教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.01.11

【新学習指導要領】自分で判断できない子に育つ!? プログラミング教育の罠

2020年度から小学校で必修化となるプログラミング教育。「学習指導要領解説」では、プログラミング教育について“コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動”と書かれています。しかし、その裏で“論理的かつ合理的な発想こそが正義”という考え方に陥ってしまう可能性もあるのです。

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プログラミング教育で論理的な思考の見落としとは

文部科学省によると「プログラミング教育」の目的は、プログラミング的な思考を身につけるということです。

 

そこで、プログラミング的な思考について説明します。 いわゆるプログラミングとは、コンピューターに対して命令を与える手段のこと。コンピューターの思考は「0」か「1」かの2択で物事を判断するため、プログラミング的思考のベースは「実行する」か「実行しない」かの2択の組み合わせて行われます。

 

その過程に「もし~なら」という条件を設定したとしても、結局は「~なら実行して、そうでなければ実行しない」という判断が加わるだけのことです。このような条件を組み合わせていくことによって複雑な思考や判断をしていくわけですから、そもそも曖昧な判断という概念はありません。

 

しかし、現実世界ではどうでしょう。

 

「0」か「1」だけで判断することが難しい決断を迫られることのほうが多く、プログラミング的な思考だけでは判断ができないのです。

 

 

なぜプログラミング的思考では判断が難しくなるのか

現実世界でも決断をする際には「0」か「1」で判断をせざるを得ません。「買う」か「買わないか」、「採用する」か「採用しないか」、「やる」か「やらないか」など、表面的な事象は基本的に「0」か「1」の判断です。だからこそプログラミング的思考ですべてのことを判断できると思われてしまいがちなのですが、実はそうではありません。

 

それは最終的な結果が「0」か「1」の判断でも、そこに至るまでのプロセスには「0」か「1」かだけでは割り切れない要素が入り込んでいるからです。その要素とは、人間の主観であり人間の感情です。 どれだけ合理的に条件を比較していったとしても、最終的にどちらを選択するのかは、選択する人間の主観に依存します。つまり、合理的に導き出された条件を見ながら、どちらの方が良いと感じるかは選択者の主観によって異なるということです。

 

 

選択を左右する主観とは何によって決まるのか

では、選択者の主観とは、どのように決まっていくのでしょうか。優柔不断といわれる現象は、この主観による決断ができないから起こるもので選択するための軸が自身の中で定まっていない場合に多く起こります。

 

例えば、“ケーキ店でどれにしようか迷う”というケースでは、“お金を使いたくない”という軸があれば価格で比較して選択の幅を狭めていきます。“お金を使いたくない”という主観が、絞り込みとして価格の比較を行っているのです。 その中で同じ価格があった場合にのみ“どれを食べたいか”という判断をすることになります。

 

例えば、プレゼントなら“相手の好み”という軸が生まれて判断しやすいですが、自分が食べる場合は“自分の気分”“自分の心の声”と向き合うことになります。要するに自分の感性に判断を委ねているのです。実にファジーですよね。

 

 

論理的思考以外に必要なものとは何か

前述の通り、感性に関わる判断はファジーな主観に判断が委ねられることになります。コンピューターが判断をするのは難しいケースであり、プログラミング的思考で決断を下すことは困難なのです。

 

ケーキを選ぶということは、とても簡単な例なので“選択する”ということがそれほど重要ではないと感じたかも知れません。しかし、“選択”とは、人生に関わる決断を迫られたときも同様です。人間が決断をする過程では、主観による判断が求められ、それが結果としてその人らしい生き方になるのではないでしょうか。 プログラミング教育における論理的思考だけではなく、自分の感性に従い自分で判断する力も必要なのです。

 

また、優柔不断から脱した判断力を高めるのであれば、主観のマイルールを設定しておくことで判断の軸を作っておくことが重要になります。先ほどのケーキの例でいえば“迷ったらフルーツ系にする”などのルールを決めておけば、判断をしやすくなっていきます。

 

さらに、人生に関わるような判断は、自分の中で“どう生きていきたいか”“どうありたいのか”という生き方のマイルールを持っておくと判断の軸が明確になっていくきます。

 

諸葛 正弥

諸葛 正弥

所属:諸葛正弥教育総合研究所株式会社 代表取締役/大手進学塾で長年指導を行ない、2007年に「イラスト図解でわかるプロ教師力アップ術55」(明治図書)を出版。教育委員会・各種学校などで教員研修を行ないながら、私立中高一貫校の学校改革などを手掛けています。 また、「ロボット教室」や「学習教室まなび-スタイル」の運営、「よい子を育む家」の監修なども行ない、教育について幅広く関わらせて頂いております。 http://www.t-skill.com/m-style/index.html http://www.jhb.or.jp/seminar-415

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