2020.02.25

公認心理師が教える/ウザい・嫌いにショック! 反抗期に親はどう向き合えばいい?【連載 専門家答える 親子の悩み相談室②】

「反抗期を迎えたわが子が手に負えない!」「思春期による反抗的な態度は、時が去るのを待てばいい?」。こんな風に、子どもの反抗期に悩む親は多いのではないでしょうか? 子育て心理専門の公認心理師で自身も一児の母である佐藤めぐみさんによる「親子の悩み相談室」。今回は、反抗期を迎えた子どもとの関係の築き方について教えてもらいました。

  • rss
  • google
  • bing

【今回のお悩み】

反抗期に突入したのか、私からの言葉を素直に受け入れてくれないことが多くなりました。また、「嫌い」「ウザい」などキツイ言葉を使うようにもなりました。やはり親でも傷つくし腹も立つし、なぜ嫌いなのか理由を知りたくもなるので問い詰めたり少し感情的になってしまったりすることも…。どのようにコミュニケーションを取れば良いか迷っています(小6女子の母親・42歳)

 

 

暴言に隠された子どもからのメッセージとは

小学5~6年生頃から、子どもが「嫌い」「ウザい」といった言葉を口にするようになるということは多いですよね。基本的にこういった暴言は、“学習”によるもの。子どもがどこかで覚えてきた言葉を状況に応じ発信しているとみなすことができます。学習の場はマンガかもしれないし、友達かもしれない。ただ、覚えた言葉を実際に使うかどうかはその子によりけりです。

 

では、子どもが暴言を使うのはどういう場合なのでしょうか。考えられる理由として2つ挙げることができます。

 

子どもの“暴言”の理由とは

  • 暴言によって、“報酬”が得られると感じている
    時に、暴言は人を黙らせることができます。言うことを聞いてもらえたり、お母さんがガミガミ言うのを黙らせることができたり。暴言を放つことによって「うまくいったぞ、これは使えるな、いい作戦だ」という“報酬的な収穫”が得られると、その後も繰り返してしまうことに…。

    この行動は、心理学的に“強化”といいます。自分の言動によってメリットを享受することができると次もやろう、同じ行動を繰り返そうと思うのです。

 

 

 

  • フラストレーションを抱えている
    もう一つは、子どもが抱えている悩みというフラストレーションが暴言というかたちで表面化しているケース。学校などで嫌なことがあったけれど何らかの事情で親に打ち明けにくい、このような時に起こりやすいようです。

    子どもが悶々と一人で悩みを抱えている場合、その状態を放置すると大きな爆発を起こしてしまうことがあります。ちょっとしたお母さんの小言でも、その爆発を誘発することにもなり兼ねません。「普段より口数が少ないな」「部屋にこもっている時間が長いな」など、いつもと様子が違うというのを察知する力は大切かと思います。

    また、子どもにフラストレーションがたまるのは悩みごとを抱えている時だけではありません。“良い子”だと思っていた子が突然、暴言を吐くというケースもあるでしょう。親から期待されていたり成績が良かったり、非の打ち所がない子に限って親の期待に沿いたいと思うあまり、フラストレーションをため込んでいるということは少なくありません。

 

 

 

 

暴言を吐くことで得をしていると子どもが感じているのか、それともフラストレーションを抱えているのか。それにより親がどうすべきかも変わってきますので次の章では、上記のように理由が異なる2つの暴言パターンにどう対応していけばいいのかを考えてみましょう。

 

 

暴言に動揺したり感情的になったりするのはNG

まずは、暴言により“報酬”が得られるとお子さんが感じている場合について説明しましょう。

 

小学校高学年の女子だとまだまだ親に頼る部分は多いのですが、思春期も間近。最近の子どもは成長が早く、小学校5~6年生で思春期を迎える子もいるので、相談者のお子さんは既に思春期を迎えているかもしれませんね。思春期の子どもは、自立したいと思っている時期。お子さんがお母さんにキツいことを言った時、驚いた顔やショックを受けた顔をしたりといった反応はしませんでしたか? そうすると、お子さんは「お母さんを言い負かせることができた」と感じる、つまり“報酬”を得たと感じてしまうことがあります。まずは、この部分を解消する必要があります。

 

暴言を“報酬”に変えないためのスキル

聞こえているけれども一瞬スルーする。

聞こえなかったように普通に接する。

 

上記のような対応をすると、子どもは「あれ? 言っても響かなかった」と感じるはずです。

 

子どもの口の利き方に対して、親が感情的に反応してしまうのはよくあること。感情的に叱っても、子どもは納得せずに親子喧嘩になるのは目に見えています。感情のぶつけ合いは子どもの暴言をエスカレートさせることにつながり、結果的に親子関係を悪化させてしまうかもしれません。

 

子どもを諭したいのであれば、子も親も感情が落ち着いている時に「さっき、こう言ってたけど…」「あんな風に言われて、悲しかったな」などと、話をしてみましょう。

 

 

 

