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2022.12.12

大谷翔平も持っている次世代の力。9歳までに土台がつくられる「自分力」とは何か?

「偏差値の高い大学を卒業し、大きな会社に勤めれば安心」というのは、もう過去の話。これからは誰もが予測不可能な社会を生き抜いていかなければなりません。そんな時代を生きていく子どもたちが9歳までに身につけておくべき力があるといいます。『9歳までの「自分力」教育』(やる気スイッチグループ・著)から、内容の一部を抜粋、再編成してお届けします。

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これからの時代にあって、子どもたちが目指すゴールとはなんでしょうか? もちろん、子どもたちが幸せな人生を送ることのはずです。

では、幸せになるために必要なこととは?

進学校や名門校に入ること?
一流大学に入ること?
一流企業に入ること?

そうではないですよね。受験や就職活動での成功が幸せにつながるわけではないということは、多くの保護者が自身の経験から身をもって理解しているはずです。エリートコースを歩んでいても、その人が幸せかと問われるとどうでしょうか。むしろエリートコースに乗ったがゆえにそこから外れることができず、「本当は別のことがしたかったのに……」と後悔し続けているという人も珍しくありません。

「これをすれば幸せになれる」という正解はもはや存在しません。幸せになるためには、一人ひとりが自分で幸せになる道を切り拓いていかなくてはならないのです。

「自分力」とは、自分で考え、自分で決め、自分で行動する力

「自分力」とは、「自分で考え、自分で決め、自分で行動する力」です。この力を発揮できれば、自分の人生を自分でデザインできるようになります。子どもたちが将来、「自分力」を発揮するためには、幼い頃からその土台をつくる必要があります。

「自分力」は、誰かに敷いてもらったレールの上を走ることとはまったく違います。

いい学校に入り、一流大学を経て、一流企業に勤めることを目指してきた従来の教育を「レールの上を走る列車」にたとえるならば、「自分力」を発揮することは「大海原を手漕ぎボートで漕ぎ出すこと」といえるかもしれません。

ゴールまでレールが敷いてあるのとは違い、大海原ではどこを目指せばいいかもわかりません。進むべき道を決めるのは自分です。地図やコンパス、太陽や星の位置を頼りに進むべき方向を見定め、自分の力を頼りに試行錯誤しながら前に進むのです。

進むべき方向を自分で考え、自分で決め、そこに向かって進むのは困難がともないます。思ったように進めずに後戻りしてしまうこともあるでしょう。しかし、それこそが自分だけの幸せにつながる唯一の方法です。

9歳までに「自分力」教育が求められるワケ

子どもたちが生きていくこれからの時代は、保護者世代が経験してきた時代よりも先行きが見通せなくなっていきます。

そんな時代を生き抜くための力こそが「自分力」です。

レールの上を速く走る方法を極めたとしても、そのレールから外れたり、レールの先が切れたりといった不測の事態が起これば、途端に対応ができなくなってしまいます。レールの上を速く走るために有利だった知識やスキル、経験といったことが、ひとたび不測の事態を迎えれば役に立たなくなってしまうのです。

では、大海原を自分で進んでいる人はどうでしょうか? そこはつねに不測の事態に見舞われる環境で、速く進むことはできないかもしれません。しかし、不測の事態が起きてもつねに対応し続けられます。どんなときでも自分でどこに向かうべきかを考え、そこを見定めて船を漕ぎ出す力があれば、何があっても自分の力で軌道修正をして前に進むことができます。

かつては一流大学に入ることや、一流企業に就職することは、幸せな未来につながるレールに乗るための切符だったかもしれません。しかしこれからは、その切符があるからどうにかなる時代ではなくなっています。「何かに頼っていれば幸せになれる」という考えを捨て、つねに自分で考え、自分で決め、自分で行動し、自分の幸せを見つけられる力が求められています

予測のできない時代だからこそ、「自分力」はさらに輝きを増していくのです。

「自分力」は自然に育つわけではない

将来、「自分力」を発揮するための土台は、幾つになっても築くことができます。「自分力」が身に付くと、先生に与えられた問題をいかに効率よく正解するかが勉強だと思い込んでいた子どもたちが、自分の夢を掲げるようになり、そこにつながる志望校を自分で決めて、そのための学習計画を組み立てて自ら勉強に取り組み始めます。

一方で、「自分力」の芽が摘まれるのは、子どもたちが育ってきた環境が関係しています。

多くの大人は、 「子どもを自由にのびのび育てたい」と言います。しかし実際にやっていることを見てみると、子どものやることを先回りして失敗させないようにしたり、よさそうなものを次から次に与えたり、大人が望ましいと考えること以外は「やめなさい」と止めたり。

口では本人の好きにさせたいとは言いながらも、子どもが自分で挑戦する機会を奪っているというケースは少なくありません。

子どもに失敗してほしくない、大変な思いをしてほしくないという気持ちは親心として理解できます。しかし、その姿勢が知らず知らずのうちに子どもたちを「自分力」の発揮できない身体にしてしまっているのです。

家庭生活や学校生活、あるいは友だちや周囲の大人など、子どもの成長は周囲の環境に左右されます。

幸運にも環境に恵まれた子どもが将来的に「自分力」を発揮して、自分なりの幸せをつかみ取ることがあります。

たとえば、大リーグで活躍する大谷翔平選手は、自分が好きになった野球という領域で、自分で目標を掲げ、それを実現するための方法を実行し、それによって目覚ましい成果を上げています。

