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2022.11.28

退会するケースが続出「PTA連合会(協議会)」はブラック組織か!? 活動内容や課題とは

任意加入への移行や、ボランティア制の導入など負担軽減、参加しやすさを目的に改善を進めるPTAが全国的に増加してきています。一方、従来型の運営スタイルから脱却できず、その目的が疑問視されているのが「PTA連合会(P連)」です。今後のPTAの方向性を考える上で外せない同組織の活動内容や課題などを解説します。

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各学校のPTAを束ねる「PTA連合会」とは

子どもたちのすこやかな成長を目的に、保護者と学校が協力してさまざまな活動を行うPTA。多くの保護者が関わるのは子どもが通う学校のPTAのみですが、多くの学校のPTAが加盟する「PTA連合会」という存在は知っていますか?

「PTA連合会」は、市区町村郡、都道府県、ブロック、全国単位で連なっており、略して「P連」と呼ばれています。

「PTA連合会」名称例

  • ○○市PTA連絡協議会
  • △△区立小学校PTA連合会
  • ◇◇PTA協議会

「〇〇連合会」「〇〇協議会」と名称が異なっていても、活動内容はほぼ同じ。一般的には、「協議会」のことも「PTA連合会(P連)」とまとめて呼ばれることが多いです。

また、小学校のPTA連合会、中学校のPTA連合会がそれぞれ存在している地域もあれば、幼稚園・保育園から高校まで同じ連合会というケースもあります。

各連合会と各学校のPTAの関係

前述の通り、「PTA連合(P連)」は、市区町村郡や都道府県などごとに分かれており、図にすると下記のようになります。

市区町村郡のP連の上部団体として「都道府県P連」、「都道府県P連」を束ねる最上位団体として「公益社団法人日本PTA全国協議会」(=以下日P/会員約800万人)が存在します。

一方、学校ごとのPTAは「単位PTA(単P)」と呼ばれています。

さらに、日Pには「ブロックPTA協議会」という下部組織があり、「都道府県P連」は、北海道、東北、東京、関東、東海北陸、近畿、中国、四国、九州の9ブロックのいずれかに所属することになります。

ちなみに、政令指定都市は都道府県のP連には属さない形で日Pの傘下に入る形になっているのが通例で、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市などがあてはまります。

PTA連合会を主に運営しているのは保護者

ほとんどの保護者にとってはなじみのない「PTA連合会(P連)」ですが、P連には、単Pと同様、その組織のリーダーである会長、副会長をはじめさまざまな役職があります。

例えば、市区町村郡(地域)の「P連」を構成するのは、各学校のPTA(単P)の会長や副会長、PTA役員です。

各学校のPTA(単P)の一般会員には直接的な関わりがほとんどなく“遠い世界”のため、P連の存在、「誰がどんな活動を担っているのか」が広く認知されていないのです。

PTA連合会の活動資金はPTA会費

「PTA連合(P連)」の活動資金は各学校のPTA会費から出ていることはあまり知られていません。

例えば、「市区町村郡(地域)のP連」に加入している各学校のPTA(単P)は、P連の運営資金(分担金)として保護者からおさめられるPTA会費の一部を支払う仕組みになっています。

金額は地域により異なりますが、1児童もしくは1世帯につき年額10円単位〜100円単位が多いようです。

さらに、「市区町村郡(地域)のP連」が「都道府県P連」に加入している場合、おさめられた分担金の一部(年額10円単位が多い)を都道府県P連に、都道府県P連が最上位団体の日Pに加入している場合は、子ども一人あたり10円の会費が日Pにおさめられていることになっています。

「PTA連合会(P連)」の活動内容とは

市区町村郡(地域)のP連の多くは、「研修の開催などを通して単P同士の横のつながりをつくり、地域に情報発信する」「学校横断的な声や要望をまとめ、行政に伝える」などを目的に、下記のような活動を行っています。

PTA連合会(P連)の活動内容例

  • 地域の防犯事業
  • P連広報誌の発行など広報活動
  • 地域の子どもたちや親子向けのイベントの開催
  • 地域の保護者のスポーツ大会運営
  • 校長会や教育委員会との意見交換会

活動内容は地域により異なり、教育委員会と連携をとることもあります。

学校のPTAが「P連」を退会する理由

近年、単Pでは保護者一人ひとりに加入の意思を確認する任意加入制が一般的になりつつります。しかし、P連においては、各単Pに加入の意思を確認するシステムが整備されておらず、いまだ強制加入のところも少なくないのが現状です。

