2019.12.25

子どもとうまくいかない!? 関係改善のために親子がそれぞれできること/アンガーマネジメント【第17回】

前回の記事では、子どもがイライラしているときでも親子関係を悪化させない親の対応について紹介しましたが、今回は、親の初期対応が上手くいかなかったときでも関係性を悪化させてしまわないための方法について解説します。親子で“負の感情のサイクル”に陥るのを防ぐポイントや解決法とは?

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イライラしている子どもの対応に失敗するとどうなる?

前回の記事(下記)では、子どもがイライラしているときに気を付けたい親の対応のポイントについて紹介しました。

2つのポイントを見直すだけ! 反抗期でも親子関係が悪くならない叱り方

 

しかし、もし、イライラしている子どもの気持ちや思いをそっちのけにしてしまい、

「あなたも悪いんじゃない」

「怒るなんてバカみたい」

と言ってしまったらどうなるでしょうか? 

 

子どもは親から責められた、決めつけられたと思ってしまうことでしょう。そして、わかってもらえないという悲しみや寂しさ、話を聞いてもらえないという失望感を抱いて、ふてくされた反抗的な態度をとったり、やる気をなくしたり、感情を爆発させたりするかもしれません。

 

さらに、その後も関わりが上手くいかないと、親子ゲンカになってしまったり、子どもが親を避けて話をしたがらなくなったりなど、親子関係は“負の感情のサイクル”に陥ってしまいます。では、初期対応をしくじってしまい子どもの機嫌がどんどん悪化していったときにどうすればいいのかを、親と子どものそれぞれができることで考えていきましょう。

 

 

 

【子どもができること】怒りを脱していつもの自分になる

親が前提として理解しておきたいのは、子どもだって、親とのケンカやふてくされた態度を望んでいるわけではないということ。そんな態度を取らせている怒りの状態から抜け出すことで、親子間の負の感情はかなり解消されます。

 

とはいえ、親子間に不穏な空気が流れる中で、「冷静になろう」と言っても聞いてくれるはずがありません。関係が良好なときから、これまでの記事で紹介してきた“子どもが自分でできるアンガーマネジメントのスキル&トレーニング”を教えておくとよいですよ。

 

体を使った簡単なクールダウン法

①深呼吸

②胸をトントンと叩く

③手や腰をゆらゆらさせる

④手のグーパー運動をする

⑤手を揉む、身体をさする

 

引用元;

子供にこそアンガーマネジメント! 怒りを自分で簡単にクールダウンできる方法とは

 

5つのトレーニング

①気持ちが落ち着く言葉をつぶやく

②頭を真っ白にしてみる

③動きを止める

④数を数える

⑤前向きになる言葉を自分にかける

 

引用元:感情のコントールができない! 子供が怒りで失敗しないために伝えておきたいこと

 

子どもが自分で感情のコントロールができると、現状を改善できるだけでなく、更なる火種を防ぐこともできますよ。

 

 

 

【親ができること】関係改善のための2つのメソッド

しかし、子どものアンガーマネジメントが上手くいかなくて、思わず反抗的な態度や素っ気ない素振りなどを取ってしまうことも多いはず。 

 

そんなときに活きるのが、親のアンガーマネジメントです。下記は、ぜひ意識してもらいたい2つのメソッドです。

 

子どもの言動を上手くスルーする

まず、親が心がけたいのは、子どもの反抗的な態度や素っ気ない素振りに対して“反応しない”ということです。

 

感情的になってしまったことで後悔や罪悪感を抱いたり、自責の念に駆られたりすると、人間は落ち込むだけでなく自分や状況に対する怒りを溜め込みがちです。そんなときに、子どもの反抗的な態度と向き合うのは、火に油を注ぐようなもの。怒りをコントロールするのが、どんどん難しくなっていきます。あえて、子どもの反抗的な態度や素っ気ない素振りには反応をしないで上手くスルーしましょう。

 

解決のための現実的な提案をする

次に大切なことは、どうしたらそこから抜け出せるか解決方法を見出していくことです。

 

改善して欲しいこと、問題点があるとき、親は子どもに対して「~しなさい」「~しなくていい」という指示命令型の提案をしてしまいがち。なぜなら、指示命令をすれば、簡単に子どもをコントロールできると思うからです。

 

ところが、子どもが幼少期なら言うことをきくことがあるかもしれませんが、思春期に突入すると指示命令型の提案は、子どもが反発するリスクが非常に大きいのです。しかも、子どもの自主性と自己決定を奪ってしまったり、子どもの成長に合わせて同じ対応ができなくなったりというリスクがあります。

 

解決したいときは、即効性を求めたり、親の思いを押しつけたりするのはNG。現実的な方法で親と子が協力して解決策を考えていくことが大切です。

 