親子関係を見直してみよう

悩みが家庭にある場合

今まで素直だった子がある日、突然、暴言を吐く。それには、親に対して不満や悩みを抱えている場合もあります。

 

まずは「親の期待が高過ぎなかったか」「過干渉ではなかったか」「子どもを追い込む要因はなかったか」を考えるなど、親自身が“親としての言動を振り替えること”が大切になります。

 

「宿題は終わらせたの?」「部屋を片付けなさい」など、子どものため、良かれと思って親が言ってきたことも、子どもにとってはストレスの元になっている可能性もあります。少しずつ芽生えてきた自立願望を摘まないためにも、宿題や身の回りのことなど親が手を差し伸べなくてもできることに関しては見守るということもこの時期のお子さんへの対応で大切になります。

 

親が自身を振り返った時に「子どもに期待をかけすぎているかな」「小言が多いかも」と感じるのであれば、その子が感じているプレッシャーを減らすことが暴言の対策になっていきます。

 

悩みが学校にある場合

次に、子どもが学校で悩みを抱えていると考えられる場合についてお話ししましょう。

 

子どもが学校に行っている間の様子は、親も知らないことの方が多いでしょう。中には、子どもに「学校どう?」という質問を投げかけているという人もいるかもしれません。

 

でも、日中の半分以上を学校で過ごしている子どもは「どう?」というザックリとした聞き方をされても回答に悩みます。

 

できれば「今日、給食は何が出たの?」「今日は何の授業が一番、難しかった?」など、質問をする時は具体的に。子どもが答えやすい質問を投げかけながら親と子が離れている間の出来事、親子の空白の時間を知るためのコミュニケーションにしましょう。

 

 

 

 

ただ、思春期の子どもたちは親があれこれ聞こうとすると警戒してしまう可能性もあり、具体的な質問でもあまり話してくれない傾向があります。そういう時は、しつこく聞くよりも「食べたいって言っていたお菓子買ってきたよ」など子どもを気にかけている気持ちをさりげなく態度で示しましょう。

 

話したいことがあっても素直に言えないというのは、大人でもよくあることですよね。

 

子どもが話せるように親ができるのは、吐き出しやすい場や雰囲気を作ってあげること。具体的な質問を普段のコミュニケーションから行い、関係性を円滑にしていくこと。そして「何かあったかな?」という時には、「何かあった?」と聞くのではなく子どもが言いたくなる雰囲気を作ることが大事です。

 

もちろん、思春期はとても難しい時期ですので親が働きかけをしたからといって子どもが悩みを話してくれるとは限りません。親が働きかけをしたからといって子どもが悩みを話してくれるとは限りません。小さい頃は大好きだった抱っこやスキンシップのような分かりやすい愛情表現も、それこそ“ウザい”と感じるのがこの時期です。だからといって放っておいていいわけではないですし、コミュニケ―ションはなおも大事です。ただ、その在り方が変わっただけ。自分のことを受容してくれると分かっているから反抗もするし、そっけない態度もできるので、この時期は分かりやすい愛情表現よりも、さりげない愛情表現で見守っていくことが大事になってきます。

 

 

夫婦間の問題を子どもに愚痴るのは抑えて!

思春期というと娘が父親に冷たい態度を取ったり息子が母親に暴言を吐いたりなど、異性の親に対して冷たくなることもあります。

 

これは、少しずつ異性を意識するようになっているということ。親に対してだけではなく、男性/女性という性の違いを意識し始めているということです。中には思春期に子どもが突入しても異性の親に対しての態度が変わらないという子もいますが、“避けられる、冷たくあしらわれる”のは標準の対応です。

 

しかし、注意したいのは両親の関係性が子どもの異性の親に対しての態度につながること。例えば、母親が父親の悪口ばかり言っていると「お父さんはダメな人」と、子どもにすり込まれる可能性はあります。夫や妻の愚痴を子どもに話すのは避けていきましょう。

 

ただ、夫婦の問題はそのまま我慢しているとイライラが増大することもよくあるので、子どもを吐きどころにしないということは守りつつも職場の仲間や友人、ママ友・パパ友に話したり、専門家に相談したりと一人でため込まないのも大事になります。

 

 

 

 

相談内容をみていると、質問者のお子さんはおそらく反抗期特有のもの。日頃から親子間の会話やコミュニケーションを大切にしていくことで、お子さんの成長や本心など見えてくるものがきっとあるはずです。

 

 

 

佐藤めぐみ

佐藤めぐみ

公認心理師、オランダ心理学会認定心理士。欧米の大学・大学院で心理学を学び、「ポジティブ育児メソッド」を考案。現在は公認心理師として、育児相談室・ポジカフェでの心理カウンセリング、ポジティブ育児研究所での子育て心理学講座、メディアや企業への執筆活動などを通じ、ママをサポートする活動を行う。ドイツ在住。中学生の娘の母親として子育てにも奮闘中。

\ SNSでシェアしよう /

  • rss
  • google
  • bing
  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう

    最新情報をお届けします