また、P連役員の任期は1〜2年が多く、これらの活動が「これまで行ってきたから」という理由だけで改革、改善まで手が回らないまま前例踏襲的に続いてきたり、輪番制で役職が回ってきたりなどのケースも少なくありません。

本当はやりなくないのに諸事情が重なり仕方なく学校のPTA会長になったという保護者が、「輪番だから」という理由で強制的にP連会長を兼任しなければならないこともあるのです。

このように、本来の目的を果たせていない地域のP連が存在し、「加入している意味を感じられない」「単Pの活動に手いっぱいで、P連の活動にまで手が回らない」などの理由から、「単Pが市区町村郡のP連から退会する」という動きが少なからず見られるのが現状です。

いっぽうで、PTA経験が豊富な適任者をリーダーにすえ、「P連は“単Pの上部組織”ではなく “単Pの集合体”として、運営上の困り事の相談に乗ったり、支援を行ったりなど単Pの下支えを行うこと」と位置付け、活動の適正化、オンライン化など、年月をかけて少しずつ時代に即した風土を醸成している地域のP連も存在します。

地域のP連の現状と課題は、その地域によりさまざまです。

地域のP連については、インターネットで調べたり、周りに経験者がいればその人に聞いたりすることはできます。

まずは、「 子どもが通う学校のPTAは、地域のP連に加入しているのか」「加入している場合、どのような組織でどのような活動をしているのか」調べてみましょう。

「市区町村郡P連」が「都道府県P連」を退会する理由

近年、市区町村郡のP連が、県P連など「大きなP連」を退会するケースがあいついでいます。

その理由のひとつとしてあげられるのが、分担金です。

毎年ぎりぎりの会計状況で運営しているなか、会費の一部を「大きなP連」に支払うことを負担に感じたり、支払った分担金が適正に還元されないことに疑問を抱いたりしている地域のP連が少なくないのです。

この分担金問題に加え、「 活動そのものが負担」「 活動内容に意義が感じられない」などの理由から、これまでに愛媛県松山市、高知県高知市、岡山県岡山市、岡山県倉敷市、奈良県奈良市などのP連が、県P連を退会しています。

いずれも県内で最大級のPTA会員を持つ都市で、県P連への影響は少なくありません。

最上位団体「日P」を退会する事例も

都道府県P連を束ねる最上位団体・日Pを退会する事例も出てきています。

2022年7月、都内190の公立小学校が加盟する「東京都小学校PTA協議会」(=以下、都小P)は、全国組織の日Pから2023年3月末に退会する方針を最終決定しました。

退会の理由の一部は下記です。

  • 「日P」に「会員の声を吸い上げる意図がそれほど感じられない」こと
  • 「日P」への会費を支払っているが、それが都内小学校のPTA活動に還元されているとは考えにくく、会員に納得できる説明ができないこと

実は、2022年3月、京都市PTA連絡協議会でも理事会で都小Pと同様の理由でこれまで加盟していた日Pからの退会が提案されました。

しかし、京都市P連理事による投票を行った結果わずかな賛成しか得られず、日Pから退会する提案は否決されました。

決議の結果は異なったものの、都小P、京都市PTA連絡協議会の一連の動きは大きな話題となり、P連や上部団体の存在意義についての議論は全国に広まっています。

P連は、直接関わる保護者が少ないだけに、ヴェールに包まれ“中が見えにくい”団体ではありますが、その現状や抱える課題は、日本国内のあらゆる組織や団体にもあてはまるような気がしてなりません。

「PTA連合会」とは…
「連合」の果たす役割とは…

 “一市民”として、保護者として、まずは「知ること」から始めたいものです。

「京都PTAフォーラム」開催

平成29年(2017年)2月10日、福岡高等裁判所にてPTAは「入退会自由な任意加入団体である」ことが確認されました。
PTAがこれからも必要とされる組織であり続けるために、上部組織のあり方を考え、すべての保護者にとって最適なPTA組織となるよう、「京都PTAフォーラム」が12月10日にZOOMウェビナーで開催されます。詳しくは、コチラから。
開催日時:2022年12月10日(土)
13:00 〜 16:00

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長島 ともこ

フリーライター、エディター、認定子育てアドバイザー。妊娠&出産、育児、教育などの分野の企画、編集、執筆を行う。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに、書籍『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本』『卒対を楽しくラクに乗り切る本』(厚有出版)などを出版。「PTA」「広報」をテーマに講演活動も行う。2児の母。

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