小学生の中間反抗期はいつまで?原因やひどいときの対応、疲れた親のストレス解消法を心理師が解説!
「うるさいな!」「分かってるってば!」まだまだ幼いと思っているわが子からの反抗的な言葉におどろいたり、手を焼いたりしている家庭はありませんか?思春期の少し手前、小学1~3年生に訪れるプチ反抗期を中間反抗期といいます。「ついムキになって怒り返して状況を悪化させてしまう」「毎日疲れる!」「どうしたらいいの!」と叫びたくなる保護者に向けて、多くの親子の悩みと向き合ってきた公認心理師の露木友子さんからのアドバイスを届けます。
目次
中間反抗期が始まる原因とは
2~3歳に訪れるイヤイヤ期、10歳辺りから始まる反抗期もそうですが、中間反抗期も心が成長してきて、子どもが自分の意志や意見を持ち始めた表れです。
多くの子どもの場合、小学生低学年になると物心が付いてきて自分自身の希望を表したり、周りに注意を向けたりするようになります。その中で「自分で考えたい」「自分で決めたい」「自分でやりたい」という気持ちも育っていきますが、子どもの思ったこと、感じたこと、決めたことが保護者の価値観と必ず一致するわけではありません。
例えば、子どもが赤ちゃんだった頃、あなたが「子どもをミルクで育てたい」と思っているのに、実母や義母から「母乳じゃなきゃだめじゃない」と言われたら「私だって色々調べて、考えがあってやっているのに!」と思いますよね。同じような仕組みです。
とはいえ、少し前まで保護者の言うことに素直に応じていた子どもがこれまでにない勢いや、乱暴な言葉づかいで言い返して来たらおどろいてしまう、イラっときてしまう気持ちはよく分かります。
反論の内容や話し方に対して「こんなの意見じゃない!」「口が悪くなっただけだ!」とも思うことでしょう。
しかし、それはまだ子どもだから仕方のないこと。「こうしたい」「そうじゃないんだ」と思っていても、それを上手に言葉で表現することができないことが多く、そのもどかしさから保護者からすると「反抗的!」と感じてしまう表現をしてしまうことを理解してあげたいところです。
また、思春期の反抗期に顕著に表れますが、子どもの気持ちは「まだ甘えたい気持ち」と「自立したい気持ち」がセットになっています。だからこそ、子ども自身も葛藤してイライラしているのです。
「反抗しているのだから、甘えたくないのだろう」というわけではなく、子どもがその2つの気持ちのはざまで、成長しようともがいているのを理解してあげられたらいいですね。
そうは見えないかもしれませんが、子どもは反抗しながら成長しようとがんばっています。
中間反抗期がひどいのは育て方が悪いわけではない
前述のとおり、この「反抗的!」と感じる言動は成長しているからこそ起きる言動です。むしろ、よく子育て出来ているという証なのです。
ですから、できれば生意気な言動に対しては、「まだまだ幼いと思っていたけど、ちゃんと成長してるんじゃない」「うちの子も言うようになったな」「世界が広がったんだな」と、心の中でニヤニヤしながら聞くのがいいと思います。
愛情を感じているからこそ子どもは安心して歯向かえる
また、子どもから反抗的な態度を取られると、「愛情が足りなかったのかな」と思うこともあるかもしれませんが、実際には逆の可能性もあります。
子どもたちの多くは、これまでの人生の中で「こういうことをしても、親は私(僕)のことを絶対に本気では嫌いにならない」「絶対に見捨てない」「家から追い出されたりしない」と思えるからこそ、反抗的に見える行動を取ることができ、「愛してもらえている」という甘えがあるからこそ、強い口調や言葉づかいで、歯向かうことができるのです。
ですから、どうぞ保護者のみなさんは、子どもが安心して“反抗できている”ことにを誇りをもってくださいね。
親もイライラ!中間反抗期のあるあるエピソード
こちらは、ソクたま編集部が集めたいろいろな家庭の中間反抗期に関するエピソードです。
エピソード1:口答えする女の子への対応に疲れた…
わが家は「宿題が終わったらゲームをやっても良い」というルールなのですが、本当はやっていないのにやったと嘘をつくときがあります。注意すると「ママだって洗い物が終わってないのにスマホ見てる」と反論してきて、言い返せないことがあります。「それとこれとは話が違う!」とは思いましたが、怒り返してもらちが明かないと思い、そのまま「ふーん」とだけ言って部屋を出ました。結局宿題を忘れていって先生には叱られたようですが、怒り合いになったほうがいいのかモヤモヤします。(小学校2年生女子の母)
