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2019.11.28

中学生を叱る時は2つのポイントに注意! 反抗期でも親子関係が悪くならない叱り方/アンガーマネジメント【第16回】

思春期や反抗期でイライラしている子を叱るのは難しいですね。言い方を間違えると、親子関係がどんどん悪化してしまうことも…。子どもの感情を親がコントロールすることはできませんが、自分(親)の叱り方はコントロールできます。見直すポイントはたった2つ!ぜひチャレンジしてみてください。

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ルールを無視した叱り方で親子間は悪化していく

以前、下記の記事で、親子間の上手な怒り方のヒントについて紹介しました。

親の怒り方を見て子どもは育つ 怒りっぽい子に育てないためのルールとタブー

親から子へ怒っていることを伝えるときは、下記のような3つのルールと5つのタブーがあります。

怒るときの3つのルール

  1. 人を傷つけない
  2. 自分を傷つけない
  3. ものを壊さない

怒るときの5つのタブー

  1. 機嫌で怒る
  2. 過去や関係ないことを持ち出す
  3. 原因を責める
  4. 一方的に決めつける
  5. 人格を否定する

では、以上のようなルールとタブーを無視すると親子間でどのような問題が起きるでしょうか?

例えば…

「どうしてできないの」
「何で宿題をしないの」
「いつも言っているよね」
「バカじゃないの」

このようなセリフは、親子間ではよくある会話かもしれません。親が子どもを叱るときはもちろん、なぐさめるときも悪意なく言ってしまうことがあるでしょう。

しかし、上記のような表現や態度は、受け取り側の子どもからすると自分を否定されているように感じてしまいます。思春期や反抗期でイライラしている子にこのような言葉を投げかけるのは、火に油を注ぐようなもの。反抗的な態度で親に立ち向かい、親子間には負の感情が生まれ、これが日常的に繰り返されることで親子関係はどんどん悪化していくことに…。

お互いに不満や怒りが溜まって感情が爆発しやすくなるだけではなく、子どもが親を避けるようになったり、話をしたがらなくなったりする“親子間の負のスパイラル”に陥ってしまうのです。

では、イライラする子に対して、親はどのような言葉かけをしていけば、負のスパイラルに陥らずにお互いに分かり合うことができるようになるのでしょうか。

残念ながら、子どもの感情を親がコントロールすることはできません。でも、親自身が次の2つのポイントを見直すことで、親子間で怒りをぶつけあったり、溜め込んで憎しみに変えてしまったりするようなことは減ります。

【見直しポイント1】叱る理由の中に“~であるべき”という押しつけの思考はないか

親が子どもを叱ったりなぐさめたりするのは、子どもに対する何らかの気持ちや思いがあってのことですよね。

例えば、子どもが宿題をしなかったとき、親の心の中では

「宿題をしないと先生に叱られたり何か言われたりするのではないか」
「心配」
「恥ずかしい」
「勉強ができないと困る」
「将来が不安」
「あきれる」
「見放したくなるくらい落胆する」
「不満に思う」

などの気持ちが交錯しているはずです。これは、子どもに対して何とかしてあげたいという思いがあるからで、うさ晴らしや腹いせ、からかうために怒ろうとしているわけではないはずです。

親自身の気持ちや思いに気づく

まずは、この子どもに対する気持ちや思いを考えてみましょう。怒りの気持ちの裏にある、あなたの本音(第一次感情)はどんなものですか? また、怒っている理由の中に“~であるべき”といった子どもへの理想、願望、欲求を押し付ける偏った“~べき思考”がないか振り返ってみましょう。

しつけと怒りは別モノです。“親のしつけ”として、言い聞かせなければならないこと、守らせなければならないことは、あってしかるべきです。しかし、その親の信念を通すために、怒りの感情をぶつけて親子間の関係性が悪くなっているのであれば本末転倒ですよね。“しつけ”と称して怒り、親が子どもを不安にさせて支配したり、過干渉によって子どもの自己決定を奪うような関係性を作り出しているのであれば不健全な親子関係といえるでしょう。

もし、怒りの奥にある親としての本音に気づかず怒りをぶつけてしまっていたり、“~であるべき”という思考の押し付けや決めつけになっているような場合は、健全な関わりができにくくなってしまいます。まずは、親自身が、本音と向き合うレッスンをしたり、“~であるべき”という思考を柔軟にするアンガーマネジメントをしていく必要があります。

第一感情に向き合うためのアンガーマネジメント記事「怒りの裏に隠れている本当の気持ちに気づけるようになろう」はこちら

“~べき思考”について書かれた記事「あなたを怒らせている正体 “~であるべき”に気づいて」はこちら

【見直しポイント②】子どもが「責められた」と感じる言い方をしていないか

繰り返しますが、親が子どもを叱るとき、親には子どもに対する愛情があるはずです。

しかし、「どうして!」「なんで!」など、相手を責めるような言い方や「いつも」「バカ」などのような決めつけや人格を否定する表現を使うとどうなるでしょうか。子どもを責めてしまうような攻撃的な言い方や皮肉では、残念ながら子どもに真意が伝わりません。

つまり、子どもに親心を理解してもらいたいときこそ、叱り方には工夫が必要です。

“I(アイ)メッセージ”に変える

親が反射的に言ってしまいがちな「どうして!」「なんで!」という言葉。これらの言葉は、言わなくても、言葉の後ろに「あなたはいつもそうなの」といったニュアンスが含まれており、これらのように“あなた(子ども)”を主語にしたメッセージを“YOUメッセージ”と言います。

この“YOUメッセージ”には、言われた相手が責められているように感じるデメリットがあり、イライラしている子どもに向かって発すると“売り言葉に買い言葉”といった状況に発展しやすくなります

【見直しポイント➀】では、親自身の本当の気持ち(心配・不安など)や、どのような“~であるべき思考”(理想・願望・欲求)があったのかを見直し、次のことが分かったはずです。

  • 私(親自身)がどう思ったのかどう考えているのか
  • 私(親自身)がどうして欲しいと思っているのか 

このように、“私(親自身)”の気持ちを伝えるときに適しているのが、“I(アイ)メッセージ”です。

“Iメッセージ”とは、「私はこう思う」「私はこう感じた」など、自分が感じていることを伝える方法です。主語が相手(子ども)ではなく、私(親自身)になるため相手のせいにすることがありません。

<YOUメッセージからIメッセージへの言い換え例>

このような言い方に変えると、子どもは責められたと思うことなく「お母さん(お父さん)は、そう思っているのか」「お母さん(お父さん)からは、そう見えているのか」など、親の気持ちや考えが子どもにも受け止めやすくなります。

「どう思う?」の姿勢で親子は安心できる関係になる

そして、より健全な親子関係を目指すのであれば、一方的に怒るだけではなく、コミュニケーションについても考えましょう。

コミュニケーションは双方向が理想です。感情的かつ命令口調のような一方的・強圧的な言動は支配関係をつくりやすくなるほか、いずれ子どももモデルケースとしマネていきます。

子どもにも気持ちや考えがあります。「(私は)こう思うけど、どう思う?」というように言葉のキャッチボールができたり、気持ちや考えを互いに分かり合う関係性は“安心・安全・信頼”を生み出します。

負の感情サイクルは、親子間に限りません。学校での先生児童(生徒)間でも同じことが起きます。互いに気持ちや考えを理解しあえる関係性をつくっていけるといいですね。今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!

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長縄史子

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/

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