東大卒専門家が解説!中学受験生にも効果的な家庭学習のポイント【インスタライブレポート】
2023年12月21日、ソクラテスのたまごのインスタグラム公式アカウントでインスタライブが開催されました。今回は“子どものやる気を引き出す効果的な学習方法”がテーマ。東大卒家庭教育コンサルタントの多田淑恵さんに、視聴者のリアルな悩みに答えていただきました。その内容から小学生の家庭学習のポイントをまとめて紹介します。
中学受験を控えた子どもをお持ちの方や近い将来子どもの中学受験を視野に入れている方も多いと思いますが、そういった方にも役立つアドバイスがたくさん紹介されています。ぜひ参考にしてください。
目次
ポイント①中学受験をしなくても勉強習慣は必要
中学受験をするか迷っている子どもや、中学受験をしない場合でも、休みの日含め家庭学習の時間は取った方がいいんでしょうか?
そうですね。中学受験をしない場合でも、中学生になると定期テストがありますよね。小学生の頃のテストと、中学の定期テストはまったく違います。
小学校のテストは学校の授業を聞いていればできる子は多いですが、中学の定期テストは学校の授業を聞いているだけでは難しく、自分で勉強する習慣の有無が問われます。
中学生になれば勝手に勉強するようになるかというと、決してそんなことはありません。なので、小学生のうちにまとまった時間を勉強にあてる、という習慣をつけておくことは大事です。これは中学受験をするかしないかに関係なく、どの子どもにも当てはまります。
ポイント②休日の勉強は復習を重視
休みの日の勉強は何をすればいいのでしょうか?
基本は復習を重視してほしいです。復習をしなくても余裕がある場合や、低学年の子どもの場合は先取り学習をしてもらってもいいですが、復習をしてみると意外と取りこぼしがあることに気付くものです。
テキストのおさらいをしてもいいですし、総復習のドリルを解いてみる、というのでもいいかと思います。
復習をすることで教わったことをきちんと定着させて、応用問題など新しい問題に取り組むというのがベストですね。
休みの日の学習時間は、どれぐらいが適切ですか?
まず(いつまでにこのテキストを終わらせるなど)何をするのかという目標を子ども自身に決めてもらい、その目標から逆算して時間を決めるのがいいと思います。それで「目標を達成するには、1日これぐらいやらないと終わらない」というのが分かりますからね。
子どもや学年によって、一度に集中できる時間は異なりますし、学習時間が長いことが一概にいいとも言えません。実際にやらせてみて『全然集中していないな』と感じるようであれば、少し短く調整してもいいと思います。
ただ、中学受験を予定している高学年の子どもの場合であれば、塾で学習するのとは別に午前2時間、午後2時間ぐらいを目安に学習に取り組むといいですね。
「受験本番で必要な集中力を養う」という意味でもそれぐらいの学習時間に慣れておいた方がいいですし、塾では先生の話を聞いている受け身の時間が長いので、問題を実際に解くなどの能動的な学習をする時間はやはり欠かせないと思います。
ポイント③時間を区切ってやるべきことを明確にする
つい気が散ってしまい、勉強に身が入らないという子どももいると思いますが、そういう場合はどうすればいいでしょうか?
「今から30分で、この算数プリントを1枚やろう!」というように、時間を細かく区切って、やるべきことを明確にしましょう。
「今から勉強の時間ね」というように、時間・やるべきことが曖昧だと、勉強になかなか身が入らない子が多いです。
時間がはっきりと決まっていないと、「いつまで勉強し続けないといけないんだろう?」と不安感が強まったり、何をどのように勉強するか、自分で段取りを決められず、ダラダラしてしまったりします。
時間を細かく区切って、やるべきことをはっきりと決めることで、「今から30分頑張ろう!」「このプリントをやればいいんだ!」というように勉強に集中しやすくなり、子どものやる気を引き出すことができます。
他に、子どもの集中力を高めるためにおすすめの方法などはありますか?
25分集中してその後に5分休憩する「ポモドーロテクニック」というものがあります。仕事術として知られているのですが、これを学習にも活用するのがおすすめです。30分ワンセットで集中する時間を細切れにすると、脳が疲れにくく集中力が継続しやすいのです。
1時間ぶっ通しで集中するのってなかなか難しいですし、25分集中できたことで子どもの自信にもつながると思うので、ぜひ試していただきたいですね。
25分も集中できない、という子どもの場合はどうすればいいでしょうか?
