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2019.12.06

【新学習指導要領】2020年から子どもたちの学びはどう変わるのか?

2020年から、新しい学習指導要領が小学校で全面実施されます。小学生の子どもを持つ親世代が受けてきた教育とは、大きく変化した学校教育を受けていくことになるのです。そこで今回は、新学習指導要領が掲げる3つの柱の解説と変化を受けて今を生きていく子どもに家庭でできることを紹介します。

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新学習指導要領の3つの柱とは?

新しい学習指導要領は、文部科学省が発行しているリーフレット『生きる力 学びの、その先へ』にもあるように「社会に開かれた教育課程」の実現を目指しています。

国際化やICT化という社会の変化を保護者自身も日々感じていると思いますが、このように今後社会がどんなに予測困難になっても「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、 それぞれに思い描く幸せを実現してほしい」という願いが込められています。

未来に向けてこのような人材を育てていくために、新しい学習指導要領では3つの資質・能力をバランスよく育むことをうたっています。

3つの資質・能力とは?

  • 実際の社会や生活で生きて働く「知識及び技能」
  • 未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現力など」
  • 学んだことを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力、人間性など」

「知識及び技能」とは、覚えなければならない基本的事項です。これまでの学校教育では、従来の知識の伝達・注入を中心とした授業が行われ、学んだことをきちんと習得、定着できているかに大きな比重が置かれていましたが、今後は個別の知識のみを指すのではなく、それらが相互に関連付けられ、さらに社会の中で生きて働く知識、技能が習得されることを目指していきます。

「思考力、判断力、資質等」「学びに向かう力、人間性等」とは?

3つの柱の「思考力、判断力、資質等」「学びに向かう力、人間性等」は、「知識及び技能」に比べてイメージしにくいのではないでしょうか。

まず「思考力、判断力、表現力等」とは、知ったことやできることを使って、未知の課題に対応できる力のことをいいます。テレビのニュースやインターネットでPISAという言葉を見聞きしたことはありませんか? このPISAで調査している力も、習得した知識や技能を活用して、実生活で直面した問題をどう解決していくかを問う問題となっているのです。

<PISAとは?>

  • OECD(経済協力開発機構)が、加盟国を中心に3年ごとに実施する学力到達調査
  • 「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野について実施
  • 日本では義務教育を修了した高校1年生を対象に実施

例えば2015年の問題では、データを見ながら、暑い日のランニングについて気温の上昇が汗の量に与える影響について説明する問題が出題されています。習得した知識をもとに子どもが自分で考え、論理的に説明することが求められており、この力はまさしく新学習指導要領でうたわれている「思考力、判断力、表現力等」が育成されることで身につく力です。

小学校では、個々で調べた学習内容を新聞などにまとめて発表したり、あるテーマについて話し合いをしたりする場の姿で、このような力が身についているか確認することができるでしょう。

次に「学びに向かう力、人間性等」とは、自ら学びや課題に諦めずに向かっていく力です。テストで評価することは難しいですが、目に見えない生きる力として大切な力です。

評価・可視化することが難しい力ですが、日々の授業の中で子どもが自ら目標を持って学習に取り組んでいるか、授業の振り返りの機会などを通じて子どもの意欲や態度を確認することができます。実際に私が働いている小学校では、授業終わりにノートに「今日の振り返り」を書く時間が持たれています。授業を通して自分が何が分かったのか、どう感じたのかを振り返ることで、子ども自身も学びを振り返る時間となっていると感じています。

小学校の授業はどのように変わる?

では、小学校では今後どのような授業が実施されていくのでしょうか。

知識や技能を習得するだけでなく、それをもとに自分で考え、活用し、実際の社会で役立たせることができるように「主体的・対話的で深い学び」を取り入れた授業が実施されていくようになります。このような授業を実現するためにグループワークやディベート、調査学習などといった子どもも能動的に授業に参加する学習が増えていくことが予測されます。

過去に、算数の授業で“重さ”について学ぶ授業がありました。その際に子どもが教室中を歩き回り、自分の測りたいものを見つけ、重さの予想を立てた上で測りで重さを調べるという授業です。その時の子どもたちは目を輝かせながら「ランドセルを測ってもいい?」と教師に聞いたり、「筆箱とノートを測ろう!」と友達とアイデアを出し合ったり、「楽しいね!」と言いながら真剣に取り組んでいました。

これから先はおそらく、このような子どもの姿が見られる授業や活動が学校現場で展開されていくのだろうと思います。

またその他に小学3・4年生で「外国語活動」、小学校5・6年生の「英語」教科の必修化、「プログラミング教育」の必須化が実施されます。

学びの変化を受けて、家庭で子どもと一緒にできること

このように学校教育が大きく変化する中で、家庭でできることは何なのでしょうか。最初に紹介した文部科学省の『生きる力 学びの、その先へ』では、下記のように保護者の働きかけの重要性についても言及しています。

  • 学校や友達のこと、地域や社会の出来事など家庭での会話が多い。
  • テレビ・ビデオ・DVDを見る時間などのルールを決めている。
  • テレビゲーム(携帯電話やスマートフォンを使ったゲーム等を含む)をする時間を限定している。
  • 子供に本や新聞を読むようにすすめている。
  • 子供に最後までやり抜くことの大切さを伝えている。
  • 自分の考えをしっかり伝えられるようになることを重視している。
  • 地域や社会に貢献するなど、人の役に立つ人間になることを重視している。
    (平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究)

私はこの中の“家庭での会話”を大切にしてもらいたいと考えます。なぜ“家庭での会話”をピックアップするかというと、子どもとの会話は日常生活の中で必ず繰り広げられるものだからです。そして、これから子ども達が社会で直面する課題や困難は一人で解決するのではなく、他者とアイデアを出し合い、対話や議論を重ねながら解決していくことの方が多いと思うからです。

まずは家庭で、自分の思いや考えをどう言えば相手に伝えられるのか、家族の中で練習していくことを大切にしてもらいたいと思います。
例えば習い事の帰り道に一緒に空を見上げて「雲はどう動いているかな?」「どうしてそう思うの?」と理由まで含めて質問してみたり、「お母さんはこう思うよ!」と考えていることを言葉にしてみましょう。ここでは正解を教えることが重要なのではなく、子どもが興味・関心を広げるタネをまいてあげることが大切なのです。テレビなどで気になったニュースがあれば家族みんなでそれぞれどう思うか、話してみることもおすすめです。

これからの予測困難な社会を生きていく子ども達に、親としてできることを難しく考える必要はありません。日々の生活での会話を大切にするだけでも、子どもが自分とは違う他者の視点に気付くきっかけを与えることができるはずです。そしてどう言えば相手に自分の考えが伝わるのか、会話を通じて子ども自身が気づき、学びが深まるきっかけとなっていくでしょう。

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ゆきこ

大学を卒業後、(株)ベネッセコーポレーションに入社。2人目の出産を機に退社し、学童や小学校で発達障害の子どもを支援する仕事に携わる。また、子どもの教育に関わるメディアのフリーライターとしても活動中。

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