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2020.09.16
2020.09.17

いい子ほど大人になってからが心配!?“いい子症候群”の原因と親の対応とは

物分かりがよくてやさしい子。そんな育てやすい“いい子”に育たいと思う親は多いもの。しかし、“いい子”でいることが子どもの幸せな未来に繋がるとは限りません。いい子症候群とは、人の顔色を伺ってばかりで自主性がなかったり、自己決定ができなかったりという子のこと。一見いい子に見えても心に問題を抱えています。大切に育てているはずが、なぜいい子症候群になってしまうのか原因や対応について教育カウンセラーの望月保美さんに話を聞きました。

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いい子症候群の特徴とは

小学校教員として約40年のキャリアがある望月保美さん。多くの子どもたちと出会ってきた中でいわゆるいい子症候群かもしれないと感じた子どもたちにはいくつかの共通点があったと話します。

「いい子症候群と感じる子たちは、そろって素直に言うことを聞いてくれるし、どんなことも言われた通りにきちんとこなすし、間違ったことは何もしないし本当にいい子なんです。はたからみれば育てやすい子、手のかからない子なんですよね」

しかし、いわゆる普通の“いい子”は何かがうまくいったときに「私一生懸命やったんだよ」ということをアピールするのに対して、いい子症候群の子は失敗を何もしていないのに、いつも『これでいいのかな?』『大丈夫かな?』と周りの様子をうかがっていて自信がない様子だと感じていたそう。

いい子症候群の子は、クラスの中では目立たず、輪を乱すようなこともしない立ち位置ですが、「おとなしいというよりはオドオドしている」印象で、遊んでいてもどこか表情が暗い気がしていたと望月さん。

とはいえ、友達がいないのかといえばそんなことはないようで…。

「リーダータイプの子にとってはいい子症候群の子は自分に従ってくれるし扱いやすいタイプなんですよね。遊びたいものやことがあってもいい子症候群の子は、自分の意見を言わないで一歩引いたところがありますからね」

一方で、学習面では自由に発想するようなこと、自分を表現することが苦手な傾向があるようです。

「例えば、図工の時間に『画用紙いっぱいに絵を描きましょう』と言っても周りに余白が大きく空いていたり、粘土工作でも全部を使って大きな作品を作るより、小さくちぎって小さな作品を作りがちです。しかも、そこを教員に指摘されてしまうと過度に『失敗した』と感じて落ち込んでしまいます。いい子症候群の子は自分の失敗を受け入れにくく、落ち込んだときに立ち直りにく印象があります」

望月保美さん上級教育カウンセラー

上級教育カウンセラー、ガイダンスカウンセラー、特別支援教育士、東京都の元小学校教員。 教員生活の中で、生活指導・教育相談・特別支援教育のコーディネーターとして、子どもの声を聴くこと、保護者の思いを受け取れることに努めた。現在は、東京都の事業で高等学校での構成的グループエンカウンターの講師や東京都の特別支援教室巡回相談心理士として、小学校を訪問している。

いい子症候群チェックリスト

ここまで読んで、もしかして「うちの子もいい子症候群かも?」と思った人もいるかもしれません。そこで、チェックリストを用意しました。次の項目で当てはまるものがいくつあるか数えてみてください。

いい子症候群チェックリスト

□表情がいつもどこか暗い
□感情表現が苦手
□やりたいことや欲しいものなど自分の意見を言わない
□食べたいものを聞くといつも「何でもいい」「お母さんのいいものがいい」などと答える
□人とコミュニケーションを取るのが苦手
□テストでいい点数をとっても不安な様子
□必要以上に失敗を恐れ、正解だけを求める
□イヤと言ったり、反論したりしない
□ささいなことも自分で判断できない
□すぐに親や大人の指示を求めてしまう

どうでしたか? 8個以上当てはまるのであればいい子症候群傾向が強そうです。また、4個以上当てはまる場合もいい子症候群要素があり、要注意です。

いい子症候群になってしまう原因とは

いい子症候群になってしまう原因について聞いてみると「親が決めた枠の中から外れてはいけない。外れたら私は悪い子になってしまうと子どもが感じてしまっているのではないでしょうか」と話す望月さん。

「だからといって親が子どもを大切にしていないというわけではありません。むしろとても愛情は深いのだと思います」と続けます。

親自身がいい親症候群になっている

「ただ、親自身も“いい親”でなくてはいけないというプレッシャーを抱えた、いい親症候群の状態になっているのではないでしょうか。子どももそれを感じ取っているからこそ、親が“いい親”でいられるように親が望む“いい子”になろうとしているのだと思います」

何十年も多くの親子を見てきた望月さんも「ほとんどの親御さんがいい親だし、子どもがいい子症候群だから悪い親というわけではありません」と語ります。

問題は、親が与えている愛情と子どもが求めている愛情がズレてしまっていること。

親が望むことを完全にクリアできる自分(子ども)しか愛してくれないと誤解しているんですよね。本当は親御さんもそんな風には思ってないかもしれないし、過度な負荷や期待をかけているつもりはないかもしれないのですが、子どもはそう受け取ってしまい、親子の愛情のバランスが崩れてしまっているんです」

また、親子の愛情のすれ違いや子どもが抱えている負荷に気づかず「うちの子はいい子だから大丈夫」と思って育てていると、親子関係に大きな亀裂が入る可能性があると望月さんは話します。

いい子症候群がうつや家庭内暴力の温床になる!?

