教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.08.02

夏休みの宿題虎の巻! 教育現場では定番の山田式・読書感想文の書き方を伝授します 

夏休みの課題の中でも子どもが苦労するのが読書感想文ではないでしょうか。最近は課題図書として読む本が決められていることもあり、興味のない本を読まされて何を書いていいかわからないという子もいるでしょう。また、あらすじばかり書いて感想文にならないという子もいるはずです。学校から感想文の書き方指南があったり、感想文を書くための記入用紙が配られたりする学校もありますが、保護者も改めて感想文の書き方について学びましょう。

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教育現場では定番の山田式読書感想文とは

学校の教師たちのなかでもよく知られているのが、山田式といわれる読書感想文の書き方。新潟市立東曽野木小学校で勤務されていた山田加代子さんによる指導方法です。山田さんには、全国読書感想文コンク-ルで、子どもに総理大臣賞や文部大臣賞などを多く受賞させたという実績があります。

 

山田式の読書感想文の書き方は、自分の体験や考えも感想文に書くため、あらすじばかり、という感想文にはなりません。

 

では、早速どのようにすすめていくか紹介していきましょう。まずは、原稿用紙には、次の順番で書いていくようにします。

 

①最初に本を読んで分かったこと、気づいたこと、思ったことを書かせる。
②①で書いたことと同じまたは似たような体験を書く。
③①と②を比べて自分の考え、意見、感想などを書く
④本を読んで得たことや今後、自分がどうしていきたいか、決意などを書かせる。

 

この書き方は、学校指定の本で書く場合を含め、あらゆる本に対応できます。

 

自由に本を選べるのであれば、子どもが感動するような場面あるいは似たような体験をした本を選べば、より感想文が書きやすくなりますよ。

 

 

山田式で順番通りに書くと感想文はどうなる?

では、具体的に書き方を紹介していきましょう。今回は、分かりやすくするために、国語の教科書教材で定番の「もちもちの木」を例にします。

 

最初に本を読んで分かったこと、気づいたこと、思ったことを書かせる。

<例>はじめは、おくびょうだった豆太がじさまが病気だと思って、医者様をよびにいけるようになった豆太はすごいです。

 

①で書いたことと同じまたは似たような体験を書く。

<例>一年生の時、ぼくはおばけがこわくて一人では自分の部屋に入れませんでした。そのわけは、小さいときに家族がいる大きな部屋、リビングでこわいビデオを見たからです。そのあとこわくて一人では、自分の部屋に行けなくなりました。

 

①と②を比べて自分の考え、意見、感想などを書く。

<例>自分の部屋におばけが出て来くるように、思えたからです。ぼくは豆太とくらべて思ったことがあります。豆太はさいしょはモチモチの木がこわかったけど、医者様をよびにいける勇気のある子になりました。ぼくも自分の部屋に入るとき、おじいちゃんは病気にはなっていないけど豆太にまけないようにしようと思いました。そうしたら、一人で自分の部屋に入れるようになりました。そこがにているなと思いました。

 

本を読んで得たことや今後、自分がどうしていきたいか、決意などを書かせる。

<例>これからは、広いリビングで怖いビデオをみたあとでも、一人で自分部屋に入るようにします。ぼくは勇気のある子になりたいからです。がんばります。

 

これで、読書感想文のできあがりです。いかがでしょうか。わりと簡単だったのではないでしょうか。これで、本のあらすじばかりだけを書いた感想文ではなくなります。

 

 

 

様々な体験をすることで読書感想文が書きやすくなる

しかし、山田式読書感想文の書かせ方でも、自分の体験を書かせることが難しいという声があります。物語内の出来事と自分が経験した同じようなことを見つけるのに苦労する子がいるのです。

 

今まで自分がどのような体験をしてきたのか、似ている体験はどんなことだったのかが思い出せなかったり分からなかったりするからでしょう。その結果、子どもは戸惑ってしまうのではないでしょうか。

 

この戸惑いを解消するためには、普段から子どもに多くの体験をさせておきましょう。体験したことが多ければ多いほど、読んだ本の中に書かれていることと同じようなこと、似ていることが探しやすくなるからです。

 

今年、夏休みの課題が話題となっている高校があります。

 

栃木県立宇都宮高校の物理の課題で「あなたの人生を謳歌しないさい」(提出は不要。良い成果があれば担任等に報告してもよい)という内容です。

 

夏休みを、本当にやりたいことにチャレンジするよい機会ととらえ、有意義に過ごすことを願うというねらいがあるようです。様々な体験をしなさいということでもあるのでしょう。

 

 

 

日常からの“観察・思考グセ”が読書感想文に影響する

また、子どもには普段から「なぜだろう?」「どうしてだろう?」と考える習慣をつけさせておくとよいでしょう。「なぜだろう?」「どうしてだろう?」と思ったこと、そこから考えたことが自分の感想や意見となり、作文にも書くことができるからです。

 

私は、この原稿を教育ライターとして書いています。普段から疑問を持ち、人の意見に賛成したり反対したりしながら自分の考えを持つようにしています。逆に言うと、考えないと文章を書けないのです。山田式で読書感想文を書くときにも自分の考え、意見、感想を書きます。普段から疑問を持つ習慣がついていれば自分の感想、考えや意見もわりとすぐに浮かんでくるのではないでしょうか。

 

「どうして」「なぜだろう」と考える前には、あらゆるものをよく見ておくことも大切です。たとえば、信号機。自動車用の信号の赤は右端か左端どちらにあるのか。歩行者用の信号機の赤、青はどちらが上でどちらが下なのか。それはどうしてなのか。外国でも同じなのかなどと考えることができます。考える前に信号機をよく見ていなければ、このような疑問は出てこないでしょう。

 

このように普段から細かいところまでよく見ることができる観察力と「どうして」「なぜ」と考える力をつけておくことが読書感想文を書く上でも大切になってくるのです。

 

また「観察力」と「なぜ」「どうして」と考えることは読書感想文を書くときだけでなく、普段の作文やスピーチなどにも生かしていけることでもあるのです。ぜひ、子供には多くの体験をさせ、普段から物事をよく見てよく考えるということを子どもに伝えておきましょう。

 

須貝 誠

須貝 誠

東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/

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