エピソード2 :理不尽な理由で泣き続ける女の子にもう疲れた…
人形遊びをしていた9歳と6歳の姉妹。仲良く遊んでいると思ったら、妹が大泣きをしながら怒って地団太を踏んでいるので理由を聞くと、「人形の髪の毛をうまく三つ編みにできなかった!」ということのよう。お姉ちゃんが馬鹿にした様子もなく、むしろ手伝ってあげようとしていたみたいです。「一緒に練習しよう」「代わりにやってあげようか」と言っても泣き止まず私が泣きそうでした。(6歳と9歳女子の母)
エピソード3:「それが大人の態度?」と言われてイライラ
食事中、イスに膝を立てて座り、テレビを見ながらダラダラ食べている娘。何度か注意しても無視しているのでテレビを消しました。すると「お母さんのルールで勝手に消さないで!それが大人のすることなの!」と反抗的な態度。それまでの態度にも腹が立っていたので「つくったご飯をそんな風に食べられて腹が立つのはこっちだよ!」と言い返して泣かせてしまいました。反抗期中の子の態度を正したいとき、どうすればいいのかいまだに分かりません。(9歳女子の母)
エピソード4:心配したのに「うるさい!」と言われてムッカー
放課後はいつも宿題もせずに外で遊びまわっていた息子。最近、学校から帰ってきてもテレビを見ながら家でゴロゴロしてばかりなので「公園に行って来たら?」「●●君と遊ばないの?」と心配して声をかけていたら、急に「うるさいな!」と反抗的な態度。反射的に「その言いかたは何!お母さんは心配して言ってるのに!」と言い返してしまったら、怒って部屋を出て行ってしまいました。(8歳男子の母)
みなさんいろいろなことに怒ったり、悩んだりしていらっしゃいますね。次の段落では、それぞれのエピソードも参考にしながら中間反抗期の子への対応について考えてみましょう。
中間反抗期をひどくさせない親の対応6個のポイント
では、中間反抗期の対応に知っておくといいポイントを6個紹介しましょう。
絶対にダメということ以外は放っておく
中間反抗期も、もう少し後にやってくる思春期も親離れ、子離れをする時期です。人の道を踏み外すようなこと、家庭ごとにある人として絶対に守ってほしいこと以外はこれまでよりも少し距離を置いて子ども本人の意向にまかせるようにしましょう。
たくさん失敗をさせてあげよう
子どもの意志や意見を尊重するということで子ども自身が失敗をすることもあるはずです。失敗することが分かっていて子どもを放っておくのはかわいそうと思うかもしれませんが、子ども時代にたくさん失敗をして失敗をする練習をしておくと、大人になって大きな失敗をしないで済んだり、失敗をリカバーできたりするようになります。
例えば、<エピソード1>では、「結局宿題を忘れていって先生には叱られた」とありますが、それでいいと思います。みんなの前で怒られたり、困ったことでやっていかなければならないことを学ぶことが大切です。
中には、遅刻や忘れ物を繰り返して反省していないように見える子もいるかもしれません。保護者としてはどうしてもマイナスの面が目につきますが、マイナスの面だけを見ずに子どもの大らかさや何とかその場を乗り切るたくましさも同時に見てあげられるといいですね。
行動の理由を考えてみる
<エピソード1>では、宿題より先にゲームをしているという記述がありましたが、子どもの中にはゲームをすることで疲れた心身をリフレッシュすることができ、ゲームをすることで宿題に向かうことができる子もいます。ルールを守ることにイラっとする前に「この子は何のためにゲームをしているんだろう」という自分に問いかけてみると、子どもを理解することができ冷静な対処もしやすいと思います。
感情が抑えられないときは気持ちを代弁してあげる
<エピソード2>では、子どもが自分のできなさや、もどかしさに怒っているように感じます。「うまくできなくて悲しいんだね」「三つ編みができなくて悔しいね」と、うまく言葉にできない気持ちに寄り添い、代弁してあげることで気持ちが落ち着いてくることは多いですよ。
手応えや満足感のために叱らない
<エピソード3>では、子どもを泣かせてしまいましたが、子どもを怒り過ぎてしまう傾向がある人は、子どもに甘え過ぎている可能性も考えられます。自分の気持ちを観察しながら子どもと接しましょう。
子どもは、聞いていなかったり、分かっていなかったりするように見えても1回言えば分かっていることが多いものです。
ですが、子どもがすぐに行動に移したり、泣いたり、しょんぼりしたり、反省したりする姿を見せないことに親自身が納得できないのです。だから、言いすぎたり、怒り過ぎたりしてしまいます。親が満足感、手ごたえを得るために怒るというのは避けたいですね。
