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2022.12.16

子どもが言うことを聞かない4つの理由と小学生が素直に話を聞く親の接し方とは

「何度言っても忘れ物がなくならない」「宿題をいつまでたってもやらない」など、小学生の子に何度言っても聞かないこと、直らないことに頭を悩ませていませんか?子どもにイライラする反面、「私の育て方、しつけが悪いのかも…」と落ち込んでしまいますよね。そこで、これまでに500件以上の子育て相談を受けてきた谷松啓史さんに聞いた親子のイライラを減らしていくためのアドバイスとは?

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記事を執筆したのは…

谷松啓史さん

児童発達支援管理責任者、キャリアカウンセラー。児童養護施設や障害児福祉支援施設に勤務し、現在は通所支援事業所にて支援内容・援助の方針を作成している。500組以上の親子の相談と向き合ってきた経験をもとに親子の今と未来を見据えたカウンセリングに定評がある。

小学生が言うことを聞かない4つの理由

忙しい日々の中で、「なんで言うこと聞けないの!」「何回言ったら分かるの?」と子どもに声をかけてしまうことありますよね。ですが、「子どもが言うことを聞かない」には理由があります。

【理由①】話を聞いていない、聞けていない

子どもに何かを伝えるとき(伝えたいとき)、声をかけるタイミングを思い出してみてください。

子どもがテレビに夢中なとき、眠そうなとき、学校で嫌なことがあったときなど…、思い返してみると、人の話に耳を傾けにくいときに話しかけていたというケースは少なくありません。

タイミングが悪いと大人でも話を理解して納得するのが難しいときがありますよね。子どもも同じかもしれません。

【理由②】言ってる内容が分かりづらい

私たちは普段、意外と抽象的な表現を使って生活しています。例えば、「ちゃんとしなさい!」は大人がよく使ってしまうセリフのひとつです。

ですが、“ちゃんと”とはどんなことを指しているのでしょう。

大人は分かっているつもりでも、子どもは”ちゃんと”がどんな状態で、何をすればいいのか分かっていないかもしれません。「そんなことまで説明しないといけないの?」と思うかもしれませんが、子どもに確認してみると言っていることが伝わっていないということも多いかもしれませんよ。

【理由③】できない・やり方がわからない

例えば、学校から帰ったらまずは宿題をする約束になっているのに、帰宅後すぐにゲームが始めてしまう子もいるでしょう。人間はやはり楽しいことを優先してしまいがちです。

やってほしい行動があっても、ルールを守ることよりも誘惑するものが子どもの目の前にあれば、環境的に邪魔になっているものがあるということです。

また、”やり方が分からない”なんてことも邪魔をしているかもしれません。例えば、「宿題しなさい!」と伝えても、そもそも宿題のやり方(宿題の内容、解き方など)が分からないとなると、やる気が出ないのも必然かもしれません。

【理由④】言うことを聞くメリットが分からない

基本的に人間は、何かしらのメリットがあるとき、もしくは何かしらのデメリットがなくなるときにしか行動を起こさないといわれています。

大人にとっては損だと思う行動や、優先順位の高い行動があったとしても、子どもにとってはどうでも良いことに思えているかもしれません。

「メリット、デメリットが分からないからしない」そう考えてみると、子どもが言うことを聞かないことも理解できませんか。

子どもがやる気をなくす親のNG言動

親の言動のせいで子どものやる気を損なってしまう場合もあるので注意しましょう。

【NG行動①】 子どもの気持ちを考慮しない

なかなか宿題をしない、時間割を揃えない子どもに向かって「ゲーム”なんて”やってないで宿題しなさい」と言ったことはありませんか?

しかし、大人にとっては、たかがゲームでも、その子にとってゲームはとても大切なものかもしれません。誰でも自分にとって大切なものをないがしろにされると悲しい気持ちになるものです。「ゲームなんて」と言われた子は、自分がすべきことを考えるよりも、「自分の気持ちを理解してもらえなくて悲しい」と思い、言うことを聞くことなどできないのではないでしょうか。

また、何も考えずにゲームに没頭しているように見えても「宿題をやらないといけないのは分かってるけど…」と葛藤をしながらゲームをしているかもしれません。そのとき、周囲からあれこれ言われてしまうと「今、やろうと思っていたのに!」とかえってやる気を失ってしまうかもしれません。

子どもがどんな気持ちか、何を考えているのかを考えてみると、声の掛け方は変わるかもしれませんね。

【NG行動②】子どもが行動した後に注意する

子どもがゲームを始めてから「ゲームより先に宿題をしなさい!」と言っていませんか?