 

問題解決のための5つのステップ

では、現実的な解決方法とはどんなものでしょうか? 問題解決に向けての5つのステップを、下記のシチュエーションを例にあげて見ていきましょう。

 

<例>宿題をしない

宿題をさせたい(宿題をするためにどうすればいいか)

 

問題解決のための5ステップ

①子どもの気持ちの理解

②心構え(話し合う姿勢、問題点の絞り込み)

③子どもの考えが先

④親の考えを正当化せずに提案し、子ども自身が決める

⑤実践と軌道修正

 

それでは、具体的にそれぞれの内容を見ていきましょう。

 

①子どもの気持ちを理解する

子どもの気持ちを理解しないまま解決策に進むと子どもは“やらされ感”を抱き、やりたがらなくなることがあります。

 

例の場合…

内容がわからなくて困っているのかも、勉強に自信がなくて不安なのかも、他にしたいことがあって今するのは不満なのかも

 

②心構え(話し合う姿勢、問題点の絞り込み)

問題点について、これから一緒に考えていくという姿勢や心づもりが親と子、共に無ければ、結果として「~しなさい」「~しなくてもいい」という指示命令・強制の形になりやすくなります。子どもの意見を理解したうえで、関係修復のために話し合うことを子どもに提案してみましょう。

 

例の場合…

何かをしながら話すのではなく、お互いに手をとめて近くで話ができるようにしましょう。「3分でいいから宿題について話したいことがある」と伝えるなど、何について話をするのか、課題や問題点・時間を絞り込んで伝えるとよいですね。

 

一緒に話し合う準備ができたら、次に大切なことは、問題点の絞り込みをするということです。もし問題点がいくつかある場合には、何から取り組んでいくか、問題の優先順位をつけることも大切。

 

親主導ではなく、あくまでも子どもが主体的にどうしたら取り組めるか、“説得ではなくお互いが納得すること”が大事です。問題が解決したときのメリット、解決しないことによるデメリットも一緒に考えていきましょう。

 

例の場合…

親は、毎回「宿題はしたの?」「終わったの?」「していないでしょ」と言うのが嫌。宿題をやらないでけんかになると家庭内が嫌な雰囲気になったり、夕食や家族団らんの時間も険悪なムードになるのはお互いに嫌。宿題が終わっていれば、「よく頑張ったね」と褒められるだろうし、その後は好きな時間に費やせる。そのため、自主的にやってほしいけれど、まずは「夕食前に宿題を終わらせることを目標にやってみよう」と提案。

 

③子ども自身の考えが先

話し合いをするときは、先に子ども自身の考えを聞いてみましょう。もし親が先に言ってしまうと、子どもは自分の考えが言いにくくなったり、従わざるを得ない形になりやすいからです。子どもがその問題についてどうしたいのか、何ができそうか、子どもが自主的に取り組んでいくためにも子どもの率直な考えを引き出すことが大切です。

 

例の場合…

宿題をすぐしないのは何かあるからなのか理由を聞いてみる、

宿題は何時から始めるつもりでいるのか聞いてみる

 

④親の考えを正当化せずに提案し、子ども自身が決める

親は自分の考えを正当化してしまいやすくなります。その誘惑に負けないことです。どうしても子ども自身、解決策が出にくい場合には、いくつかの現実的なアイデアを提案し、どれができそうか“子どもが決める”ということも大事です。

 

例の場合…

~NGの提案~

宿題しないとダメだよね、宿題はやるものだから先に終わらせなさい。

~OKの提案~

夕食前に終わらせるために宿題は何から始める?

一緒にするか自分でやってみるかどっちがいい?

まずできるところまでやってみよう、何分まで終わらせたい?

 

⑤実践と軌道修正

1回で上手くいかないこともあります。その場合、親が「こうすればよかったのに」とダメ出しをするのではなく、どうしたら良かったのか“子どもの口から考えを引き出す”ことが大切です。

 

例の場合…

~引き出す言い方~

今日、上手くいったなと思うところはどこ?

次、どうすればもっといいと思う?

スピードアップするために何ができそう?

 

そして、修正しながら子どもが主体的に取り組めるように引き続きサポートができるといいですよね。スムーズにいかないことで、親自身が焦ったり忍耐を強いられることもあるかもしれません。けれども、「これがダメなら別の方法を試してみよう」「ほかの方法がないだろうか」と一緒に考えていくことで、怒りに振り回されたり、諦めてやる気をなくしたりせず、乗り越える力と解決していく力が身についていくことでしょう。

 

親子ともに“負の感情サイクル”に陥らないためにもアンガーマネジメントで感情のコントロールをしながら前向きにシフトチェンジできるといいですね。今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

 

長縄史子

長縄 史子

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントシニアファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

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