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2024.08.06

受験生はスマホ禁止にするべき?やめられないときの対策や勉強への活用方法

今は多くの中高生がスマホを持っていますし、確かにスマホは便利です。ただその使い方を誤ると、勉強の妨げになりかねません。特に受験生にとっては「スマホをどう、どれだけ使っているか」というのは重要な問題です。

実際、受験の時期に成績が伸び悩む子どもの多くが、「このままではよくない」と自覚しながらも、ゲームなど受験勉強と関係のないことでスマホを長時間使用している、という現状があります。
そこでこの記事では、受験生がスマホを使うメリットやデメリット、スマホとの上手な付き合い方、保護者ができることなどについて紹介していきます。ぜひ参考にしてください。

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この記事を執筆したのは…

栗岡まゆみさん

一般財団法人いじめから子供を守ろう!ネットワーク東京代表、JAÐP認定チャイルドコーチングアドバイザー。いじめ相談の他、9000人の児童・生徒に夢を描く心の力でいじめのないクラス作り授業・親子コミュニケーションセミナー・教師向け研修・シンポジウムを行う。ラジオ教育番組パーソナリティー・ラジオ日本・エフエム三重・ラジオ大阪などの出演、新聞掲載等幅広く活動している。著書に『いじめゼロを目指して~いじめ防止授業5000人の現場から~』(文芸社)『いじめっ子・いじめられっ子にならない7つのルール』(kindle) など。 栗岡まゆみ公式サイト(https://www.kurioka-mayumi.org/)

受験生がスマホを使うデメリットとは?

まずはじめに、受験生がスマホを使うデメリットについて主なものを紹介します。

スマホ依存の危険性

スマホの使い過ぎは学習の質を低下させるリスクがあると言われています。なお『スマホはどこまで脳を壊すか』の著者である榊 浩平氏と監修者である川島隆太氏によると、「スマホの過剰使用は子どもの学力を破壊する」現象が確認されているそうです。その他にも東北医学加齢医学研究所が仙台市教育委員会と共同で実施した調査によれば、スマホを1日3時間以上使用している子どもたちは、勉強時間や睡眠時間を確保しても成績が平均未満になる、といった結果が出ているのだそうです。

さらに、経済協力開発機構(OECD)が「学校にあるコンピューターの数が多い国ほど数学の学力が低く、学校でインターネットの使用頻度が高い国ほど読解力が低い」ということを報告しています。こういったデータからも、スマホやネットの過度な利用が学習に悪影響を与えることが分かりますよね。

集中力の低下と注意散漫

スマホの過度な使用は、注意力を散漫にし、集中力を低下させます。前述した川島隆太氏の研究室の報告によると、インターネットを過度に使用することで「注意が散漫になって一つのことに集中できない」といった状態になりやすい、ということが明らかになっています。確かに勉強中にスマホが鳴ったり光ったりすると集中力が低下し、学習の効率が悪化しますよね。

心理的影響と睡眠障害

アメリカで行われた大学生を対象にした調査では、SNSで他人の投稿を見ることで幸福感が低下し、気分が落ち込むことが明らかになっています。これにより「気分が落ち込んでしまってやる気が湧かない」「小さなことでイライラしてすぐにキレてしまう」といった問題が生じることがあります。

また、スマホから発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠障害やうつ病のリスクを高めます。ブルーライトによって脳がまだ起きていると勘違いするため、睡眠が浅くなり、翌日の集中力や体力にも悪影響を及ぼすのです。

脳疲労と認知機能の低下

スマホの使いすぎは脳の情報処理機能を低下させ、認知機能や深く考える能力を損ないます。

『スマホ脳の処方箋』の著者である奥村歩医師によれば、スマホの過剰な使用は「脳疲労」の原因となり、脳の情報処理機能が低下するそうです。人間は情報を脳の前頭前野で処理していますが、スマホの使いすぎにより浅く考える機能ばかりが使われ、深く考える機能がフリーズしてしまいます。この結果、脳が情報の整理を行わず、ごみ屋敷のような状態になり、学習効率が低下してしまうとのことでした。