1度始めたことを途中で終わらせるのは、大人だってしんどいことです。

また、事後の対応だとどうしても”注意”や”叱る”という形になりやすいので、後味の良いやりとりにはなりません。

【NG行動③】褒めるハードルが高い

子どもの学校の準備についてやきもきする保護者も多いことでしょう。ですが、褒めるのは”子どもが自分で学校の準備を完璧にできたときのみ”にしていませんか?

ですが、”明日の準備しないといけないなと考えたこと”も”途中でやめたけど一旦鞄を開けたこと”も十分に褒めるに値します。大人にとっては「できて当然」とでも、子どもにとっては「最初からできて当然」ということ基本的にありませんよ。

また、「もう○歳なのに…」と、一般論に当てはめて子どもの言動をジャッジするのもNGです

【NG行動④】褒め方が間違っている

「すごいね」と褒められても、子どもは何がすごいのか分かりづらいときがあります。

また、「◯◯ができてすごいね」という褒め方は結果のみにフォーカスをしているためチャレンジする気持ちをなくす要因にもなりかねません。

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素直に話を聞ける接し方5つのポイント

では、どのような言い方やサポートをすれば、保護者の気持ちを子どもに伝えてよりよい親子生活を送れるのでしょうか。

【ポイント①】子どもが話を聞ける体制を整える

子どもに話を聞いてもらうには、子どもが話を聞ける環境を整えることが大切です。そのためには下記の2点を抑えましょう。

避けるべきタイミングを考える

話をするのに避けるべきタイミングとは、下記のようなときです。

  • 物理的な環境
  • テレビを見ている時やゲームをしているとき、イヤホンをつけているときなど
  • 生理的な要因
  • 体調がよくなかったり、イライラしていたり、眠たかったりするときなど
  • 事前事後の予定
  • 学校で嫌なことがあったときや、ケンカしたとき、これから嫌なことがあるときなど

上記のタイミングは避けた方が話を聞いてもらいやすくなります。

話を聞く体制を整える

子どもが「今、話しかけられているんだ」「話を聞かないといけないんだ」と分かる体制を整えましょう。

子どもの目を見て話す、手を握って話す、「今からお母さん話すから聞いてね」と事前予告をするなどがそれに当たります。

子どもの注意を引き、聞くべきこと、すべきことを分かりやすくしてあげましょう。

【ポイント②】行動に移しやすい伝え方をする

前述の通り、「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」などの曖昧な言葉は子どもにとって伝わっていない可能性があります。具体的に「どうして、何をしなければいけないのか」を伝えてください。

その際、声量、スピード、表情なども子どもが聞きやすいように意識してくださいね。

また、伝えたいことがたくさんあるかときは、アレもコレもとなってしまうと結局何をすればいいのか分からなくなったりする場合も考えられます。

例えば、学校から帰宅した子どもがすることっていろいろありますよね。
「靴を揃える」「ランドセルは置き場に片づける」「上着を脱ぐ」「手洗い・うがいをする」「連絡帳を確認する」「宿題をする」「明日の準備をする」など、これらを一度に伝えても子どもはすべてを記憶してその通りにすることは難しいはずです。細分化して、それぞれ伝えていくようにしましょう。

さらに、細分化したことを言葉だけでなく、視覚的に分かるようにしたほうが行動に移しやすい場合もあります。

例えば、時間管理も必要な登校前であれば、”やること”と”時間帯”をイラストや文字などでセットにして貼っておくことで、タイムスケジュールを見て行動しやすくなったり、見通しが立ちやすくなったりします。子どもにとってイメージしやすい伝え方を工夫してみましょう。

【ポイント③】自らできる環境を整え、援助する

子どもが自らその行動をしやすくするサポートをしてあげるのもいいですね。例えば、下記のような方法はどうでしょうか?

