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2020.04.13
2020.08.22

児童精神科医が回答/反抗期の子への対応と親のストレスをケアする方法

「反抗期の子どもの暴言がひどい!」「いつまでこの反抗期は続くの?」と反抗期の子どもに悩みは尽きないもの。いくら反抗期だと分かっていても、子どもからキツい言葉を浴びるのはしんどいですよね。 児童精神科医のまえまえ先生こと前田佳宏医師がお答えする「親子の悩み相談室」。今回は反抗期を迎えた子どもへの接し方や、親のセルフケア方法ついてお聞きしました。

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【今回のお悩み】

反抗期に突入したのか、私からの言葉を素直に受け入れてくれないことが多くなりました。また、「嫌い」「ウザい」などキツイ言葉を使うようにもなりました。やはり親でも傷つくし腹も立つし、なぜ嫌いなのか理由を知りたくもなるので問い詰めたり少し感情的になってしまったりすることも…。どのようにコミュニケーションを取れば良いか迷っています(小学6年生女子の母親・42歳)

お母さんの悩みに児童精神科医のまえまえ先生こと前田佳宏医師がお答えします。

反抗期はいつから? なぜ始まるのか

発達心理学では、第二次反抗期の時期は、おおよそ10歳から青年期までといわれています。相談者のお子さんは、まさにその時期ですね。反抗期の真っ只中にいる子どもと日々接していると、いつまでこの反抗期は続くんだろう…」と不安に感じる人も多いです。でも、反抗期は子どもが大人になっていくのに大切な過程なんですよね。

前回の記事(下記)でも説明していますが、子どもは10歳頃から、だんだんと周りが見えてきて、他人を自分を比較するようになります。

児童精神科医が回答/能力差に悩む兄弟には、親から子へのアプローチを見直してみよう

比較することで、他人とは違う“自分の意志や気持ち”が見えてきます。その意志や気持ちを大切にしようとしているのが反抗期なんです。

反抗的な態度をとる理由

では、自己を確立しようとすることが、なぜ反抗的な態度につながるのでしょう。

ひとつは、表現方法や感情の整理がまだ未熟、という可能性です。 “自分”というものを持ち始めた子どもは、 自分の意志や気持ちを自分なりの言葉で表現しようとします。ですが、うまく表現できなかったり、感情を整理できずに、その苛立ちを反抗的な態度として親にぶつけてしまう子どももいます。

一方で、子どもは身近な人が自分の意志や気持ちを受け止めてくれないと感じて反抗的になっていく場合もあります。もし自分の意志や気持ちがあるのに、すぐに否定したり、受け止めてくれなかったりすると、その相手の話を聞きたくなくなったりした経験はありませんか?子どもにも同じことが言えます。子どももまず自分の意志や気持ちがあることを身近な人に分かってほしいんですよね。

そして、子どもが身近な人から理解されていないと感じることが続いてしまうと、「どうせ分かってもらえない…」と最初から親に対して自分の感情や思いにふたをしたり、親の意見に聞く耳をもたず反発を強めたりしてしまうこともあります。

反抗期の子どもに対する、効果的な対応とは

では、反抗的な態度をとってしまう子どもに対し、親はどのように向き合っていけばいいのでしょうか? 鍵となるのは、”聞く(傾聴)”と”承認(認める)”です。

“聞く(傾聴)”とは、ただ話の内容を聞くのではなく、子どもの気持ちをちゃんと理解し受けとろうという姿勢をもちながら話を聞くことです。カウンセリングでは一番重要視されているほど、奥深いものです。

子どもが、自分の気持ちを分かってくれたと思えるようになると、その人と話したくなります。そして、話すことで自分の気持ちとの付き合い方を学んでいきます。

では、話を“聞く(傾聴)”するために意識したい具体的なポイントをお伝えしていきますね。

評価、判断せずに受け入れる

子どもの話は、大人からすればまだまだ未熟で十分ではなく、心配する気持ちから、ついつい小言を挟みたくなるかもしれません。ですが、 多少思う所があっても、途中で遮ったり、判断・評価を加えたりせず、まずは本人の話を最後まで聞くようにしましょう。