納得できていないルールや価値観を無理強いしない
<エピソード1>のゲームの時間や<エピソード3>の食事のマナー、<エピソード4>の放課後の過ごし方などに共通しているのは、大人のマナーや価値観が正しい前提で話しているということです。
中間反抗期の頃は、いろいろ分かっているようにみえても実は保護者に言われたからそうしていただけという子もいます。納得できていないルールを守り続けるのは大人でも苦痛ですよね。子どもが納得できるように大人も自分自身で言っているマナーや価値観を守るようにすることもとても重要です。
また、もし年齢的に納得するのが難しそうなのであれば子どもの考え方が成長するまで待ったほうがいいかもしれませんよ。
中間反抗期に疲れたら新婚時代、独身時代を思い出して
繰り返しになりますが中間反抗期は、子どもが意思を持ち始め、一心同体だった親から離れていく時期です。親も手を少しずつ離していく時期であるとともに数年後に始まる思春期の反抗期への練習の時期だといえるかもしれません。
もし、「子どもにイライラさせられっぱなし!」「言うことを聞かなくてむかつく」などと思っているなら、手や口を出しすぎている可能性もあります。親子関係も悪くして、自分もイライラしてばかり…そんな日々は早く終わらせたいですよね。
そこで、私がおすすめするのは、子どものことを考える時間を減らすということです。例えば、夫婦の会話を子どもの話題から子どもが生まれる前に話していた話題にする、今まで子どものために使っていた時間の何パーセントかを自分の趣味の時間に使ってみるのはどうでしょう。
これからもっと子どもは手を離れていきます。それを寂しいと思いすぎると子どもに執着してしまい、自分の言うことを聞かせようとしてしまいがちです。母親としてではなくあなた自身が楽しいと思えること、充実感があることにも目を向けてみるのはどうでしょうか。
ストレス解消におすすめなのは妄想!?
とはいえ、まずは目の前のイライラをなんとかしたいですよね。そこで、ストレスを感じた時に上手に対処する心理学のスキル「ストレスコーピング」を紹介します。
「ストレスコーピング」とは意図的な自分助けのことです。といっても難しいことをするわけではありません。ストレスを自覚し、理解した上で自分助けになるのであれば、「好きな音楽を聞く」「たくさん寝る」「お気に入りの公園に行く」など楽しいこと・好きなことでOKです。
ただし、やけ酒や過度の買い物は、コーピングの効果が続かずにすぐに終わるといわれています。より持続的で強い効果を求めて酒量や金額がエスカレートしてしまうことがあるのでおすすめできません。ポイントは“しょぼいもの(事)”でなるべく数を多くしましょう。
いいストレスコーピングのポイント
- そんなに時間とお金がかからない
- 効果が持続すること
- 質より量が大事(たくさんあれば「あれがだめなら、こちらにしよう」と選択でき、効果がないときも代替えできる)
- 人間関係や健康に悪影響を与えないこと
“自分を助けてくれるもの(事)”が何も思い浮かばないという人には“妄想”もおすすめです。
例えば、「嵐の中で旦那にするなら?恋人にするなら?」「家に帰ったら、好きなアイドルがご飯を用意して待っていてくれた」など、くだらないなとつい笑ってしまうようなことでもストレスが消えればいいんです。妄想は最もコスパのよいストレスコーピングともいわれているんですよ。
臨床心理学では、小さな子どもにとっていい母親とは「グッド・イナフ・マザー」ともいわれています。
これは、母と子が一体となった状態から、子どもの成長に合わせて、次第に手をひいていける母親のことをいいます。何でもやってあげる、守ってあげるのがいい母親といわれているわけではありません。
助けを求めてきたら助け、怖がったら守るけれど、失敗もさせるし、必要以上の介入はせずあたたかく見守るなど、中間反抗期を子どもとの向き合い方を見直す時期にできたらいいですね。
※記事の内容は、専門家の経験や見識に基づいていますが、すべての家庭や親子関係に当てはまるものではありません。具体的な悩みや相談は個別に専門家へ相談することをおすすめします
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エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。