仕事を休んでパトロール。終了後は学校に行ってノートにサイン……一体何のためのPTA?
多くの学校が前例踏襲主義で運営しているPTA。実情にそぐわない地域パトロールを行っていた小学校のPTA活動の改善に取り組んだ三つ子母の体験談をご紹介します。
もはや義務……やっぱりおかしいPTA!
交通安全や防犯のため、子どもたちの登下校時に保護者が見守り・パトロールなどの活動を行うPTAは少なくありません。
ここ20~30年の間に広まった活動ですが、いまや保護者全員の“義務”のようになってしまったケースも見かけます。そのため、交通量が多い危険な場所で、幼い子を連れた人が旗振りをしたり、当番をこなせない人が陰口を言われたりといった、見過ごせない状況も生じています。
とりまとめ役の保護者も苦労しています。各保護者に当番を割り振り、お手紙を作成・印刷する作業には手間がかかりますし、居住地などの個人情報を取り扱う責任も重大です。もし不適切な取り扱いをすれば、誰かをトラブルに巻き込んでしまう可能性もあります。
「もっとみんながラクな仕組みに変えよう!」。そう決意したのは、関西の公立小学校のPTA本部役員を務める、漫画家の宮瀬とまとさん(ペンネーム)です。
宮瀬さんは今年の春、パトロール活動の仕組みを一新し、保護者にも先生にもとても喜ばれたといいます。
一体どんな仕組みをつくったのでしょうか? 宮瀬さんに教えてもらいました。
不満の声であふれる報告ノート
最初のきっかけは、ひさしぶりに顔を合わせたママ友との会話でした。
フルタイムで働くその友人いわく「PTAの委員をやらなければいけなくなった」とのこと。聞けば、ほかの保護者から「まだやってないなら何かやらなきゃダメ」と強く言われて断れず、夫と相談して、パトロール活動をする「地域委員」をやることにしたといいます。
夫婦ふたりとも忙しいのに、大変だろうな。そう思った宮瀬さんは、パトロール活動の改革に踏み切りました。
当時、パトロールのルールは煩雑で厳しい内容でした。
地域委員は「誰が、何月何日、どこのルートをまわる」という当番を保護者全員に割り当てて表を作成し、1学期ごと&地域ごとにプリントを作成・印刷。各保護者は、当番の日にパトロールをこなした後、学校まで足を運んで、報告用のノートにサインもしなければなりませんでした。
パトロールの際は、雨の日も風の日も、赤ちゃんを抱っこした人や、小さい子の手をひく人の姿が頻繁にみられました。お勤めの人は、仕事を休んだり時間をずらしたりして参加していたそう。三つ子を育てる宮瀬さんも、子どもたちを家に留守番させたり、逆に早く学校に行かせたりして、当番をこなしていたといいます。
しかも、パトロールのルートは何十年も昔に決めたときのままでした。中には、もう誰も住んでいないような地区をまわるルートも。
歴代の報告ノートには「子どもを留守番させてまで参加させるのはおかしい」「強要をやめてほしい」「こんなところをまわっても意味がない」など、不満の声があふれていました。
―――後編に続きます。
保護者を苦しめる古いやり方にNO!三つ子母がつくった「無理なくできるPTA」の仕組みとは?
宮瀬とまとさん
2012年4月に三つ子(女の子・男の子・男の子)を出産。夫単身赴任、両実家遠方の中、3人の育児に奮闘する漫画家・イラストレーター。PTA本部の役員として関西の公立小学校のPTA改革に取り組んでいる。
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主なテーマは「PTAなど保護者と学校の関係」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『ルポ 定形外家族』(SB新書)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)ほか。ひとり親、定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表