギクシャク。子どもへのイライラがとまらない母親の気持ちを、専門家である安永吉光さんに相談してみました。
今回の相談者
- 野村さん(30代/静岡県在住)
- 家族構成:夫、小5の娘、小4の息子
- 今回の相談 中学受験を考えている小5の娘について相談です。塾で算数の授業についていけず、娘が家庭学習をしないことにまいっています。勉強をしないなら、塾や受験をやめてもらいたいと伝えていますが、娘は「やる」の一点張り。塾でわからない内容をキャッチアップするために、オンラインの家庭教師を始めたので、塾代に月に35000円、オンライン家庭教師に月に44000円。お金もかかるので、やる気がないなら塾はやめてほしいというのが本音です。最近では娘を見るたびにイライラし、親子関係もギクシャクしています。
国語ができる子は後伸びするので焦らずに
野村:本人の希望で、算数がのびないのをリカバリーするために塾に行っていますが、塾の内容にもついていけていなくて。そこでオンライン家庭教師を始めて、娘もわかりやすいと喜んでいますが、やっぱり算数は伸びなくて……。
- 全科目:54~55
- 国語:66~67
- 算数:42~49
小5娘の偏差値
安永先生:そうなんですね。まず前提的な話からいくと、そんなに心配しなくていいと思います。受験は総合点での勝負になるので、算数ができないと確かにしんどいですが、国語の点数がこれだけとれていたら相殺されます。本が好きなら語彙力をつけて、難しめの本にチャレンジしてみるのも大事です。
算数で大事になるのは、計算問題です。算数の応用問題ができても計算で間違えて落とす子も多いし、それは算数が得意な子が陥りがちな罠ですね。算数が得意なのに偏差値が50~60で止まる子は、計算ミスが多いです。計算がしっかりできれば大丈夫だと思いますよ。なにせ、国語ができる子ってあとのびするんです。お子さんは国語ができているので、今の状態は悪いわけではないと思います。
野村:そうなんですね。家庭での学習をまともにやらないのも不安だったのですが……。
安永先生:算数の応用問題には、まだ手を出さなくていいと思います。野村さんは、娘さんが授業についていけていないと思っているかもしれませんが、これだけの偏差値があれば、ついていっていると思いますよ。そこの認識は改めたほうがいいかもしれない。
本当に授業についていけていない子は、偏差値を40きります。偏差値42~45くらいとっていれば、よくはないけどついていけてはいるはずです。どのぶん国語でカバーして、全体の偏差値で55とれているのであれば、それなりに選べる学校もあるし、あまりそこに関して焦る必要はありません。
子どもの意思を尊重する
安永先生:野村さんご自身は、娘さんに中学受験をしてほしいですか?
野村:私としては、受験はしてもしなくてもどちらでもいいです。ただ、のんびりした県に住んでいることもあって、娘のほうは今の環境から出ていきたいと思っている節があります。
安永先生:中学受験は、本人がやりたいと言って始めたことなので、それでいいと思うんです。特に算数の勉強って時間が解決することもあります。6年生で習う内容のなかに、5年生で習う内容も出てくる。わからないものでも、時間を置くとわかることってありますよ。本人が受験したいと言っている限りは続けていくといいと思います。本人の決定を尊重する。
あと、受験は間違いなく無駄にはなりません。受験を通して、外の世界を見ることが本人にとっては財産になります。大人はコスパを考えるし、PDCAをまわしてほしいって思うけど、実際に大人だってなかなかできていないことが多いじゃないですか。それを小学生に要求するのは、非常に難しいことだというのは常に念頭においておいたほうがいいですね。
安永先生:中学受験って、大人でいったらブラック企業に勤めるのと同じようなことなんです。学校に行ったあと塾に行って、課題も宿題もやるっていうのは、ずっと残業しているのと同じです。ものすごくしんどいことをやっているんです。だから親として「嫌ならいつでもやめていいよ」と、つねに辞められることを選択肢として与えておく必要があります。
……でもきっと、お母さんが辞めてもいいって言うと「やめない」って言うと思いますね。
野村:言っています。(笑) 私はもう今の状態を見ていると受験自体やめてほしくて「両方やめなよ。やめてほしい」って娘に言っているんです。
安永先生:無理やりやめさせたら、逆にそのことをずっと言い訳にして生きていくと思います。「あのとき私は受験したかったのに、受けさせてくれなかった」って言ってくると思う。
選択肢は見せても、決定権は子ども本人に与える。決定権はつねにあなたよって伝える必要がありますね。子どもって見通しの甘いこともたくさんありますから、親としては何か言いたくなってしまいますけどね。
本人が選ぶことで主体性が育まれる
野村:今は塾とオンライン家庭教師、どちらもお金を払って通い続けている状態で……。お金もかかるのでどっちかにしぼりたいです。
安永先生:どちらにするかは、本人に選ばせたほうがいいですね。娘さんのことを大人だと思って「今のままだと時間とお金が両方かかってコストが高いから、どっちかにしたい」って伝えてみてもいいと思いますよ。それで娘さんに選んでもらいましょう。つねに子ども自身に選んでもらうことが、主体性を育むためのキモです。
大人からみると、「これを選んだら失敗する」ってわかる場面が出てきますよね。それでも、本人が選んだほうをやらせてあげてください。そうすることで、本人の選択基準が変わってきて、「前はこれを選んで失敗したからこれにしよう」って気づくんです。失敗しないとわからないことって沢山あります。親は「子どもに常に選ばせよう」と覚悟することですね。
野村:見通しが甘くて失敗するよと思っても、子どもの意見を尊重するということですね。
安永:そうですね。本人に決定権を与えるのが一番かなと思います。見通しが甘いことを言ってきても本人に選ばせてあげると、子どもの自己肯定感も育つんです。お母さんが認めてくれた、ということになるので。だから否定しないようにしてあげるといいかな。
野村:テストの点数だけでは測れないのかもしれませんが、「勉強してほしいな」という親の思いはどうしたらいいんでしょうか……。
安永先生:子どもと言っても小学5年生です。自分が思っていることをいちいち親に報告したりしません。だから、大人同士の付き合いだと思って接するといいですよ。点数よりも、目標に向かって努力するプロセスが大事なので。「勉強してほしいな」と思うのはいいですが、それを本人には言わないことです。イライラしても「子どもなんてそんなもんだ」と思っていたほうがいいです。
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