受験生がスマホ断ちするためにしたいこと

受験は人生のマラソンの一部です。受験本番から逆算して、残りの時間を有効に使うためには、スマホの利用時間を見直すことが欠かせません。無駄な時間を減らしスマホの使い方をあらため、受験勉強に集中できる環境を作りましょう。

スマホ依存度のチェックをし、スマホルールを設定する

まずはスマホ依存になっていないかをチェックし、必要なアプリだけを残して無駄なものは削除してみましょう。その際にスマホ依存度チェックシートなどを使用して、自分がどのくらいスマホを使っているかを確認し、改善点を見つけてください。そして、以下のようなルールを設定してみることをおすすめします。

スマホルール①スマホを学習中は自室に持ち込まない

勉強中にスマホが手元にあると、通知音や振動により集中力が妨げられます。学習中はスマホを別の部屋に置くなどして、勉強に集中できる環境を整えましょう。

スマホルール②眠る30分前にはスマホを見ない

ブルーライトの影響を避けるため、寝る前にはスマホを使用しないようにしましょう。寝る前にリラックスできる時間を作ることで、質の良い睡眠を確保できます。

スマホルール③スマホの使用時間を制限するアプリを利用する

スマホの使用時間を制限するアプリを利用して、適切な時間管理を行いましょう。どのアプリにどれだけの時間を費やしているかを把握し、無駄な時間を減らすことができます。

スマホルール④スマホ以外の活動に目を向ける

スマホの情報洪水で疲れた脳をリフレッシュさせるために、以下のような活動を取り入れましょう。

【深呼吸】

深呼吸はリラックス効果があり、集中力を高めるのに役立ちます。朝起きたら、カーテンを開けて太陽の光を浴びながら深呼吸する習慣をつけましょう。

【自然の中でリフレッシュ】

勉強に集中した後は、軽く外の空気や自然に触れる時間を持ちましょう。散歩をしたり、公園で過ごすことで、心身のリフレッシュが図れます。

【図書館で学習】

図書館で調べものをすることで、スマホに頼らずに深い学びを得ることができます。また、静かな環境で集中して勉強できるメリットもあります。

受験勉強がスマホを使うメリット・スマホを活かす方法とは?

受験生にとってスマホはデメリットばかりではなく、もちろんメリットもあります。スマホをうまく活用し、受験勉強を効率よく進めていきましょう。

情報収集の効率化

スマホを利用することで、最新の情報をすぐに調べることができます。例えば、英単語の意味を辞書がなくてもその場で調べられ、記憶することができます。

場所を選ばない学習ができる

スマホを使えば、移動中など隙間時間を活用して学習することができます。塾や学校の自習室や自宅の自室で、スマホの電源を切って集中して学習することが理想ですが、そういったことが難しい場合もありますよね。スマホがあれば、移動中の電車やバスの中でも単語を覚えたりすることが可能です。

学習の進捗管理ができる

勉強の進捗状況を管理するアプリを使うことで、受験までに必要な学習を効率的に進めることができます。自分の目標に合わせて学習計画を立て、進捗を可視化することで、モチベーションを維持しやすくなります。

スマホを家庭教師にする

最近は予備校や塾に行かなくても、アプリで月額制の動画授業を受けられる学習サービスが充実しています。個別指導を行うアプリもあり、遠隔地の講師から質の高い授業を受けることが可能ですし、これにより効率的に学習できます。

学んだ知識のアウトプットに活用する

教科書や参考書で学んだ内容を実際にアウトプットすることで、理解度を確認し、知識を定着させることができます。そしてそのアウトプットのためのツールとしてスマホが活躍します。たとえば、学んだ英語のフレーズをオンライン上での外国人とのコミュニケーションで活用する、といったこともできます。

リマインド機能(アプリ)を活用する

英単語や熟語などは、一度覚えるだけではなく、繰り返し復習することで記憶に定着します。そこでリマインド機能を持つアプリを利用することで、自分が覚えたい単語を入力し、繰り返しテストして復習することができます。

スマホがやめられない子のために、親ができることとは?

