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2022.02.13

「PTA」は変えられる?時代錯誤で理不尽だらけ…沈黙の役員選出から改革までの話

「役員になったら仕事ができない」「退会できない」など、PTAに理不尽さを感じている方は少なくないようです。しかし、理不尽さからの脱却を試みるPTAも出てきています。PTAは本当に変えられるのか? 実際に改革に取り組んだ筆者の経験を交えてお伝えします。

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PTAは理不尽だらけ?

PTAの役割とは

PTAとは、「保護者(Parent)と教師(Teacher)の会(Association)」の頭文字を取ったものです。

日本のPTAの歴史は、終戦直後から始まります。大人が学び合う場として、また、子どもたちのために教育環境を整備するための組織として成立したPTAは、学校給食の普及や図書館の整備などに力を注いできました。

今でもPTAの企画で講演会を行ったり、図書を購入したりして、学校の環境をよりよくしようと活動しています。

学校により異なりますが、PTA会長や副会長といった役職のほか、保護者同士の親睦会の企画などを担当する学年委員、学校行事の撮影などを行う広報委員といった役割があります。

PTAの理不尽あるある

2021年11月に発行された『さよなら、理不尽PTA!』(大塚玲子著/辰巳出版)に注目が集まっています。Amazonボランティアカテゴリーでは1位を獲得。さまざまなメディアがこの本を取り上げました。多くの保護者たちが、理不尽なPTAに対して強い関心を寄せていることの現れです。

この本であげられている「PTAの理不尽ビッグ6」を見てみましょう。

PTAの理不尽ビッグ6

1.沈黙のクラス役員決め

誰もやりたくないから立候補はなし。責任を取らずに済むよう、みんな沈黙を守ります。それでも「クラスで◯人の役員」が決まるまで開放されない、無意味で過酷な時間。場合によっては、「できない理由」をみんなの前で告白させられることも。

2.摩訶不思議「ポイント制」

活動に応じてポイントを付与し、そのポイントの少ない人から役員をさせるというルールのPTAもあります。

3.思考停止の「前例踏襲」

参加者が集まらないような行事でも、「前年通り」に行うことが大前提。前年のうちに「活動予定」が決められていて、変えられない場合もあるようです。

4.会長は父親、活動は「母親の義務」

会社を休んででもPTA活動に参加しなければならないのは、なぜかほとんど母親です。一方で、会長には男性しかダメ、という謎ルールがあるPTAも。

5.それは脅しでは…「非会員家庭の子ども差別」

本来、PTAは学校に通う全ての子どもたちのための組織であり、入会・退会は自由のはずです。しかし、「PTAに入らなければ、あなたの子どもは〇〇に参加できませんよ?」と脅迫まがいに入会や継続を迫られます。

6.実は問題だらけの「登校班」

登下校中の安全を確保するため、家が近い子どもたちを集団で登校させる「登校班」。この編成はPTAで行われることもあります。しかし、役員が会員の名前や住所といった個人情報を見ることになる、登校班内で子ども同士のケンカやいじめが起きるなど、さまざまな問題があります。

誰もPTAをやりたがらないわけ

共働きが当たり前になっている現代でも、教員の勤務時間に合わせた平日昼間に活動するPTAも多いようです。

冗長な会議やベルマークの集計作業、特に興味もない講演会、来賓の接待など、「ずっとやってきているから」という理由だけで駆り出される活動に、母親たちの貴重な有給が奪われます。

本来は任意参加のはずなのに、フルタイムの仕事を持っていても、介護の必要な家族が家にいても、自分自身が病気でも、幼い子どもがいても、個々の事情にかかわらず「平等に」そして「強制的に」負担させられる時代錯誤のPTA活動。誰もやりたがらないのは当然です。

意味がわからない…PTAの問題点

PTAに関する摩擦やトラブルの多くは、「子どもが学校に入ると同時に自動的に加入させられるシステム」「活動の強制」が原因ではないでしょうか。

問題点1:強制加入

そもそも学校とPTAは全く別の組織です。たとえば、学校の前に体操教室があるとします。子どもがその学校に通う家庭はすべて強制的に体操教室の会員にさせられるとしたら、おかしいですよね。しかし、多くのPTAではこのおかしな理屈が通っています。体操教室と同じように、PTAへの入会も退会も自由に選択できるはずなのです。

問題点2:会費の強制徴収

多くの場合、PTAの加入と会費の徴収はセットになっています。学校に支払う給食費や教材費などと一緒に徴収されることもあるため、保護者は学校とPTAの区別もよくわからないままに会費を支払います。しかし、先ほどの例でいえば、給食費と一緒に体操教室の会費が徴収されているのと同じこと。これもやはり、おかしな話です。