勉強すること自体にそもそも慣れていない、また勉強の習慣がない子どもは、最初のうちは5分でもつらいものです。そういった場合はまずは「5分だけでもやってみよう」という感じでいいと思います。
ストップウォッチで5分計り、1問だけ解いてみて、それができたらちょっと休憩してまた5分やってみる。そんな細切れのサイクルを回して、慣れてきたら今度は10分、そして15分、25分というように時間を伸ばしていきましょう。
そしてその25分+5分休憩のワンセットを積み重ね、最終的には1日4時間取り組めるようになるのが理想ですね。
子ども自身も、どんどん集中できるようになっていくことに達成感を得られますし、進んで学習するようになっていきますよ。
ポイント④7割程度正解できる教材に取り組む
家庭学習で使う教材はどんな基準で選べばよいのでしょうか。
塾でテキストなどが決まってると、自分で教材を選ぶのが難しいですよね。私が教材を選ぶ時に気をつけていることは、その子が1人で取り組んだ時に、「自分で7割程度正解できるか」ということです。
難しすぎるものに取り組んで半分ぐらいしか正解できないと、やはり学習意欲が低下してしまうんです。ですが7割程度合っていると、あまり嫌になることもありません。
ただその逆に全問正解ばかりの教材となると、新しい学びがないため、7割というのがちょうどいいレベルではないかと思っています。
親としてはつい「難易度の高いものをやらせたい」と思いがちですが、それだと長続きしにくいですか?
そうですね。難しいものばかりに取り組んで、それが原因で勉強嫌いになる、なんてことにもなりがちです。であれば少しでもレベルを下げてあげたほうがいいと思います。
最初のうちは7割正解だったのが、次は8割になる、というようにステップアップしていけるといいですよね。
ポイント⑤子ども自身で何を勉強するかを決めてもらう
目標の立て方や学習のスケジュール管理などのポイントを教えてください。
学年が上がってくるにつれて、自分の苦手分野や何を集中してやった方がいいのかなど、考えながら勉強することが大切になってきます。
ただ低学年のうちは、そのように自分で考えるというのはなかなか難しいですよね。なので保護者が子どもが自分自身で目標を考えるように促してあげる、ということが必要です。
●1、2年生の場合は…?
1、2年生ですと、保護者がテキスト選びから、何をやるかまですべて決めてしまう、ということも多いと思いますが、小さいうちから自分で考えて自分で決める、ということがすごく大事なんですよね。
子どもも、周りから「やりなさい」と言われるよりも、自分でやることを決めた方が勉強のモチベーションが高まりますし、長続きします。
●3、4年生の場合は…?
3、4年生は、自分で計画表を作るなどして目標を自分で立てる、目標を具体的に計画表に落とし込めるといいと思います。
たとえばこのプリントを毎日やるとか、このドリルを何日間でどれだけ進めるといったようなことです。
とはいえ、目標を自分でしっかり立てて実行する、というのはやはり難しいこともあると思います。そういう場合は、その都度目標や計画表を見直して調整することも必要です。目標を達成できるように、臨機応変に自分で調整していくことができるとベストですね。
目標や計画表を作るのは、子どもだけにやらせた方がいいのでしょうか?
子どもだけでに目標や計画表作りを任せると、実現不可能な目標を立ててしまうこともあると思います。そして目標は立てたものの達成できなかった、ということが続くと、子どものやる気はどんどん失われてしまいます。
そういったことを防ぐために、子ども自身が立てた目標に対して保護者がチェックする、またときには一緒に目標を立てるということも検討していいです。
基本は子どもに自身に任せ、現実的な目標設計ができているかを親がサポートし、必要であれば見直す、というのがいいと思います。
ポイント⑥5・6年生は復習に重点を置く
進学や受験を控えた5、6年生はどのように家庭学習をすればよいでしょうか?
●5年生の場合は…?
5年生は、勉強でつまずきやすい時期です。私の教室に通う生徒でも、やはり5年生でつまずく子がすごく多いです。
5年生ともなると勉強のボリュームがかなり増し、難易度が一気に上がるからなんですよね。
ただ5年生でつまずくと、6年生の勉強がうまくいかなくなってしまいます。そういったことを防ぐためにも、5年生は復習をしっかりする、ということを重視して勉強に取り組んでもらいたいと思います。
●受験を控える6年生の場合は…?
6年生であれば、とにかく過去問演習をしてもらいたいですね。「もうこれだけやったんだから大丈夫。完璧だ」と思えるぐらいの状態にして、受験本番に臨めるようにするといいと思います。ひたすら過去問の復習を行い、自信をつけていってほしいですね。
今から新しいことをやる時間もないですし、新しいことをやってうまくいかず、自信をなくすということは避けたほうがいいと思います。
やはり受験には、メンタルの状態が大きく影響してくるのでしょうか?