「大きくなりすぎた負荷の影響が内側(子ども自身)に出ると、子どもがうつっぽくなってしまうこともありますし、外側(親)に向くと家庭内暴力という形になってしまうことがあります。

例えば、受験で失敗したら親のせい、人とうまくいかったりするのも親のせいなど、『自分は親のいうとおりにしてきたのにうまくいかないなんて!うまくいかないのは全部親のせいだ!』と思って外側に向かってストレスが爆発してしまうんです」

しかも、爆発するタイミングは思春期とは限りません。反抗期の時期はいい子症候群でいたため反抗期を逃してしまい、大人になってから爆発するという場合もあるそう。

「子どもの年齢が高くなるほど親のダメージは大きいと思います。『あんなにいい子だったのにどうしちゃったの!』とパニックになりますし、子どもとすれ違ってきた時間が長い分だけ親子関係を修復するのに時間が必要になります」

親と子が互いを思っているのにすれ違ってしまい、いい子症候群になり、最悪の場合親子関係も破綻してしまうのだとしたら、どうにか小中学生のタイミングで関係を整え直すことはできないのでしょうか。

いい子症候群のまま大人にならない4つの方法

望月さんは、子どもをいい子症候群から抜け出させるための4つの方法を教えてくれました。

親が“いい親症候群”を辞めてみる

子どもが“いい親になろうとする親”のためにいい子であろうとしているならば、親自身が“いい親になろうとすること”を辞めることを望月さんは提案します。

「親は子どものことをきちんと見るべきだとか、こういう風に育てるべきだとか、“親はこうあるべきだ”という縛りを自分にかけてる可能性はありませんか。もしかすると、いい親を演じようとしているだけということがあります。

みんな人生は1回しかないから失敗はしちゃいけないし、子どもにも失敗はさせたくないと思ってしまいがちです。でも、『やり直しは何度でもできる』ぐらいの余裕を少しぐらい持っていないと子育ては苦しいもの。真面目な親御さんほど自分も子どもも追い込みやすい気がします」

そんな真面目すぎる人に覚えてほしいのが“手を抜く”こと。

「私の立場でこんなことを言ったらいけないかもしれないのですが、疲れたときは手を抜いていいんですよ。例えば、毎日お弁当持ってかなくちゃいけないなら、たまにはコンビニやスーパーの総菜を詰めて持って行かせてもいいんです。夕飯を出前にしたっていい。親御さんが『がんばらないと』と常に気を張り詰めていると子どもも気を抜けないし、ちょっとぐらい隙のある親御さんのほうが子どもも弱みを見せやすいかもしれませんよ」

結果ではなく子どものがんばりを認める

「例えば、テストの点数や結果を褒めるのではなく、どのくらい頑張ったのか、一生懸命やったのかという過程を認めてあげましょう」

完璧にやらないと愛情がもらえないと思っているいい子症候群に対して、結果はどうであれ『がんばっていたことをちゃんと分かっているよ』『結果ではなくがんばったあなたを認めているんだよ』という思いを伝えることが、『いい子じゃなくても愛してもらえる』という風に子どもの意識を変えていくことにつながるそう。

「例えば、いい子症候群の子が苦手な傾向にある図工でも『上手な絵だね』と伝えるよりも『色を工夫したね』と伝えるなど過程や姿勢を褒めてあげたほうがいいですね。

また、言葉で伝えるのが苦手ならハグでもいいですよ。小学生でも男の子は恥ずかしがりますが、でも後ろからそっと抱きしめてあげると口では『やだよ』と言いながらも親の愛情に包まれた気持ちになります。

大切なのは、子どもの言動ではなく、存在してくれていることが愛情に値する事を伝え続けることです」

子どもが小さかった頃、あなたの子どもは親の膝の上にスッと自然に座れる子どもと、座りたくても座れない子どものどちらでしたか? いい子症候群には後者のタイプの子が多いそう。「だからこそ親の方から働きかけて積極的にスキンシップをするぐらいのほうが愛情を伝えられるのではないかなと思います」

生活の中に子どもの意見を取り入れる

自分で選択したり、判断したりするのも苦手な印象のいい子症候群ですが、望月さんはその子の意見を家庭の中に取り入れていくことをおすすめしています。

「決めることが苦手な子に『(晩ごはんは)何がいい?』と聞いても答えにくいと思うんですよね。だから、最初は『ハンバーグと焼き魚ならどっちがいい?』など二者択一で選びやすいようにして、徐々に幅を広げていき全部のメニューについてイチから一緒に考えられるようになることを目指しましょう。意見を尊重される(選んだメニューが食卓に並ぶ)ことが結果ではなく自分自身を認めてもらえる自信につながると思います」

子どもの「いやだ」を察して引き出す

「いやだ」ということを伝えるのが苦手ないい子症候群の子どもたち。それでも表情や反応から「本当はいやだと思っているかな?」と親が感じたときがあれば、それが本心を引き出す機会になります。

「いくら『失敗してもいいのよ』『一生懸命やればそれでいいのよ』と言っても『失敗をしてはいけない』と思い込んでいる子たちなので一言聞くだけだとダメなんですよね。子どもに『イヤじゃないの?』と聞いても『平気だよ』『いいよ』と言うと思うんですよね」

そこで引き下がらず、もう1アクション起こすことが子どもの変化への一歩になります。

「『平気と言ってくれたけど本当はどうかな?』『ママは、もしかしたらイヤなのかなって思ってるいるんだけど』と本心が言いやすいように誘導してあげてみてください。最初はなかなか本音を言えないと思いますが、何度か機会を与えるうちに「いやだ」という本心を言葉にできるようになったら子どもの意識も親子の関係性も変わっていくと思います」

ただし、言えるようになるまでどれぐらいかかるのかは親子によって違います。「育て直しのようなものなので何か月、何年かかるか分かりません。ですが、待つのも親の仕事です。何年かかっても親子はやり直せると信じ、お互いがありのままの自分で話し合える親子になれたらいいですね」

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