反抗期は子どもが自分の意思や気持ちを大切にしようとしている時期なので、まずはそれらを受け止めるようこころがけてみましょう。

分かってほしい」と思っている子どもに、親の意思や気持ちを「分かりなさい」とぶつけても、相手は「自分を認めてくれない」「分かってくれない!」と思うだけで、ちゃんと伝わらないかもしれません。親子の関係の溝がますます深くなりかねません。

話を聞く、受け入れる姿勢を見せ続ける

子どもが自分から意思を話してくれず、相談者さんのお子さんのように、「嫌い」「キモい」などのキツい言葉を吐いてくるだけの場合、子どもがどう感じているのかを考えてみてください。

これまで、子どもの意見を受け入れてこず、子どもの中で「親は話を聞いてくれない」という思いが染み付いて、子どもにとって親は居るだけで気が立つ存在になっているかもしれません。

ただし、そんな状態でも親子関係の修復に手遅れということはありませんよ。

まず、「私(親)は、あなたの意見を尊重したいと思っている」「理解して大事にしようと思っている」ということを伝えるのです。

 

例えば、「今話してもいい?」「ちょっと聞いても良い?」という声かけ。子どもは「NO」と言う可能性が高いですが、その「NO」も尊重してください。子どもの「NO」という意思を受け入れたうえで「何かあったら言ってね」と待っている態度を見せるのです。

また、「〇〇が心配なんだけど、どう?」と親から何かを言うときは、最後に「どう?」と聞くことで、子どもは「意見を聞いてくれるのかな」と思うようになります。

 

最初はうまくいかないかもしれませんが、繰り返すうちに徐々に意見を言ってくれるようになるかもしれません。意見を言ってくれたら「伝えてくれてありがとう」と伝えましょう。

するとその後も「意見を言ってみようかな」と思える関係性になっていきます。

感情の整理を手伝い、共感する

反抗期では表現方法や感情との付き合い方もまだ未熟なお子さんが多いです。自分でどうしてイライラしてるのか言葉にできなくて、とにかくイライラが止まらないということもよくあります。

子どもはそのイライラを自分の中で留める方法が分からず、つい大声を出したり物を投げたりしてしまうかもしれません。本人が感情をコントロールする方法を身に付けていくために、親ができるサポートは、やはり話を“聞く(傾聴)”ことです。

まず、子どもが抱いてる感情に焦点をあててみます。「イライラするの?」「つらそうに見えるけどどうしたの?」などと声をかけてみましょう。怒りの根っこには、誰かになにかを伝えたいという想いがあります。でも、子どもはそれを言葉にできず、なぜイライラしてるのか分からないことも多いのです。

声をかけたことによって子どもが一緒に話しをする姿勢を見せてくれたら、「どうしてそういう気持ちになっているんだろうね?」と気持ちの経緯や事情(出来事、ストーリー)を一緒に探りながら、子どもの話を聞いてください。

このときも、話を遮ったり、子どもの気持ちを否定したりしてはいけません。最後まで聞いて、「それはイライラしちゃうよね。その気持ち、分かるよ」などと共感してください。「分かってもらえた」と思うと、子どもは安心でき、感情の起伏が落ち着いていきます。

このように感情を言葉で表現することを繰り返していくと、親が一緒に考えなくても子ども自身が自分に「辛いよね、それはそうだろうね」と言えるようになり、感情のコントロールができる人になっていきますよ。

無理な要望には否定をせずに限界を伝える

ここまで説明したように「子どもの話を聞いてください」「子どもの意志を尊重してください」と話すと、「親が子どもの言いなりにすると、とんでもないことになるのでは」と心配する人がいます。

その通りです。気をつけて欲しいのは、子どもの意思や気持ちを受け入れることと、子どもの要求(ワガママや無理難題)に従うことは違います。気持ちは分かったとしても、実際にしなくてもいいんですよね。