これは大谷選手自身の力もありますが、その可能性を見守り、サポートしてくれた周囲の環境があったからこそだといえます。

「自分力」は誰もが発揮できるはずの力です。しかし、身を置く環境によってはその芽が摘まれてしまいます。だからこそ、幼い頃から過ごす環境を整えることが、将来「自分力」を発揮するためには必要なのです。

9歳までに「自分力」の土台をつくる

では、いつまでに「自分力」の土台を育むべきでしょうか。私たちは9歳がひとつの分岐点になると考えています。

さきほど「自分力」の土台はいくつになってからでもつくれると言いましたが、年齢が上がれば上がるほど、それに必要な時間と労力は増えてしまいます。

9歳前後は子どもたちが精神的・身体的に質的な変化を遂げる時期だといわれます。

9歳になるまではまだ抽象的な思考が十分に発達していないので、具体的な出来事や自分自身の経験を通して学ぶことが基本になります。自分の世界がまだ確立されておらず、経験則で習慣が築かれていく時期といえます。

一方で、9歳をすぎると抽象的なことを考える力が育ち始めます。たとえば、過去・現在・ 未来といった時間的な認識が深まり、他者への想像力が強くなったり、 言葉で物事を深く考えたりすることができるようになります。そして、自分の世界を今まで以上に強くもてるようになります。

ただ、9歳を過ぎてからの学びは質的な変化を迎えた分、理屈を理解したり、意識的に行動したりすることが必要になります。それを身体に染み込ませ、習慣的に取り組めるようになるにはどうしても時間と労力がかかってしまうのです。

一方で、9歳までであれば「自分で考え、自分で決め、自分で行動する」ことを、理屈ではなく、身体的・感覚的に身につけていけます。9歳までに「自分で考え、自分で決め、自分で行動する」経験をたくさん積むことで、それを当たり前のように習慣化していけるのです。

できるだけたくさん経験を重ねることで、子どもたちのなかに習慣として 深く刻まれ、 「自分力」の土台が強固になっていくと考えています。

本気になると自分で動き出す

これまでたくさんの子どもたちと接するなかで見えてきたのは、「自分力」の土台をつくるには目の前のことに「本気になる経験」が不可欠ということです。

「本気になる」とは、夢中になる、没頭するといった言葉にも置き換えられます。みなさんもこれまでに何かに夢中になった・没頭したという経験があるのではないでしょうか。

たとえば、鉄棒の逆上がりを例に考えてみましょう。逆上がりがうまくできずイヤイヤやっているとしたら、「できれば逆上がりには挑戦したくない」と考えますよね。体育の授業で鉄棒をやらなきゃいけないから仕方なくやるというふうになってしまうと思います。

しかし本気になって取り組んでいれば、逆上がりに挑戦したくて仕方なくなるはずです。上手に逆上がりができるように、毎日練習するに違いありません。体育が鉄棒の授業なら先生に逆上がりのコツを聞いたり、休み時間になればすぐさま鉄棒へ練習しに行ったり、家に帰っても近所の公園で練習したりと、ひたすら逆上がりの練習にのめり込むことでしょう。

これまでの人生のなかで本気になって取り組んだ経験を思い出してみてください。なにも勉強や運動だけでなくてもかまいません。テレビゲームでも漫画でも、時間を忘れて没頭した経験があればぜひ考えてみてください。本気になっていると、そのことが四六時中頭から離れなくなっていたのではないでしょうか。

つまり「本気になる」というのは、熱中して、四六時中そのことを考えたり、時間ができたら練習したり、人にやめろと言われても続けてしまったり、それくらいのめり込んでいる状態なのです。

本気になる経験が「自分力」につながる理由

勉強や趣味、部活動、仕事などなんでもかまいません。夢中になっているときの自分はどんな気持ちになっていたかを振り返ってみましょう。

きっと、それに取り組むのは誰に言われたからでも、何かご褒美があるからでもなかったはずです。それをやること自体が楽しく、何が何でもやり遂げたいという気持ちからだったのではないでしょうか? そして本気になっているときは、それを実現するためにあの手この手を尽くし、失敗してもめげずにチャレンジし続けていたはずです。

本気になっている間は、「自分で考え、自分で決め、自分で行動する」という「自分力」をまさに発揮している状態になっています。「自分力」の土台をつくるためには、「本気になる経験」が不可欠というのはこれが理由です。

そして本気になる経験をくり返すと、「自分で考え、自分で決め、自分で行動する」ことに慣れていきます。本気になる対象は、歌や演奏、絵、ものづくり、スポーツ、勉強、ゲーム、遊びなどなんでもかまいません。なんでもよいから9歳までに「本気になる経験」をたくさん積むことが大切なのです。

本書では、子どもの「やる気スイッチ」を引き出すために親ができることや、「やる気スイッチ」を阻むもの、それらの乗り越え方などが、「自分力」の土台を築いた子どもたちの成長ストーリーなど通してわかりやすく紹介されています。

予測不可能な時代を子どもが逞しく生き抜けるために、本書を通してこれからの時代の新しい考え方をアップデートしてみてはいかがでしょうか。

  • 書名:「9歳までの「自分力」教育」
  • 著者:やる気スイッチグループ
  • 価格:1,650円(税込)
  • 発行所:株式会社 小学館集英社プロダクション

※本記事は、『9歳までの「自分力」教育』本文を出版社の許可を得て、一部引用させていただきました。
※1:『平成29・30・31年改訂学習指導要領』文部科学省

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