メンタルの状態が受験の結果を大きく左右する、というぐらい影響します。
ですので、受験直前に欲張って新しいことを勉強しようなどとは思わず、今までの復習に集中し、「自分はこれだけできるのだから、大丈夫だ」と思えるようにしてあげてください。
視聴者からのリアルな質問に専門家が回答!
質問1
スケジュール管理など自走するまで親の関わりが必要な気がしましたが、忙しくてなかなか見てあげられません。思春期ということもあり、勉強の進度も塾にお任せしていて、子どもとの関わりがすごく悩ましいのですが、どうしたらいいでしょうか?
忙しいご家庭だと、なかなか子どものサポートが難しいということもありますよね。そういう場合は、勉強の計画表をはじめに作っておき、「何をいつやるか」を決めておくとあとが楽になります。
計画表作りに関しては、子どもに完全に任せても、保護者がサポートしてもどちらでもいいかと思います。「いつ何を勉強したのか」が可視化されると、子どもへのアドバイスもしやすいですよね。計画表のフォーマットは、ネットで無料ダウンロードできるようなものでもいいと思います。
質問2
休みの日は、子どもだけでなく親も気が緩んでだらっとしがちなのですが、子どものやる気をアップさせる方法について教えてください。
時間を細かく区切って、「今から~分間はこのプリント1枚をやろう」などというように、取り組む時間と取り組む内容を明確にするのがおすすめです。
なんとなく勉強を始めさせようとすると、子ども自身も何をすればいいのか分からず、まったく勉強が進まないということにもなりがちです。
また、子どもが計画通りに勉強できたかをチェックしてあげることも大事です。勉強に使用したノートを子どもと一緒に見るとか、間違えたもののやり直しができているか、といったことを確認するのです。
そして、ちゃんとできていたら「ちゃんと計画通りにできているね」「やり直しまでやっているなんてすごいね」というふうに、褒める声かけをしてあげると、子どもも自信がつくし、やる気も出てくるかなと思います」
質問3
「宿題が終わったらゲームをやってもいいよ」「テストでいい点を取れたらゲームを買ってあげるよ」など、つい物で釣ってやる気を出させようとしてしまうのですが、問題ないでしょうか?
勉強したらお菓子をあげる、映画でも観に行こう、程度のご褒美であればいいと思いますが、だんだんそのご褒美や、子どもからの要求がエスカレートしてずっとご褒美で釣り続けないといけなくなる危険があるので、注意が必要です。それに、ご褒美がないと勉強しない、頑張らないというようになりかねません。
なのでまずは、「なぜ勉強しなくてはならないのか」ということを子どもに考えさせましょう。親のためではなく子ども自身のために勉強するのだということを、理解してもらうことが必要です。
勉強する意味を子ども自身が理解すると、自分から進んで勉強することにつながります。
質問4
社会の歴史など暗記が必要な教科がありますが、うろ覚えの状態のままで勉強を終わらせてしまうことがあります。そういった場合はどうすればいいでしょうか?
そういう場合は、親がクイズを出してあげるといいと思います。また、クイズを出すということを予告しておいて、子どもに覚えてもらうというのもいいですね。
実際にクイズを出すと意外と答えられない、ということもあるので、そこで初めて「あ、ちゃんと覚えていないんだ」ということに子どもが気付くこともあるはずです。そんな感じで「自分では覚えたと思っているけど、実はしっかり覚えていない」ということを自覚してもらうことが大事です。
忙しくてクイズを出すのが難しいという場合でも、ただテキストを読んで覚えるというインプットだけではなく、問題を実際に解いてもらうというアウトプットをさせ、正確に覚えているのかの確認をした方がいいかと思います。
質問5
睡眠不足で集中力が切れてしまい、勉強に時間がかかり、寝るのが遅くなってまた睡眠不足に、という負のループになってしまいます。これを解消する方法は何かありますか?
勉強の量はいったん減らしてもいいので、睡眠不足を解消することを最優先させてください。これによっていったん負のループを断ち切りましょう。
やはり睡眠不足だと、学校や塾の授業を聞いていてもぼーっとして聞き流してしまいがちです。そしてせっかく新しいことを習っても、睡眠不足でぼーっとした状態なので理解できず、勉強に余計に時間がかかってしまい、さらに睡眠不足になってしまうんですよね。教材の難易度が高すぎて勉強に時間がかかり、睡眠不足になる場合は難易度をひとまず下げる、習い事が多すぎて睡眠不足になる場合は習い事を減らしてみる、というように時間を作ることも考えてください。
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