親が子どものためにできることはたくさんありますが、できることからぜひ取り組んでみてください。

子どもの自主性を尊重する

親がスマホの使用を一方的に禁止するのではなく、子どもと話し合いながら使用ルールを決めることが重要です。子ども自身の意思を尊重して信頼関係を築くことが、結果的に子どもが受験勉強に集中する助けとなります。

オフラインキャンプの活用

オフラインキャンプとは、スマホなどネット環境から離れて行われるキャンプのことです。参加者は自然の中で様々な活動を行いリアルな体験を楽しみ、スマホ依存やスマホの利用習慣を見直すことができると言われています。なお、オフラインキャンプにはいろいろあり、キャンプ期間中まったくネットに触れない場合もあれば、1日1時間だけはデジタルツールを使用できる、といった場合もあります。

オフラインキャンプの目的①デジタルデトックス

スマホ依存やネット依存は睡眠障害や集中力の低下などを引き起こします。オフラインキャンプに参加することでこうしたデジタル依存から解放され、心身の状態を落ち着かせることができます。

オフラインキャンプの目的②自然と触れ合い、リラックスする

オフラインキャンプの目的③リアルなコミュニケーションを取る

スマホがない環境では、他の参加者と直接コミュニケーションを取ることが求められます。これにより、対面でのコミュニケーション能力が向上します。

親もスマホの使い方を見直す

親もスマホの使い方を見直し、読書やスポーツなどの活動を通じて子どもに良い影響を与えましょう。家庭内での静かな環境作りも、子どもが勉強に集中するために欠かせないことです。親自身も「〇時以降はスマホを見ない」「スマホの使用時間は1日〇時間まで」といった具合にルールを定めて守ることをおすすめします。

かける言葉に気を付ける

受験生に対して親がかける言葉にも注意が必要です。励ましの言葉は、子どもの自信を高め、やる気を引き出します。例えば、「お疲れさま」「頑張ってるね」といった言葉は、努力を認めることで子どもの自信につながります。一方で、「スマホばっかり使ってるね」「勉強しないならスマホを捨てるよ」といった否定的で不安をあおるような言葉がけはできるだけ避けましょう。

夢や目標を応援する

スマホ依存に陥る原因の一つに、リアルな生活でのやりがいや目標が見出せないことがあります。受験もその夢ややりがいを実現するためのステップです。スマホを頭ごなしに禁止するのではなく、親子のコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、夢に向かう環境を整えましょう。

まとめ

受験という大切な時期にスマホをどう活用するかは、受験の合否に大きく関わる問題です。スマホのデメリットを理解し、無駄な時間を削減しながら、スマホを上手に活用する方法を見つけることはとても重要です。

そして親子で協力し受験勉強に最適な環境を整えて、希望の学校に合格するための道を切り開きましょう。この記事が受験生がスマホと上手に付き合い、学習に集中できるようになる手助けになれば嬉しいです。

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【参照書籍・記事】

『スマホはどこまで脳を壊すか』 川島 隆太 (監修), 榊 浩平 (著)(朝日新書)

『東大式スマホ勉強術 いつでもどこでも効率的に学習する新時代の独学法 』西岡 壱誠 (著)(文藝春秋)

『スマホ脳の処方箋 』奥村 歩(著)(あさ出版)

学習意欲の科学的研究に関するプロジェクトリーフレット集

OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント

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栗岡まゆみ

一般財団法人いじめから子供を守ろう!ネットワーク東京代表、JAÐP認定チャイルドコーチングアドバイザー。いじめ相談の他、9000人の児童・生徒に夢を描く心の力でいじめのないクラス作り授業・親子コミュニケーションセミナー・教師向け研修・シンポジウムを行う。ラジオ教育番組パーソナリティー・ラジオ日本・エフエム三重・ラジオ大阪などの出演、新聞掲載等幅広く活動している。著書に『いじめゼロを目指して~いじめ防止授業5000人の現場から~』(文芸社)『いじめっ子・いじめられっ子にならない7つのルール』(kindle) など。 栗岡まゆみ公式サイト(https://www.kurioka-mayumi.org/)

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