問題点3:個人情報保護法違反

PTAが会員を自動的に獲得できるのは、学校が持つ名簿を提供してもらっているからです。しかし、学校とPTAは別の組織なので、この行為は「個人情報保護法」に違反しています。

問題点4:活動の強制

PTAはあくまでもボランティアなので、できる人ができるときにできることをするのが、本来のあり方です。しかし、「一度は役員をしないといけない」「役員になったら〇〇に出なければいけない」などの強制が保護者を苦しめています。

個人情報を流用して会員を獲得し、会費を勝手に徴収し、ボランティアを強要し、それは無理だと断ろうとすれば「みんなやっている」「あなただけやらないのはおかしい」と糾弾するPTAのあり方が、トラブルを生んでいるのです。

やってわかったPTAのメリット

筆者は2人の子どもが幼稚園や保育所、小学校に通う間、クラス役員や副会長などの立場でPTAに関わってきました。「誰かがやらないといけないから」「いつかはやらないといけないから」関わってきたとはいえ、PTA活動に全くメリットがなかったわけではありませんでした。

筆者がPTAに関わって得られた主なメリットは、次のとおりです。

  • 他の保護者から学校や地域の情報を聞けた
  • 困ったときに助けてくれる友人ができた
  • 学校や地域が子どもにどのように関わっているのかがわかった
  • 学校での子どもの様子を見ることができた
  • 校長や教頭など学校の先生と話す機会が増えたので、トラブルがあったときにも相談しやすかった

子どもは学校や地域など、多くの人との関わりの中で育ちます。PTAのおかげでその様子をじっくりと見ることができ、筆者自身の知り合いも増えました。

引っ越したばかりで知り合いがいない人、学校に相談したいことがある人などは、PTAに関わってみるのもおすすめです。

PTAは変えられる!

理不尽だらけのPTAは不要、PTAを廃止しよう、という意見もあるようですが、廃止したあとで形を変えて復活させるところも出てきています。つまり、子どもたちのために保護者たちが協力し合うシステムは、何らかの形で必要だということです。

「本当に必要な活動はなにか」と活動を徹底的に洗い出し、見える化・スリム化して、参加しやすい形に変えていくPTAも増えてきています。

筆者も、PTA役員としてPTA改革に関わりました。

改革の最終目標は、入会・退会自由なPTAにすること。そのために、理不尽なことを減らし、参加しやすいPTAへと変えることにしました。数年をかけて、保護者たちにアンケートをとりながら変えたのは、次のことなどです。

  • クラス役員の人数を減らす
  • 不要な行事を廃止する
  • 活動の一部を外注し、保護者の負担を減らす
  • 本部役員の任期を2年にし、毎年半数ずつ入れ替える

保護者たちの「このままではつらい」「時代にあった形にしてほしい」という切実な思いが、PTAを変えました。

今までのPTAのやり方を変えていくには、確かに大きな負担が伴います。1人の力ではできません。しかし、「PTAのやり方は時代錯誤だ」「理不尽だ」とつらい思いをする人が多くいるのなら、一緒に変えていこうと考える人たちがいるのなら、PTAは変えられます。

折しも、新型コロナウイルス感染症の拡大で、人々の「何が本当に大切なのか」を見極める目が磨かれています。PTAも「本当に必要な活動だけ」に絞っていくチャンスなのではないでしょうか。

これからのPTAの形

今のPTAが抱える問題点として、次のような点があることを紹介してきました。

  • 入会・退会の自由がない
  • 会費を強制的に支払わされる
  • 個人情報が保護されていない
  • 活動を強要される

逆に言うと、これらの問題点をなくせば、PTAは子どもたちのために保護者たちが協力するシステムとして、力を発揮できるということです。

時代にあったPTAのあり方を、みんなで考えていきませんか?

<参考資料>
さよなら、理不尽PTA!(大塚玲子著/辰巳出版)
PTA再活用論(川端裕人著/中公新書ラクレ)

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山口ちゆき

WEBライター。男子2人の母、メンタル心理カウンセラー、発達障害コミュニケーション初級指導者。大学院終了後、研究職、塾講師、大学スタッフ等を経験した後、次男の不登校と発達障害(ASD)をきっかけに、働き方と子どもへの接し方を大きく変える。不登校や発達障害の子どもを持つ保護者に寄り添う記事を発信中。趣味はお菓子を作ることと食べること。

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