子どものワガママや無理難題には、「本人の意見や気持ちに理解を示したうえで、限界をちゃんと伝える」という対応をしましょう。

例えば、子どもが「〇〇ちゃんみたいなかわいいコーデで毎日過ごしたいから、新しい服をワンシーズン分買い揃えたい」と言ったとしましょう。

親としては、子どもの気持ちも分かるし、買ってあげたい気持ちもあるけれど、「簡単に叶えてしまってよいのだろうか」「これはわがままだから、受け入れるわけにはいかない」「経済的に無理」などさまざまな思いが頭を巡るのではないでしょうか。

だとしたら、子どもには「確かにかわいいコーデをしたい気持ちは分かるし、買ってあげたい気持ちもある」と気持ちへの理解を示したうえで、「でも、将来あなたに使うためのお金のこともあるし、ワンシーズン分を買うのはお財布的に難しいな」などと限界を伝えましょう。

 

そして、「だけどお誕生日には欲しい洋服を〇着まで買えるようにやりくりするよ」「今持っている洋服でできるかわいいコーデを一緒に考えてみようよ」と、協力する旨も伝えられるとより良いでしょう。

気持ちに理解を示しつつ、行動の限界をちゃんと伝える事は、子どもが思い通りにいかない状況に対し、どのように感情や気持ちに折り合いをつけるのかの練習にもなりますよ。

怒り過ぎてしまったら謝罪をする

とはいえ、親も人の子。子どもの反抗的な態度についカッとなって、その子をひどく否定してしまうことを言ったりしてしまうこともあるでしょう。子どもがそれで傷ついたりこころを閉ざしたりしてしまったときはどうすればいいでしょうか。

叱り方が度を過ぎたときは、親自身から自分のどういう行動が間違いだったと感じ、今後はどうしていこうと思っているのかを子どもに話してみてください。ただし、すべてを謝る必要はありません。行き過ぎた行動だけを謝ればいいです。

このとき、「あの時はそうするしかなった」「こういうことは普通だ」と、親の行動を正当化して子どもに理解させようとしないことが大切です。親の都合を優先させようとすると、子どもは「結局自分の都合だけで、こちらの気持ちを分かろうとはしてくれないんだ」という想いを強めてしまい、こちらの気持ちを聞き入れてもらえない可能性があります。

もし、怒りに任せて手を出してしまったのであれば、「あの時は叩いて、嫌な思いをさせてしまってごめんなさい」などとしっかり謝罪を伝えたあとで「その時は叩かないとあなたには伝わらないと思って、つい叩いてしまった」など、どうしてその行動を取ったのか、こちらの事情を説明します。事情よりも先に謝罪することが大切です。

最後に「これからはちゃんと話し合って決めていけたらと思ってるけど、どうかな」と今後の接し方についてどうしていくかの気持ちも付け加えます。そうすることで、子どもの意向も尊重しながらいっしょに考えていきたい姿勢を示すことができます。

 

ただ、気をつけようとしても、つい度を超えて怒ってしまうことが止められない方も多いです。そんな方のために、次章を用意しました。それでも難しければ、アンガーマネジメントを学んだり、心理の専門家に相談してみてもいいかもしれません。

反抗期の子どもをもつ親へ 怒りを鎮める&落ち着く方法

ここまで反抗期の子どもと接する際に、親が気をつけてほしいポイントをお伝えしてきました。ですが、いくら頭で理解をしていても、毎日の反抗的な態度や言葉には傷ついてしまいますよね。

私はそんな反抗期の子を持つ親御さんにこそ、自身のセルフケアを大切にしてほしいと、常々思っています。親も子どもも無理しないでいられることが大切ですよね。

反抗する子どもの溢れんばかりのエネルギーと対峙するのは、精神的にも身体的にもかなりの負担がかかるものです。そこで疲弊したら感情的になりやすく、その感情を子どもにぶつけてしまいかねません。 そうしなくてすむようにイライラを出し切るセルフケアを試してみませんか。