  • スケジュール表を見えやすい位置に貼っておく
  • やることをリストにして見えやすい位置に貼っておく
  • 宿題をすぐに取り掛かかれるように、気が散るものは見えないようにしておく
  • 筆記用具やノートが出しやすい位置に道具を置いておく

子どもが自ら動くことが難しい場合は、「一緒にやろう」と声をかけるのもサポートのひとつです。最初は一緒にしていても、やり方が身についたり、習慣になったりすることで自ら動けるようになっていきます。

この先、子どもは中学、高校、大学、社会人としての道を歩んでいくこととなります。子育ての最終的な目標のひとつは、「自分で考えて工夫していくこと」「やらされてやるのではなく、自発的に行動していくこと」です。

そのためには、どのようなことを教えて、サポートしていけばいいのか、子どもと相談しながら一緒に考えていきましょう。

【ポイント④】うれしい結果を用意する

子どもが頑張っていることに対して「やって当然」ではなく、「うれしいな」と思える関わり方をしてあげてください。

思いきりほめる必要はありません。「自分からやれたね」など事実をそのまま伝えたり、「お母さん助かるわ、ありがとう」など、気持ちを伝えたりするだけで十分です。

その伝え方が子どもにとって「うれしいな」と思えるものであれば、子どもはその後も自ら進んで行動するようになりますよ。

【ポイント⑤】子どもの身になった聞き方をする

“話を聞く”という行為は信頼関係を築くうえで大切な役割を担っています。

たとえば、次の会話を見てください。

子ども「明日のテスト、嫌だな…」
あなた「嫌なら勉強しなさいよ」
子ども「…」
あなた「…(無視するのね)」

よくありそうな会話ですよね。

せっかく子どもが話をしてくれても聞き方が不適切だと良好な関係を形成することは困難になります。なるべく相手の身になって共感的に理解し、その理解を言葉で返すようにしてください。

先ほどの会話であれば、次のような会話はどうでしょうか。

子ども「明日のテスト、嫌だな…」
あなた「テストがあるの?」
子ども「うん。しかも苦手な算数」
あなた「そっか、それは嫌だね。何が苦手なの?」
子ども「分数」
あなた「分数なら分かるかも。お母さんも何か手伝おうか?」
子ども「自分でやるから、分からなかったら教えて」
あなた「わかった。がんばってね」

いかがでしょうか?

「明日のテスト、嫌だな…」この言葉に対して、「テストがあるの?」と子どもの話を肯定的に受け止めていますよね。

また、「算数が苦手」という子どもの心情に共感しているので、子どもにとっては「自分の気持ちを分かってくれた!」という感じて、安心感を与えるだけでなく、苦手なことに対して突き放すのではなく、「手伝う」「一緒にがんばろう」という気持ちを伝えることで、子どもは前向きな気持ちになることでしょう。

結果的に、子どもが自らがんばる姿勢を見せることになれば、保護者もうれしい気持ちになり、親子関係もよくなりますよね。

子ども達は「自分のことをわかってほしい」「ありのままの自分を大切に思ってほしい」と強く願っています。彼らの思いを満たせるような会話を心がけてみてくださいね。

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子どもの成長を信じて一歩ずつ

できないことがすぐにできるようになることも、困難な状況がすぐに良くなることは難しいです。子どもの性格によっても上手くいくこと、上手くいかないことがあるでしょう。

ですが、日々の子どもとの向き合い方や意識を変えることで、少しずつ状況は変わっていくはずです。

その過程で、「どのようにしていいか分からない」「いろいろ試したけど効果がない」と感じて、悩んでしまったら、専門家など第三者に相談をしてください。状況、性格などを踏まえた上で、その子にふさわしい関わり方を提案してくれるはずです。

最初から完璧にできる人は滅多にいません。それは大人も子どもも同じです。分かっていてもできないこと、やらばければいけないと分かっているけどどうしてもやる気ができないことは誰にだってあるはずです。

「成長してない」「言うことを聞いていない」ように見える子も、伝え方や環境を変えることで変わっていく可能性は十分にあります。保護者も「100%の結果を求める」のではなく、「少しずつでいい」ぐらいのスタンスで子どもの成長を信じることから始めてくださいね。

谷松啓史

通所支援事業所において児童発達管理責任者として勤務。子供自身の既往やその家族のニーズ、心理発達面を汲み取り、これまで1500件以上の相談対応、個別支援計画書の作成を担当。ほかにも、児童養護施設の児童指導員として8年間の勤務、クリエイティブ系の大学にてキャリア支援に従事し、専門スキルを活かした職業選択の支援を行うなどの経験を経て現在に至る。

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