今回は特別に私がよく臨床でお伝えしてる3ステップで行うセルフケアを紹介します。ぜひ試してみてくださいね。

ステップ1:子どもの前から一旦離れ、冷静になる

ステップ2:落ち着けるものや場所に触れてリラックスする

ステップ3:怒りを出し切る

ステップ1:子どもの前から一旦離れ、冷静になる

子どもに怒りをぶつけそうになったら、まずはその場から離れましょう。「ちょっとお腹痛くなったから、別の部屋に行くね」でも「用事を思い出したから、外に出てくるね」でも何でも良いので、断りを入れて一旦その場から離れます。

刺激となっている子どもから、空間・時間的に離れる事で、少しずつ冷静さを取り戻せると思います。

ステップ2:落ち着ける物や場所に触れてリラックスする

子どもと離れたら、落ち着くものに触れる、落ち着く場所に行くなど、自分がリラックスできる環境に身を置いてみてください。 心地の良い音楽を聞くのもいいですし、お気に入りのアロマの匂いを嗅いで深呼吸するのもおすすめです。

ステップ3:怒りを出し切る

怒りやイライラが強ければ強いほど、なかなか落ち着くのは難しいもの。そんな時は、怒りやイライラなど、感情を出し切るようにしましょう。

ソマティック・エクスペリエンシング®(*)と呼ばれるトラウマ治療の観点から言うと、怒りを感じている場合は、怒りを出し切る方が効果的です。怒っている時、実は体は動きたがっているので、そのエネルギーを発散させるのが大切です。

*ソマティック・エクスペリエンシング®:身体感覚に働きかけ自己治癒力を取り戻し、過去の出来事から想起される辛い症状を和らげるトラウマ治療のこと

私がおすすめするエネルギー発散方法は、以下の3つです。激しい動きは必要なく、気軽にできるので、試してみてください。

怒りを出し切る3つの方法

①壁を押す

腕を伸ばし、手のひらで壁を思い切り押します。腕を伸ばし切った状態で押すことで、力を発散しやすくなります。

②机を押す

両手をグーにして、握りこぶしの小指を下にした状態で机を力いっぱい押します。ただし、力あまって机を叩かないよう、気をつけましょう。体は、“痛い”と感じると刺激から身を守ろうとして、力を十分に出せなくなりますよ。

③胸とお腹に力を入れる

声を発さず、「わー!」「あー!」と叫びましょう。大声を出さなくて胸とお腹に力が入り、すっきりしますよ。

反抗期の子どもは否定ではなく応援をする

これまで話したように、反抗期は、自分の意思や気持ちを大切にしようとしてるという時期です。それは赤ちゃんが初めて歩き始めたときのようにぎこちないものです。親がおせっかいをやきたくなってもおかしくありません。

しかし、その子が求めてるのは、自分の意思や気持ちを否定されたりコントロールされることではなく、自立をしようとしている姿を応援してくれることです。

ただし、簡単には変わりづらい親子関係も多いです。親の心が折れそうになる前に、一人だけで抱え込むのではなく、学校の先生や養護教諭、スクールカウンセラーや、私のような児童精神科医といった専門家に相談をしてみてください

反抗的な態度をとっていてもわが子を大切に思っている親の気持ちは、なんらかのかたちで子どもにも伝わっているものです。親自身もセルフケアを大切にしつつ、一人前の大人に成長しようとしてるお子さんを応援していくのに、この記事が役立つといいなあと思います。読んでくださりありがとうございました。

<構成・執筆>ソクラテスのたまご編集部

前田佳宏

前田佳宏

医師7年目の児童精神科医。通称まえまえ先生。精神保健指定医。専門はPTSD、HSP、発達障害、愛着トラウマなど。都内のクリニックにて、認知行動療法、マインドフルネスや家族療法などをベースとした、統合的なストレスケアを用いて、児童や大人の悩みに日々向きあっている。渋谷で哲学対話『ゲーテカフェ』を主宰。現在は専門性を活かし、コーチングの普及にも力を入れている。カフェと散歩と旅が好き。LINE@:https://line.me/R/ti/p/%40623rezui Twitter:@littleri07 HP:https://littleringed.org

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